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クラスター爆弾:市民の被害浮き彫り 不発弾が地雷化
http://www.asyura2.com/0311/war44/msg/893.html
投稿者 シジミ 日時 2003 年 12 月 14 日 15:40:04:eWn45SEFYZ1R.

(回答先: 人口密集地でもクラスター爆弾、人権団体が調査報告[イラク攻撃に関する全国会議員公開アンケート実行委員会] 投稿者 なるほど 日時 2003 年 12 月 14 日 03:56:59)

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20031214k0000m030079000c.html

イラク戦争での米英軍によるクラスター(集束)爆弾の使用実態が、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」の詳細な現地調査報告書で浮かび上がった。「鋼鉄の雨」と呼ばれる強烈な破壊力と大量の不発弾発生への懸念から、その使用の是非をめぐって国際社会で議論が続いてきた。しかし、米国は規制に強く反発し、今後も戦闘に使用する構えを崩していない。報告書を通して、クラスター爆弾の問題点を考えた。【ワシントン河野俊史、和田浩明、ジュネーブ大木俊治】

 「残酷な政権(フセイン政権)を排除する一方で、我々の軍は民間人の犠牲を最小限に抑えるために最善を尽くした。傑出した仕事だった」。ホワイトハウスのマクレラン大統領報道官は12日、記者会見でヒューマン・ライツ・ウオッチの報告書についての見解を求められ、米政府の責任をきっぱりと否定した。

 クラスター爆弾の集中投下による民間人の巻き添えについて、米軍は「イラク側が住宅地に密接して軍事施設を置いているからだ」(マイヤーズ統合参謀本部議長)と説明し、旧フセイン政権の戦術が被害を拡大させていると主張、責任をイラク側に転嫁してきた。しかし、今回の報告書はクラスター爆弾自体のさまざまな問題点を浮き彫りにしている。

 報告書がとりわけ強調しているのは、米英軍が人口密集地域を標的にした地上発射型クラスター爆弾の危険性だ。空中投下型と比べてはるかに子弾の数が多く、不発弾率も高い。両型の内訳は不明だが、米英軍がイラク戦争で使用した約1万3000発(子爆弾数は約190万発)のクラスター爆弾の大半は地上発射型。南部のバスラや中部のナジャフ、カルバラなど「バグダッドへのルートに沿って使用の痕跡が広範に残っている」(報告書)という。

 地上発射型には多連装ロケット弾発射機(MLRS)などが用いられ、ヒューマン・ライツ・ウオッチの調査団はイラク国内で少なくとも4種類の子爆弾を確認した。代表的な「M77子弾」の場合、1発の親爆弾に644個が装てんされ、標的の周囲に「鋼鉄の雨」となって降り注ぐ。爆発した子爆弾の破片は5インチ(約13センチ)の装甲を貫通できるため、住民の多くが屋内にいながら死傷している。

 報告書によると、被害が最もひどかった町の一つがカルバラに近いヒッラ。今年3月23日〜4月11日の間に少なくとも死者19人(うち子供11人)、負傷者515人(同127人)を数えた。貧困地区の泥レンガ造りの民家は屋根に子爆弾が貫通した無数の穴が開き、火災の跡があったという。

 被害を深刻にしているのが高い不発弾率だ。M77子弾の不発弾率は16%と特に高い。空中投下型も含め、平均的な不発弾率は5%程度とされ、イラク国内で約9万発の子爆弾が爆発せずに「地雷化」した計算になる。これを誤って拾って爆発の犠牲になるケースが後を絶たず、ヒッラの場合も4月以降の負傷者(221人)のほとんどが不発弾によるものだった。

 地上発射型クラスター爆弾はバグダッド周辺でも多用された。4月5日未明には首都北東部のパレスチナ難民キャンプに隣接したアパートが直撃を受け、子爆弾で民間人1人が死亡、18人が負傷した。米軍のリストによると、不発弾の集中地点はバグダッドの半径20キロ以内だけでも166カ所に上るという。

               ◇

 クラスター爆弾の規制に関しては、11月28日にジュネーブで採択された「特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)」の付属議定書が唯一、法的拘束力を持つ文書だ。しかし、クラスター爆弾の使用を規制するのではなく、「使用後」の不発弾などの除去について国際協力の原則を定めたにすぎず、使用については事実上、野放しとなっているのが現状だ。しかも除去責任は被害地域を支配している国にあり、爆弾を使った国に対しては「実行可能な支援をする」との規定しかない。

 コソボ紛争で使用されたクラスター爆弾の被害実態から、赤十字国際委員会が3年前、「非人道的兵器」の使用規制を定めた同条約の対象にクラスター爆弾を加えるよう提唱し、締約国の間で議論が始まった。しかし、米国など多くの国が「有効な兵器」だと主張して使用規制に反対。「何らかの人道的対策」を求める欧州諸国が妥協策として、クラスター爆弾を含めた不発弾や遺棄弾による戦後被害の軽減措置に限定した議定書作りを提起し、1年がかりで交渉をまとめた。

 「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」など非政府組織(NGO)は、クラスター爆弾を対象とする初めての国際条約が採択されたことは評価しているが、使用国責任があいまいな点などが不十分だと主張。85のNGOが「クラスター爆弾連合(CMC)」を結成し、人的被害をなくす抜本的な解決策ができるまでクラスター爆弾の使用停止を求めている。

               ◇

 米軍が旧フセイン政権幹部を狙って行った「首切り攻撃」と呼ばれた空爆は全くの空振りに終わり、民間人だけが死傷したことも、報告書で明らかになった。精密誘導爆弾などを使用した攻撃は少なくとも50回に上ったが、幹部の死亡は確認されておらず、標的の周辺住民ら数十人が死亡したという。

 報告書は、失敗の原因の一つとして、米軍が標的の位置特定に中東地域で多く使われている衛星電話「スラーヤ」の発信電波を利用したことを指摘した。スラーヤは通信時にGPS(全地球測位システム)に位置情報を発信するが、半径100メートル程度の精度でしか発信源が特定できない。しかも、多くの場合、標的の位置が市街地だったこともあって、周辺住民が空爆の巻き添えとなり「首切り攻撃」が事実上、無差別攻撃となったと指摘している。

               ◇

 イラク戦争でのクラスター爆弾による民間人被害を現地調査した「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」の上級軍事アナリスト、マーク・ガラスコさん(33)の話

 クラスター爆弾は旧ユーゴスラビアやアフガニスタンでも使用されたが、イラク戦争で特徴的なのは、地上発射型が多用され、民間人に多くの被害が出たという点だ。

 不発弾の比率も高いため、戦闘後も被害が継続する。子爆弾は落下時の軌道を安定させるためリボンがついているケースが多く、子どもの注意を引きやすい。爆発すれば簡単に手足を失う。物理的な被害に加え、心理的トラウマが長期間にわたってイラクの人々に影響を与えることになる。

 米陸軍は、海兵隊のように攻撃ヘリコプターを使用した作戦をとることもできた。だが、「兵員の安全を守るため」との理由で、遠距離から発射するクラスター爆弾を使用し続けたようだ。

 ヒューマン・ライツ・ウオッチでは、少なくとも不発弾の率が大幅に下がるまでクラスター爆弾を使用しないよう呼びかけている。これを受けて米空軍はイラク戦争では市街地での使用を極力避けることで民間人の被害を減らし、自爆装置付きの型を導入することで戦闘終了後の不発弾による被害リスクを下げようとした。今後も国際的な圧力を高めてクラスター爆弾が使用されない環境づくりを進めたい。

               ◇

■クラスター爆弾 親爆弾から放出される子爆弾が最大約400メートルの範囲に飛散し、人間を殺傷する集束爆弾。子爆弾の不発率が高く、多数の民間人が拾って二次被害に遭っていることから「第二の対人地雷」とも呼ばれる。地上から発射する型と航空機から投下する型に大別される。

 現在、日本を含む56カ国が保有。実際に戦闘に使った国は、米英のほかロシア、イスラエル、エチオピアなど9カ国。ベトナム戦争時に米軍が使い始め、湾岸戦争、コソボ紛争、アフガニスタンでも使われた。全米科学者連盟によると、イラクを含む各地に残る不発弾(子爆弾)は64万個以上とされる。

[毎日新聞12月14日] ( 2003-12-14-01:34 )

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