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フセイン拘束!!どうなる、イラク情勢!行政調査新聞社
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投稿者 エンセン 日時 2003 年 12 月 17 日 01:20:57:ieVyGVASbNhvI

 
フセイン拘束!!どうなる、イラク情勢!

"We got him"……。連合軍暫定当局(CPA)のブレマー代表は12月14日、イラクのサダム・フセイン元大統領を米軍が拘束したと公表した。

 捕まったのは本物のフセインなのか? フセイン拘束で大量破壊兵器は発見できるのか? 米軍はフセインが所持していたとされる莫大な資金を確保できたのか? これでイラクの治安は回復に向かうのか? ……フセイン拘束の情報は世界中でトップニュースとなり、それに伴うさまざまな質問が噴出している。

 9・11事件以降、アフガンを攻めてタリバーン政権を崩壊させたものの、アフガンは混乱混迷を深め、首謀者とされるビン・ラーディンを取り逃がしてしまった米軍。イラク侵略戦争には勝利したもののなおテロ攻撃の恐怖に怯え、戦争の大義である大量破壊兵器を見つけられなかった米軍。ブッシュ大統領にとってフセイン拘束は非常に喜ばしい話で、再選に向けての第一歩をやっと踏み出すことができた。

 わが国の小泉首相にとってもフセイン拘束は望ましい話だ。フセインが捕まったからと言ってすぐにイラクの治安が復活するはずはない。だが、大衆の多くが反フセインであるイラク国民は、フセインが捕まれば復興への本格的な歩みが進められると期待している。その復興に向けて、シーア派が中心の南部地域に自衛隊を派遣することは、わが国の国際貢献上も望ましいことだと主張できる。

 「紅い夜明け」と名付けられたフセイン拘束劇。この結果、イラクはどうなるのか。そして中東全域はどう変化していくのか?


 フセインは本物なのか?

 フセインが捕らえたというニュースが流れたバクダッドでは、シーア派(反フセイン)の市民たちが空に向かって発砲するなどして喜びを素直に表現した。が一方で親フセインのバース党党員たちは、「米軍のデマだ」「捕まったのは影武者」と騒ぐ。では、捕まったのは正真正銘のサダム・フセインだったのか?

 米軍に拘束された人物の映像を見ただけで真贋を判定することは不可能だ。だが、血液鑑定、DNA鑑定まで行った米軍の発表を見れば、フセインだと断定できる。いや明確に言うならば以下のようになる。……サダム・フセインとされる人物を米軍が拘束した。……そしてブレア英首相の言葉「これでサダム・フセインが戻ってくるのではないかという悪夢は払拭された」がすべてを物語っている。米英首脳はフセインが二度と戻らないことを理解している。もし捕まったのが偽者だとしたら、本物は既に存在していないということなのだ。死亡し、その遺体が修復不可能のほど損傷していたり、あるいは遺体の特定までできないような状況の場合だ。

 フセインがどこかに亡命したという可能性は、ほとんどゼロである。完全なゼロではない。大量破壊兵器の存在証明等の秘密を米軍に告白したうえで、整形で顔や姿を変え、未来永劫表社会に登場しないという約束の下、米国の監視下で生き延びることだけを許された可能性はないわけではない。だがそれは、出来の悪い空想小説以下の話でしかない。


 混乱のイラク

 本紙は11月中にもフセインが逮捕されるのではないかと推測していた。捕まったから言うのではない。そう推測するだけの十分な根拠があった。それについて語ってみよう。

 11月13日の米国防総省の発表によると、イラク戦争開始後からこの日までで米軍兵士398名が戦死したという。この数字は、ベトナム戦争で米正規軍が参入した1961年(昭和36年)から3年間の戦死者数392を上回っている。しかもこの戦死者数は、負傷して24時間以上の加療のうえに死亡した兵士は加えられていない。さらに言えば米国防総省の数字は意図的に少なく抑えられていると考えられ、実数はもっと多いと想像される。

 戦死者数より重大な問題がある。

 米軍は現在、イラクに13万人の軍隊を送り込んでいると発表している。ところがそのうちの約7000人が精神障害を起こし、前線から撤退させられている。さらに約2000人が重度の身体障害者……腕や足を失うなど……となっている。こうして約9000名は前線を離脱し、米国に送還すれば批判が噴出するとあって、隣国トルコやドイツの病院に収容されているのだ。それだけではない。何と約1700名の兵士が脱走兵となってイラクから逃げ出している。(脱走兵の多くはトルコ領内に潜伏しているようだ。)

 かつて大東亜戦争終結の後、半ば冗談半ば本気でマッカーサー(連合軍総司令官)はこう言った。「もし戦争があと数カ月延びていれば、米軍兵士は全員が戦闘意欲を失ってしまっただろう」。

 兵士の多くは若い。多くは若い妻や若い恋人を故郷に残している。半年以上も前線で戦う兵士たちにとって、故郷に残してきた妻や恋人のことは片時も頭を離れない。彼女は浮気をしているのではないか……。その不安は徐々に増大し、ついには精神に異常を来すまでに膨らむ。イラクに派遣された米兵の7000人が精神に異常を来した理由は、戦死する恐怖よりも故郷に残した恋人や妻を思う気持ちに起因するとされる。大東亜戦争時も同様だったのだ。

 先の戦争の折り、わが国では多くの新婦が嫁入りして舅姑と同居した。家を出て前線に赴く兵士たちは、妻が家を守ることを確信しており、浮気をすることなど殆ど考えなかった。それだけではない。兵士として活躍することが家を、妻を子を守ることに繋がっていたから、そこには精神的な揺るぎが少なかった。婚姻というものが「家対家」の結びつきであることを理解していたから、個人の愛などという不安定な感情に家庭の存続を委ねることはなかった。毎日毎朝、口づけを交わし「愛してる」と言いつづけなければ家庭を存続できない欧米種族と日本人は、かつては違っていたのだ。

 話が横道に逸れてしまった。本題に戻そう。

 すべては9・11米中枢テロに始まった。そしてアフガンを叩き、テロ支援国家イラクに大量破壊兵器の廃棄を求め、それに応じないイラクを侵略した。

 そして見事にイラクのフセイン体制を粉砕し、新たな民主体制を築こうとしているが、戦争終結後もテロは続発し、戦争の大義であった大量破壊兵器も見つけられない。イラク駐留米軍の兵士たちは疲弊し、故郷に残してきた恋人を思い妻を思い、気も狂わんばかりの状態にある。兵士たちの鬱憤、士気の低下は目に余るものがある。このまま放置しておけば、米軍全体が破壊されてしまう。
 ここで欲しいのは、米兵の士気が一気に高まる演出である。それは戦争の大義=大量破壊兵器の発見か、サダム・フセインの逮捕・抹殺。だが両方とも得ることができない。

 こうした状況のなか、11月27日の感謝祭の日にブッシュ大統領は電撃的にバグダッドを訪問して前線兵士を激励するという異例の演出を行った。事前の発表がまったくないまま、600人の兵士を前に演説したこの行動は、かつて朝鮮戦争の折りに前線を訪問した(1952年=昭和27年)アイゼンハワー大統領、ベトナム戦争激化の折りに南ベトナムのカムラン湾前線基地を訪問した(1966年=昭和41年)ジョンソン大統領よりも強烈な印象を残したと思われる。


 イラク3分割案

 米外交問題評議会(Council on Foreign Relations=略称CFR)という組織がある。1921年(大正10年)にニューヨークで設立された団体で、キッシンジャーを育て世に出した組織として、あるいは機関誌『フォーリン・アフェアーズ』を刊行している思想研究団体として名高い。米大統領の政策決定に大きな影響力を持つ組織で、中道的な立場を堅持しつつ、時にユダヤ系の立場を代弁することもあった。CFRは原則的に個人としての意見という形で具体的政策を大統領府に進言する。

 11月中旬、CFRの名誉会長レズリー・ゲルブが個人的見解として「イラク3分割案」を提案している。その概要は、イラクをシーア派、スンニ派、クルド族の3つに分けるというものだ。

 現在のイラクは、シーア派が約60%。これは主に中部、南部に居住する。そしてスンニ派が15%強。主に中部に住む。少数派でありフセインから迫害されていたのがクルド族で、人口比20%程度。主に北部に住む。フセイン体制の下で権力を握っていたのはスンニ派で、現在のイラクで米英軍等にテロを加えているのもスンニ派勢力だ。

 反米感情の少ない南部シーア派地域と北部クルド族地域。この2つの地域に自治権を与え、「イラク人自身による統治」を行えばイラクは安定する。南部も北部も油田地帯であり、彼らに石油利権の一部を還元して政治力、軍事力を持たせれば、域内のスンニ派武装勢力(反米勢力)を一掃することも可能だ。中部のスンニ派地域では今後もさらなるゲリラ活動が予想されるが、それは国連軍(米軍主導でイラク2地域の兵士が国連軍として参加)がゲリラ掃討戦を展開すれば良い。

 レズリー・ゲルブの「イラク3分割案」の骨子は以上の通りである。これを達成させるためには、シーア派・クルド族にとっての精神的脅威「フセイン政権復活」を根源から叩き潰す必要がある。

 11月13日の米国防総省の発表(戦死者398名)と、同時期に発表されたCFRゲルブ名誉会長の案。ここには隠れた意味があった。

 大義なき戦争を継続するためにイラクに駐留し、精神的ダメージを受け続ける米軍兵士たち。彼らは爆発寸前にまで追い詰められている。イラクの2地域をイラク人自身の統治に任せ、中部からも多くの米軍が撤退できる見通しを今すぐにでも提示する必要がある。……そのためには何としてもサダム・フセインを引きずり出さなければならない。

 11月末日にはフセインが殺されるか逮捕されるだろう。1カ月ほど前、本紙はそう予測した。だが不思議なことに11月末になってもフセインのニュースが流れない。いったいどうなったのだろう……。そんな折り、11月27日にブッシュがバグダッドを電撃訪問したのだ。

 フセインを捕まえられないのなら、それに代わる衝撃的ニュースを演出して、米軍兵士の士気を高める必要があった。だが、その効果もそんなに長くは持たない。何としてもフセインを引きずり出さなければならない。……こうしてやっとの思いで12月13日、ティクリート近くの小集落アッドールの穴蔵に潜んでいたフセインが引きずり出されたのだった。


 中東大混乱への道程

 イラク人自身によるイラク統治を進めるための「イラク3分割案」。フセイン拘束の最大目的は、米軍兵士の士気を高めるためやブッシュ再選のためではない。理論的には非常に納得しやすいイラク復興への最短路「イラク3分割案」達成のために、フセインを捕らえることが必要だった。

 では、イラク3分割はほんとうにイラクを復興させるものなのか?

 答えはNO! 絶対にNO。というより、それはイラクをますます混乱に追いやるものなのだ。なぜか? その答えはイラクの歴史のなかにある。

 イラクとはそもそもオスマントルコ大帝国の領土だった。現在も国境を挟んでいるトルコとイラクは、元々は同じ国家だったのだ。そして、トルコの異常事態もここに起因している。(トルコの状況については後日、本紙で詳述の予定。)

 英国を中心とする欧州列強がオスマントルコを食い潰し、最終的には第1次世界大戦(1914年=大正3年)で潰滅的打撃を受けてオスマントルコは崩壊する。ここで中東の支配権を獲得した英国は、石油利権の確保のためにイラクを建国する。

 かつてオスマントルコ時代、現在のイラクの地は3つの州から成り立っていた。それは遙か古代……この地域がメソポタミアと呼ばれていた時代から3つの地域に分かれていたことに起因する。この3つの地域を1つの国家にすることは至難の技のように思えた。そこで英国は、イスラム教徒の王族の末裔でありイスラム教徒から信頼されているハーシム家のファイサルを王に据え、イラク王国を建国したのだ。それは米国にCFRが誕生した年、1921年(大正10年)のことだった。ちなみに当時、ヨルダンも同様にハーシム家の王を抱いた王国として誕生している。

 だが1958年(昭和32年)、軍事クーデターにより国王が殺害され、中立ややソ連寄りのイラク共和国が誕生する。それがやがて反ソ派、親エジプト派の怒りを買い1963年(昭和38年)のバース党クーデターに繋がる。やがて1979年にフセインが実権を握り、クルド族弾圧の独裁政権へと進む。

 英国は当初、利権獲得のためにイラクを1つの統一国家として統治しようと考えた。そのために王政を敷き、3つの異なった地域、異なった種族を1つの国家として纏めるために国家意識を持たせようと考えた。共和制に移行した後も、イラクの歴代政権は「1つのイラク」(国家意識)の思想を強化していった。

 とくにフセイン政権になってからは、シーア派、スンニ派、クルド族を意図的に混合させ、強制移住も行ってきた。これに反対するクルド族は追放、あるいは殲滅するという手荒い政策が執られ続けてきた。

 その結果、たとえば本来スンニ派ばかりが住んでいたはずの首都バグダッドには現在、住民の半分300万人のシーア派が住んでいる。イランイラク戦争の折りには、シーア派も積極的にイランと戦い、イランを絶対敵視するようになっているのも真実なのだ。それはフセインの「統一イラク」という政策が成功した証とも言えるだろう。

 これまで80年以上もかけて3つの地域を1つに纏めあげてきた歴史を無視し、イラク人という国家意識を持った国民を3つに分割する。……CFRの計画は、明らかに石油利権を漁る特権層を刺激し、彼らの賛同を得るだろう。南部と北部はイラク人の統治に任せ、テロから隔絶された地域にする。そして中部だけで勝手に殺し合いをさせておけば良い……。


 終わりの始まり

 CFRレズリー・ゲルブ名誉会長が提案した「イラク3分割案」では、イラク分割に際し「できる限り民族境界線に沿って3分割する」と述べられている。だが既に見てきた通り、イラクでは80年間にわたる混在が政策として続けられてきており、今や民族境界線など存在しない。

 こうした状況のなかで3分割が行われることになり、境界線が発表されたらどうなるか? 答えは火を見るよりも明らかだ。地図上の分割ラインを巡ってイラク全土で戦闘が開始され、アフガン以上の大混乱、収拾不能の事態に陥る。
 ここでクルド独立運動が起これば、それは当然ながら隣国トルコに飛び火し、シリア、イランを巻き込んで中東全域が大紛争という状態になる。

 その大混乱、大紛争こそが狙いだとしたら、どうなるのか?

 トルコのイスタンブールで11月15日と20日に大規模な自爆テロがあった。最初はシナゴーグ(ユダヤ教教会)前で、そして次には英国系銀行HSBC前で。HSBCとは英国の中東進出時の権益管理銀行なのだが、いったいこのテロの意味はどこにあったのか? そしてトルコのエルドアン政権と米ブッシュ政権との関係は? 時を同じくしてグルジアではシュワルナゼ大統領が更迭され、そのグルジアに米国が17億ドルもの緊急援助を行っている。いっぽうロシアはベラルーシ併合構想を打ち出すと同時に、中央アジアのキルギス、ウクライナ等をロシア圏内へと引きずり込もうとしている。そして朝鮮半島から撤退する米軍。6カ国協議を不満として、いよいよ強気の北朝鮮。台湾海峡の風雲は高まり、インドネシアは不安がいっぱいだ。こんな状況のなか、ついにスファラディ・ユダヤの大長老ラビ・ヨセフが立ち上がった……。

 目まぐるしく動く世界情勢は、明らかに1つの方向を見せ始めている。恐怖の未来を演出しようとしている。残された時間は少ない。しかしわれわれは、ゆっくりと着実に真実に迫らなければならない。

 本紙では近日中にトルコを中心とした中東情勢分析を公開の予定。その直後には風雲急を告げる台湾情勢、激変の旧ソ連圏情報を掲載いたします。


http://www.gyouseinews.com/foreign_prospect/dec2003/002.html

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