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娯楽産業のクーデター〜ブッシュ政権は、初めから終わりまで何もかもが現実離れした「インチキと幻想」で囲い込まれたファンタジー政権である。(千葉邦雄さん)
http://www.asyura2.com/0401/bd33/msg/970.html
投稿者 乃依 日時 2004 年 3 月 02 日 01:14:27:YTmYN2QYOSlOI
 

http://www.chibalab.com/news_otoshiana/documents/20040226.htm

娯楽産業のクーデター

今日の世の中では、現実という質感がかなり変化してきている。知らないうちに、ありのままの真実の手触りのものが、私たちの身の回りの身近な空間から遠くの方に封じ込められて、いつのまにか目の前から消えてしまっている。目に見える私たちの生活空間のすべてが、メディアの流す奇妙なパステルカラーの膜のようなもので被いつくされてしまっている。

TVから流れてくる娯楽やニュースは、いまやすべてのライフスタイルや考え方にまで浸透してきている。マスコミから流れてくる情報は、事実や真実から遊離して、漫画的に単純化され、○×式にすることで、肝心なことが巧妙に覆い隠されている。今や主流メディアは、大企業に乗っ取られると同時にジャーナリズムの立場を放棄して、もはや私たち国民に真実を伝えようとはしない。世界の出来事の真実を、TVの主要メディアは、私たち国民に正直に伝えなくなってしまっている。

その結果として、私たちが生きている生活空間の中で、ありのままの事実や真実に触れることがとても少なくなってきている。生きていくうえで必要な情報のほとんどを、主要メディアに結果的に頼っているからだ。まさに柵で囲われて目隠しされた羊の群れが、私たち国民の偽らざる姿なのかもしれない。現代の高度情報化時代に、国際金融財閥たちがメディアを乗っ取ることで、国民の情緒を自由にコントロールすることが可能になっている。

たとえば壁を例にとるなら、真実としての伝統と歴史の流れが刻まれた様々に凹凸のある壁を、限りなく均一なパステルカラーの壁に塗り替えてしまって、さもそれが真実であるかのように私たちに伝えているのが、要するに今のマスコミなのだ。私たちが生きている世界はもはやファンタジーの世界であり、単純に描かれた漫画の世界であり、キアヌ・リーブス主演の映画「マトリックス」に描かれているデジタル空間なのである。

私たちが住んでいるのは、もはやリアルな現実ではなく、演出された「幻想」の世界に生きているのだ。まさに“事実は小説より奇なり”の世界に、私たちはいつのまにか住んでしまっている。私はストーリーというものに昔から興味があって「小説」なんかも書いたりするのだが、奇妙なことに、いまや現実が「物語空間」そのものになってしまったようである。

そう言った視点から、「テロとの戦争」というブッシュ大統領が唐突に宣言した新しい戦争をめぐる様々な「ファンタジー(幻想)」についても、ここで少し触れてみたい。ブッシュ政権は9.11テロ以降、そのアメリカ国民の衝撃と愛国心を利用して、アメリカは戦争中であるという「ファンタジー」を、アメリカ国民は未だに信じ込まされている。そして普通なら憲法違反であると謗られていたはずの幾つもの市民的自由の制限に、従順に耐え続けている。今まで批判的な政治分析の豊かな伝統と鋭いジャーナリズムを持ち、個人の権利がどこよりも尊重されてきたはずのアメリカが、である。

ブッシュ政権は、あらゆる最新メディアを操ることで、露骨にアメリカ国民を洗脳することを由とした歴史的政権といえるかもしれない。1990年代に娯楽産業に征服されたアメリカのメディアは、市民を啓蒙し真実を伝えるというこれまでのやり方とまったく相容れない課題を優先するように変化してしまう。それでも平均的なアメリカの市民は、日々の暮らしの中で人間の弱さや卑劣さをよく知っているにもかかわらず、自分たちの上にいるエリートや権力者については、並の人間のように捻じ曲がっているはずがないと思いたがっている。

中東を作り変える手始めとしてフセインを標的にすることは、ブッシュが大統領になる前から存在して、ネオコンたちの夢の戦略のひとつだった。そして9.11テロ事件は、これを実行する最大のチャンスになった。ディック・チェイニー副大統領は、9.11の直後にこの事件とイラクのつながりを探すように部下に圧力をかけている。アメリカ国民にこの戦争を支持させるために、ブッシュ大統領は、サダム・フセインを何としても9.11テロ事件に結びつけなければならなかったのである。「あらゆる手がかりをたぐっていっても、そうした証拠は見つからない」とCIA長官ジョージ・テネットが、当時そう言っていたのである。さらにイスラム文化や中東専門家は、サダム・フセインとアルカイダは思想的に敵対していて、一緒に行動するなんてことは絶対に考えられない、と指摘し続けていたのだ。

それなのにブッシュ大統領とネオコン(新保守主義)たちは、サダム・フセインは9.11テロ事件に関与していたし、保有している大量破壊兵器で更なるテロを計画していると、堂々と発言していたのである。TVや新聞は、大統領の主張を忠実にオウムのように反復した。そのためアメリカ国民は、フセインを倒す計画は「テロとの戦争」の分かちがたい部分であると考えるようになっていった。2002年11月の世論調査によると、アメリカ国民の71%がサダム・フセインは9.11テロ事件に関与したと思っていて、アメリカの主要メディアがいかにホワイトハウスのプロパガンダ広報室化しているかが表れている。

アメリカ国民が見ているテレビは、今ではブッシュ大統領の言うことなら何でもそのまま繰り返す。それを何度でも繰り返す。そうすると、ブッシュのウソがいつのまにか広く共用された「常識」に変わるのである。

少しでも頭を働かせてみれば、世界テロを相手にした戦争などというものがありえないことは、すぐに分かる。何故なら、現実として交渉の相手を特定することができない戦争だからだ。このとらえどころのない抽象的な敵との戦争に勝利しようと思うなら、相手である敵をこの地球から根絶しなければならない。狂牛病や鳥インフルエンザ等のウィルスなら、無害のウィルスと区別がつくが、テロ行為を行う人間は、実際にそういった行動を行う瞬間まで、テロ行為など行なわない普通の人間との区別がほとんど不可能にちかい。行動を起す前のテロリストをとらえようとする根絶作戦は、神にでもならなければ勝利することはできないのである。

ということは、この「テロとの戦争」によって、ブッシュ大統領は永遠に戦争を続ける大儀がえられるのである。基本的にたいしたことのない弱いテロリストを世界中から無理やり探し出して戦争を続けられるわけだから、軍産複合体と癒着したブッシュ大統領とネオコンたちにとって、こんな素晴らしい戦争はないのである。

悪との戦いという道徳的な妄想にとらわれたアメリカ国民は、その知識のほぼすべてをテレビからえている。テレビはアメリカ人にとって何よりも共同体意識を自覚させる触媒になっている。もちろんそれは日本人もまったく一緒である。新しいケーブルテレビのニュース番組は、多くは3大ネットワークの番組よりかなり表面的で、はるかに俗っぽくて、それでいて雑なつくりである。注意散漫で、知的レベルが低い視聴者でも楽しめるように構成されている感じである。

つまり、政治に関して言うと、政治家の考えや政策には触れないで、その人格やスキャンダルに焦点があてられているということになる。そうした状況を憂える人たちの調査によると、選挙期間中の政治家に与えられる政見表明の持ち時間は過去10年で大きく減らされて、たいしたことを盛り込めなくなってきているようである。生計のために一日中あくせくしている国民にとって、確かにリラックスする時間が必要であり、娯楽はそのために欠くことのできないものである。

しかしアメリカや日本のメディアを支配している娯楽産業の目的は、決してそこにはない。彼らが提供するものは、私たちの想像力を刺激したり、情感を深めたりしないのである。私たち人間の営みの中で、これまでずっと真面目さがよしとされてきた分野が、今では娯楽で埋め尽くされている。

私たち大衆の求めるものを差し出すために、「いま人々は何を望んでいるのか」を常にリサーチしている娯楽産業は、多くはありきたりの製品をお決まりのパターンに単純化し、もっとも低いレベルの共通項に狙いを定めて、できる限り多くの私たち視聴者の気持ちをつかもうとする。大量の巧みなコマーシャルの反復によって、私たちの本当に望んでいるものを、「私たちは何で我慢するべきか」に変える方向に、いつのまにか親切に導いてくれる。

私たち日本やアメリカの国民の趣味は、娯楽産業の人間が考えているほど低級ではないからだ。にもかかわらずアメリカの娯楽産業は、不正確で低級な情報や製品で我慢させてきたのだ。もちろん日本の私たちも同じようなものである。

娯楽産業に乗っ取られたメディアは、時折ひとつの事件を、何ヶ月も延々と連続で人々の関心を集めるスペシャルニュースとして仕立て上げられることがある。その典型的な例としてフットボールの元花形選手、O・ J ・シンプソンが殺人罪で逮捕され、裁判にかけられた事件がある。それらの事件のほんの端役に過ぎない関係者でさえ、メディアに注目される価値があるかのごとく個別に取り上げられ、それぞれの物語を語るシーンをメディアの中に与えられたのである。

終いには、この裁判の陪審員にまで、体験談を出版しないかという話が持ち込まれる始末である。このようにひとつの話題にどっぷり国民が浸かっている時期には、他のことはすべて脇に追いやられてしまう。さらに2002年の中間選挙の数週間前には、ワシントンの連続射殺事件の報道一色となって、民主党が選挙の争点を持ち出すことが不可能になったことがある。

こうした現象が持つ政治的な意味合いは、これによってアメリカの右派が政敵と戦う強力な武器を獲得したということである。これを最も象徴しているのは、モニカ・ルインスキー事件とケネス・スター特別報道官ののぞき趣味的行為のエスカレートである。

まったく同じことが、日本の古賀潤一郎学歴疑惑事件で起きている。 すべては赤い糸でつながっている 2 No.21 で詳しく触れたように、この問題に関するメディアの注目度は、ちょっと異常なもの感じるくらい加熱したものであったことを憶えておられるにちがいない。これもやはり小泉純一郎による、この際に民主党の古賀潤一郎氏の学歴スキャンダルを煽ることで、自衛隊のイラク派遣問題から国民の注意を逸らすためのメディア戦略だったのである。主流メディアのやり方は、今やアメリカも日本もまったく同じである。

アメリカの政治報道はこのとき、進行中のメディアの変化とともに低俗化の極みにまで落ちてしまった。それがなかったら世界におけるアメリカの権威の失墜から、もしかしたら逃れられたかもしれない。

これらの政治システムの低俗化は、もうひとつの決定的な流れによって急速に加速された。それはアメリカ社会の企業による乗っ取りと集中化である。メディアビジネスが、他のものと同じように売買される商品となって、ついに大企業の一部門として吸収されたのである。メディア会社は他のメディア会社と合併し、まだ放送や出版部門を持っていなかった巨大企業に飲み込まれた。こうなった一因は、レーガン政権による規制緩和によって、1996年に超大型合併を認めるテレコミュニケーションズ法を可決して、この流れを作り上げてしまったのである。

ゼネラル・エレクトリックがNBCを買収し、ディズニーがABCを収得し、ヴァイアコムがCBSを子会社にした。NBCのケースから推測すると、これはつまり戦争を行なう権力に関わる問題が、兵器ゲームに深く関わっている軍産複合体の一部門の手で、ニュースそのものが報道されるということである。さらに巨大メディア帝国を操って右派の主張を応援しているオーストラリアのメディア王、ルパード・マードックは、CNNに対抗してFOXというケーブルテレビ・ネットワークを設立して、ブッシュ政権のプロパガンダの強力な代弁者となっている。何故ならこの会社は、ブッシュ親子のどちらのホワイトハウス入りにも貢献した共和党の選挙参謀、ロジャー・アイレスが社長を務めているからである。日本人的感性からすると、あまりにもわかりやすくて逆に違和感を抱いてしまうくらいである。

FOXは投票日の夜、ブッシュの当確をどこよりも早く出した。それがジャック・ウェルチの傘下であるNBCに対して、悪名高い命令≪うちも当確を出せ≫に、彼をして言わしめることにつながったのである。最終結果を左右するフロリダの集計をめぐって混乱が続くなかで、すでにメディアは早々と惨めな敗者というゴアのイメージを流していた。最高裁の5人の共和党判事がブッシュに大統領職を与え、メディアが独自の再集計を行なった後、最終的に、フロリダはゴアを選んでいたようであるが、何故かメディアは、それを視聴者に伝えて記録を正すようなことはしなかったのだ。ブッシュ政権は、初めから終わりまで何もかもが現実離れした「インチキと幻想」で囲い込まれたファンタジー政権である。問題は、いつアメリカ国民がそれに気づくかである。

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