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火の粉をかぶるBBC [グレッグ・パラスト/TUP速報]
http://www.asyura2.com/0401/war47/msg/579.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 2 月 03 日 12:00:09:dfhdU2/i2Qkk2
 

Date: 2004年2月2日 (月) 午後11時54分
Subject: [TUP速報]248号 火の粉をかぶるBBC 2004年2月3日

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ブレア政権の情報操作疑惑と英国防省顧問の自殺の真相を調査していたハット
ン委員会は、政府に免罪符を与え、疑惑を報道したBBCを断罪しました。英
紙インディペンデントは、抗議を表すために、第1面中央に小さく4行『イン
ディペンデント(紙名)・ごまかし?(赤字アンダーライン)・ハットン報告・特
集号』の見出し、下部に何行かの記事書き出しを印刷しただけの真っ白な装い
で1月29日号を発行しました。

ふたりのBBC首脳に続いて、疑惑報道の発端を開いたギリガン記者も辞任に
追い込まれました。グレッグ・パラストが、逆境にある英国のジャーナリズム
に送るエールに乗せて、戦争の時代の報道人として、自らの覚悟を吐露します。


TUP 井上 利男
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『火の粉をかぶるBBC(英国放送協会)』
ハットン卿、情報操作疑惑を報道したBBCに対するブレアの攻撃を祝福

グレッグ・パラスト 2004年1月28日
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留守電には「もしもし」もなければ、名前も残されていなかった。メッセージは
「ごまかし」のひと言だけ。四面楚歌をかこつジャーナリストが、アイルランド
の沖合に漂う小島(訳注: 英本土ブリテン島のこと)の包囲された放送局、ロン
ドンのBBCの奥深い一室で呟いた声だ。ガーディアン紙の私の同僚からも電
話があった――「英国ジャーナリズムの未来は暗い」

だが、インチキで茶番の戦争宣伝は明るい未来で輝いている。今日、ハットン
卿はブレア政権による情報操作疑惑の真相を解明する調査の結果を報告した。

サダム・フセイン保有の大量破壊兵器がロンドンを即時攻撃できる脅威と言い
立てた、例の騒ぎだ。新聞のヘッドラインが戦争ヒステリーを扇ったのも、ブ
レア政権の宣伝が効いたからだ。『サダム、年内に核爆弾保有』と、ロンドン
タイムスが喚いた。『英国、45分で修羅場』と、大衆紙サンが叫んだ。

こんな“事実”を並べられて、“宰相ウィンストン”・ブレアは旧英国植民地
メソポタミアを再征服するしかないと合点しない奴は、バカか狂人、またはサ
ダムのシンパだけだろう。

だが本当は、こんなヘッドラインはウソ、それも特大のやつだった。BBCの
記者たちはアメリカ新聞業界の坊やたちとは大違いであり、このような生死に
かかわる主張の検証こそジャーナリストの義務であると考えた。

アンドルー・ギリガン、スーザン・ワッツ両記者が接触した大物情報筋、英国
および国連武器査察団のトップが、ブレア首相とブッシュ大統領が主張する大
量破壊兵器情報は「まったくの食わせ物」であるとワッツ記者に語った。ギリガ
ンはさらに踏み込んで、この「セックスアップ(煽情に磨きをかけた)」虚偽情報
は、ブレアの宣伝担当共犯者アリステア・キャンベルが一枚かんだデッチアゲ
であると報道した。

この情報筋の証言をどのように読んでも、証拠に戦争を正当化するだけの説得
力があるのか、諜報の専門家たちは心底から懸念していたことが分かる。

情報源は誰だ? デービッド・ケリー博士だった。ギリガンとワッツの取材記
事が放送されると、首相を筆頭に政府をあげて内部調査に乗り出した。政権安
泰のために、身内から諜報員の名を割りだし、報道の信用を落とそうとしたの
だ。

諜報顧問の名を表に出すのは大変なことだ。今アメリカで、CIA諜報員の名
を明かした人物を捜すために、特別司法検察官がホワイトハウスを徹底的に洗
っている。秘密を漏らしたブッシュの手先が見つかれば、監獄送りだ。

ブレアの政府は、ケリー博士の名を明かすほど無作法ではなかった。自らの手
は汚さず、それとなくヒントを漏らしたのだ。そうすれば、記者たちは『20
の質問』ゲームを始める。ケリーと答えると、政府がうなずく。質問を2回し
ても分からなかったのは、どうしようもなく鈍い記者だけだった(私はここで
記者を名指しするつもりはない)。

爵位を推されたほどの人物だったケリー博士だが、名をあぶりだされ、延々と
釈明を迫られ、暴露で経歴は台無しになった。結局、彼は自ら命を絶った。

だが今日は、ダウニング街10番地では服喪の日ではない。自己満悦の日であ
る。大量破壊兵器も、完成間近の核弾頭も、現代のロンドン大空襲を予告する
「発射45分前」爆弾もありはしなかった。この生情報を提供した亡命者グルー
プは45分報道を「与太話」と呼んでいる。それでもブレアの手下たちは立証で
きると開き直っている。

このお話は、大英帝国だけの「対岸の火事」では済まない。デービッド・ケリー
は英国だけの顧問ではなかったことを忘れてはいけない。国連の顧問でもあり、
ひいてはジョージ・W・ブッシュにとっても諜報専門家だったのだ。わがCI
Aが黙っていたので、われらが最高司令官はブレア政権が吹聴した大量破壊兵
器のお化け話に跳びついた。

さて、ハットン卿は真実の使者BBCを殺してしまった。ギリガン記者はもっ
と慎重に言葉を選ぶべきだったのだろうか? 批判にも多少の理はあるだろう。
だが、ギリガン、ワッツ報道のとてつもない意味が忘れられている――米英両
国政府は情報を歪曲し、今度は告発者を追いつめたのだ。

今や、第2次イラク侵略戦争が進行している。すなわち、英国放送協会の征服
である。従来、この特殊法人は、労働党と保守党とを問わず、どの内閣を相手
にしても、政府広報機関の役割を果たすことを拒絶してきた。

たった今、この地球で一番自由な主要放送網の独立性が攻撃されている。ブレ
ア政権は“無実”を勝ち取り、大威張りで首狩りに乗りだし、BBCの最高経
営責任者ギャビン・デービスを辞任に追い込んだ。

「英国ジャーナリズムの暗い未来」は、世界のジャーナリストにとっても、暗黒
時代の到来を告げる。硬派の検証報道を保証する最後の開かれた大前提が脅か
されている。実を言えば、私にとっても今日は不安な日である。私は利害関係
のない傍観者ではない。私のもっとも重要な究明報道は、アメリカのネット
ワークでは放送禁止同然であり、ほかならぬワッツ記者の番組「BBCニュー
スナイト」で制作・放送されているのだ。

ニュース番組が鉄のカーテンで閉ざされるのだろうか? 今日の夜明け前、ド
イツ装甲部隊がパリ防衛線を破る数時間前に、チャーチルがフランス軍司令部
に送った言葉を私は読んでいた。チャーチルは降伏の用意ができた人びとに向
かって、「君たちが何をしようが、いつまでも、いつまでも、永遠にわれわれ
は戦いつづける」と呼びかけた。今こそが、英国のジャーナリズムにとって「栄
光の時」なのかもしれない。

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[筆者] グレッグ・パラスト。ニューヨークタイムズ書評ベストセラー『金で
買えるアメリカ民主主義』(角川書店 2003年刊 貝塚 泉・永峯 涼訳)の著
者。BBCニュースナイト、英国紙ガーディアン特約、その他の記事の掲載サ
イト(英文): http://www.gregpalast.com
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[原文] BBC AT WAR: M'LORD HUTTON BLESSES BLAIR'S ATTACK ON BBC'S
INVESTIGATION OF IRAQ WAR CLAIMS
by GREG PALAST, Wednesday Jan 28, 2004
http://www.gregpalast.com/blog.cfm
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翻訳: 井上 利男 監修・協力: 星川 淳 + TUPチーム

http://www.egroups.co.jp/message/TUP-Bulletin/259

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