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IT技術と太陽光発電 [環境問題を考える]
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投稿者 なるほど 日時 2004 年 3 月 11 日 15:05:32:dfhdU2/i2Qkk2
 

No.117 (2004/03/09)
IT技術と太陽光発電

 2004年3月8日付大分合同新聞夕刊に、【ワシントン7日共同】として『パソコン1台の製造に水や燃料1.8トン消費』という記事が掲載されました。この記事の論調としては、「パソコンとはそんなに多くの資源・エネルギーを消費するのか!」と言う、多少驚きをもった内容のように感じました。
 しかし、これは当然の結果であり、さして驚くには値しないことです。まず定性的な議論を少し。工業生産とは、原料資源を燃料や水という『低エントロピー資源』を用いて加工する過程で、原料資源の不純物を取り除き、秩序を持った製品を作り出すことです。この過程で、投入された原料資源と製造に投入されたエネルギーや水などのエントロピーに加えて、更に生産過程で発生した新たなエントロピーが生じるため、総体として工業生産過程はエントロピーの増大過程になります。製造された製品は、秩序を持った低エントロピー状態にありますから、増大したエントロピーは環境中に捨て去ることになります。その実体が、廃熱であり、二酸化炭素であり、あるいはその他の産業廃棄物です。
 パソコンをはじめとするIT関連製品は、工業製品の中でも極めて高度な秩序を持っています。これは換言すると、工業生産過程において、それだけ多くのエントロピーを徹底的に取り除き、環境中に捨て去ることを意味しているのです。この意味で、IT産業とは、他の工業製品に比べて製品単位重量あたりのエントロピー発生量が極めて大きい、つまり環境負荷の大きい産業なのです。
 しかも、IT産業における技術革新は急速であるのは事実ですが、それに加えて産業界の需要拡大の意図によって、必要以上の新製品投入を繰り返し、実際には使用可能であっても、短期間に陳腐化し、廃棄され、微細構造を持つ故にリサイクルしにくい廃棄物を大量に生み出しているのです。IT化の推進は環境問題という視点から、極めて重大な問題の一つであることを確認しておかなくてはなりません。
 さて、今回の記事から少し具体的な数字を挙げておきます。記事によりますと「17インチディスプレーを持つパソコン1台を製造するには、240キロの化石燃料と1500キロの水、22キロの化学物質が必要」であり、「パソコン生産に必要な化石燃料は最終製品の重さの10倍で、自動車や冷蔵庫が製品のせいぜい2倍程度しか必要としないのに比べ、製造過程で環境への影響が非常に大きい」と述べています。これは前述のように当然の結果です。ここで注意しておきますが、LCA分析では、積算漏れがあるのが常ですから、実際にはこれよりも大きい可能性も否定出来ません。
 この記事の内容をもう少し詳しく見ておきます。パソコンはじめIT機器の中心はLSI(大規模集積回路)です。IT機器が他の工業製品に比べて化石燃料の消費が極めて大きい原因の一つは、LSI基盤となるシリコンウエハーの製造工程が極めて大量の電気を消費することです。
 さて、そこで太陽光発電です。太陽光発電の心臓部は太陽電池パネルです。それは一般的にシリコンウエハーで作られています。LSIにおいては、微細な回路製造技術によって集積率の向上が行われていますが、太陽電池パネルは、受光面積を確保しなければならないため、そのようなことは出来ません。シリコンウエハーを大量に必要とする太陽光発電システムが、製造段階で極めて大量の石油消費が必要なことは当然のことです。更に、その用途からして、常に屋外で紫外線を浴びることになれば、その寿命もそれほど長いとは考えられません。
 結果として、太陽光発電システムはその耐用期間中に、エネルギー供給技術としての最低の条件である、システムの製造・運用に投入されたエネルギーを回収することすら出来ないのです。それどころか、石油を中心とする化石燃料の節約にすらならないのです。これが、太陽光発電システムが高価であることの本質的な理由であり、それ故環境問題の改善に資することは出来ないのです。

http://env01.cool.ne.jp/frommanager/fm2004_2.htm#n117
http://env01.cool.ne.jp/index02.htm

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