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この戦争はなぜ起こってしまったのか!? 正義という甘い毒薬
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投稿者 中 田 久 眞 日時 2003 年 12 月 16 日 06:27:28:XghT2OU3fdRSI

(回答先: アメリカイラク攻撃の正義 日本の役割 ブッシュもフセインもならず者 投稿者 中 田 久 眞 日時 2003 年 12 月 16 日 06:23:10)

http://kikuchiy.com/column/column52.htm

この戦争はなぜ起こってしまったのか!? 正義という甘い毒薬

 
◆「朝まで生テレビ」 封印されたケン・ジョセフさんの現地リポート

3月28日放送の「朝まで生テレビ・激論!イラク戦争はいつ終わるのか?!」 はとても興味
深かった。4時間にもおよんだ討論のことではない。冒頭入った ケン・ジョセフ(日本緊急援
助隊)さんのアンマンからのリポートがである。

そのリポートはバグダッドの市民たちの生の声を伝えていたのだが、そ の内容はおよそ我々
がメディアを通して得られる情報とはまったく異なっていた。 以下、そのまま引用してみる。

「わたし、バグダッドからこの前、帰ってきたんですけど。入って行くときはです ね、もちろん戦
争反対してましたし、ところが、バグダッドにいるとですね、自分 は親戚がたくさんいますの
で、まったくほかの報道とかですね、みなさんいつも 政府の方がついているんですけど、普
通の人の家に泊まって一般の人たちの 話聞いて凄くビックリしたのは、一般の人たちは、ち
ょっと私も信じられなかった んですが、戦争を望んでるんですね。早く、その、空爆、その、戦
争を来て欲しい というショッキングな意見が大半だったんです」

「何? アメリカに来てほしい? ねぇちょっと待ってよ。アメリカに早く来てフセイン を潰して
欲しいと言ってるの? ちょっとこれ色つきの感じがするけども、ほんとか ねそれは?」あまり
の予想外の内容に動揺を隠せない田原総一朗。

「あまりにも状態がひどくて、もうどうにもならないところなんで、空爆ももちろんい やだし戦争
ももちろんいやですけど、もう20年続けて戦争なんですね。ですから……」

ここで慌てて割って入る田原。「わかった。今ちょっと論議に、みなさんもう待って らっしゃるん
で……(中略)……まあ、そういうきっと声もあるんでしょう。ごめんなさい」

おい、おい、ちょっと待てよ。いいところで止めるなよ。その先が聞きたいんじゃな いか。もっと
ケン・ジョセフさんのレポート聞かせてくれよ。バグダッド市民の普通 の人たちの生の声をさ。
反戦、賛戦といった偏向したフィルターを通した意見じ ゃなく、それこそ生の声を聞きたいの
にさあ。面白いところになるといっつも進行を さえぎるんだよね、田原総一朗ってさあ。った
く。

正直言って、4時間議論が続けられた今回の朝まで生テレビで一番面白かった のは、この
冒頭のケン・ジョゼフさんのリポートであり、それを聞いて血相を変え た田原総一朗の狼狽ぶ
りだった。

このケン・ジョゼフさんのリポートの内容がイラク国民の中でどれくらいの割合を 占めているの
かどうかは正直わからない。しかし、これが間違いなく普通の市民 たちの生の声の一端を如
実に伝えていることは間違いない。

これが現実なのである。これがまさにイラク国民の偽らざる生の声なのだろう。こ の生の声
の前には世界的な反戦の気運も、インテリやマスメディアのアメリカ批判 の大合唱もまったく
現実をからめとっていない空虚なものでしかないことが暴露さ れた瞬間だった。

◆「アメリカは強国である、ゆえに傲慢に振る舞う」

私は前回のコラムでアメリカ国民が体験した“新しい恐怖の形”という人類史 的な課題を国
連や世界が共有しえなかったことが、イラク戦争に至ってしまっ た本質であるという視点を提
示した。

だが、もちろん私はアメリカのイラク攻撃を支持しているものではない。ただ、 世界的な反戦
運動の盛り上がりの中で、アメリカ、もっと言えばブッシュだけ が悪者になっている図式には
まったく意味がない、そう思ったのでバランシン グの意味で新しい視点を提示したいと思った
のである。

いや、もっとはっきりと申しましょうか。このイラク戦争の悪者はブッシュではな い。そして彼を
操るネオコンでもない、のだと。驚かれましたか? なぜかって、 彼らは単なる歴史のプレイ
ヤーでしかないからです。しかも、退屈であまりにも 凡庸な。それがあまりにも「アホでマヌケ
なアメリカ白人」という仮面をかぶって 登場してきているところに、喜劇があって、いやいや、
喜劇ではなくて悲劇があ って、いやいや悲劇でもなくて、救いの光り(ええっ!?)もちらつい
ているところ に歴史の一筋縄では行かない奇奇怪怪があるのですね。

何? ブッシュが悪くないだって? ラムズフェルドやチェイニーにも罪がない?  おまえはイ
ラクの罪のない子どもや市民たちが犠牲になっても心が痛まないの か!? まあまあそう興
奮なさらないで。ブッシュやそして彼を操るラムズフェルド、 チェイニーらネオコンの連中が「ア
ホでマヌケなアメリカ白人」であることを認める のに私もやぶさかではないのです。巷間謳わ
れているネオコンの世界戦略の野 望。これは確かにそうそうかんたんに見過ごすわけには
いかないいささか物騒極 まりない代物であることは間違いないと私も思う。

まあ、まともに聞いてればこいつらアホかキチガイか何という傲慢な連中なんだ と疑うのがま
っとうな神経というものである。そして世界はそういう反応をし、アメ リカをそのように見ている
わけだ。

ブッシュ、そしてネオコンはアホか? クレージーか? 傲慢不遜な輩なのか?  そんなの
愚問中の愚問。そんなのイエスに決まってるじゃないですか。

だけど、それでいい、それでいいのである。世界史の中ではこのようなアホでク レージーで
傲慢なやつが出てくるのがむしろ常態なのだ。そしてこういった傲慢 不遜なやつは必ず強国
から出てくるものなのである。

アメリカが現在世界最強の大国である。こう認めて異論をはさむ人はいないだろ う。これは間
違いない事実である。だったら、そのアメリカが傲慢に振る舞うのも またこれは必然であり、
歴史的に繰り返されてきたルーティンというべきものでし かない。むしろ失笑すべきはその退
屈かつ凡庸なまでの歴史の再演といってい いくらいだ。

アメリカは最強国である。ゆえに傲慢である。最も力の強い大国が傲慢に振る舞 う。これは
歴史の鉄則であると言ってもいい。こんなことに今さらカマトトぶって驚い てたってどうしようも
ない。この鉄則の前では正義をしかめっ面して問いてもまった く無意味だ。

強い者が傲慢に振る舞う、こんなものは珍しいことでもなんでもない。政界から経 済界から芸
能界から、そしてあなたの職場や町内会に至るまで、強いものが威張 り傲慢に振る舞う。ざ
っと自分の身の回りを見わたしてみればこんなことは人間が 生きて行くことにおいて何ら珍し
いことでも何でもない。

あなたが威張り腐った上司に殴りかかろうと思ったことは一度や二度ではないでし ょう。もち
ろん、正義はあなたにあります。それでも殴らなかったのはなぜなんでし ょう? こう問を立
てることはこのイラク戦争に至った経緯を考えるうえで有効なレッ スンになるんですね(いや、
確かに国際政治と自分の職場を同列に捉えることに飛 躍があるのは十分承知なんですが
ね)。それは強者と弱者という互いの力関係を理 解しているからですね。

この強者と弱者の力関係の理解というのが大事なのである。国際政治を見渡して みればも
ちろん強者はアメリカであり弱者はイラク。いくらフセインが「我々が正義 だ。弱虫のアメリカ
は地獄を見るだろう。最後に勝つのは我々であり我々には神が ついている」と豪語しても国
際政治の現状を冷徹に眺めれば、強者がアメリカであ り弱者がイラクであるという力関係は
動かしようが無い。

つまり、世界史という視点で見れば強者のアメリカに目をつけられたイラクが負けで あり、悪
いのはイラクなのである。それは正義ではなくそういうものだとしか言いよ うが無い。たとえ、
おまえら大量破壊兵器持っているだろう? アルカイダの連中に 兵器を横流ししているだろ
う? というアメリカの言いがかりがこれといった証拠もな いこじつけに過ぎないものだとして
も、強国のアメリカに因縁つけられた時点でイラク の負けなのである。

◆正義という甘い毒薬−シラクの弱さとブレアの勇敢さ

結局、国連や世界はこのアメリカの傲慢を、強者が強者ゆえに傲慢に振る舞うという “歴史
の鉄則”として冷徹に受け止められず、アメリカの振る舞いを正当性という“道 義的レベル”で
対抗したことに大いなる過ちがあったのである。

その意味で私はフランス、ドイツ、ロシアなどの罪はとても大きいと思う。特に常任理 事国の
フランスである。反戦の先頭に立ち、世界的な反アメリカ、反戦争の気運を呼 び起こしたとも
言えるシラク大統領の罪はきわめて重いと言えねばならない。

確かにシラクの言っていることは“まっとう”である。査察継続の論理性、さしあたっ てはイラ
クは脅威ではないという主張、戦争は最悪の外交であるという含蓄のある 言葉、最後までブ
ッシュに抵抗し、反戦の立場を貫いた姿勢、これらは一見非の打 ち所がない。

しかし、である。時にはこの“まっとう”が良くないのである。“正当性”や“正義”が ときには
問題の解決に至らずに悲劇という結果を招き寄せる甘い毒でしかないこと を知るべきなので
ある。

イラク攻撃には正当性がない。イラクが大量破壊兵器を持っているという証拠もない。 まして
や、イラクとアルカイダとの関係性も証明されていない。アメリカは傲慢だ。 然り。しかし、だ
からといって、その正当性がそのまま通るほど国際政治は単純で はない。いたずらな正義
の主張が必ず血を呼び込むことは世界史が証明している。 だいたい、数百円・数千円レベル
の利権しかない町内会だって正当性が通らないこ とがあるじゃないか。

フランスを中心とする反戦派がやるべきことは自分たちの主張や正当性や正義を貫 き通すこ
となのではなく、戦争という最悪の手段を避けるためにどのような妥協点を 見出し、いかなる
落とし所を見つけるかという現実的な戦略を練ることだったのである。 罪のないイラク国民が
命を落とすのは耐えられないという人道的な理由ではなく、ア メリカという最強国を孤立させ
ないようにするためにはどうすればいいか? このよう な極めて冷徹な戦略的思考が必要だ
ったのである。

反戦の主張を貫き通すのではなく、アメリカは本気(マジでクレージー)であることが 見えた
地点で、さっと寝返り、その返す刀でフセインを悪者に仕立て上げ、イラクの 武装解除そして
フセインの亡命に正義ありという国際的世論をデッチ上げるべきだ ったのである。まさに関が
原。勝ち馬に寝返った西軍の武将である。査察継続では なく武装解除の国連決議を圧倒的
多数で採決し、アメリカではなく国際世論の総意 という形でフセインに圧力をかける。この問
題の全責任をフセイン一人にかぶせて収 拾をはかる。

米英軍の兵士たちの犠牲もはらわれず、国連も分裂せず、イラク国民は圧制から解 放され、
フセインは闇に葬られ、すべては丸くおさまる。これで万事オーケーだった じゃないか。

しかしフランスを中心とする反戦派は戦争は悪だという原理主義の気持ちよさに酔い、 世界
的反戦の世論が後ろ盾にあるという心強さに溺れ現実的な思考を放棄してし まった。シラク
は反戦の英雄なのではない。反戦というあまりに凄まじい世論の勃興 に、アメリカ支持に寝
返るタイミングを逸し、大衆の熱狂に飲まれた勇気と決断の乏 しい政治家というしかない。

一方、凄いのはイギリスのブレアだ。反戦というあれだけの国内世論にも負けずにア メリカ
支持の姿勢を貫き通した。ブレアはアメリカに逆らえない気の弱い友人なのでは なく、アメリ
カという最強国を孤立させることの恐ろしさを知っているがために、あえて 身体をはってアメリ
カ支持という現実的な戦略を貫き通したのである。凄い。これこそ 真の政治家というものだ。

シラクは世論を裏切るのが恐いがために反戦という呪縛に捉われて身動きできなく なってい
った。一方、ブレアはアメリカという最強国を孤立させることの恐ろしさという世 界史的な見識
から身を呈して世論に対峙していった。シラクが弱虫なのであり、ブレ アが勇敢なのである。
歴史は必ずやブレアを評価することだろう。

(で、小泉純一郎は? ああ、そんなのもいましたね。小泉純一郎は正義を振りかざ してもい
ないし、ましてや戦略的思考を展開したわけでもない。「その場の空気を見て 判断する」とい
うきわめて日本的な振る舞いをしたといっていいでしょうね。で、それで いいんじゃないの? 
日本は正義でも戦略的思考でも必要とされているポジションに いないわけだしね。えっ? 
そんな小泉純一郎はみっともない? そんな日本の姿は 恥ずかしい? まあ、そう言ったっ
て戦後57年の日本の歴史の結果ですからね。小泉 純一郎一人にその責任をおっかぶせて
もしょうがないでしょう。小泉純一郎を恥ずかし いと思うなら、それはあなたの姿が恥ずかし
いんです。あなたの生きてきた歴史がみっ ともないんです。小泉純一郎はある意味今の日
本人の姿を映し絵のように反映してい るんですから。まあ、そんな日本の姿が心底恥ずかし
いと感じたのなら、主体的な発 言ができるようにあと50年くらいかけてゆっくりと力をつけて
行きましょうや。今はその 時にあらず。恥ずかしくて結構。ブザマでオーケー。まあ、日本に
弾は飛んでこないわ けですから)。 

                     *

戦争が悲劇だと仮定すれば、今回のイラク戦争は悲劇である。しかし、その悲劇は 起ってし
まった。なぜ、起ってしまったのか? アメリカが傲慢だからではない。アメリ カはむしろ強い
者が傲慢に振舞うという歴史のルーティンをただただ凡庸に再現した まででしかない(無論、
その強さに精神的な成熟が追いついていないところに問題が あるのだが)。問題はむしろそ
の“歴史の反復”を前にして正義や正当性でしか対抗 できなかった国連そして各国の冷徹
な戦略的思考の欠如にある。

正義に酔うことは心地良い。しかし、正義とは血に飢えた甘い毒薬でもある。ブッシュ もフセ
インもフランスもそして反戦を訴えた世界中の人たちもそれぞれの正義を振りか ざしそれに
酔ってしまったという点ではまったく同じなのである。

私はこうした甘い毒薬でしかない正義というものを殺した21世紀の日本という地点か らこの
戦争を眺めている。正義に酔う快楽を失うということが平和を生きるということだ。 その気概の
ある者だけが平和を謳歌できるのである。正義か平和か? あなたは どっちを選ぶのだろ
う。

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