【ソウル澤田克己】北朝鮮の朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省報道官は１４日、同通信記者の質問に答える形で、外務省の田中均外務審議官と薮中三十二アジア大洋州局長が１１日から１４日まで訪朝したと述べた。この中で、北朝鮮側は田中審議官らに対し、２５日から開かれる次回６カ国協議で日本が再び拉致問題を持ち出すなら「日本の協議参加自体を断固拒否するであろうし、すべてが壊れるだろう」と強調したと明らかにした。朝鮮通信（東京）が伝えた。

　田中審議官らの訪朝を北朝鮮メディアが伝えたのは初めて。北朝鮮は核問題と拉致問題を関連付けようとする日本側の動きを強くけん制すると同時に、拉致問題などをめぐる今後の日本との交渉を有利に進めるための布石を打ったとの見方が有力だ。

　報道官は、今回の訪朝は「日本側の要請」に基づくものだとしたうえで、田中審議官らが、金正日（キムジョンイル）総書記側近の姜錫柱（カンソクチュ）第１外務次官、第１回６カ国協議の首席代表だった金永日（キムヨンイル）外務次官と会談し、拉致問題や核問題について話したことを確認した。

　報道官は北朝鮮側の主張について説明したが、日本側の反応には言及しなかった。また、日本側は、日朝政府間交渉が継続協議で合意したと明らかにしたが、その点にも触れなかった。

　北朝鮮側は、拉致被害者５人が日本に残っていることを「日本側が約束に反して抑留している」と非難し、北朝鮮が「死亡した」と通告した拉致被害者の問題については「すべて解明しており、これ以上論議することはない」と断じた。

　さらに、日本の非政府組織（ＮＧＯ）が元在日朝鮮人や日本人配偶者計２０人余の北朝鮮脱出を手助けしているとして非難。北朝鮮国民に対する「誘拐・拉致」と決めつけて、速やかな送還を要求した。

　核問題については、北朝鮮が核施設を「凍結」させる見返りに、米国などがエネルギー支援などの「補償」措置を取るという北朝鮮提案は「日本のためにも有益だ」と主張。北朝鮮に対する経済制裁を可能にする日本の改正外為法の成立については「強硬には超強硬で対処する」という姿勢を改めて示した。

［毎日新聞２月１４日］ ( 2004-02-14-19:45 )

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20040215k0000m030025000c.html

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