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旧約聖書のビヒモスとレヴィアタン−「ランドパワーとシーパワーの対峙」ほか
http://www.asyura2.com/0403/bd34/msg/345.html
投稿者 へなちょこ 日時 2004 年 3 月 15 日 06:24:18:Ll6.QZOjNOr.w
 

『シーパワーとランドパワーの地政学』について、「環太平洋
連合」(http://www.boon-gate.com/12/)の著者である江田島
孔明氏と引き続き徹底的に研究・分析して行きたい。

■旧約聖書のビヒモスとレヴィアタン−「ランドパワーとシーパワーの対峙」■
(江田島孔明)

 ランドパワー、シーパワーという区分は旧約聖書のビヒモス
(陸の魔獣)とリバイアサン(大海獣)にもある。この両者に
つき以下の記述を参照してください。

http://www.vectorinc.co.jp/kokkasenryaku/index2.html

「ベヘモト、またはビヒモス(ベヒーモス)と呼ばれる。
レヴィアタンと同様、海から生まれたが、あまりに巨大な
ため、二匹が共に暮らすことができず神はビヒモスを地上
に上げデンデインという広大な砂漠に住まわせた。

 この二匹は最後の審判の日には互いに殺し合うことになっ
ている。その姿は、「尾は杉の枝のようにたわみ、腿の筋
は硬く絡み合っている。

 骨は青銅の管、骨組みは鋼鉄の棒を組み合わせたようだ。
これこそ神の傑作、創り主をおいて剣をそれに突きつける
者はない」(『ヨブ記』)と表されている。ベヘモトは本
来は河馬のような姿をしていると考えられたが、イギリス
の詩人ジェイムズ・トムスンが『四季』(1726年頃)で犀
であるとし、ウィリアム・ブレイクもそれに影響を受けた
ベヘモトを描いたとフレッド・ゲティングスは述べている。

『バルク黙示録』では、ベヘモトとレヴィアタンはともに
天地創造の第5日目に創られ、ベヘモトは男性の魔獣とし
て、レヴィアタンは女性の魔獣として結びつけられている。」
この旧約聖書の記述が意味するところは「ランドパワーと
シーパワーは相互不干渉を貫くべきで戦ってはならず、両
者が闘うとき世界が終わるときというメッセージであると
考える。」

 冷戦期のアメリカがとった抑止戦略はこの聖書の教えに忠実
に従い海上封鎖により相互不干渉を貫いた結果ソ連崩壊を惹起
しました。

 さらに、ランドパワーとシーパワーはわが国の古史古伝にお
いても天津神と国津神の時代から語られてることで目新しいも
のではなく、人類史を貫くテーマです。

 このように、「ランドパワーとシーパワーは相互不干渉を貫
き棲み分けるべし」、というのが聖書の時代から現代にいたる
までの歴史を貫く黄金律であり、これを破った過去の世界帝国
は全て崩壊してます。

■聖書に警告されたユーラシアの禁忌
”ハートランドのものはハートランドにリムランドのものはリムランドに”■(山本英祐)

"QUAE CAESARIS SUNT,CAESARI ET, QUAE DEI SUNT DEO"
”カエサルのものはカエサルに、神のものは神に”(ルカ書20章)

 仰る通り、ユーラシア大陸の外延部(西欧・地中海世界)リ
ムランドや島嶼部海洋国(米英アングロサクソン,日本)がハ
ートランド(ロシア・中央アジア・中国)に深入りすべきでは
ないことは古代から聖書にも表されている様です。

 地政学者ハルフォード・マッキンダー卿が定義した、欧州・
地中海世界などユーラシア外延部や島嶼部に対立する、ユーラ
シア大陸中央部の聖域『ハートランド』地域の脅威は、決して
近代に認識されたものではないようです。

 古代より、即ち旧約聖書の時代から当時の文明圏であった地
中海世界地域(小アジア、中東、欧州)で知られていたようで
す。

 キリスト教・ユダヤ教、イスラム教の3大一神教の経典であ
る聖書には旧約と新約両方に『ユーラシアのハートランド地域
に相当する』最終的に世界を脅かし破滅させる『悪の軍勢』と
して、『ゴグ』と『マゴグ』というなぞめいた存在が執拗に登
場します。

 ゴグやマゴグは聖書考古学上では黒海、カスピ海のある、ロ
シア中央アジア地域を指すものと考えられています。ちょうど
マッキンダーが定義したユーラシア大陸内陸部ハートランドに
まさに相当する地域です。

   ”人の子よ、マゴグの地のゴグ、すなわちメシュクとトバルの
   総首長に対して顔を向け、彼に預言してこう言いなさい。
   主なる神はこういわれる。
   「メシュクとトバルの総首長ゴグよ、私はおまえに立ち向かう。」(中略)
   ゴメルとその全ての軍隊、北の果てのベト・トガルマとその全ての軍隊。”
               (エゼキエル書38章)

   ”サタンはその牢から解放され、地上の四方にいる諸国の民、ゴグとマゴグを
   惑うわそうとして出て行き、彼等を集めて戦わせようとする。”(黙示録20章)

   ”マゴグは黒海とカスピ海の間に位する地。なおラビ伝説においては、
    この二つの地名は常に神の敵の代表者として出てくる。”
               (フランシスコ会聖書研究所注釈より)

 古代イスラエルは地中海に位置する”一大海洋貿易国”でし
た。栄華を極めたソロモン神殿も、また世界に並ぶものの無い”
賢者ソロモン大王”の莫大な富も地中海海上貿易で蓄積された
ものです。ソロモン大王は隣国ティルス(フェニキア)と同盟
を結び、”タルシシュ船団”と呼ばれる貿易艦隊を組織し、ス
ペインやアラビア半島やアフリカ果てはインド方面まで交易を
行っていました。

 上記ユダヤのラビ伝承で明らかなように、海洋地域である地
中海世界にとって、ゴグやマゴグの地、ユーラシア内陸部は地
中海世界にとって、非常に対処が難しい地域であり、未来のあ
る時期あるいは、世界の終末において地中海世界に災いをもた
らせる悪の軍勢であるという認識を持たれていたようですね。

 実際、古代地中海世界全体を支配し覇権栄華を極めた『ロー
マ帝国』もユーラシア内部からのゲルマン族やフン族の民族大
移動により瓦解させられました。

 また歴史的にはユーラシア中央部を制覇したモンゴルのロシ
ア東欧への侵入なども白人にとって大きな脅威でした。

 印欧語族であるゲルマン族は、聖書創世記に登場するヤフェ
ト(白人の祖)の息子で、アシュケナズの兄弟であるゴメルと
の関連性を考古学的に指摘されています。

*ゴメル:Gomer(アッシリアの碑文ではギミライと記されて
いる)とキンメル(Kimmer)族の語音類似性等)

 ゴグに関連するメシュクとトバルというのもヤフェトの子供
であり、ロシア中央アジア地域に居住していた部族です。言語
学的にマゴグ(Magog)はモンゴル(Mongol)の語源ではないかと
う学説もあります。

 このように「ゴグ」と「マゴグ」は、考古学的に見てもロシ
アからモンゴル・中国に至る、ユーラシア中央のハートランド
地域に相当します。

 思うに、ハルフォード・マッキンダー卿の「ハートランドを
制するものがユーラシアを制し、ユーラシアを制するものが世
界を制する」という地政学的テーゼも、その思想的根源はこの
『聖書』から来ているのではないかと私は考えています。

 かつてレーガン大統領はユーラシア大陸に君臨したソビエト
帝国を『悪の帝国』と呼びましたが、「悪の帝国」(Evil
Empire)と言う概念もまた極めて聖書神学的用語で、ユーラシ
アに君臨した旧ソ連東欧諸国をゴグ・マゴグという終末的悪の
帝国に結びつけているようです。

 このように、ハートランドという言葉に象徴されるユーラシ
ア中央部とはまさにゴグとマゴグの聖域です。ハートランドへ
のマッキンダーの恐怖感も聖書にけるハートランドの終末的攻
勢に対する恐怖感を根底にしているのではないでしょうか。

 欧米人の思想や思索の根源は「聖書」です。日本人があまり
知らない秘密のひとつとして欧米人(カトリックせよプロテス
タントにせよ)エリートたちは聖書をベースに未来を見極め戦
略を立ています。良くも悪くも。

 ネオ・コンサヴァティヴの元祖、レオ・シュトラウスも、そ
の弟子のフランシス・フクヤマもヘーゲル哲学的世界史の完成
を理想としていました。ヘーゲルは創造主的神の概念を否定は
しませんでしたが、世界が歴史的必然として弁証法的な完成に
至ると言う思想体系を構築しました。すなわち「世界精神」の
必然的歴史的完成を主張しました。

 そしてそのヘーゲル哲学は理神論的哲学概念に強い影響を与
え、欧米の思想界や政治運動に大きな影響を与えました。

 マルクス主義的歴史観も全くこのヘーゲル哲学のコピーです。
世界史を歴史段階に分け、最終的にプロレタリアートが世界を
支配するユートピア的共産主義社会完成を提起しました。

 このような思想的潮流を理解すれば、アメリカによる新世界
秩序とかグローバリズムとか呼ばれているものは、良くも悪く
も弁証法的必然的かつ聖書的世界完成を狙っているように思え
るのです。自分たちの力を過信した人達により。すなわち、戦
争を計画しながら世界に君臨する帝国を世界史の必然的完成の
ために完成させる必要があるわけです。

 そういえば、ブッシュ大統領もケリー候補もイエール大学出
身で、名門学生クラブの『スカル・アンド・ボーンズ』のメン
バーでしたね。彼等エリートのボーンズメン達は果してアメリ
カと世界を一体どのような方向に持って行くのだろうか...

 一方、欧州は欧州で、戦後、シューマン首相もアデナウアー
首相もデ・ガスペリ首相もそうした聖書的未来が分かっていた
ので、独仏伊そしてベルギー首脳で心を一つに合わせてカトリッ
ク的精神による欧州統合を行ったわけです。

 但し、残念ながら現在のEUは当初の精神と方向性を見失い
失敗する運命にあります。

 近代の歴史的を見ても、欧州・地中海世界がハートランドの
ロシア・東欧地域に進出・侵攻して成功した事例はありません。
ナポレオンはロシア遠征で大敗し敗北した。

 ヒットラーもソ連侵攻で敗北しナチスドイツは崩壊しました。
伝統的なドイツの東方進出政策は明かに問題があります。

■国家は「戦略的二正面作戦を避けよ」■(江田島孔明)

 つまり、国家は「戦略的二正面作戦を避けよ」というのが基
本姿勢であり、それは、今現在「二正面作戦」をする能力があっ
たとしてもいずれは破綻するものです。

 例として、英国は伝統的に大陸欧州への関与を避ける孤立政
策をとっていたときが一番栄えてました。根底にはユダヤ人に
よる大陸欧州のパワーバランス戦略があるのです。

 リデルハートも百年戦争の歴史から、「英国は大陸に戦略の
幅を狭められるような利権をもつな」との名言を残してます。
逆に二度の世界大戦のように、大陸欧州への関与は英国の決定
的衰退をもたらしました。

 日本にとっても同様で、戦前の半島併合から満州事変、シナ
事変へと突き進み、結果として国家破滅を招きました。戦後の
発展はこれら大陸の不良債権を一掃したことから可能になった
のです。

 これだけ、歴史的に前例がある「海洋国家の大陸進出」につ
いて、何故、人類は教訓を汲みとらず、現代でも同じようなこ
とを繰り返すのか?

 私見ですが、これは、ある意図をもって、当該国を滅ぼすた
めに政策を誤らせた集団がいたとしか思えません。それが誰か
は一概に言えませんがその国家が大陸進出により破滅すること
で一番利益を得た勢力といえましょうか。

 そして、このような視点で現在の世界情勢を概観するに、米
英豪日という海洋勢力とEU中露といったユーラシア大陸勢力が
中東で覇権を争っていることが分かります。これは歴史的かつ
地政的視点からみると、ユーラシアハートランドへの進出にあ
たり、ナチスやソ連あるいは元やアレクサンダーをみても分か
るとおり、全て失敗している下策なのです。

■日本は『自らの海洋国・海軍国と言う国家アイデンティティーを冷徹に捉えよ』■
(山本英祐)

 大英帝国が植民地政策に成功し一大海洋国家となれたのは、
ハートランドvsリムランドの地政学理論に基づき、ハートラン
ドを包囲する形で、海外膨張政策を進め、3C政策に象徴され
るユーラシア大陸外延部である、アフリカ、エジプトからイン
ド洋に至る海洋補給路と港湾確保による植民地政策を行い、海
軍によるシーレーン確保の制海権政策を取り得たからでしょう。

 英国の成功は極言すれば、『自らの海洋国・海軍国と言う国
家アイデンティティーを冷徹に捉え、地政学的理論にもとづい
た無理のない極めて論理的合理的な拡張政策を取った』からだ
であるとおもいます。

 ハートランドへの進出やハートランドとの直接的戦闘をさけ
た見事な”包囲封じ込め”政策です。

 英国が無理やり、欧州内陸部に軍事攻撃をかけるような愚を
犯していたら間違いなく大英帝国は失敗していたでしょう。特
に英国の地政学的外交政策の最大の成功は『日英同盟』でした。

 ユーラシア大陸のハートランド国家であるロシアを抑えこむ
ため、ユーラシア大陸の果てに位置する海軍国の日本と同盟を
結び、ロシアの膨張を抑え、更には日露戦争で強敵ロシアを倒
した戦略は、まさに地政学的戦略の一大成功事例です。

 一方ユーラシア奥地に進出を図った大日本帝国は無残に敗北
した。シベリア出兵、シナ事変、戦前のシナへの企業投資など
結果として日本は国力を消耗し最終的に全てを失いました。

<参考資料>

●国際派日本人の情報ファイル
   地政学大変動時代:
 「日米欧三極同盟」で「中露朝」を封じ込めよ (1)(2)(3)
 EUを滅ぼす『ユーラシア連合』という悪夢
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000793.html
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000796.html
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000799.html

●国際派日本人の情報ファイル
『欧州の陽のもとに』(1)、(2)
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000693.html

http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000696.html

●国際派日本人の情報ファイル
『英国ウインザー王朝の落日』
http://melma.com/mag/56/m00000256/a00000802.html

●国際派日本人の情報ファイル
   『3つのローマ帝国(1)』
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000733.html

●国際派日本人の情報ファイル
   『3つのローマ帝国(2)』
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000754.html

● 国際派日本人の情報ファイル
「聖書の暗号」中東戦争は回避できるか?
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000636.html

●国際派日本人の情報ファイル
日欧の英知で『アメリカ流構造改革』に変わる新経済規範の樹立を(1) 
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000742.html

●国際派日本人の情報ファイル
日欧の英知で『アメリカ流構造改革』に変わる新経済規範の樹立を(2) 
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000745.html

●国際派日本人の情報ファイル
日欧の英知で『アメリカ流構造改革』に変わる新経済規範の樹立を(3)
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000748.html

●環太平洋連合
江田島孔明著
http://www.boon-gate.com/12/

●「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
http://www.melma.com/mag/06/m00045206/

●太田述正の時事コラム
(元防衛庁長官官房防衛審議官のコラム)
http://www.ohtan.net/column/index.html

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