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4月、西友スーパーセンター「パイロット版」登場――沼津大岡、ワンフロア8000m2実験店舗の意味(2004年1月13日 月刊『販売革新』編集長・矢作 勉)
http://www.asyura2.com/0401/hasan33/msg/771.html
投稿者 hou 日時 2004 年 2 月 28 日 18:54:01:HWYlsG4gs5FRk
 

(回答先: ウォルマートの対日戦略の全貌と対応策    【みずほ総合研究所】 開催日: 平成16年4月14日(水) 参加費:一 般 31,500円 投稿者 hou 日時 2004 年 2 月 28 日 18:47:42)

http://www.shogyokai.co.jp/mess/mess040113.html

<その時点のニュースや出来事、発言に、商業界なりの視点でコメントするページ。新聞や週刊誌には載らないビジネス観・マーケット観をお届けします>

4月、西友スーパーセンター「パイロット版」登場
――沼津大岡、ワンフロア8000m2実験店舗の意味


 西友がウォルマート・スーパーセンターのパイロット版を、沼津大岡に出店する。4月、ワンフロア、売場面積8000m2、衣食住フルライン。私たち『販売革新』1月号の新春特別インタビューで、日本でのウォルマートチームのトップであるジェフ・マカリスター氏の口から明かされたものだ。
 日経新聞の報道では「スーパーセンター出店」と誤報されているが、真実はあくまで「パイロット版」である。西友としては、規模や立地などの面で「これが目指す完成形ではない」ため、「スーパーセンター」の看板は付けないという。


バックシステムとフロントシステム


 それも、そうだろう。日本では今、スーパーセンターばやりである。しかし、果たして日本でスーパーセンターが「業態」として確立されているかというと、「?」である。「これが?」と見える店舗でも各社が勝手にそう名乗っているケースが大半であり、従来の多層階GMS店舗を単にワンフロアにしただけの店舗である場合も少なくない。ウォルマートがアメリカで展開するプロトタイプ(原型)とは、似て非なるものばかりである。
 「業態」とは、単に店舗の形や器だけを指したものではない。
 「店」とは、商品を容れる器である。それは、商品流通の最終地点として、どういう形になるのがよいのか考えられねばならない。お客に対する最前線として商品構成(品種を揃え、どんな売価で、どれくらいの品質を維持するのか)を決定することで、「フォーマット」が決まる。「店=フォーマット」は、チェーンビジネスの、いわば「フロントシステム」なのである。
 だが、それだけではチェーンストアの「業態」は完結しない。お客を起点に設定した商品構成を維持するために、商品を安定的に、継続的に供給するシステムがなければ、フォーマットは機能しないからだ。店がフロントシステムだとすれば、この部分は「バックシステム」と呼ぶことができる。つまり小売業は、ロジスティクス戦略を中核とする「バックシステム」の変革があってはじめて収益構造がこれまでとまったく違う「業態」をつくりあげることができるのだ。製配販を貫く仕組みを変えることで収益構造が変化するのであって、バイヤーの値引交渉やリベートの割増が収益構造を変革させるのではない。
 つまり、「業態」が確立されるには、バックシステムとフロントシステムとが整合されていなければならない。お客に対する最前線としての店と、それを支え収益を生み出す商品供給システムとが整合されて、新たなビジネスモデルができるのだ。
 ウォルマートは、これまでディスカウントストアを主力フォーマットとしてきた。その収益モデルは荒利益率15%、販管費比率10%、営業利益率5%である。この収益構造は、単純に日本の企業とは比べられない。彼らの販管費比率には物流費も含まれているのからだ。
 この間、日本で開発されているスーパーセンターは、その収益モデルとして荒利益率18%、販管費比率15%、営業利益3%などと、ウォルマートモデルに近いようなもっともらしいモデルを喧伝している。しかし、この数字には物流にかかるコストがまったく含まれていない。つまり、バックシステムの本当の姿が見えない構造になっているのである。
 現在、西友は、バックシステムの改革に着手している。小売業とメーカーをつなぐ「リテールリンク」は、12月3日からサプライヤー約100社を対象に「研修会」が行われ、徐々に実行段階に入りつつある。店舗段階ではスマートシステムが9店舗で導入され、売場管理と棚割変更に効果を発揮しつつある。情報システムの改革に伴い、その効果を最大化させるために働き方の「業務改革」も並行的に推進されている。詳しくは、販売革新1月号をお読みいただきたいのだが、こうしたバックシステムの改革と成果が伴わない限り、西友が新業態としてスーパーセンターの看板を掲げることはないはずだ。
 西友は、なぜバックシステムの改革に取り組んでいるのか。前述のようにフロントシステムとの整合性をつけ、収益力を高めるためなのだが、それだけではなく、もっと大きな目的がそこにはある。それはウォルマートのビジネスモデルの中核をなす「EDLP(毎日が低価格)」を実現するためなのだ。DELPとは何かということについては、文字数の都合で割愛するが、このEDLP戦略はスーパーセンターという新業態の本質である。


いまだ、日本版スーパーセンターに「新業態」はない


 いくらEDLP戦略がお客から支持されているとはいえ、ただ単にディスカウントストアに生鮮食品売場を併設すれば、経営効率が下落して利益を落していくのは火を見るよりも明らかだ。生鮮食品を扱うことで混乱する収益モデルは物流システムと情報システムを礎にすることでカバーして、純粋なルーラル(田舎)立地に出店することで、その地域の普段の生活を支える買物については独占状態をつくる……。このスーパーセンターモデルで利益を上げるまでには、ウォルマートをして10年という月日が必要だったのである。
 絶妙なグランドデザインだと言うほかない。これこそが業態開発なのだ。
 私たち販売革新では最新2月号で「新潟スーパーセンター大競合」を特集する予定である。調査を行った新潟市郊外の豊栄市、新発田市は、日本でのスーパーセンター開発の先駆者であるプラント(本部・福井県)とベイシア(同群馬県)をはじめ、アークランドサカモト、ひらせいホームセンターなど自称スーパーセンターを展開する企業が激烈な競争に、しのぎを削っている地域だ。日本のスーパーセンターの内情、スーパーセンターVS既存業態、原信、ウオロクといった地元のスーパーマーケット企業が、どういった迎撃戦を演じているのか、誌面では明らかにしたい。
 この間、私はさまざまなトップにインタビューをしているが、復活を果した企業、好調な企業のトップには、共通の施策がある。その一つに「新商品(新業態)開発への取り組み」を挙げることができる。新しい業態にチャレンジすることで、人心をそれに集中させ、組織を活性化させる。新商品開発にチャレンジすることなく、今までと同じことをしていて業績が伸びることはない。それは分かっているのだが、しかし、残念ながら日本のスーパーセンターに「新業態」と言えるものは、まだない。
 本家のウォルマートですら、日本ではまだ「パイロット版」である意味は、決して小さくないのだ。



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