東京地裁

　防衛庁による情報公開請求者のリスト作成、配布でプライバシーを侵害されたとして、ノンフィクション作家の久慈力さん（５４）が、国に１００万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が１３日、東京地裁であった。土肥章大裁判長は「業務上必要のないリストを作成し、配布した行為は違法と言わざるを得ない」と述べ、国に１０万円の支払いを命じた。

　土肥裁判長は、防衛庁海上幕僚監部情報公開室の三等海佐が作成したリストの内容が、久慈さんらの氏名や住所、電話番号といった個人情報で、他の部署への配布には正当な理由がないと指摘。「三等海佐は業務の範囲を超えると自覚しつつリストを作成し、関係部署への仲間意識などからリストを配布しており、プライバシー侵害は明らかだ」と結論付けた。

　久慈さん側は、情報開示請求時に名乗った「ジャーナリストの端くれ（自称）」との表現がリストに記載され名誉を傷つけられたと主張していたが、同裁判長は「原告が謙そんして称したとの印象を与えるだけで、社会的評価は低下していない」と退けた。

　判決によると、三等海佐は情報開示請求をした人について、開示請求書の記載内容や名刺、インターネットなどから得た情報を加えたリストを作成。２００１年４月から０２年３月までの間に、陸上、航空両幕僚監部の情報公開室幹部らに配布した。防衛庁では、この問題で計２９人が減給などの処分を受けた。

　判決後、会見した久慈さんは「防衛庁の国民監視、情報漏えいの体質を改めさせようとやってきた。違法性が認められたことは一定の成果だが、名誉棄損が認められず不満が残る」と話した。

http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20040213/eve_____sya_____010.shtml

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