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Re: 人間の身の丈にあった社会の仕組みに、どこから近づいてゆけばいいのですか。
http://www.asyura2.com/0401/dispute16/msg/452.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 1 月 31 日 12:18:43:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: 人間の身の丈にあった社会の仕組みに、どこから近づいてゆけばいいのですか。ご意見を伺わせて下さい。 投稿者 鳥の目と虫の目 日時 2004 年 1 月 31 日 09:54:20)


鳥の目と虫の目さん、初めまして。
鳥瞰と複眼による思考を思い浮かばせるHNはなかなかいいですね。
いただいたレスも、それ以上にすばらしい視点と分析のものでじっくり読ませていただきました。

経済(学)は論理ですからそれを熟知しているより、鳥の目と虫の目さんのように、人間観を含む社会観というか世界観がきちんとあり、現実の社会と自分の理念的な社会観の乖離が何に由来しているかを探るときに、経済(学)を利用するというものだと思っています。

鳥の目と虫の目さんが説明されている人々の生き様(=社会の在り様)が普遍的(超歴史的)なもので、経済学が対象とする近代社会(資本制経済社会)はその特殊な形態です。
似たり寄ったりの人々が、持てる認識能力と身体能力を相互活用しながら外的自然(物)に働きかけ、その成果を個々人及び“共同体”が享受することで個々人の生存や快楽が実現されるというのが人の世だと思っています。

>どう考えても、現代の社会的分業の壮大さと、生き物としての人間のちっぽけさとの
>対比は、無理がありすぎるように思います。
>社会問題を、それぞれの人間が、意志を働かせて、互いの意志を重ねて十全に舵取り
>をするためには、やはり動物としての群れ構造を大幅に逸脱しない程度を前提にしな
>くてはならないのではありませんか。


私も同じように考えています。
いわゆる共産主義国家も、共産党官僚が云々というより、この罠(無理)によってあのような国家社会に行き着かざるを得ない宿命にあったと思っています。(それに輪をかけたのが、封じ込め的国際関係のなかで戦時体制をとった(とらざるを得なかった)こと)

国民経済的社会的分業でも壮大なのに、グローバリズムという名の下、世界規模での社会的分業の濃密化が進められています。
いわゆる資本主義国家の人々は共産主義国家の抑圧性には納得しても自らの抑圧には少しばかり無頓着なようです。
社会的分業が壮大なものになれば、利潤獲得動機がもたらす弊害は別としても、それをなんとかして動かすために、制度及び支配−被支配の関係性が強大なものにならざるを得ないことにもっと留意すべきだと思っています。

利潤(貨幣的儲け)が経済活動の動因で、それが壮大な社会的分業世界で実現される条件になっていれば、少数の支配者(表に出るのはテクノクラートと企業経営者)が、ほとどんと言える大多数を機械や原材料と同じような物として管理していくかたちをとらざるを得ません。(倫理的善悪を捨象しても、論理的にそうならざるを得ないということです)

このようなことから、私自身は、「開かれた地域共同体」という在り方を一つの望ましい世界と考えています。
経済学的には効率(生産性)が下がるものであっても、心地よさが上がるのならそれでいいじゃないかというもので、地域共同体が消費するものはできるだけその地域共同体で生産するという考えです。
(人はお金にならないことにいそしんで大きな喜びや満足を得ることもできる生き物です)

物余りやデフレそして失業者の増加や余暇時間の増大という状況は、そのような社会の在り様を実現できる条件があることを示していると言えます。

しかし、「開かれた地域共同体」はすぐにめざすものではなく、そこに至る過渡期として、国民経済主義的国家社会が必要だとも考えています。
(参照書き込み:『グローバリズム(新自由主義)か、国民経済主義か』( http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/589.html ))


※ 「開かれた地域共同体」については、昨年末少し具体論に入ってやり取りしたものがありますのでそちらをご参照ください。なお、その前提的な考えについては、末尾の参照書き込みリストにある書き込みを参照入ていただければ幸いです。

『レス1:「利潤なき経済社会」と「開かれた地域共同体」』
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/757.html

『レス2:「開かれた地域共同体」についての粗雑なイメージ』
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/776.html

『「開かれた地域共同体」における欲望の社会的コントロール方法』
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/1069.html

『価値観問題や「開かれた共同体」の仕事や土地について』
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/1116.html

『「開かれた地域共同体」関連のレス    [まさちゃんへ]』
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/1194.html

『資本−国家−民族』
http://www.asyura.com/2002/dispute2/msg/956.html


>私有財産制度ということばで表現しようとすると、なんだか色が付きすぎていて、こ
>なれないですが、生物としての個人の意志の『巨大な拡声器』の仕組み、人間の生き
>のびようとする意欲と実践struggleがもたらす同盟関係と敵対関係を身の丈を超えて
>促進する本質的な原因である『ストック』の意味について、ぜひ教えて頂ければとお
>もいました。

「生き物としての身の丈をゆがめる夾雑物としての土地と貨幣という『ストック』」というご指摘に魅力を感じるとともに、『ストック』概念として土地と貨幣は峻別したほうがいいのじゃないかと思っています。

端的には、超歴史的には『ストック』でなくてもいい貨幣が『ストック』としてのさばっていることが、生き物としての身の丈をゆがめている一つの要因だと考えています。
社会的分業の“媒介物”でしかない貨幣が、『ストック』しかも代表的『ストック』として考えられていることが大きな問題です。
貨幣は、土地(埋蔵資源を含む)や生産設備といった『ストック』を購入できる手段であっても、『ストック』である必要はないという視点が重要だと思っています。
そして、貨幣の『ストック』化を支えているのが、利息取得制度や様々な金融商品(取引)です。
マイナス金利という“消費促進策”を持ち込まなくとも、金利(利息取得)をなくせば、消費レベルだけではなく社会構造全体を変えるインパクトになります。

『ストック』には、自然的ストックと活動成果的ストックがあると考えています。
土地(埋蔵資源を含む)が自然的ストックで、生産設備・道路・住宅など人々の活動力で作り出した持続的な有用性享受という性格を持つものが活動成果的ストックです。

近代社会の特質は、後者(活動成果的ストック)のなかでもとりわけ生産設備が持つ意味が飛躍的に高まったことにあります。

引用された内田義彦さんは“マルクス疎外論”ないし“マルクス物象化論”の立場から生産設備の問題を捉えているようです。
物になった活動力と生身の活動力が結合する仕組みを大きくすることで、生産力が高まってきました。過去の活動力の成果を使うことで現在の活動が楽になる仕組みが飛躍的に発展したと言うこともできます。
(それを支えたのは急増大する生産力の成果(財)を国際交易を通じて売りさばき貨幣利潤を獲得できる“制度”です。それがなければ、デフレや生産過剰になるそのような仕組みの発展はありませんでした)

人々の関係的活動成果である「過去の他人の蓄積された労働が、私有財産として他人に対立し、ふたたびなんらかの形で現在の、生きた他人の労働を吸収する制度」になるかどうかは、社会の在り様如何に関わることであり、超歴史的なものではありません。
(内田さんもそれをご理解の上に書かれたと承知しております)


膨大な活動成果的ストックがあるというか、それを造り出し使いこなすことができる歴史段階になったことが、「開かれた地域共同体」への移行を保証すると確信しています。

=========================================================================================
★ 「開かれた地域共同体」に関する参照書き込みリスト


(1)「利潤なき経済社会」に関する書き込みリスト


『【世界経済のゆくえ】「定常状態」あるいは「歴史段階的均衡」という経済状況』
『【「近代」から一歩先を見据えて】 「利潤なき経済社会」に生きる 〈その1〉』
『【「利潤なき経済社会」を生きる】 「利潤なき経済社会」とは − 「匿名希望」氏の問いに答えて −  〈その2〉』
『【「利潤なき経済社会」に生きる】 「利潤なき経済社会」の“経済論理”  〈その3〉』
『【「利潤なき経済社会」に生きる】 「利潤なき経済社会」における市場と競争 − 「近代的市場」とは何か − 〈その4〉』
『【「利潤なき経済社会」に生きる】 「利潤なき経済社会」における市場と競争 − 「近代的競争原理」とは何か − 〈その5〉』

http://www.asyura.com/2002/dispute2/msg/930.html
からレスのかたちでぶら下がっています。

[補足書き込み]

『「利潤なき経済社会」におけるストック・“報酬”・税』
http://www.asyura.com/2002/hasan13/msg/995.html

『「利潤なき経済社会」にイメージされているようなたいそうな社会ではありません』
http://www.asyura.com/2002/hasan13/msg/1003.html


(2)近代経済システムの論理について書いたもの

『【世界経済を認識する基礎】 “あっしら”的経済概念の説明:基礎 〈その1〉』から〈その7〉までの前半部分。
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/903.html

『【世界経済を認識する基礎】 “あっしら”的経済概念の説明:「近代経済システム」における金利と物価の変動 〈その8〉 前半部』から〈その14〉までの後半部分。
http://www.asyura.com/2002/dispute2/msg/108.html


(3)戦後世界経済について書いたもの


『【世界経済のゆくえ】世界経済にとって70年代はどういう時代だったのか』
『【世界経済のゆくえ】経済支配層は70年代に何を考えたのか』
『【世界経済のゆくえ】産業資本的利益育成から金融資本的利益収穫へ』
『【世界経済のゆくえ】80年代以降の金融資本的収穫を支える価値観と経済政策』
『【世界経済のゆくえ】日本経済が突きつけたマネタリズムへの“最後通牒”』

http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/787.html

からレスのかたちでぶら下がっています。

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