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歴史は捏造できない、尖閣
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投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 3 月 24 日 23:17:42:WmYnAkBebEg4M
 

(回答先: 尖閣列島の名の由来 投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 3 月 24 日 22:48:52)

以下、1996年9月、ある掲示板に投稿した文です。現在領土問題をきっかけにナショナリズムを煽ろうとしているように感じられます。少しでもこの文が役に立てばと思います。

※それにしても、今読み返してみて、元資料を参照しながらですけれど、我ながらよく書いたと思います。確実に自分の脳細胞が萎縮しているのを感じます。


歴史は捏造できない、尖閣

 森園 清隆氏(QFF01446)が「尖閣諸島はだれのものか」検索キー:尖閣諸島
の中で、小生の掲示文を元に書いている。その中で、島名の呼び方のゆれを根拠に、中国領である事に疑問を投げかけている。いくつもの間違いが散見される。
 先ず、
》》 三国通覧図説には中国の名付けた3つの島しかでてきません。航海上の目標 
》》として知られていたそうです。だからめじるとして必要な3つの島さえおさえ 
》》ておけばよかったということですね。当時としては利用価値がない尖閣そのも 
》》のへ関心もひくく殆ど、放置されている状態のままだったと考えられます。
 と書いている。恐らく、小生の掲示した
「尖閣列島の名の由来
》 日本人の著した著書に釣魚島嶼が最初に出てくるのは林子平の「三国通覧図説」
》(1785年)である。その琉球分のところに釣魚、黄尾、赤尾の釣魚島嶼の名前
》が出てくる。残念ながら日本名の尖閣ではなくて(日本名の尖閣島が付いたのが明
》治33年だからあたりまえだが…)
の所を参考にして書かれたと思われる。小生は「釣魚、黄尾、赤尾」の名前を代表例として書いたけれども、それ以外の島名が無いとは一言も書いていない。他人の文をそのまま鵜呑みにして書くからこう言う事になる。「三国通覧図説」には中国本土よりから順番に、「花瓶嶼、彭佳山、釣魚臺(臺は台の旧字体)、黄尾山、赤尾山」と出てくる。いずれもが中国名であり、日本の先覚者が中国領と意識していたことが窺われる。『三国通覧図説』付図「琉球三省并三十六島之図」の現物のカラー写真で確認したから間違いない。
日本人よりも更に生活の根拠が近かった琉球人はこれらの島嶼をどう見ていただろうか。釣魚諸島の名が見える琉球人の書物は向象賢の「琉球国中山世鑑」と程順則の「指南広義」の二種しか現在までに知られていない。この両書とも島名を中国語で記載し、中国領と見なしている。
 文献では出てこないならば、琉球人の口碑伝説に何か出てくるだろうか。尖閣列島の名を1900年に初めて命名した沖縄県師範学校教諭・黒岩恒は、自身の論文「尖閣列島探検記事」の中で、明治18年(1885年)9月14日付けで、沖縄県美里間切詰め山方筆者大城永常が、県庁に差し出した報告書を引用している。それには、「魚釣(よこん)島と申す所は久米島より午未(うまひつじ)の間(南南西)にこれ有り、島長一里七、八合程、横八、九合程、久米島より距離百七、八里程」と出ている。魚釣(よこん)島と言うのは、方角距離から見て、釣魚島のことだ。琉球ではこの当時、中国語の「釣魚島」を日本語に置き換えて「魚釣島」と書き、その字に琉球語の音の「ヨコン」を当てていたようだ。なおこの「魚釣島」と言う呼び方は、最
初、琉球王国を滅ぼして沖縄県とした天皇政府の役人が考えついた命名のようだ。沖縄の人々は「ヨコン」(或いはユクンもしくはイーグン)と言っていたらしい。それを示す証拠として、前記「尖閣列島探検記事」に次の記述が出てくる。
「釣魚島、一に釣魚台に作る。或いは和平山の称あり。海図にHoa−pin−suと記せるもの是なり。沖縄にては久場島を以てす。されど本島探検(沖縄人のなしたる)の歴史に就きて考ふる時は、古来『ヨコン』の名によって沖縄人に知られしものにして、当時に在っては、久場島なる名称は、本島の東北なる黄尾嶼をさしたるものなりしが、近年に至り、如何なる故にや、彼我称呼を互換し、黄尾嶼を『ヨコン』、本島を久場と唱ふるに至りたれば、今俄に改むるを欲せず。」と書いている。ここには、釣魚島(中国名)が琉球では「魚釣」島と書かれていたとも、呼ばれていたとも書いていない。琉球人はこの島を「ヨコン」、黄尾嶼を「クバ」と言っていた。そして近年何故かその名が入れ替わったと書いている。
 また、沖縄本島那覇出身の琉球学の大家東恩納寛惇の「南島風土記」(1945
年)には、中国名の「釣魚島」とあって「魚釣」島とは書いていない。また、島名についても「沖縄漁民の間には、はやくから『ユクン・クバシマ』の名で著聞しているが、ユクンは魚島、クバシマは蒲葵(コバ)島の義と言われる」と言う。ユクン(或いはヨコン)が元の名か、クバシマが元の名かわからない。
 また、石垣市の郷土史家牧野清という人の「尖閣列島(イーグンクバシマ)小史」には「八重山の古老たちは、現在でも尖閣列島のことをイーグンクバシマと呼んでいる。これは二つの島の名を連ねたもので、イーグン島は魚釣島のことであり、クバ島は文字通りクバ島を指している。しかし個々の島名を言わず、このように呼んで尖閣列島全体を表現する習慣になっている訳である」と書いている。「イーグン・クバシマ」は釣魚一島の名ではなくて、釣魚、黄尾両島の琉球名であり、かついわゆる「尖閣列島」の総称でもあると言う。
 以上の各説を見ていると、釣魚台島嶼についての琉球漁民の間での呼び方が一定せず混乱しているのが分かる。19世紀のある時期までは釣魚がヨコン(イーグン)黄尾がクバであり、1900年頃には釣魚はクバ、黄尾はヨコンと呼ばれ、その後ま
た、何時のころからか、昔のように釣魚をヨコン、黄尾をクバと呼ぶようになり現在に至るという。一番身近であるべき琉球の人々の名称に混乱があること自体、20世紀以降もなお、その名称を安定させるほど琉球人とこれらの島の関係が密接でなかったことを推察させる。
 もし、琉球の漁民がしばしば出漁するほど島嶼と密接な関係があったのならば、島の名が一定していなければ、生活と仕事の上で漁民相互のコミュニケーションの為にも甚だ都合が悪い。自然と一定するはずだからだ。
 実際、生活と仕事の上で釣魚島嶼と密接な関係のあった中国の航海家や冊封使は、これらの島の名を「釣魚」「黄尾」「赤尾」と呼び一定している。この下に「島」、「台」、「嶼」、「山」と違った字をつけ、あるいは釣魚、黄尾、赤尾の魚や尾を略すことはあっても、その意味は同じで混乱はない。その他の島の、花瓶嶼、彭佳山についても同じである。陳侃や郭汝霖と同時代の胡宗憲が編纂した「籌海図編」(1561年の序文がある)には、化瓶山、彭加山として出てくるが、これらが花瓶嶼、彭佳山を意味する事は中国語を知っている者には直ぐに分かる。「化」と「花」は共に中国語では「hua」であり、「加」と「佳」は同じく「jia」で音が同じなのである。

追記 台湾や釣魚台列島と、西表島から沖縄本土に至る南西諸島の間には、2000mから4000mに及ぶ深い海溝が横たわっている。昔使った地図帳でもよいから引っ張りだして見てみれば直ぐに分かる。ここは対馬海流と日本海流(黒潮)の源でもある。早い潮流もあり、海が深いせいか波も荒い。船旅をしたことのある人なら分かるはずだ。昔の冊封使達はこの赤尾嶼(中国側)と久米島(琉球側)の間に横たわるこの海溝の辺りを、「溝」もしくは「郊」と呼び恐れた。そしてこの海域に入る時には、羊とか豚とかを生贄に捧げ、神に航海の無事を祈る過溝祭を行ったのである。そして、あたかも流れの早い川を渡る時のように潮流に流されるようにして「対岸」である久米島にたどり着いたのである。帰りは潮流が比較的弱くなる冬至のころを選んで久米島を北上し、やはり潮流に逆らわないようにして流されながら黒潮を渡ったようである。昔としては大型の冊封使の船でさえこれである。まして小型の琉球漁民の舟では何をか況んやである。もし釣魚島嶼に行くとすれば、一番可能性があるのは八重山群島の西表島あたりの漁民であろう。それも何かの事故でたまたま黒潮に流されて辿り着いたということではないだろうか。釣魚島嶼についての名称が20世紀以降の近世においても一定しない点に琉球の漁民たちが簡単に行けない所である事がよく表れているのである。

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