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【監視と密告のアメリカ…より】デジタルの密告【エシュロン関連の記事等も】
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投稿者 エンセン 日時 2004 年 4 月 03 日 23:49:33:ieVyGVASbNhvI
 

(回答先: 【監視と密告のアメリカ…より】9・11を機に始まった監視密告体制の総仕上げ 投稿者 エンセン 日時 2004 年 4 月 03 日 23:46:11)

 
【監視と密告のアメリカ…より】デジタルの密告【エシュロン関連の記事等も】

第4章

デジタルの密告


1998年、《エネミー・オブ・アメリカ》というアクション・スリラー映画が公開された。この映画には、1人の弁護士をNSA(国家安全保障局)の悪徳行政官レイノルズが逐一追跡するさまが描かれている。

ウィル・スミスが演じるこの弁護士は、商店の監視カメラや地球を周回する衛星によって徹底的に監視される。電話を探知され、銀行やクレジットカードの記録もつぶさに調べ上げられる。着ている服にも小型発信機が仕掛けられていることがわかってスミスは下着姿になるが、それでも追跡を逃れることができない。果ては妻にも逃げられ、破滅寸前になったところで、ハリウッドお得意のどんでん返しによって見事ハッピーエンドを迎える。

この映画は、ストーリーは今ひとつではあるが、そこに登場する技術は実在のものである。また、政府がそれらをアメリカ市民に対して用いているというのも事実である。実際には《エネミー・オブ・アメリカ》に登場する監視システムは、公開当時にはすでに旧式のものになっていた。最新の技術は、オルダス・ハクスレーやジョージ・オーウェルなどの作家が予言したものをはるかに超えている。これらのシステムのいくつかはあまりにも進んでいるため、現行の盗聴やプライバシーに関する法律では対応しきれていない。しかも、日々新たな技術が生み出され、実用化が進められているのである。

このような監視技術は、密告とは少々違う。機械は(少なくとも従来の意味の)情報提供者とは性質を異にしている。しかしながら、得られた情報は同じように利用されることになる。コンピュータをプログラムして特定の個人を監視させることもできれば、数百万人を同時に監視させることもできる。会話のやり取りを捜査当局に通知させることも可能だ。そしてそれらの情報によって捜査が開始され、犯罪を立件・立証するためにそれらの情報が利用されることになる。

《エネミー・オブ・アメリカ》に出てくる衛星利用監視システムは、「エシュロン」がモデルになっている。エシュロン、これはNSAが開発した実在の情報収集マシンである。東西冷戦下で少しずつ構築されていったこのシステムは、膨大なデータの収集・分析能力を備えており、世界中のほぼすべての通信を傍受することが可能である。CBSのニュースショー《60ミニッツ》は1999年2月27日の放送でこのシステムについて、次のように説明している。

「今日、電話をかけたり、友達にメールを送った人は、話したことや書いたことをこの国最大の情報機関に傍受されている可能性が高い」

エシュロンは連邦政府だけの所有物ではない。設計や構築を行なったのは合衆国であるが、実際には5つの情報機関の協力によって生まれたものである。その5つの機関とは、米国のNSA、オーストラリアのDSD(通信防衛理事会)、イギリスのGCH(政府通信本部)、カナダのCSE(通信安全機構)、ニュージーランドのGCSB(政府通信安全局)である。

ニック・ヘイガーの著書《隠れた権力──国際諜報ネットワークにおけるニュージーランドの役割》にも記されている通り、これらの機関は極秘のUKUSA情報協定に基づいて結びついている。

ヘイガーらの調査によると、エシュロンは特定の個人の電子メールやファクスなどを盗み見ることだけを目的としたものではなく、高性能のコンピュータを用いて大量の通信を無差別に傍受し、玉石混淆の情報の中から自分たちの利益になる情報だけを選別収集するためのものだという。衛星120基と、世界に散らばる極秘の傍受施設で構成されるエシュロンは、無数のメッセージを自動的に検索して特定のキーワードや語句を見つけ出す。傍受されたメッセージがシステムのコンピュータに集められ、その一字一句がリアルタイム≠ナ調べられているという。

NSAが米国市民に対して諜報行為を行なうことは法律で認められてはいないが、エシュロンは5つの国がお互いを探っているという形をとることで規制の網をかいくぐっている。UKUSA協定に基づいて英国が米国市民を探り、米国が英国市民を探って、お互いが情報を交換し合っているのである。この協定では各国の管轄圏≠ェ決められ、たとえば英国が以前領有していた香港の、米国が欧州の大部分の情報収集を行なう取り決めになっている。

NSAは監視業務の一環としてヨーロッパのビジネスに対する諜報活動を行なっており、入手した情報を米国の競合企業に流している。英国のジャーナリスト、ダンカン・キャンベルが1999年2月23日のEU市民権委員会において提出した《2000年の傍受能力》と題する報告書でその事実を告発したことにより、国際的な論議が巻き起こった。3月17日、《ウォールストリートジャーナル》は社説の隣のページに元CIA長官ジェームズ・ウルジーの寄稿を載せたが、ウルジーはこのような諜報活動の事実を認めながらも、標的となっているのは不正行為や倫理に反する活動をしている企業に限られていると弁明している。
「確かに欧州のみなさんに対する諜報活動は行なっています、しかし、それは贈収賄行為を取り締まるためです」と、ウルジーはキャンベルが例に挙げた2つのフランス企業──トムソンCSFとアエバス・インダストリー社に対する諜報行為は正当であると主張している。しかし、この2社はそのような嫌疑は事実無根だとする発表を行ない、EU加盟15ヶ国で構成される欧州議会は、翌月よりエシュロンに対する本格的な調査を行なうとの決議を採択した。そうした流れのなかで、エシュロン問題に関する一連の報道がなされたが、それらの報道はヘイガーの報告の正しさをおおむね裏付けるものとなっている。

エシュロンをめぐる論議が高まったことで、連邦政府はエシュロンが実在することを認めざるを得なくなった。NSAは5年にわたってそのようなものは存在しないと言い続けてきたが、1999年4月の連邦議会委員会にNSA長官マイケル・V・へイデンが出席し、実在を認める趣旨の発言を行なったのである。

へイデンは同局が米国企業へ情報を提供しているという疑惑は否定したものの、NSAが市民を監視しているという長年の疑惑についてはしぶしぶ認めた。

欧州議会の調査をきっかけになされたエシュロンに関する一連の記事や報道のなかで、特に注目されるのは、米国防総省(ペンタゴン)がこれに深く関わっているという指摘である。米軍は専用の航空部隊で集めた電子情報をエシュロンに送っていると言われ、海軍のP3Cオライオン対潜哨戒機の一個中隊がまるまる無線通信の傍受に振り向けられて、直接NSAにデータを送信しているという。これらの情報はNSA本部(メリーランド州フォート・ミード)にある世界最先端のコンピュータで分析されている。このシステムの能力は極めて高く、国際電話をかけた個人を声紋分析で特定することもできるという。

エシュロン騒動で批判の矢面に立たされたNSAに、諜報活動を縮小する動きは見られない。むしろ目立つのはその逆の動きである。

(略)

エシュロンにはすでに驚異的な能力が備わっているにもかかわらず、連邦政府は他にも通信を監視する手段を模索している。クリントン政権が1990年代、当局が一般市民の盗聴をしやすくすることを最優先課題に掲げていたことが何よりの証左だ。政府は犯罪者とテロリストが情報スーパーハイウェイを悪用しているとして、すべての電話、パソコン、ファクスを盗聴できる態勢が必要だと主張している。

(略)

ビル・クリントン大統領は就任からほどなくして、政府が新たな通信技術の監視をしやすくするための処置を講じ始めた。1993年の初め、同大統領は関係省庁作業部会を発足させてこの問題の対策にあたらせている。アル・ゴア副大統領、ジャネット・リノ司法長官、ウェブスター・ハベル司法次官補、ビンス・フォスター大統領顧問などで構成されるこの作業部会は、クリントン大統領への報告でこの問題について次のように指摘している。
「一口に言ってしまえば、多様な技術と、競合する多数のサービスプロバイダに支えられた高度な遠距離通信環境のなかで、政府がいかに電子的監視を実現する技術力を維持できるか否か──それが長期的問題を解決できるかどうかのポイントである。(中略)今後の遠距離通信へのアクセスの問題を解決していくには、サービス提供者やメーカー側に対して政府が定めた基準を満たす基本システムを設計するよう求めていく必要がある」

1993年4月、ホワイトハウスは、NSAが「クリッパー・チップ」と呼ばれるマイクロチップを開発したと発表した。このチップは新たに製造されるすべての電話機、ファクス、パソコンに内蔵して通信を盗聴できるようにするためのものである。新装置はパソコン間での通信内容を他者に知られないように暗号化する行為に対抗するためになくてはならないものだというのが、クリントン政権の主張だった。

米国市民連合はこの装置について「クリッパー・チップは暗号化技術を使用しているユーザー(事実上、デジタル電話やファクス、インターネットを利用するすべての個人や事業者が該当する)に対して、政府に複合キーを渡すことを求めており、これにより政府は保存されたデータとリアルタイムの通信の両方にアクセスできるようになる」と説明している。

クリントン政権は結局、クリッパー・チップをあきらめたが、当局が新技術を容易に監視できるようにするための対策そのものを放棄したわけではなかった。1994ねんには「法執行のための通信支援法」を可決、翌年10月にはFBIがこの新法を盾に、国内の大都市において100件あたり1件の通信(これまでの1000倍)を同時に傍受できるようにするシステムを電話会社に要求した。

電話業界はこの新たな基準に対して4年以上にわたり抵抗を試みたが、連邦通信委員会(FCC)は1999年8月にFBIの主張を認め、新たに製造されるすべての携帯電話に、当局へ位置情報を通知する装置を内蔵することを電話会社に義務付けた。この装置の作動を停止させることは不可能であり、携帯電話の所有者は分単位で当局に位置を把握されることになる。FCC委員長ウィリアム・ケナードは「この新しい規制により、捜査当局は犯罪に対抗する最新の技術を手に入れた」としている。

FCCのこの決定に、《USAトゥディ》は9月2日の社説で次のような懸念を表明している。
「心配しなければならないのは、犯罪者やテロリストを逃してしまうことではなく、政府の監視へのあくなき追及のために、市民の自由がないがしろにされることである」

実際、そのような追求はとどまるところを知らないようである。1999年の初めより、FBIは全国のインターネットサービスプロバイダに対して、サーバに特殊な装置を取り付けることを求め始めた。その装置とは、既成のパソコンにウィンドウズ2000ベースで動く「カーニボア(Carnivore)」というプログラムを組み込んだものである。バージニア州クオンティコのFBI本部に所属する特別研究所が開発したこの装置は、プロバイダのサーバに取り付けた後は施錠されたケージに収納され、FBIが毎日チェックすることになるという。

プロバイダの一部はFBIがこのような装置を取り付けることには同意しなかったものの、後日FBIが裁判所命令を携えてやってくることもあったという。これは従来の盗聴と同じ手法であるが、カーニボア自体は従来の盗聴技術とは似ても似つかぬしろものである。特定の犯罪容疑者の通信を記録するのではなく、サーバを通るすべての電子通信──電子メール、ウェブサイトへのアクセス、チャットルームでの会話をはじめとするあらゆるデータを自動的にダウンロードして記録する。その後、犯罪容疑者が送受信したものだけを分離して利用するというのがFBIの説明であるが、これを確認する手段はない。カーニボアはプロバイダの通信システムとは独立して動作するため、個別に検証することは不可能である。

6月下旬、FBIはインターネット専門家を一室に集めてカーニボアのシステムを説明し、彼らの度肝を抜いた。

このときの模様を伝え聞いた《ウォールストリートジャーナル》が7月11日付けの記事で報じたところ大変な論議を呼び、ジャネット・リノ司法長官が、そのような装置が実際に使われていたとは知らなかったとの談話を発表するに至った。プライバシー保護活動家は直ちにこのシステムへの非難を表明、送受信者のアドレスと件名を盗み見て必要に応じて通信のコピーをとる行為はすべてのプロバイダの顧客の権利を侵害するものだと訴えた。

(略)

《ウォールストリートジャーナル》の記事がきっかけとなって一連の報道がなされたものの、実際にFBIがカーニボアを通じてどれだけの情報を集めたか、またそれらの情報がどうなったかを知るすべはない。

FBIの発表によると、麻薬流通、テロリズム対策、社会基盤保護=iハッカー対策)の捜査目的で25回にわたってカーニボアを利用したという。しかし、いずれも起訴には至っておらず、FBIがこれらの捜査で集めた情報は公表されていない。

(略)……政府はすでに次世代の監視システムの構築に着手している。そしてこちらのプライバシー侵害度は、現在のものよりはるかに大きい。

テロリストとの戦いという名目のもと、NSAはFBIに全国のほぼすべてのコンピュータシステムを監視させる計画を練っている。この計画で監視の対象になるシステムには、政府の非軍事部門のコンピュータのほか、銀行、遠距離通信、運輸分野のコンピュータなどが含まれる。

市民団体によって《ニューヨークタイムス》に送り届けられた計画案によると、高度なソフトウェアシステムを用いてすべてのコンピュータネットワーク上の活動を追跡するという構想のようである。この計画案では、連邦進入検知ネットワーク(FidNet)なるものの構築が提案されており、侵入行為や違法行為を見つけ出すために数千のソフトウェアのネットワークを用いてコンピュータの活動を常時監視することを目指している。予定通り2003年までにこのシステムの運用が開始されれば、ログイン情報や電子メールを含め、コンピュータ間のすべての通信にFBIがアクセス可能になる。

こうなると、一体どこまで監視がエスカレートしていくのかという危惧が湧いてくるが、すでに監視はかなり浸透していると見たほうがいい。実際カーニボアにしても《ウォールストリートジャーナル》が報道する1年以上前から稼動していたのである。

わたしたちはもはや機械さえ信用できないのだ。

なぜ、こんな事態になってしまったのであろうか。


上記に登場したヘイガーの「SECRET POWER」の文章を以下に……転載。

────────────────

全世界的監視システムを暴露する

1980年代末に、遺憾な決定だが、合衆国はニュージーランドに新しい、そして極めて秘密の全世界的諜報システムに加わるよう促した。それについてのヘイガーの調査とエシュロン辞書の発見は、世界最大の、最極秘の諜報プロジェクトを暴くこととなった。このシステムでは、スパイ機関が世界のほとんどの電話・電子メール・TELEX通信のほとんどを監視することができる。

by Nicky Hager
ニッキー・ヘイガー

その著書 SECRET POWERより。


ニュージーランド最大の諜報機関、政府通信安全保障局(GCSB)、すなわちニュージーランドにおける合衆国・国家安全保障局(NSA)と同等の機関は、40年間にわたって、太平洋地域全体の国々へのスパイ活動で西側同盟を助けてきた。それはニュージーランドの大衆にも、最高位の議員たちにも知らされることがなかった。NSAは知らなかったことだが、1980年代末まで、さまざまな諜報職員がこれらの活動はあまりにも長きに渡って秘密でありすぎたと考え、私にインタビューや文書でニュージーランドの諜報活動について語ってくれたのである。最終的に、この機関および関連分野で働いている、あるいは働いていた人50人以上の人々が、インタビューに応じてくれた。
彼らが述べた活動によって、南太平洋から、ほかのところでは秘密のまま保たれてきたいくつかの同盟規模のシステムとプロジェクトの文書化が可能になった。これらの中でとりわけ重要なのは、エシュロンだ。

NSAによって設計・調整されるエシュロン・システムは、世界の遠距離通信ネットワークを通じて運ばれる日常の電子メール、ファクス、テレックス、電話会話を傍受するために使われている。冷戦中に開発された多くの電子スパイシステムと違って、エシュロンは主に非軍事的標的、すなわちほとんどあらゆる国の政府、組織、ビジネス、個人を対象として設計されている。それは潜在的に、世界中どこであろうとも国と国との間で(ときには国内で)通信しているすべての人に影響を与える。

もちろん、諜報組織が電子メールその他の公共遠距離通信ネットワークを使用しているというのは、新しい考えではない。ニュージーランド諜報職員によってリークされた資料の中で新しかったのは、スパイが行われている場所についての正確な情報、システムの作動方法、その能力と欠点、コードネームといった多くの詳細であった。

エシュロン・システムは、特定の個人の電子メールやファクスリンクを盗聴するよう意図されたものではない。そうではなく、システムは無差別に膨大な量の通信を傍受し、別にいらない膨大なものから興味あるメッセージを識別し、抽出するためにコンピュータを使うことによって動作する。一連の秘密通信傍受施設は、国際的な遠距離通信ネットワークのすべての主要な構成要素にアクセスするために世界中に開設された。通信衛星を監視するものもあれば、地上の通信ネットワークを監視するものもあり、また無線通信を監視するものもある。エシュロンはこれらすべての施設を結びつけて、地球上の通信のほとんどを傍受する能力を合衆国とその同盟国に与えている。

エシュロン・ネットワークのそれぞれのステーションにあるコンピューターは、何百万というメッセージから前もって設定されたキーワードを含むものを自動的に検索する。キーワードには、名前、場所、主題、言及されるかもしれないことなどが含まれる。各ステーションで傍受されたそれぞれのメッセージのそれぞれの単語は、その電話番号や電子メールアドレスがリストにあるか否かにかかわらず、自動的に検索される。

ステーションに流れ込んでくるごとに、毎時間、毎日、何千というメッセージが同時に「リアルタイム」で読まれる。そしてコンピューターは諜報の針を遠距離通信の大きな山から見つけだしてしまうのである。


誰かが聞いている

地球全体のステーションのコンピューターは、ネットワーク内では、エシュロン辞書として知られている。自動的にトラフィックからキーワードを検索できるコンピューターは、少なくとも1970年代から存在したが、エシュロン・システムは、これらすべてのコンピュータを相互に結び付け、ステーションが統合された全体の構成要素として機能することができるようにNSAによって設計された。NSAとGCSBは、5カ国によるUKUSA信号諜報協定のもとで結びついている。残り3カ国の仲間は、どれも同じくわかりにくい名前だが、英国の政府通信本部(GCHQ)、カナダの通信安全保障事業(CSE)、オーストラリアの国防信号理事会(DSD)である。

第2次大戦中の無線電信送信を傍受する点で協力し始めた同盟は、1948年にUKUSA協定で正式のものとなり、主にソ連邦に対して向けられていた。5つのUKUSA機関は、今日、各国で最大の諜報組織だ。世界のビジネスの多くがファクス、電子メールと電話によって起こっているため、これらの通信をスパイすることは諜報資源の大部分を手にするということである。エシュロン・システムの導入以前に何十年も、UKUSA同盟はお互いに諜報収集作戦を行ったが、それぞれの機関は通常、しかしそれぞれの政府機関が通常それ自身のステーションから妨害を処理して、そして分析した。

エシュロンの下で、それぞれのステーションの辞書コンピュータは、ただその上位政府機関が選んだキーワードだけではなく、他の政府機関のために入力されたリストも持っている。Waihopai(南島)にあるニュージーランドの人工衛星通信傍受ステーションでは、例えば、コンピュータは自国の検査クリストに加えて、NSA、GCHQ、DSD、CSEのためのリストを持っている。辞書が諸機関のキーワードの1つを含んでいるメッセージに遭遇したならば、自動的に選んで、直接関係している政府機関の本部に送る。ニュージーランドのだれも、ニュージーランドのステーションが海外機関のために集めた諜報を映し出したり、見たりすることはない。こうして、UKUSA連盟の下位のステーションは、米国にあるNSA運営基地にあるのと何の違いもなくNSAのために機能する。

エシュロン・ネットワークの第一の構成要素は、ほとんどの国の電話会社によって使われている国際遠距離通信衛星(インテルサット)を特に標的としたステーションである。インテルサットのリングは世界中で赤道上空の静止軌道にあり、それぞれ何万という電話、ファクス、電子メールを同時に扱う中継ステーションとして稼動している。5つのUKUSAステーションがインテルサットによって送信される通 信を傍受するために設立された。

英国のGCHQステーションは、コーンウォール州Morwenstow海に面した高いがけの上にある。不規則に広がったオペレーション・ビルの隣にあるサテライト・ディッシュは、大西洋、ヨーロッパ、そしてほとんど地平線上になるインド洋上空のインテルサットに向けられている。ワシントン特別区の250キロ南東、ウェストヴァージニア州の山中のSugar GroveにあるNSAステーションは、南北アメリカに向けて送信してくる大西洋のインテルサットをカバーしている。もう1つのNSAステーションは、ワシントン州、シアトルの南西200キロのところにある陸軍ヤキマ(Yakima)銃撃センター内にある。そのサテライト・ディッシュは、太平洋と東方のインテルサットに向けられている。

ヤキマで傍受できない太平洋のインテルサット通信を傍受する任務は、ニュージーランドとオーストラリアに与えられている。この南太平洋の場所では、全世界的通信傍受を保証する手助けをしている。ニュージーランドはWaihopaiにステーションを置いており、オーストラリアは西オーストラリアにGeraldtonステーションを置いている(どちらも太平洋とインド洋のインテルサットを標的にしている)。

5つのステーションの辞書コンピュータはそれぞれ、ネットワークで他の辞書と区別するためのコードネームを持っている。たとえば、サドル山とラトルスネイク(ガラガラヘビ)丘の間の砂漠地帯にあるヤキマ・ステーションは、“カウボーイ(COWBOY)辞書”を持っている。一方、Waihopaiステーションは火打石銃(FLINTLOCK)辞書を持っている。これらのコードネームは、エシュロン・ネットワークに送信される前に、傍受されたメッセージすべての最初に記録され、分析者はどこのステーションで傍受されたものかがわかるようになっている。

1981年、NSAはGCSBに日本大使館通信を標的とするプロジェクトに貢献するよう強要し、それ以来、ニュージーランド諜報職員は密接にNSAのヤキマ・ステーションに関与してきた。そのときから、5つのUKUSA政府機関はすべて、一般的UKUSA監視のために割り当てられた地球の部分と同じ地域内での、すべての日本の部局からの外交ケーブルを監視する任務を有してきた。Waihopaiステーションが1989年に開設されてニュージーランドがエシュロンに統合されるまで、日本の通信の割り当ては、ヤキマで傍受されて、未処理のままウェリントンにあるGCSB本部に送られ、そこで暗号解読、翻訳、UKUSA形式諜報報告書に記入された(NSAが暗号解読プログラムを提供した)。


各ステーションで傍受された
それぞれのメッセージの
それぞれの単語は、
その電話番号や電子メールアドレスが
リストにあるか否かにかかわらず、
自動的に検索される。


人工衛星経由「通信」

エシュロン・システムの次の構成要素は、インテルサット以外によって伝えられる広範囲の人工衛星を傍受する。インテルサット衛星を標的としているUKUSAステーションに加えて、ロシアその他の地域の通信衛星に焦点を合わせている5つ以上のステーションがある。これらのステーションは、イングランド北部のMenwith Hill、オーストラリア北部のShoal Bay(インドネシアの人工衛星を標的としている)、カナダのオタワ市のすぐ南にあるLeitrim(ラテンアメリカの人工衛星を傍受している模様)、ドイツのBad Aibling、そして日本北部の三沢である。

直接、地上の遠距離通信システムにアクセスする施設のグループは、エシュロン・システムの最後の要素だ。人工衛星とラジオのほかに、大量の民間、ビジネス、政府通信を伝達する主な方法として、海底の水中ケーブルと地上のマイクロ波ネットワークの組み合わせだ。重いケーブルは、国と国の間に海底を横切って置かれ、世界の国際通信の多くを伝えている。それらが海から出て来て、地上のマイクロ波ネットワークに入ったならば、通信傍受に非常に攻撃されやすい。マイクロ波ネットワークは田舎を横切って(常に視界に入る範囲で)丘の上から丘の上までメッセージを中継するマイクロ波タワーの鎖で構成されている。これらのネットワークは、国内を横切って大量の通信を入れ換えている。それらを通信傍受するには、国際海底通信(一度それは地上に上がる)に対して、また大陸を横切っている国際通信中継線へのアクセスを行う。それは、大規模な国内通信傍受にとっても同様に明白な標的だ。

無線電信と人工衛星通信を傍受するよう要求される施設は、それほど長い間隠しておくのは難しいような巨大なアンテナと放物面反射器を使うため、そのネットワークはそれ相応にきちんと文書化されている。しかし、地上通信ネットワークを傍受することを要求されるものはすべて、マイクロ波ルートに沿った建物、あるいは合法的なネットワークからいずれかの無名の建物へと地下を通って隠されたケーブルであり、おそらくは除去しがたい。技術的には非常に難しく聞こえるが、合衆国スパイ衛星による宇宙からのマイクロ波通信傍受も同様に起こっている。これらの通信傍受施設の世界的ネットワークはほとんど文書化されておらず、ニュージーランドのGCSBはこのタイプの通信傍受に参加していないため、私の内側情報源はたいして役に立たなかった。


5つのUKUSA政府機関はすべて、
日本のすべての部局からの
外交ケーブルを
盗聴する任務を有していた。


誰もマイクロ波から安全ではない

カナダのUKUSA機関についてのSpyworld誌の1994年の暴露は、元職員マイク・フロストとの共著であるが、どれほど多くの海外マイクロ波通信傍受が行われているかについての最初の見通しであった(18ページ参照)。それは、UKUSA「大使館収集」オペレーションについて記述している。そこでは、精巧な受話器と処理装置が、外交官の鞄でひそかにその国の在外大使館に運ばれ、外国の首都で種々の通信を盗聴するために使われる。

たいていの国のマイクロ波ネットワークは首都に集中しているので、大使館の建物は理想的なサイトでありえる。外交特権で守られて、彼らは標的国の中心で通信傍受を行う。カナダの大使館収集は、NSAによって、アメリカと英国の大使館収集オペレーションにおけるすき間を満たすために求められた。それはフロストが1990年にCSEを去ったときには、世界中の多くの首都でまだ起こっていた。オーストラリアの別の情報提供者は、DSDが同じく大使館収集に従事していることを明らかにした。UKUSA諸国の領域において、地上遠距離通信の傍受は、特別な秘密の諜報施設においてなされているように思われる。合衆国、英国、カナダは、その領土を通っている大量の世界の通信を傍受するため、地理的にいい位置にある。

辞書システムに公に言及しているのは、世界でもただ一つ、中央ロンドンでGCHQによって運営されているこれらの施設の一つとの関連においてである。1991年、元英国GCHQ高官が、政府機関の職権乱用についてグラナダテレビの"World in Action"に匿名で語った。彼は、パーマー通り8丁目の無名の赤レンガの建物についてその番組で語った。そこでは、GCHQが、ロンドン宛て・ロンドン発・ロンドン経由のすべてのテレックスを秘密裏に傍受し、それを「辞書(Dictionary)」と呼ばれるプログラムを持つ強力なコンピューターに入力している。オペレーションは、彼の説明によれば、慎重に調査されたブリティッシュ・テレコム社員が配置されているという。「それは国家機密に関してするべきことではない。彼らがすべてのテレックスをトルコとは合法ではないからだ。彼らは何もかも取っていく。大使館、すべてのビジネス取引、誕生日のお祝いまでもだ。彼らは何もかも取っていく。彼らはそれを辞書に入力する」ドキュメンタリーでは明らかにされなかったことがある。それは、“辞書”が英国のシステムではないということだ。それはUKUSA規模のものである。

同様に、英国の研究者ダンカン・キャンベル(Duncan Campbell)は、どのように英国内にある合衆国Menwith Hillステーションが、直接、ブリティッシュ・テレコム社のマイクロ波ネットワークにアクセスするかを記述した。それは実際に、ステーション内に地下で接続された離れたタワーに、いくつかの主要なマイクロ波リンクが集中するように設計されたものである。

NSA Menwith Hillステーションは、22の人工衛星端末と4.9エーカー(約2万平米、約6000坪)以上の建物があり、疑いなくUKUSAネットワークで最大かつ最強のものだ。イギリス北部にあり、ペルシア湾から数千キロの距離にあるここは、1991年、湾岸戦争で果 たした役割によってNSAの「ステーション・オブ・ザ・イヤー」賞を獲得した。Menwith Hillはまた、合衆国電子スパイ衛星のための地上局の役目を果たすことによっても、マイクロ波通 信傍受を支援する。これらはマイクロ波中継線と、軍事的無線電信やトランシーバーのような短距離通信を傍受する。人工衛星の情報が全世界的なネットワークに供給される別の地上局は、中央オーストラリアのアリススプリングス町の近くでCIAによって運営されているPine Gapと、ドイツのBad Aiblingステーションである。その中では、エシュロン・ネットワークを構成しているさまざまなステーションとオペレーションが、世界の遠距離通信ネットワークのすべての主要構成要素を盗聴している。それらはすべて、長距離無線電信通信を傍受するステーションの別のネットワークも含めて、エシュロンに接続された各自の辞書コンピュータを持っている。

1990年代前半、 Menwith Hillステーションへの反対者が、施設から内部書類を大量に入手した。その書類の中には、「プラットホーム」と呼ばれるNSAコンピューター・システムについての言及があった。すべてのUKUSAステーション・コンピューターのエシュロンへの統合は、恐らく1980年代初期に、このシステムの導入で起こった。ジェームズ・バンフォード(James Bamford)は、そのとき、プラットホームとコードネームを付けられた新しい世界的NSAコンピュータ・ネットワークについて、こう書いている。「それは、世界全体で使われる52の独立したコンピューター・システムを結び付けるだろう。大規模なネットワークに対する焦点のポイント、あるいは“ホスト環境”は、フォート・ミードにあるNSA本部であろう。それらの中で、プラットホームに含められるのは、英国のシギント組織 GCHQであろう」


英国のGCHQは、
クリスチャン・エイドや
アムネスティ・インターナショナルなど、
少なくとも3つの慈善団体の
通信を傍受している。


辞書で見る

辞書コンピューターは、5つの機関本部でコンピューター・データベースにリンクされている高度暗号化されたUKUSA通信経由で接続されている。辞書によって選択されたすべての傍受するメッセージがどこに行き着くかといえば、ここである。毎朝、ワシントン、オタワ、チェルトナム、キャンベラ、ウェリントンにおいて特別に「教化された」信号諜報分析者は、それらのコンピューター・ターミナルでログオンし、辞書システムに入る。自分のセキュリティ・パスワードを入力してから、それぞれ4桁のコードを持つデータベースにおいて利用可能な傍受の別々のカテゴリーをリストアップするディレクトリに着く。例えば、1911は、ラテンアメリカからの日本の外交ケーブルであるとする(それはカナダのCSEによって処理された)。3848はナイジェリア発着の政治的通信。8182は暗号技術の配布に関するすべてのメッセージ、といった具合である。

彼らは主題カテゴリーを選択し、その主題についてエシュロン・ネットでどれくらいのメッセージがつかまえられたかを示す「検索結果」を得て、それからその日の仕事が始まる。分析者は、傍受したファクス、電子メールメッセージなどの画面を次から次へとスクロールしていき、メッセージが報告する価値を持っているように思えたならば、それを作業するために残りのものから選び出す。もしそれが英語でなければ、翻訳されて、UKUSA内のどこででも作られる諜報レポートの標準形式に書き込まれる。それは、全体ならば「報告」、要約ならば「要点」ということになる。情報統制高度に組織化されたシステムは、それぞれのステーションで何が検索され、だれがそれにアクセスできるかを統制するよう開発された。これは、エシュロン・オペレーションの中心にあって、以下のように働く。

個々のステーションの辞書コンピュータは、単に、検索すべきキーワードの長いリストを持っているわけではない。また、参加している機関が手を伸ばせば届くことのできるような巨大なデータベースの中にすべての情報を送るわけでもない。それはもっと制御されている。

検索リストは、4ケタで示された同じカテゴリーの中に組織化されている。それぞれの政府機関は、ネットワークのために諜報を作り出すための責務に従って、自分のカテゴリーを決定する。GCSBにとって、これは南太平洋政府、日本の外交、ロシアの南極活動などを意味する。

それから政府機関は、それぞれのカテゴリーでの選択のために、およそ10から50のキーワードを決める。キーワードは人・船・組織の名前、国名、主題名などである。それはまた、標的となるあらゆる個人、ビジネス、組織、政府事務所の既知のテレックスやファクス番号やインターネット・アドレスを含む。これらは一般にメッセージテキストの一部として書かれているため、辞書コンピュータによって容易に識別される。

政府機関は、関心ある通信をふるいにかける補助として、キーワードの組合わせも指定する。例えば、単語「サンティアゴ」と「支援」の両方を含んでいる外交ケーブル、あるいは、「サンティアゴ」を含んでいるが「領事」は含まないケーブル(領事の定常通信を避けるため)を検索するかもしれない。辞書コンピュータに置かれるのは、これらの特定のカテゴリー下における、単語、数(と組み合わせ)のセットだ(5つの政府機関の辞書マネージャーと呼ばれる職員が入って、それぞれの政府機関のためのキーワード検索リストを更新する)。

システム全体は、NSAによって考案され、他の政府機関によって完全採用された。辞書コンピューターは、入ってくるメッセージをすべて検索し、政府機関のキーワードのいずれかを含むものを見つければいつでも、それを選択する。同時に、コンピューターは、それが送られるどの政府機関においても、読む分析者にそれがどこから来たか、何であるかをわかるように、自動的に、傍受の時間と場所といった技術的詳細を傍受内容に自動的に注釈する。最終的に、コンピュータはメッセージ・テキストの一番下に4桁のコード(そのメッセージのキーワードに対応したカテゴリー)を書く。これは重要だ。それは、すべての傍受メッセージが、どこかの政府機関本部のデータベースに入れられるとき、特定の主題についてのメッセージが再び置かれうるということを意味する。後で、辞書システムを使っている分析者が、自分の欲するカテゴリーの4桁のコードを選ぶと、コンピューターは、全メッセージの中から、その数のタグを付けられたものだけを検索する。

このシステムは、それぞれの政府機関は自分自身の数からのみエシュロン・システムによる諜報を得ることになるため、全世界的なネットワークからどの政府機関が何を手に入れるかを制御するのには極めて効率的である。システムからもたらされた未加工の諜報が、他の政府機関にアクセスされることはない。例えば、GCSBの諜報成果の大部分は主にUKUSA同盟に送達されるはずだが、ニュージーランドはエシュロン・ネットワーク全体にアクセス権を持つわけではない。それが有するアクセス権は厳密に制御されている。ニュージーランド諜報士官はこう説明した。「政府機関はすべて、お互いの辞書に数を申し込むことができる。一番扱い難いのはアメリカ人だ……。彼らがこちらのために実行する場合には、自分たち自身の興味対象でなければずいぶん飛ばしてしまうのだから」

同盟の中での規模と役割という点で、ただ一つの機関だけが、エシュロンシステムの完全な潜在能力へのアクセス権を有する。それは、これを組み立てた機関である。システムは何のために使われているのか? 公的な「議論」を聞いている人なら誰でも、冷戦終結意以来、巨大なUKUSA諜報マシーンの鍵となる標的は、テロリズム、兵器拡散、経済諜報であると想像することだろう。経済諜報が非常に重要になったという意見は、特に、冷戦後の予算を維持することに懸命な諜報政府機関によって入念に洗練されてきた。それは、多くの諜報についての議論で常識とされている。しかし、私は、現在、NSAのような組織にとって、これらが現在も主要な諜報であるという証拠は見いだせなかった。


「我々が操作を行っている組織内において、
粗末な誤操作であり
怠慢であると見なすものについて、
もはや黙っていることはできなくなった」
――英国諜報オペレーター


辞書で見るより速い諜報、同じ任務

ニュージーランドがUKUSA同盟諸国のために集めた諜報について私が得た非常に詳細な情報と、ニュージーランドがその4つの同盟国から毎週得ている極めて深い諜報レポートについての詳細な記述について吟味すると、別のストーリーが浮かび上がる。潜在的テロリストについて集められた諜報は非常に多い。そして、経済の諜報、特にGATT交渉に参加しているすべての国についての集中的な監視も非常に多い。しかし、それよりもずっと、諜報同盟の主な重要事項は、依然として、世界中の利権を追いかけるためにさらに大きな同盟を支援するための政治的・軍事的諜報なのである。特定の政府に関わる誰でも、何でも、標的となりうる。

それほど秘密でそれほど強力な能力を有し、ほとんど何でもありである。例えば、1992年6月、英国のGCHQからの現在の「高度に配置された諜報操作者」のグループが、ロンドン・オブザーバー紙に語った。「我々が操作を行っている組織内において、粗末な誤操作であり怠慢であると見なすものについて、もはや黙っていることはできなくなった」。彼らは例として、アムネスティー・インターナショナル、クリスチャン・エイドを含む3つの慈善団体に対してGCHQが通信傍受していることを挙げた。オブザーバー紙によれば、「いつでも、GCHQは定常標的への要請のためにそれらの通信に焦点を合わせることが可能だ」とGCHQ情報提供者は語っている。電話傍受装置のケースでは、その手順はMantis(カマキリ)として知られている。テレックスではMayfly(カゲロウ)と呼ばれる。第三世界支援に関連するコードを入力すれば、この3つの組織「宛て」のテレックスを表示することが可能であった。「だから、その単語が出現すればいつでもそのテレックス通信に焦点を合わせることができるようにする引き金語を入力できる」という。「そして、キーワードのどちら側でも、文字の前もって決定された数字を読むことができる」実際に名指されたわけではないが、これはエシュロン辞書システムの働き方についてのかなり正確な記述だった。また、この報告で明らかにされなかったことがある。それは、これがUKUSA規模のシステムであるということだ。エシュロン構想が意味するものは、これらの組織の通信傍受がネットワーク上のどこでも、つまり“第3世界援助”という言葉をカバーする4桁のコード番号をGCHQが要請してきたいかなるステーションにおいてもなされてきた可能性があるということである。

これらのGCHQ職員が、システムは電話のために使われていたと述べたことに注目してほしい。ニュージーランドでは、エシュロンは書かれた通信、つまりファクス、電子メール、テレックスを傍受するためだけに使われている。その理由は、諜報職員によれば、その機関が膨大な量の電話会話を分析するだけの職員を有していないからということである。マイク・フロストの、カナダにおける「大使館収集」オペレーションの暴露では、Oratory(雄弁術)と呼ばれる彼らが使っていたNSAのコンピューターは、電話会話を「聞」いて、いつキーワードが話されたかを認識することができる。我々は、ありとあらゆる口調やアクセントで話された言葉を認識することができるように、これらのコンピュータは同じことができる、とフロストはいう。キーワードを含む電話会話は、自動的に他の大量の電話会話から抽出され、機関本部に戻され、分析者のために磁気テープにデジタル録音される。しかし、大容量音声認識コンピューターは、技術的に完成が難しいだろう。私のニュージーランド在住の情報提供者は、この能力の存在を確認できなかった。しかし、それが完成されるとしたならば、その意味は重大だ。それは、UKUSA諸機関が、書かれたメッセージを検索するのと同じやり方で、世界中のすべての国際電話会話を検索するために機械を使うことができるということだ。もしこの装置が大使館収集で使うために存在するなら、それは多分、エシュロン・ネットワークを通じてすべてのステーションで使われるだろう。エシュロン・ステーションによってどれほど広範囲に電話通信が他の機関のための標的となっているかということは、まだ確証されていない。エシュロン・システムにとって最も容易な盗品は、暗号を使わない個人、組織、政府だ。ニュージーランド地区では、例えば、政府通信であろうとも、暗号化をまるで使わない脆弱な南太平洋国では特にこれが有用であることが証明されている(ニュージーランド隣国のこれらの通信はすべて、UKUSA同盟諸国に供給され、暴かれてしまっている)。私の本で暴露した結果、太平洋地域で現在進行中のプロジェクトがある。これは、抑圧的な政府のある国における民主化運動のような脆弱な組織に対して、公的に利用可能な暗号ソフトを奨励・促進するというものだ。これはエシュロン能力の不法使用を抑制するための実用的なやり方だ。


最後に一言。すべての新聞、解説者、「上手に配置された情報提供者」は、1980年代中ごろ、ニュージーランドは合衆国諜報機関と切り離されたと大衆に述べていた。それは完全に偽りだった。ニュージーランドへの諜報供給はストップするどころか、10年来、ニュージーランドの合衆国システムへの統合は増大してきたのである。事実上、GCSBで使われるすべての装置、マニュアル、運営方法、専門語、コードなどは、より大きな同盟機関(実質的に、常にNSA)から完全に輸入され続けている。オーストラリアとカナダの機関と同様、重要なことの大部分は合衆国から来続けている。

これらの政府機関を変化から守るという重要事項が彼らの秘密だ。私の本が書店に到着した日、事前の広報もなく、総理府における諜報部局の一日中の会議があり、この本の出版を阻止するよう決定するかどうか検討していた。結局のところ、政治的な代価があまりにも高い、とまっとうにも結論づけた。彼らがそれほど動揺したことは納得できる。

研究を通じて、私は公式の許否に直面し、諜報活動について大衆にコメントすることを拒否する政府に直面した。秘密と妨害の行き渡っている雰囲気を与えられると、大衆にとって、何が事実であり、何が推測であり、何がパラノイアであるかを判断することはいつだって難しい。そのため、NSA主導の同盟におけるニュージーランドの役割を暴くことにおける私の目的は、真実に迫っているのだと読者が感じることができるように、オペレーション、技術的システム、個々の職員の日々の作業、そして諜報施設内で彼らが働いている雰囲気までも、できるだけ詳細に提供することであった。私は、UKUSAと、エシュロンを初めとするそのシステムについて、ニュージーランドの諜報員によってリークされた情報が、変化を導く助けとなることを望んでいる。

http://www.infovlad.net/underground/asia/japan/dossier/echelon/caq59.html


エシュロンとNSA(Vladimir: webmaster@infovlad.net)

昨年(1999年)末、長いあいだ秘密のベールにつつまれていた情報機関、アメリカのNSA(National Security Agency・国家安全保障局)が世界の耳目を集めた。
それは盗聴疑惑だった。情報機関がプライバシーを侵害しているという可能性に対する、世界的な反発からであった。

 インターネット上では、ここ数年というもの、事実上世界中のあらゆる電子メールとファックスのトラフィックを途中で捕らえ、自動分析にかけるてしまう大規模なシステムについての噂がネットでささやかれ続けてきた。このような行為を規制する各国の法律があるにもかかわらず、だ。
 いまから半世紀以上も前に、5カ国が協定を結び、法的問題の裏をかきつづけてきたのである。
アメリカ合衆国政府が自国民にスパイ活動を行うのは違法だ。イギリスも同じ。
しかしUKUSA (米英間の合意) により、イギリスはアメリカでスパイ活動を、またアメリカはイギリスでスパイ活動を行い、両国はデータを交換することができる。このような行動は、法律の専門的見解では合法なのかもしれない。しかし両国の法律がもっているはずの、市民を守るという精神の裏をかくという意図があるのは明らかだ。

フランス語の「梯子」から転化し、アメリカの軍事用語で「三角編隊」を意味する「エシュロン」(Echelon)は、NSA主導による全地球的な通 信情報傍受システムをさす名称だ。エシュロンは電話、ファクシミリ、電子メール、インターネットからのダウンロード、衛星通信など、一日あたり30億もの通話を自動的に、かつ無差別に傍受し、また傍受された通信データを分析、処理し、整理された情報を主要地点にリレーするという過程を繰り返す。
エシュロンはインターネット上を行き交う通信の90%ほどを消化することのできる、旺盛な「食欲」が自慢だ。しかしエシュロンの正確な能力や目的は、今もって十分に明かされないままでいる。
UKUSAの結果アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国が署名し、エシュロンは1947に発足してから現在に至っている。
 UKUSAの目的は共通の目的、つまり世界中をスパイしてデータを共有する、というひとつの巨大かつ地球規模の情報組織を作ることであった。この作戦はとても強固な統一性をともなうものだったため、米国家保安局のスパイはアメリカ国内から、各国地域のローカルな通信を、その国の公式な許可なしに傍受できてしまったのだ。
それは、地球上のある国家が、社会の安全という「公共の利益」のために、自国民に対しておこなう通信の傍受……たとえば日本の通信傍受法における問題とは、次元の異なるものである。電子メール、電話、ファクシミリ、衛星送信、極超短波通信、光ファイバーによる通信など、現代人の日常生活と密接に関連した、現在地球上を行き交うあらゆる通信がアメリカのNSAによって盗聴されているという、背筋の寒くなるなるような可能性があるためである。日本では昨年、通信傍受法の是非で喧喧諤諤となったが、実はもうとっくに、エシュロンが世界中の人々の家庭に侵入していたのかもしれないのだ。

 冷戦時代では、エシュロンの主な目的は旧ソ連を監視することだった。
しかし旧ソ連が崩壊してしまうと、エシュロンは「テロリズム」と戦うためと称して、ひきつづき数十億ドルの出費をつづけた。「テロリズム」さえ引き合いに出せば、どんな市民権剥奪行為も正当化されるのであった。
現代におけるエシュロンの問題の一つはそこにある。エシュロンによって得られた情報が、国防や大規模なテロに対する対策など、盗聴・諜報システムの本来の目的に限定して使われているわけではなく、アメリカ、イギリスなどの国家の経済戦において有効活用されているのではないか、という点である。しかも諜報活動の過程において、プライバシーの侵害は不回避なのだ。
 ほんとうのテロリストや麻薬の運び屋なら、強力な暗号手段を用いるだろう。だから、アメリカ政府は一般民間人が強力な暗号を使用することを禁止するよう試みている。これはほんとうに犯罪を防止しようとしているのだろうか。企業秘密などをエシュロンが読むことができるような状態に、つまり通信環境を現状にとどめておくという意図はないのだろうか。


エシュロンを主導するNSAとは?

 1952年11月4日の午前1時、秘密裡に発足した包括的通信情報局、NSAが初めて世間にその存在を露呈したのは1960年の9月であった。当時NSA本部に暗号解読要員として勤務していた同性愛カップル、バーノン・F・ミッチェルとウィリアム・H・マーティンは旧ソ連へ亡命した。二人は自分たちの同性愛行為が発覚することを恐れ、敵国へ亡命を図ったのである。
 当時のアメリカは、現在の姿からはなかなか想像がつかないだろうが、同性愛者にとって過酷きわまりない社会だったのだ。ミッチェルとマーティンは自分たちの「性的な趣味」が発覚することを極度に恐れた。特に保守的性格の強い情報機関では、同性愛は強い制裁の対象であった。
 ミッチェルとマーティンは亡命後に記者会見を開いた。そして暗号解読における英米の連携を明らかにし、NSAが常時40カ国以上に対し盗聴作業を行っていることを暴露したのだ。
 彼らのおかげで、ソ連の情報機関はNSAという組織の実態について、大まかながらに把握することができたのである。アメリカ政府はこの亡命事件の余波で、NSA組織内部の同性愛者26人を摘発し解雇した。そして敵国に露呈してしまった組織を再構築するために、数年を要したと伝えられている。
 だが亡命者は一人ではなかった。ミッチェルとマーティンにつづき1963年、NSAの中東部門調査分析要員ビクター・N・ハミルトンが赤いカーテンの向こうに渡り、「イズベスチア」記者に対し、NSAが外交通信のほか国連の通信をも傍受、解読作業を行っていることを克明に述べたのである。

 1968年1月23日、アメリカ海軍保安群 (NSG)の巡視船プエブロ (Pueblo)号が、北朝鮮のミグ戦闘機2機と哨戒艇4隻により日本海海上で拿捕、元山港に抑留されるという事件が発生した。このプエブロ号事件はアジアのみならず世界的にも大きな衝撃であった。そしてこの事件をきっかけに、アジアでもNSAの存在が知られるようになる。奇しくもその2日前、北朝鮮の特殊部隊が韓国大統領府を襲撃するという事件が発生したばかりであった。
 プエブロ号拿捕の理由は北朝鮮の領海を侵犯したという点であった。しかしアメリカ政府をより一層困惑させたのは、プエブロ号の正体がNSAの情報収集艦であったことが発覚したことである。アメリカ政府は北朝鮮当局に対し、プエブロ号が北朝鮮の領海を侵犯した事実を認め、今後は領海を侵犯しないという恥辱的な文書を書かされたのち、この艦艇に乗船していた乗務員全員を引き戻すことができた。
 しかし、北朝鮮はプエブロ号そのものは引き渡さなかった。というのも、この船には北朝鮮海軍の艦艇と航空機などの軍事交信の内容と、北朝鮮の通信を盗聴する特殊な装備が搭載されていたからである。プエブロ号は元山港から平壌市内の大同江へと移送され、現在では一般公開されている。

大同江で一般公開されているプエブロ号

 NSAの活動についての情報は、このような突発的な事件さえおきなければ、ほとんど知られることはなかっただろう。最近、ヨーロッパおよびアメリカのメディアなどが新しい事実を続々暴露しながら、NSAに十字砲火を浴びせている。しかしわずか数年前でさえ、世界を盗聴するNSAの主要活動はいぜんとして聖域だったのだ。特にアメリカ政府という全世界を相手にする通信傍受システムのエシュロンは、秘密を守るために多大の努力を傾注してきたのである。

 興味深いのは、エシュロンへの反対運動がここにきて急速に活発化し、それと同時にNSAの正体がすこしづつ現れてきているという点だ。それほどNSAは「何がおきても不思議ではない」といわれる国際スパイの世界ですら、実体不明の組織なのであった。
 これまでNSAに関する一切の情報は秘密であった。しかし90年代以後、アメリカやヨーロッパのメディアから集中砲火を浴び、その実態を徐々に露呈してきている。現在7万名ほどの職員が通信の傍受と暗号解読、アメリカの通信セキュリティ業務などの任務を遂行しているこのNSAは、敵性国はもちろんのこと、友邦国の軍事・外交・商業用暗号システムの情報までまんべんなく「横領」するという、「雑食性の情報機関」なのである。
 いまでこそ、NSAは周知の存在として姿をさらけだしている(http://www.nsa.gov:8080/)。しかし長い間、NSAにつけられた「あだ名」は、この組織の実態について想像されてきたことを雄弁に物語っている。"No Such Agency"(そんな機関は存在しない)、"Never Say Anything"(何も喋るな)……などなど。世界最高の情報機関といわれるCIAや、旧ソ連のKGBさえ、こんなにうすら寒いあだ名を頂戴したことはなかった。

 NSAの本部はメリーランド州フォートミード(Fort Meade)にある。FBIやCIAとは別の組織であり、世界を舞台に電子スパイ活動をおこなう強大な国家安全保障機関として、陸軍安全局および海軍と空軍の通信情報機関に対しても広範囲な監督権を持っている。
 現代の諜報活動は二つわけられる。科学装備を利用したスパイ行為であるSIGINT(signalとintelligenceの合成語)と、人間を利用したスパイ行為であるHUMINT(humanとintelligenceの合成語)である。そしてNSAはSIGINTの専門機関だ。
 またSIGINTは、通信情報と電子情報に大別することができる。無線通信や暗号化された外交上の通信などは通信情報であり、ミサイル発射実験の際に発生する電子信号や、核実験の際の放射線信号などは電子情報に分類される。
 NSAはまさに「空中を飛びかうあらゆる通信を飲み込む、無限の空気清浄器」だ。世界的に有名な人物の中で、NSAに声紋の特徴を知られていない人はほとんどいないという。NSAはデータとして「音声」を保有しており、通信を傍受する過程で、重要人物の音声を捕捉するやいなや、ただちに録音装置を作動させる技術を持っているといわれている。
 いったんNSAに傍受された信号情報はただちに解読、翻訳、分析などの過程をたどり、「情報」として整形され、報告書となる。この報告書は大統領及び長官など、政策決定者たちの机上にのみ配布される。報告書の配布は「センシティブな情報を閲覧する権利」を有する少数の人々に制限されているのだ。NSAから情報を支援を受ける一般の企業は、その出処に対して明確に答えることはなく、また情報にたいし定期的にアクセスすることもできない。NSA職員が許可した範囲内の情報だけを、産業・経済情報として活用するだけである。
 NSAこそは、まさしくアメリカの強力な情報力のバックボーンだ。アメリカの国防総省に属する二大秘密情報機関として、国防情報局(DIA)と双璧をなしているNSAは、パクス・アメリカーナを具現し、アメリカの世界支配を可能にする大黒柱的な存在なのである。

 スパイ活動というのは、たとえ緊密な同盟関係にある国どうしといえども嫌なものだ。特にその目的が法の執行という目的ではなく、有力な政治家にさらに力を付けさせるための組織的な欺瞞だとしたら、なおさらである。
そこで、ヨーロッパ議会の市民自由委員会はエシュロンを調査し、エシュロンが存在すること、そしてその目的を公式に確認した。
 1997年12月、イギリスのロンドン・テレグラフ紙に掲載されたサイモン・デイビスの「わたしたちのようなスパイ」という記事は、欧州共同体がエシュロンを確認したことを公式に報告し、そのシステムについて触れている。
デイビスの記事によれば、エシュロンは、UKUSAによる情報交換システムの一部である。しかし冷戦中に開発された、ほかの多くの電子スパイシステムとは異なり、エシュロンはほとんどあらゆる国の政府、組織、企業を監視するという目的、つまり非軍事目的として開発された。
 デイビスによれば、英国議会はこの問題をずっと無視しづけてきた。英労働党がイギリス国内におけるNSAの活動について質問しても、英政府は国家機密規則を持ち出しこの質問をはねのけた。こんな状態が40年も続いたのである。

 それでもなおNSA主導による、エシュロンをはじめとする通信スパイ組織は「うすうす知られた」存在の域を脱しえなかった。
 その存在を決定的に世に知らしめたのは1999年11月初め、イギリスBBCの報道であった。BBCは11月2日、オーストラリア情報保安局(GIS)監察官ビル・ベリックは、NSAを中心とする世界的な通信傍受ネットワーク、エシュロンは実在し、また彼自身が勤務していたオーストラリア防衛通信理事会(DSD・Defence Signal Directorate)もこの盗聴網の一部であることを確認した、と報道したのだ。
 長い間、アメリカ政府はNSAという情報機関の存在自体を肯定しない方針を貫いてきた。NSAの存在だけでなく、この機関が友邦国の情報機関との協調のもと、主導的立場で運営してきた世界的な通信傍受システムのエシュロンについて、ほかならぬ協力国であるオーストラリアの情報機関の関係者が直接確認してくれたのだから、NSAとしてはかなり困惑したことであろう。

 これに引き続き、アメリカの市民団体、EPIC(電子プライバシー情報センター・Electronic Privacy Information Center。http://www.epic.org/)は1999年12月3日、NSAによる対アメリカ国民への諜報活動に関連する文書の公開を要求する請求訴訟を連邦法院に提訴した。EPICが公開を要求した文書には、いままで噂の域にあったNSAの全地球諜報システム「エシュロン」の運営と関連する、詳細な内容が含まれていることが判明した。
 エシュロンの脅威が一般に認知されるにつれ、アメリカ議会もNSAに対し文書の公開を要求したが、NSAは依頼人情報の非公開原則(Attorney/client privilege)を理由に、公開を拒否した。EPICもやはり訴訟を起こす前にNSAに文書公開を要求したが、やはり同様の理由で拒否された。
 EPICのマーク・ロテンバーグ氏は「NSAはアメリカ国内の情報は収集していなかった、と主張している。しかしわれわれは、NSAがインターネット上におけるアメリカ国内の通信を無差別に収集し、監視してきたということを信じるに値する根拠がある」と語る。

 マーク・ロテンバーグ氏は「われわれは議会が来年初め、この問題に対して聴聞会を開催することを希望する」としながら「かりにNSAがアメリカ国内のインターネット通信を監視してきたとすれば、政府はこの行為が不法なのか、それとも合法なのかを決定しなければならない」と強調した。
しかし、EPICがNSAに問うている是非は、自国、すなわちアメリカ国内の通信傍受だけに限定されている。つまりアメリカ国民の私生活を保護することにだけ神経を使っているのだ。

さらにおもしろい出来事がこれにつづく。
 1999年12月13日付の「ニューズウィーク」誌は新しい疑惑をもちだしてきた。アメリカ連邦捜査局(FBI)が、アメリカ国内のテロリストと犯罪者を追跡するために、NSAから先端技術のサポートを要求したというのだ。「ニューズウィーク」は、FBI支援を明文化するために、FBIとNSAの両者が「了解覚書」を作成中である、と報道した。「ニューズウィーク」は、通信傍受についての先端技術を持たないFBIとしては、NSAのテクニカルサポートを歓迎するものの、対外防諜業務を受け持つNSAが、国内の犯罪を捜査するFBIと協調関係を結んだ場合、NSAは一般市民に対するプライバシーの侵害を憂慮する世論からの批判に直面するはずである、と見通した。

 2000年1月21日、アメリカの民間シンクタンクである国家安全保障公文書館 (National Security Archive - http://www.gwu.edu/~nsarchiv/:これも頭文字がNSAだが、こちらはジョージ・ワシントン大学にある民間の独立研究機関および図書館。政府機関のNSAとは無関係とのこと) の研究員、ジェフリー・ライチェルソン氏は、情報公開法に基づいて機密扱いを解かれた、アメリカ国家安全保障局(NSA)の機密文書を分析し、その結果を発表した。
 それによると1994年の米空軍情報局(AIA)の文書が、このエシュロンについて言及し、「AIAの参加は在日米軍三沢基地でのレディーラブ作戦に限定されていた」とされる。レディーラブ作戦とはエシュロンの一環で、アメリカ空軍情報局によるソ連の衛星通信の秘密傍受を指すものとみられる。
 アメリカ政府は、エシュロンの存在を認めたことは一度もない。しかし「これらの文書で、エシュロンというプロジェクトが存在することを政府が認めたことになる」と、ライチェルソン氏は語る。
 だがライチェルソン氏によれば、エシュロンの実態は、一部の極端な推論よりもはるかに限定されたプロジェクトである可能性を示唆しているという。彼は実際のところ、NSAはエシュロン計画を実行するにあたって、何の法律も犯してはいないのではないか、と考えている。
 エシュロン・プロジェクトに言及していると思われる重要な文書の1つは、ウェストバージニアのシュガーグローブで展開されている海軍の安全保障活動の機能について記されている。ライチェルソン氏の主張によれば、これらの文書は、エシュロンと呼ばれるプロジェクトが、このシュガーグローブ基地に関連していることを明らかにするものだという。「この海軍の指令文書は、シュガーグローブ基地の指揮官が負っている責務の中に、USSID18の規定の定めるところに従って米国民のプライバシーを正しく保護することが含まれていることをも示している」とライチェルソン氏は語る。

 エシュロンは非常に大量の通信を無差別に傍受し、コンピューターによる語検索で価値のある情報を選別している
 エシュロンは各国それぞれについての興味深いキーワードを含んだ「国家辞書」を使用しているという。
10年以上前より、この5カ国の国家保安局は世界全体の電子通信傍受を「地域別」に行うようになった。そして世界中のテレックス、ファックス、電子メールをこれらの「検索語」で検索できるという新しい技術が開発され、電話は自動的に語検索され解析されるという噂がかけめぐった。
 初期のエシュロンは電話回線や超短波通信データを「郵便局塔」とよばれる施設を経由して吸い出していた。しかしインテルサットとデジタル通信、さらにはインターネット発達のおかげで、英国メンウィズとその他の基地は電子メール、ファックスや音声メッセージを傍受するする能力を持つに至った……。
 この「噂」に徹底的に取り組んだのが、ニュージーランドのニッキー・ヘイガーである。ヘイガーは50人以上にわたる諜報機関関係者にインタビューし、最終的に"Covert Action Quarterly"誌でエシュロンの「辞書」の存在を初めて公開し、世界最大の諜報活動の実態が表にさらされることとなった。
 ヘイガーがニュージーランドの諜報部員から得たのは、スパイ活動が行われている場所、エシュロンの作動方法、能力と欠点、またコードネームのようなたくさんの詳細な情報だった。
 ヘイガーの得た情報は、以下の通りである。
 エシュロンのメンバーは米国家安全保障局(NSA)、イギリスの政府通信本部(GCH)、カナダの通信保安庁(CSE)、オーストラリアの防衛通信理事会(DSD)、そしてニュージーランドの政府通信保安局(GCSB)である。
エシュロンは特定の個人の電子メールやファックスを「狙い撃ちで」傍受するようには設計されていない。傍受は世界中の通信に対して無差別に行われ、興味を引く特定のメッセージを確定し抽出するのである。
国際的通信ネットワークを監視するために秘密の通信傍受基地が世界中に設置され、そのいくつかは地上の通信だけでなく通信衛星にまでおよんでいる。各基地のコンピューターは、あらかじめプログラムされた検索語を用いて天文学的な数の通信を自動的にサーチする。またエシュロンはこれらすべての通信傍受基地を連結し、この能力とデータを共有している……噂はほんとうだったのだ。
 「検索語」にはある地域について考えられるすべての名前、地名、話題などを含んでいる。さらに、ある特定の電話番号や電子メールアドレスが含まれていないかも自動的に検索される。
 各基地にある「辞書」は、その基地の親政府機関だけでなく、他の政府機関によっても補強される。
 各基地の辞書が該当語を含むメッセージを見つけると、そのメッセージは自動的に取得され、管轄の親政府機関に送信される。外国の情報機関のために送られるメッセージを、取得した当該国の情報機関は見ることができない。
 ややこしい言い方だがこういうことだ。例えば、アメリカはニュージーランドのある基地の辞書を「補強」することができる。でもその基地が発見した「アメリカ情報機関向け」メッセージは、ニュージーランドの情報機関は閲覧できない仕組みだ。5カ国間にこの仕組みが行き渡っている。
 
 アメリカ国内に存在する外国公館や企業などが本国と交信する内容は、メリーランドとバージニア州郊外にある盗聴基地が担当している。これと同時に世界各地に設置されたNSAの主要基地を通じて、世界のあらゆる通信を入手している。通常、世界各地に設置されたNSAの主要基地は、NSA名義ではなく米軍情報機関の名義で保護されている。
 1981年、ニュージーランド政府はアメリカのヤキマ基地と連携を密にし、日本の外交通信を傍受するよう目標を定めた。ヤキマ基地で傍受された通信は、翻訳と解読のためニュージーランドのウェリントンに送信された。のち1989年にニュージーランドのワイホパイ島基地が設立されると、日本関係の通信はここが一手に引き受けることになり、現在に至っている。
 最初のエシュロン基地は国際通信衛星(インテルサット)を標的にした。インテルサットは赤道上を輪のように配置されており、夥しい数の電子メールや電話を同時中継している。このインテルサットを傍受するために、つぎのような5つのエシュロン基地が設置された。
 各基地の所在地と目的は、たとえば、
 *英国:コーンウォールのモーゼンストウにある海に面した崖の上。大西洋、ヨーロッパ、インド洋上の衛星が標的。
 *アメリカ:ワシントンDCから南西250Km離れたウエストヴァージニア山脈のシュガー・グローブ。南北アメリカに信号を送る大西洋上の衛星が標的。またシアトルの南西200Kmにある陸軍ヤキマ発射センター(Yakima Firing Center)内にも基地があり、これは太平洋上の衛星が標的だ。
 またこれより東側の太平洋地域はオーストラリアとニュージーランドの管轄となっている。

 各基地の「辞書」は「コード名」を持っており、ほかの辞書と区別される。例えば上記のヤキマ基地は「カウボーイ辞書」、ニュージーランドのワイホパイ島基地は「フリントロック辞書」と呼ばれている。傍受されたすべてのメッセージは各「辞書」の名称が記録され、どこの基地が取得したメッセージなのかを識別するようになっている。
 さらに、インテルサット以外の人工衛星通信を傍受するための基地設立がここにくわわる。上記の基地にくわえ、5つ以上の基地がロシアや他の地域の衛星を標的にしている。
 北イギリスのメンウィズ、北オーストラリアのダーウィン近郊(インドネシアの衛星を標的とする)、カナダのオタワ南にあるレイトリム(ラテンアメリカ地域の衛星傍受)、ドイツのバッドアイブリング、そして日本の三沢基地にその代表的なエシュロン基地がある。
 埼玉県大井町亀久保にある、防衛庁情報本部大井通信所にもエシュロンの基地の一つがある、という噂も聞く。
 海底ケーブル通信も、いったんデータが「海上に」来るやいなや、エシュロンの餌食となる。
 1982年には、海底ケーブルに仕掛けられた盗聴装置が発見されている。しかし現在のところ、エシュロンの通信監視装置が、光ファイバーを通過するデータを傍受することが可能かどうかについては、知られていない。


 このような暴露は、NSAをめぐる論争で画期的な進展を意味する。アメリカにとって、NSAがこれまで、地球上のほとんどあらゆる通信を盗聴してきたという事実は公然の秘密ではあった。しかし問題はそれがあくまでも未確認の主張にとどまっていたという点であった。NSAの正体が「確認」されたのである。
 オーストラリア情報機関の関係者が「暴露」したことで、NSAは否応なしに論争の渦中に立たざるを得なくなった。諜報機関はどの国でも同じなのだが、NSAという秘密の諜報活動を行う情報機関の特性上、いかなる外部からの質問についても、公式の対応を行わない、という方針を貫きつづけたにもかかわらず、今回の暴露によってそのような過去の行動に深刻なブレーキがかかるようになったわけだ。オーストラリアDSDは、以前にもオーストラリア国内のある放送局との書面インタビューで、エシュロンの存在と運営の実態を暴露した前歴がある。
 NSAはさまざまな面で疲辟しながらミレニアムを迎えた。すでにインターネットユーザーたちは、NSAに対し「公開攻撃」を開始している。アメリカおよびヨーロッパ議会加盟国のネットユーザーの動きも尋常ではない兆しをみせている。創立以来最大の試練を迎えたNSAが、どのように危機を突破するか、関心が持たれている。
 NSAに対するネットユーザーの攻撃ぶりを端的に見せているウェブサイト(www.echelon.wiretapped.net)がある。このサイトは1999年10月21日を「エシュロンを麻痺させる日(Jam Echelon Day)」に決め、全世界のネットユーザーに対し、NSAへの攻撃命令をくだした。
10月21日に、特定の単語リストを自分の電子メールに付記するように呼び掛けたのだ。Wired News日本語版(http://www.hotwired.co.jp/news/news/3170.html)はこの単語リストを発表している。

 FBI(米連邦捜査局)、CIA(米中央情報局)、NSA(米国家安全保障局)、IRS(米国税庁)、ATF(アメリカ教育連盟)、BATF(米アルコール・タバコ・火器局)、DOD(米国防総省)、WACO(ウェーコ)、RUBY RIDGE(ルビーリッジ)、OKC(オクラホマシティー)、OKLAHOMA CITY(同左:以上4つテロ事件があった場所)、MILITIA(米国民軍)、GUN(銃器)、HANDGUN(拳銃)、MILGOV(軍事政府)、ASSAULT RIFLE(突撃銃)、TERRORISM(テロリズム)、BOMB(爆弾)、DRUG(薬物)、HORIUCHI、KORESH(コレシュ・米国の宗教家)、DAVIDIAN(ダビディアン教団)、KAHL、POSSE COMITATUS(民兵隊壮年団)、RANDY WEAVER(ランディー・ウィーバー)、VICKIE WEAVER(ビッキー・ウィーバー)、SPECIAL FORCES(特殊部隊)、LINDA THOMPSON(リンダ・トンプソン)、SPECIAL OPERATIONS GROUP、SOG、SOF(以上3つ特殊戦部隊)、DELTA FORCE(デルタ部隊)、CONSTITUTION(憲法)、BILL OF RIGHTS(権利章典)、WHITEWATER(ホワイトウォーター)、POM(パークオンメーター)、PARK ON METER(同左:イランコントラに関わった企業)、ARKANSIDE、IRAN CONTRAS(イランコントラ)、OLIVER NORTH(オリバー・ノース:イランコントラ関係者)、VINCE FOSTER(ビンス・フォスター:クリントン大統領弁護士)、PROMIS、MOSSAD(モサド:イスラエルの情報機関)、NASA(米航空宇宙局)、MI5(英国諜報部)、ONI(海軍情報部)、CID(ロンドン警視庁刑事部)、AK47(旧ソ連製突撃銃)、M16(米軍突撃銃)、C4(爆薬)、MALCOLM X(マルコムX)、REVOLUTION(革命)、CHEROKEE(チェロキー)、HILLARY、BILL CLINTON(ヒラリー/ビル・クリントン)、GORE(ゴア)、GEORGE BUSH(ジョージ・ブッシュ)、WACKENHUT、TERRORIST(テロリスト)、TASK FORCE 160、SPECIAL OPS、12TH GROUP、5TH GROUP、SF(以上5つ特殊部隊関係)。
(「『エシュロン』を陥れるハッカーたち」(http://www.hotwired.co.jp/news/news/3170.htmlより)

 もちろんこの当日には、NSAのコンピューター・ネットワークやエシュロンが実質的な被害を蒙った、といういかなる消息も言論に報道されることはなかった。
 しかし今年(2000年)に入って、NSAのコンピューターは、いわゆる「過負荷」によるシステムダウンを経験する。ZDNewsは2000年1月31日、この事故をトップ記事として報じている。


米国家安全保障局のコンピュータに障害――原因は大量傍受による過負荷?

 【米国発】 2000.1.30 9:53 AM PT
 米国家安全保障局(NSA)は1月29日、同組織のコンピュータシステムが「深刻な」障害に見舞われ、24日から3日間にわたって諜報データの処理に支障をきたしたことを明らかにした。
 NSAは、米国にとってセキュリティ上の脅威となる可能性のある国外での会話を傍受している組織。同日発行されたリリースによれば、問題は解決済みで、「重要な情報は失われていない」ことを確信しているとしている。
 しかし、NSAはメリーランド州フォートミードにある本部のコンピュータ復旧のため、数千人時にも及ぶ技術者の手と、150万ドルの費用を費やしたという。
 「NSA本部は2000年1月24日午後7時(グリニッジ標準時午前零時)、深刻なコンピュータ障害に見舞われた」。NSAは、めったに発行されることのないプレスリリースの中でこう述べている。
 このリリースによると、コンピュータシステムは72時間にわたって影響を受けたが、現在では「平常通りの稼動の範囲内で」稼動しているとのことだ。

諜報データには支障なし

「この障害によって、収集した情報そのものが影響を受けることはなかったが、情報の処理には支障をきたした。情報処理のバックログはほとんど完全であり、NSAでは重要な情報が失われたことはないと確信している」。プレスリリースはこう説明している。
 このトラブルは、昨年12月31日、米国の重要な偵察衛星に障害が起きたことに続くものだ。偵察衛星の障害は、広く知られている中では最も深刻な2000年問題。一連の米国の衛星が米国に敵対的な武装グループの動きを監視して送信してくる画像の処理に関して、地上基地局側で誤作動が起きたものだ。
 NSAは、その超極秘級の活動のためワシントン周辺では「No Such Agency(そのような組織は存在しない)の略だ」と言われるほどの存在だが、今回のトラブルは、冷戦後の役割を見直し、ハイテクへの対応が遅れた組織としてのイメージを払拭しようとする中で起きた。
 NSAのコンピュータ障害を最初に報道したABCニュースは、NSAディレクターであるMichael Hayden米空軍中将のコメントとして、今回の問題はY2K関連のものではなく、大量の情報を傍受したことによるコンピュータシステムの「過負荷」が原因だと報じている。
 また、Washington Post紙によれば、ある高官はこの問題を「ソフトウェアの不具合」と説明しているとのことだ。「現時点で、今回の問題はシステムが日常業務の負荷に耐えかねたものだったという以外の証拠はない」。同紙によれば、この高官はこう語ったとされる。
http://www.zdnet.co.jp/news/0001/31/nsa.html


 この他にも、インターネット上にはNSAとエシュロンの「陰謀」を糾弾する数多くのサイトが、活発な活動を繰り広げている。たとえばアメリカ市民自由連合(ACLU)は、他の市民団体と連合し、アメリカの各地域の住民に対し、議員がエシュロンを調査するよう促すための運動を大々的に行っている。

 エシュロンによるプライバシー侵害への憂慮は、NSA叩きと連動している。いままでNSAの秘密活動にどちらかといえば寛大であった西側諸国でも、エシュロンに対する正確な調査と不法運用の可能性に制裁を加えようという政治家たちが、ごく少数ではあるが出現している。

 米共和党のボブ・バー (Bob Barr)下院議員は1999年11月9日、下院で情報法を修正し「エシュロンの運用の実態がメディアに報道されていることと同じならば、憲法の尊厳を尊重するあらゆるアメリカ市民は深刻な憂慮を表明しなければならない」としながら、NSAをはじめとする情報機関の職権乱用を暴く聴聞会を開催せねばならない、と主張した。NSA、CIA、司法省を対象にしているこの修正情報法は、現在上下院会議委員会に留まっており、何らかの動きを待っている状態だ。(http://wired.com/news/infostructure/0,1377,32586-2,00.html)
 すでに昨年1月、アメリカ下院の情報委員会はNSAに対し、エシュロンと関連した書類を提出することを要求したが、NSAはこれを拒否した。イタリアの司法当局もエシュロンの運営に対して法的に規制する動きを見せている。ローマ地検は、NSAの盗聴活動がイタリアの法律に違反しているかどうかの調査を開始した。

 もちろんNSAは、伝統的ともいえる姿勢でこのような圧迫に沈黙という立場を貫いている。NSAは、メディアがときどき提起する不法盗聴盗聴疑惑に対して「事実とは異なる」と、短く答弁するにとどまり、喧喧諤諤の論争に巻き込まれまいとする態度を見せている。それどころかNSAは、アメリカ議会とメディアに向け、諜報活動を強化することへの必要性を力説しているのである。


 昨年12月27日のロイター通信によれば、NSAは11月15日、「変化の100日」を宣言した。スパイ衛星と全世界の盗聴基地、そして海外の信号情報を収集する方法を「現代化」するという計画である。

 しかし、アメリカ政府が国家の安全保障という錦の御旗をかかげ死守してきた「沈黙の壁」は、徐々に崩壊しつつあるようだ。昨年3月にエシュロンを構成する国家のひとつであるオーストラリア政府が、自国の情報機関DSDを通じてエシュロンの存在を認めたことが、その最初の兆候であろう。

http://www.infovlad.net/underground/asia/japan/dossier/echelon/echelon_nsa.html


『エシュロン』を陥れるハッカーたち(hotwired)
James Glave


1999年10月6日 3:00am PDT  モサド。爆弾。ダビディアン。MI5。

 もし、あちこちに散らばっているサイバー活動家グループの直感が正しければ、上に挙げた単語は、米国家安全保障局(NSA)が一部を管理している世界的なスパイ組織のキーワード認識フィルターにひっかかってしまう。

 まるで神話のように実体の見えない世界規模のコンピューター・スパイ・ネットワーク、『エシュロン』(Echelon)は、テロリストの疑いのある者や敵側の通信を探り出すために世界中のあらゆる電子メール、パケット通信、電話での会話などをチェックしていると報じられている。

 ひとたびこれらの特定のキーワードが電子の雲の中から引っ張り出されると、その会話や電子メールは記録されてしまうと言われている。

 プライバシー擁護活動家たちは、何年もの間、自分の署名ファイル中にこれらの単語を入れてオトリとして使用してきた。しかし10月21日、『ハックティビスト』メーリングリストから生まれた活動家グループが、もっと大規模にエシュロンを罠に掛けようとしている。

 「(エシュロンが)何の役に立つのか?」と、人権擁護派の弁護士であり、米国公正連盟(American Justice Federation)の議長であるリンダ・トンプソン氏は言う。

 「そうすることで犯罪者を捕まえられると主張したいのかもしれないが、誰かがどんな人の会話をも盗聴できるようにすべきだというのは、常軌を逸している」

 「犯罪者は、犯罪を犯してから逮捕されるべきだ。警察は、たった2%(の犯罪絡みの通信)を傍受する目的でわれわれ全員のプライバシーを侵害するために存在しているわけではない」とトンプソン氏。

 トンプソン氏については、1994年の名誉毀損反対同盟の報告には、「国民軍運動に関しては全国的に影響力のある人物」と述べられている。また、米国公正連盟についても、同報告は「新世界秩序を無力化し、一般米国市民に真実を明らかにすることに力を注ぐ団体」と評している。

 名誉毀損反対同盟によると、トンプソン氏は、全50州の国民軍と接触があると主張しているという。

 トンプソン氏は、米国公正連盟のニュース・サービスの記者であるダグ・マッキントッシュ氏やハッキング活動家メーリングリストのコミュニティーのメンバーたちとともに、このシステムに関心のある人たちに対して、10月21日に引き金となる単語のリストを自分の電子メールに付記するように呼び掛けた。

 彼らは、特に以下のキーワードを提案している。

 FBI(米連邦捜査局)、CIA(米中央情報局)、NSA(米国家安全保障局)、IRS(米国税庁)、ATF(アメリカ教育連盟)、BATF(米アルコール・タバコ・火器局)、DOD(米国防総省)、WACO(ウェーコ)、RUBY RIDGE(ルビーリッジ)、OKC(オクラホマシティー)、OKLAHOMA CITY(同左)[以上4つテロ事件があった場所]、MILITIA(米国民軍)、GUN(銃器)、HANDGUN(拳銃)、MILGOV(軍事政府)、ASSAULT RIFLE(突撃銃)、TERRORISM(テロリズム)、BOMB(爆弾)、DRUG(薬物)、HORIUCHI、KORESH(コレシュ)[米国の宗教家]、DAVIDIAN(ダビディアン教団)、KAHL、POSSE COMITATUS(民兵隊壮年団)、RANDY WEAVER(ランディー・ウィーバー)、VICKIE WEAVER(ビッキー・ウィーバー)、SPECIAL FORCES(特殊部隊)、LINDA THOMPSON(リンダ・トンプソン)、SPECIAL OPERATIONS GROUP、SOG、SOF(以上3つ特殊戦部隊)、DELTA FORCE(デルタ部隊)、CONSTITUTION(憲法)、BILL OF RIGHTS(権利章典)、WHITEWATER(ホワイトウォーター)、POM(パークオンメーター)、PARK ON METER(同左)[イランコントラに関わった企業]、ARKANSIDE、IRAN CONTRAS(イランコントラ)、OLIVER NORTH(オリバー・ノース)[イランコントラ関係者]、VINCE FOSTER(ビンス・フォスター)[クリントン大統領弁護士]、PROMIS、MOSSAD(モサド)[イスラエルの情報機関]、NASA(米航空宇宙局)、MI5(英国諜報部)、ONI(海軍情報部)、CID(ロンドン警視庁刑事部)、AK47[旧ソ連製突撃銃]、M16[米軍突撃銃]、C4[爆薬]、MALCOLM X(マルコムX)、REVOLUTION(革命)、CHEROKEE(チェロキー)、HILLARY、BILL CLINTON(ヒラリー/ビル・クリントン)、GORE(ゴア)、GEORGE BUSH(ジョージ・ブッシュ)、WACKENHUT、TERRORIST(テロリスト)、TASK FORCE 160、SPECIAL OPS、12TH GROUP、5TH GROUP、SF[以上5つ特殊部隊関係]。

 このキャンペーンは、ネットで広まり、ドイツ語に翻訳された。主催者たちは、このシステムに対する意識を高める手段としてこの『エシュロンを窒息させる日』(gag Echelon day)が世界中で実施されることを望んでいる。

 NSAも、英国のGCHQ(Government Communications Headqaurters)も、エシュロン・システムの存在を認めている。その能力に関しては、欧州議会で議論がなされている。

 エシュロンに関係しているとされるオーストラリアの防衛信号理事会は最近、『UKUSA』の存在を認めた。UKUSAとは、5ヵ国の通信機関が交わした合意で、このシステムを管理していると伝えられている。

 昨秋、ワシントンに本拠を置く市民権利擁護団体、自由議会財団は、このシステムに関する詳細な報告書を議会に送付したが、このシステムは議題に上らなかった。

 10月21日のキャンペーンは、このシステムについて一般の意識をさらに高めたいと願ってのことだ。

 「大部分の人がこのシステムに対して腹を立てている」とトンプソン氏は述べた。「これがSF映画などではないことを知れば、大半の人は激怒するだろう」

 しかし、活動家のコミュニティーに所属するオーストラリアの会員の1人は、『エシュロンをやり込める日』が、一般市民が政治的に管理されている技術について知る日となって、被害妄想を育む日とはならないで欲しいと願っている。

 「一般市民の意識を高めることによって力を与えるべきで、怖がってインターネットを使わなくさせるようなことがあってはならない」と、サムとだけしか名乗らないこの活動家は語った。


[日本語版:喜多智栄子/岩坂 彰]

http://www.hotwired.co.jp/news/news/3170.html


【インデックス】エシュロン全般 、NSA
http://www.infovlad.net/underground/asia/japan/dossier/echelon/index.html

シークレット・ガバメント
http://www.asyura.com/0306/idletalk2/msg/840.html
アメリカ社会に根を下ろす血に飢えた化け物
http://www.asyura.com/0306/idletalk2/msg/839.html


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