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卓上型波長可変テラヘルツ光源を開発 − 新たな電磁周波数帯の実用化に大きく前進 −
http://www.asyura2.com/0401/it05/msg/679.html
投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 6 月 23 日 18:56:00:WmYnAkBebEg4M
 

(回答先: テラヘルツ波実用化進む【NHK、Web】ギガヘルツならぬ、テラヘルツ、光と電波の中間領域にある電磁波、、、。 投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 6 月 23 日 18:46:36)

理化学研究所 平成13年 5月1日

卓上型波長可変テラヘルツ光源を開発 − 新たな電磁周波数帯の実用化に大きく前進 −
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2001/010501/

プレス発表情報一覧


 理化学研究所(小林俊一理事長)は、テラヘルツ領域で波長を変えることができるレーザー光源の開発に世界で初めて成功しました。理研フロンティア研究システム・フォトダイナミクス研究センター(西澤潤一センター長)光発生・計測研究チームの伊藤弘昌チームリーダー、川瀬晃道フロンティア研究員らによる研究成果。テラヘルツ光を効率よく発生させるために本装置では、「光パラメトリック発振」を採用、さらに装置の小型化を図ったことも大きな特徴となっています。
 テラヘルツ光を発生する本装置は、X線に代わる安全な非破壊検査用光源として期待されるほか、DNAやタンパク質、酵素などの生体高分子の構造解析などに新たな知見を与えるものとして期待されています。
 本研究成果は、5月10日に米国・ボルチモアで行われる米国光学会主催のレーザー技術に関する世界的な国際会議「CLEO(Conference on Laser and Electro-Optics:レーザーと電気光学に関する会議)」の招待講演で発表されます。

1.背景

 テラヘルツ光(1テラ=1兆※1)は、ミリ波と赤外線の中間(電波と光波の中間)の周波数帯に位置する特殊な電磁波で、従来発生が困難で未開拓の周波数領域であり、簡便な光源の実用化が必要とされていました。この領域は、無線機などに代表されるような電子回路による発振器にとっては超高周波の領域で、一方、半導体レーザーなどのいわゆるレーザー光源にとっては超低周波の領域となっています。このため、テラヘルツ光領域は“電波技術と光波技術の谷間”、“電磁波技術の暗黒領域”といわれてきました。
 これまでテラヘルツ光の波長(周波数)を広範囲に変化できるのは「自由電子レーザー※2」などに限られていました。この「自由電子レーザー」は、装置サイズが十数mにも達する巨大装置です。簡便で小型な波長可変テラヘルツ光源が開発されれば、この領域の応用研究や実用化が加速すると期待されています。

2.研究の成果

 今回、開発に成功した装置は、波長1μm(1μm=1000分の1mm)の近赤外レーザー光により非線形光学結晶※3(ニオブ酸リチウム結晶)を励起する「光パラメトリック発振」の手法に加え、種となるきれいなレーザー光を同時に注入する「インジェクション・シーディング法(種光注入法※4)」と呼ばれる手法を用いました。本方式の採用により出力は従来法の約300倍となる300ミリワットに達しました(図1)。同時に、周波数純度(発振スペクトルの幅)は、従来法の1万倍以上シャープになり、理論限界値の100メガヘルツ(1メガ=百万)※5まで向上しています(図2)。このことは、大規模な自由電子レーザーと同等の性能を、はるかに小型の装置で達成できたことになります。
 「光パラメトリック発振」とは、レーザー光により非線形光学結晶を励起して、異なる周波数の光に変換する技術で、この方式でテラヘルツ光を発生させているのは本研究チームのみです。図3の概念図中で、レーザー光(赤矢印)と種光(青矢印)は非線形光学結晶を励起して通過し、テラヘルツ光(緑矢印)は非線形結晶の側面に配置されたプリズム結合器から外部に向けて放射されます。
 また、周波数を大きく可変できるのも優れた特徴で、周波数可変域が0.7〜2.7テラヘルツ、波長に換算すると110〜460μmと広範囲にわたります。本装置の大きさは、50cm四方のテーブルに収まる卓上サイズで、今後テラヘルツ光を活用するための大きな利点となります。各種の応用分野にとって十分な性能を有し、かつ実用的なテラヘルツ光源の誕生は、多くの研究者にテラヘルツ光の応用研究の門戸を開くこととなります。

3.今後の展開 

 テラヘルツ光の応用分野は、物性、分子分光、生体研究などの基礎研究から、半導体など各種材料の品質評価、高感度有毒ガス分析、超高速通信などの応用分野まで多岐にわたります。特に、テラヘルツ光はプラスチック、ビニール、紙、ゴム、木材、歯、骨、乾燥食品などを透過することから、人体に影響を及ぼすX線に代わる安全な非破壊検査用光源としての実用化が米国を中心に進められています。具体的な応用例としては、皮膚がんの早期診断、火傷の深さの診断、虫歯の断層撮影、半導体シリコン基板の不純物密度の検査、粉ミルク中の異物混入防止、材木や紙、乾燥食品の水分含有量検査などが考えられます。
 また、DNAやタンパク質、酵素など生体高分子の振動周波数がテラヘルツ領域に存在することが明らかになりつつあり、医療応用や構造解析などの分野で昨年から欧州連合(EU)5カ国によるプロジェクト研究※6が開始されました。
 本装置は、広範囲で周波数可変な唯一の卓上テラヘルツ光源として今後の展開にとり極めて重要なツールであり、世界的に注目を浴びています。


(問い合わせ先)    

理化学研究所 フロンティア研究システム

フォトダイナミクス研究センター 光発生・計測研究チーム
 チームリーダー     伊藤 弘昌
 フロンティア研究員   川瀬 晃道
 TEL:022-228-2161  FAX:022-228-2050 

フロンティア研究推進部  山田 鏡司
  TEL:048-467-9594  FAX:048-465-8048

(報道担当)

広報室           嶋田 庸嗣
 TEL:048-467-9272   FAX:048-462-4715


補足説明
 

※1 テラヘルツ

1テラヘルツは周波数が10の12乗ヘルツで、例えばAMラジオの周波数がおよそ1メガヘルツ(10の6乗ヘルツ)であるのに対して100万倍の超高周波数である。


※2 自由電子レーザー

加速した電子ビームを周期磁場中に通してテラヘルツ光を発生する装置。 十数メートルサイズの大規模装置であり、しかもテラヘルツ光を発生できる自由電子レーザーは米国カリフォルニア州立大学サンタバーバラ校(UCSB)の所有する装置だけである。


※3 非線形光学結晶

レーザー光の波長変換に用いられる光学用結晶


※4 種光注入

周波数純度の高い(すなわち発振線の細い)微弱なレーザー光を種光(たねこう)として非線形光学結晶に注入して発振させる技術。 これにより、テラヘルツ光の周波数純度と発生強度が飛躍的に向上した。


※5 理論限界値の100メガヘルツ

フーリエ変換理論でテラヘルツ光のパルス幅から決定される発振線幅の理論的限界値。


※6 米国やEUのプロジェクト研究

現在、米国やEUで主流となっているテラヘルツ光源は、0Hz〜数THzにまたがる白色雑音的なスペクトルの電磁波であり(フェムト秒レーザーパルス励起のテラヘルツ光源)、例えて言うなら太陽光のように極めて広いスペクトルを有する電磁波である。これは、今まで周波数純度の高い簡便な波長可変テラヘルツ光源が存在しなかったためであり、テラヘルツ以外の周波数領域で、このような白色雑音的光源が主流になっている例はほとんどない。今後、われわれが開発した周波数純度の高い波長可変光源がさまざまな応用に多用されると期待されている。



<図1>

上図は、テラヘルツ波出力強度の測定結果を示している。今回の光注入技術の開発により、出力強度はピーク値で約300mWと従来比でおよそ300倍に増大した。


<図2>

水蒸気吸収スペクトル測定より、テラヘルツ波の線幅(スペクトル幅)が100MHz以下(97MHz)であるとわかる。


<図3>


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