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「加藤さんはインターネットに狂わされたのだと思う。」 --- ネットはまだ超マイナーなメディアにしか過ぎない。(『株式日記と経済展望』より)
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投稿者 まさちゃん 日時 2004 年 1 月 13 日 12:17:26:Sn9PPGX/.xYlo
 

「加藤さんはインターネットに狂わされたのだと思う。」
ネットはまだ超マイナーなメディアにしか過ぎない。

2004年1月11日 日曜日

木曜日に野中広務さんの老兵は死なずを取り上げたので、その中の一文で拍手を送ったセンテンスをもう一つ紹介しておきましょう。この本は次回の私の日経ビジネスの書評の対象なのですが、そこでは詳しく触れられなかった部分です。

 この本にはいろいろ面白い回想が入っているのですが、「加藤の乱」にも一章が割り当てられていて、あのとき何故「次の総理」を約束されていた状況の加藤さんが森政権への反乱を企てたのかに関する野中さんの分析、というか印象が記されている。野中さんはなぜあの時に加藤さんが反乱に動いたかについて、次のように述べている。198ページです。

「私は加藤さんはインターネットに狂わされたのだと思う。」 この一文を読んだ瞬間に、「この人は勘がいいな。よく見ているな」と思いました。というもの私も加藤さんをあの段階で狂わしたのは

 「インターネット」
 「あの乱の直前に彼が開いた自分のホームページ」
 「そのホームページに送られてきた無数の、彼にとっては魅惑溢れるメール」

 だったと思っていたからです。今でもはっきり覚えているのですが、あの当時の加藤さんの記者会見の一つに、「私のところには、全国から”加藤立て、このままじゃいかん”というメールが一杯来るのです」という発言があり、その時の加藤さんの顔が非常に高揚していたのを覚えている。その瞬間に私は、「ああ、この人もネット病にかかったな」と思ったものでした。それ以来、私は加藤さんの人生を狂わしたのはネットと思っていたのです。その後テレビの番組などで御一緒したことはありますが、直接聞いたことはない。しかし間違いない、と思っていました。

 それを野中さんがズバッと指摘していたので、納得すると同時に「この人は鋭い」と思ったのです。これはどちらかというと、その業界でも先進的、新しもの好きの人に一般的に言えることなのですが、新しく出てきた技術を使ってみる、使うと頭が良いだけにその技術の持つポテンシャルが直ちに理解できる、理解できると世の中がどう変わるかも予想できる。たとえそれが遠い先の話しであってもです。

 恐らく加藤さん、つまり山形県出身の国会議員にとってみれば、ネット上にホームページを作っただけで全国から大量に送られてくる見ず知らずの人達からのメールは、非常に魅力的に、魅惑に満ちたものに見えたはずだし、「自分の味方はこんなにいる」と思ったに違いない。「これは凄い」と。もしかしたら、「こういう世の中になれば、首相も国民が直接選ぶことになるかもしれない」と加藤さんが考えたとしても不思議ではない。

 あの当時の森さんの支持率は酷いものでした。多くの人が彼の首相としての資質に不満を持っていた。それの不満のはけ口となった一つが加藤さんHPであり、そこへのメールだったと思っています。どのくらい届いたかは知らない。しかし、恐らく選挙区選出の議員の想像力を超えていたのだと思います。それが加藤さんを高揚させ、行動させた。

 しかし何でもそうですが、新しい技術が社会を変えるのは実にゆっくりなのです。今になってやっとネット技術が家電に入ろうとしている。生き物の人間の社会のワーキングを技術が変えるのには、実は凄い時間がかかるのです。彼は理解力があり、頭も良いが故にその技術を社会より先に咀嚼し、行動してしまった。野中さんの本にも、『(加藤さんは)「俺のメールを見てみろ」と私に言ったものだ』という一文がある。

 実は私は、ちょっと違う意味でネットに狂わされたもう一人の人として、ソニーの出井さんを考えているのです。彼は手元に届いたビジネス・ウィークで「ワースト経営者」に選ばれてしまった。逆にフォーブスでは松下の中村さんの評価が高かった。

 これには異論がある人がいるかもしれない。しかし、「digital dream kids」という標語を見た瞬間に、「ああ、ソニーは、そして出井さんは高揚しているな」と私は思った。この標語の出始めのころです。「デジタルで夢を見る子供達」とは、なかなか優れた標語だと思う。しかし、その夢が現実の世界に降りて来るには凄い時間がかかる。

 当時彼が出席した講演会やシンポジュームに何回も出席していたのですが、今でも鮮明に覚えているのは、デジタル技術が産業界に及ぼす影響を記者が聞くと彼は必ず、「あなたはそんな呑気な質問をしているが、これはあなたの業界の足下だって揺さぶる話しなのですよ....」と記者を逆に脅すように話していた。これがすっごく印象的だったのです。そうなんだが、そこまで強調する必要はないだろう、と。新聞社もそんなことを言われなくってもデジタル技術は徐々に入れている。

 ソニーは、デジタルで夢を見ようとした。しかし、良い言えば先を見すぎていた、悪く言えば夢に踊らさせて現実が見えていなかった。多分このギャップにどこかで気づいたはずです。あまり評価もしていなかった液晶やプラズマのテレビ技術が世の中に受け入れられるのを見て、焦りもあったはずだ。

 ソニーが打ち出した一つの結論、それはデフレ対策という意味もあっただろうし、「アナログ技術への回帰」の気持ちもあったのでしょうが、けじめとして出てきたのがクオリアだったという気がする。「digital dream kids」に対する自らのアンチテーゼとして「クオリア」を作った。

 しかし、クオリアの一製品である016のカメラには欠陥があったことが公表されている。一品38万円のカメラ。故障など出てはいけない筈のものです。つまり、ソニーは品質も疑問にさらされる事態となっている。もともとソニーの製品は立て付けが悪い、よく故障する。

 政界と産業界で「出色」「異色」と言われた二人の優秀な人間、それを狂わしたのがインターネット、もっと広い意味でのデジタル技術だとすれば、ネットやデジタル技術は罪作りなような気もする。しかし重要なのは、そういう犠牲者を生みながらも、この技術は世界を徐々に、そして確実に変えるだろう、ということだ。この二人にも fight back のチャンスがないわけではない。それが救いですが。


伊藤洋一氏のホームページ 2004年1月10日のデイバイデイ

(私のコメント)
伊藤氏のホームページは1996年の7月からで私のホームページより1年先輩になります。インターネットがパソコン通信と違うところはホームページが持てることだった。しかしながら当時は電話代がかかりネットサーフィンなどしていたら月に数万円の電話代がかかってしまう時代だったので、ネットにホームページを開く人も少なかった。

私の当時の電話代も2万円から3万円もかけていた。株式情報を仕入れるためでしたから、株で儲けて必要経費として支払うと割り切らなければならなかった。現在では月に3千円そこそこで出来るようになったのでだいぶ普及してきましたが、ネットの敷居はまだ高く一般大衆のものとはまだなっていない。テレビみたいにスイッチを押せばすぐに出来るようでないと大衆レベルまでの普及は難しい。

政治家も最近ようやくネットの認識も広まってきましたが、お年寄りたちのネット普及が低いと言うことで、本格的ではない。加藤紘一議員も日頃からネットを利用していれば、ネットの利用者が極一部しかいないことが分かっていたはずだ。7千万人の有権者のうちでネットを利用している人は数百万人に過ぎない。まだ十分の一にも満たない。

だから加藤紘一議員がネットを過信して失敗したのも時代が早すぎたのだ。今から考えれば森首相が野中広務から辞任の圧力をかけられても、なかなか辞任しなかったのは今辞任すれば加藤紘一に首相の座が行ってしまうからであった。どうせ辞任するなら同じ清和会の小泉純一郎に禅譲することを考えていた。思惑通り加藤の乱が失敗し、橋本龍太郎も総裁選で馬脚を現すことにより、同じ森派の小泉氏に首相の座を譲ることが出来た。森喜朗は首相としては無能でも政局は玄人だ。

そのおかげで森派は衆議院自民党では最大派閥になることが出来た。加藤の乱が失敗したのも野中広務をあてにして、ネットを信用しすぎたためだ。おそらく、じっとしていれば森首相の自滅を待っていれば首相が転がり込んできたことだろう。当時森首相に対抗していたのは加藤紘一しかいなかった。

近い将来、ネットが政治言論活動の主力になることだろう。だから加藤の乱が失敗したところでネット時代の先駆けを加藤氏がした事になる。しかしネット人口はまだ僅かであり、ユーザーも若い年代に偏ってそれも男性が圧倒的で女性のユーザーは五分の一ほどだ。だから政策主張も革新的で過激になっている。

ネット先進国の韓国では、30代のネット世代がノ・ムヒョン政権を誕生させた。日本もこれからネット世代が増えるに従い、ネットを利用した政治家から首相が誕生してくるのは間違いない。しかし自民党議員でネットを有効に利用しているのは僅かで、民主党の若手のほうがネットを利用している。だから加藤紘一のやり方は正しかったが時期を早まりすぎたのだ。

私にしてもインターネットの可能性は認めても、、実際にどのような形で生かして行くべきか試行錯誤の段階で、テレビを超えるメジャーなメディアとなるためには、数多くの試行錯誤を繰り返さなければならない。情報をやりとりする媒体としては新聞やテレビよりもはるかにネットのほうが早くて質量共に優れている。日本はそれを活かしきれる人材の養成にネックがあり、私の「「株式日記」のような政治的な言論サイトはまだ非常に少ない。

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