０１年に群馬県長野原町で起きた衝突事故を巡り、加害車両に乗っていた兄弟のうち、兄が弟をかばい「自分が運転した」と長野原署に虚偽の報告をしたなどとして、犯人隠避罪に問われた兄と業務上過失傷害罪に問われた弟の判決公判が４日、前橋地裁であった。吉井隆平裁判官は「自白調書は任意性に疑いがある」などとして、無罪（求刑・兄罰金２０万円、弟同３０万円）を言い渡した。

　無罪判決を受けたのは兄の自動車販売業、桑原久之被告（６７）＝三重県桑名市寿町＝と弟の鉄工所経営、吉原敏被告（６１）＝同県四日市市大矢知町。判決などによると、事故は０１年４月２１日、長野原町北軽井沢の交差点で発生。２人の乗用車が一時停止の標識を無視して、左から来た乗用車と衝突。乗っていた女性２人の首にけがを負わせた。

　同署は桑原被告を運転者として事故処理したが、その後、被害者側が「運転したのは酒を飲んでいた弟」と主張したため再捜査。同年１２月に桑原被告を逮捕、吉原被告を書類送検した。２人は初公判から一貫して、桑原被告が運転したとして無罪を主張していた。

　判決は、桑原被告を取り調べた捜査員が「自白すれば、罰金で済み、すぐ釈放される」などと自白を強要した疑いがあると指摘。被害者らの目撃証言も「不自然で信用できない」などと退けた。

　判決後、桑原被告は「警察がもっと私たちの話を聞いてくれればこんなに苦しめられなかった」と涙を流した。前橋地検の小林正一次席検事は「判決内容を十分検討し、控訴するかどうかを決めたい」とコメント。殿木健県警交通部長は「捜査は適正に行われたものと信じている」としている。【杉本修作】

［毎日新聞２月４日］ ( 2004-02-04-22:09 )

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20040205k0000m040093000c.html

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