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11歳の天才少年がエイズ治療薬を開発か インド (2)(X51)
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投稿者 エンセン 日時 2004 年 6 月 19 日 19:18:57:ieVyGVASbNhvI
 

(回答先: 11歳の天才少年がエイズ治療薬を開発か インド(X51・TheTribune) 投稿者 エンセン 日時 2004 年 6 月 17 日 16:53:40)

 
2004年06月18日
MEDICAL : 11歳の天才少年がエイズ治療薬を開発か インド (2)

【注】この記事は今から3年前の2001年9月、アクリト・ジャスワル君と(写真)父親のジャスワル氏が米国のデンバーを訪れた際に現地で取材を受けた時のもので、その当時に書かれた記事です。

【WestwoodNews】青い蝶ネクタイをまいてストライプのシャツを着込み、綺麗に髪を整えた少年、彼が首からぶら下げているのは聴診器である。ビデオカメラがセットされ、キューがでるなり、診察台の向こうに立つアクリト・ジャスワル君は、解剖学書を片手にカメラを見つめ、ゆっくりとこれから行われようとする手術の手順を語り始めた。両親は所在なさげに辺りをうろうろしている。少年はこれから外科手術を行おうとしているのだ。患者としてではない。少年は目の前に横たわる8歳の女の子の手術を、医師として行おうとしているのである。「今日は貧困な人たちのお世話をする事が出来てとてもうれしく思っています。」少年はややどもり、父親に何度かめくばせをする。「自分一人でデュプュイトラン拘縮(手と指の手掌面にある手掌腱膜の肥厚と短縮を生じる疾患)患者の手術を行う事が出来て、非常に感謝しています。」そう話すアクリト君は、この時まだたったの7歳である。

7歳の医師、8歳の患者

患者の少女はまだ幼い頃に料理鍋の下に潜り込み、手に激しい火傷を負っていた。彼女の指は手の掌に握り込まれた状態で結合してしまったのだ。そしてある日、彼女の父親はアクリト君の父親、クルワント・シン・ジャスワル氏の元を訪れ、助けを求めた。少女の父親は書類にサインし、ジャスワル氏は息子が手術を行うことに同意した。手術用具が購入され、部屋が用意された。ビデオクルーを雇って一部始終をビデオにおさめることにした。こうして全ての準備が整ったのである。

そして2000年の11月19日の午後早く、アクリト君はまだ大きすぎる神聖な白衣を着込み、手術台へと向かった。アクリト君はまず静脈注射で局所麻酔を行い、メスを用いて患部となる組織を慎重に切り取った。そして手を広げ、張り付いた指を切り離したのである。父親のジャスワル氏、そしてアシスタントはその様子を落ち着かない様子で見つめた。そして手術が山場を超えたとき、少女はうめき、暴れ、いよいよ泣き始めたが、アクリト君はマスクを下ろし、手袋を外して手術を終えた。それはたった40分の、しかし少年にとっては余りにも長い、出来事だった。(写真はビデオの様子)

しかしそれから数日後の事である。手術を受けた少女は父親の隣に座り、まだ手には包帯を巻いてはいたが、父親は満面の笑みで少年に頭を下げ、その手を固く握りしめた。アクリト君は小さくうなづき、微笑んで言った。「全ての人に安らかな健康を。」


彼はそれまでに正式な医学教育はもちろん、学校教育すらもまともに受けたことはなかった。しかし、父親のジャスワル氏はそんな息子のことを天才医師の素質がある、と固く信じていた。事実、アクリト君は幼い頃から医学書を読みあさり、手術を見学し、実験を行い、薬を処方し、さらにはガン治療を行うための薬を開発していると主張し続けてきた。しかし、このまだ幼い天才医師は、その知識をほかの医学者たちと分け合うことが出来なかった。少年は他の医師達がしゃべることを十分に理解できなかったのだ。

父親のジャスワル氏によれば、アクリト君は「年齢差別」の犠牲者であるという。インドでは17歳以下の子供は医学学校に入学ができないからである。まだ8歳のアクリト君はこれまでただ、相応な年になるまで待ちなさい、と言われ続けたが、父親のジャスワル氏にはそれが耐え難いことであると話した。

「もしも彼の才能がきちんと調査されて、評価を得られれば、彼は医学学校か医大に入学できるはずでしょう。私は息子が癌治療を行うことが出来ると信じています。しかし、彼にはそこで働く許可がないんです。せめて息子にチャンスを与えてあげてほしいんです。」

そして8月のある日、アクリト君は米コロラドのデンバーにいた。ジャスワル氏は家財や土地の一部を売り払い、米国を訪れたのだ。しかし、当然そんな彼らに観光や買い物を楽しむような余裕はなく、彼らはただただモーテルの一室で映画を見るなどして、少年を検査してくれるという人物、リンダ・シルヴァーマン博士を待ち続けた。父親は彼らが息子に正当な評価を下し、インドで閉ざされた研究への道を米国で切り開こうと考えていたのだ。

「この子は本当に特例的な存在だと思います。しかし、それを取り巻く環境が追いついていけないんです。」安モーテルの一室に腰掛け、父親のジャスワル氏は語る。


神と呼ばれた少年

1993年4月23日、アクリト君は生まれた。少年は決して床を這わず、おしめをつけたこともなかった。生後10ヶ月にして一人で立ち上がって歩き、しっかりとした言葉を話した。3歳の時には既にシェークスピアを復唱し、トマス・エリオットを読みあさっていた。「息子は幼い頃から決して学ぶことをいやがりませんでした。」経済学博士でもある父親のジャスワル氏は語る。「まるで大人のようでした。とにかく飢えたように、あらゆる本を読んでいました。」

そしていつからか、アクリト君の飽くなき好奇心はやがて医学に集中し始めたのである。アクリト君は父親や同級生の友達に人はいかにして死ぬのかを尋ね、ある日、「生物学の本が欲しい」と父親にねだったのだ。そうしてアクリト君はグレイ解剖学書(Gray's Anatomy)をはじめ、手術学書、麻酔学書、人体解剖学書や医学生理学書などを収集し始め、それらを一日一時間、集中して読みはじめた。

「まるで、写真に映すように記憶するんです。おそらく僕が使っているのは集中力、それだけです。」アクリト君は自らの読書をそう説明する。

「私たちは息子が一体何を学んでいるのかさっぱりわかりません。でも私は息子はたしかに科学者だと思っています。我々が息子に何かを教えることは出来ません。彼は彼だけの、彼独自のシステムを持っているんです。私に出来るのはただ息子に本を買い与えて上げることだけなんです。」

そう語るジャスワル氏は息子の才能を知って以来、全力で彼を支援することに努めてきた。首都ニューデリーでのビジネス・アドバイザ−としての仕事を辞め、実家であるヒマチャルプラデシュに家族ごと帰郷した。そして父親は尋常ならざるIQスコアを持つ息子の教育に専念し続けてきたのだ。少年の余りにも逸脱した能力はもはや通常の学校では荷が重いことを悟ったジャスワル氏はハムレットと名付けた独自の少数精鋭学校を設立し、彼ら両親を含む数人の教師が200人程度の児童を教育する私設学校を建てたのである。そしてアクリト君はそこで3歳の時から学び始めたが、もはやそこでもアクリト君の能力は逸脱し、他のクラスメイトを圧倒してしまったのだ。

「息子は常に一番最初に理解して、最初に挙手するような存在でした。息子は私のことをこれまで一度もパパと呼ばず、常に先生(Sir)と呼んできました。彼はとにかく、自分の勉強に本当にひたむきなんです。」

そしてその2年後、アクリト君は5歳にして英語と数学を教える立場となり、ジャスワル氏によれば、「息子はその時既に私よりもいい教師になっていた」と語っている。しかしまた一方でアクリト君はとにかく彼の専門である医学にのみ専念し、生活云々といった一切の事に興味を示す事はなかったと話している。

「僕にはとにかく医学、それだけです。」

そう語るアクリト君の夢は「神経科医かもしくは腫瘍学者になること」であると語っている。「癌はとにかく特別なものです。そしてそれが僕の使命でもあります。これまで多くの医師達が何度も挑戦し続けていますが、未だに治療方法は見つかっていません。しかし、これは確かに治せるんです。絶対に、100%治すことが出来るんです。そしてその方法を僕は必ず確立します。」アクリト君は語る。

そしてジャスワル氏はそんな息子のために彼専用の小さな図書館、そして間に合わせの研究部屋を作った。部屋には膨大な数の教科書、解剖図、顕微鏡や手術用の切開器具などが並んでいる。またさらにアクリト君に教師となるべき医師達を紹介したが、彼らはアクリト君の動物を使った実験手術における手捌きを見て一様に感心していたという。

「家族で養鶏場に行って、生きた鶏を購入しました。そして息子がそれを徹底的に解剖してから、皆で食べましたよ。」文学修士の資格を持つ母親のラカシャ・クマリ・ジャスワルさんは語った。


しかしその後、アクリト君の噂は村中に広がり、少年を一目みようとたくさんの村人が彼らの家に押し掛けるようになった。彼らは少年のことを神であると考え、またある長老がアクリト君のことをドイツの名医の生まれ変わりであると話したのだ。「でも息子はそういうようにアイドル扱いされる事を本当に嫌っています。息子はそういったことに一切耳を貸しませんね。」ジャスワル氏は語った。

しかしまたアクリト君はその後徐々に彼の元を尋ねてくる人々の治癒を行うようになった。「息子は貧困で治療が出来ない人を見て以来、本当に助けたいと思いはじめたようです。」父親は語る。

そうしてアクリト君は医学書を片手にそうした患者の症状をまず医師達と議論した上で、これまで1000人以上の患者に薬の処方を行ってきた。脳の障害に苦しむ患者、足の病気を患った老婆など多くの患者を治療し、さらに口唇癌の患者をたった2週間で治療したこともあったという。

またジャスワル氏によれば、彼の下を訪れる患者達は皆、彼の年齢、そして彼がこれまで一切の独学で医学を学んできたことを承知の上で訪れていると話している。

「インドの人々は彼のことを受け入れています。これは、彼ら自身の選択です。これまで一切文句や不満を言われたこともありません。それに息子の下を訪れる人々は皆経済的に困窮し、体も弱り果てています。息子はそうした人々のことを決して見放しにすることができないんでしょう。でも、これは賢いことだと思いますか?」ジャスワル氏はそう記者に尋ねた。

「いや、確かにこれは違法な行為なんです。でもアクリトはこれまで何度も外科医と会って話し、彼らの手術を見学し、議論を行ってきました。息子はその都度学び、理解しています。何だって起こりえるんです。私にはただ神に祈るしかありません。」

そしてジャスワル氏は鞄の中からアクリト君と患者のスナップ写真を取り出した。そこには少年が薬剤を取り出している姿が映し出されていた。「息子はインドの、そして世界のあらゆる薬を知っています。」

そしてまたジャスワル氏は息子が手術を行う様子を納めたビデオを使って、息子の技術を認めてもらう手段としていると話したが、それが確かに異常な事であることを認めている。また彼はそうした手術 - それは時に目をやるのも億劫になるような - の様子をビデオに納めることが自分の義務であると語っている。

「でも、そんな見るのも辛いような手術を、息子は自分の手で、実際に行っているんです。本当に勇敢で、私はただ驚かされるばかりです。私はただ震えていました。そして息子はメディアに対して、これまで行われていた形成外科手術をシンプルな方法で行ったと話しました。違法にせよ、何にせよ、そうして彼は自分の才能を証明したんです。とにかく、いずれにせよ腕だけは確かなんです。」

またジャスワル氏はこれまで息子のことを伝えるために大統領にすら会いにいったこともある。しかし、そこでも彼の要求は断られた。息子を医大に入れることはまた拒否されたのである。「息子は皆に感謝されました。しかし、入学自体は拒否されたんです。皆あまりにも忙しくて、誰も私たちのことを助けてくれないんです。私たちは法律と戦うことまでは出来ません。」


メディアの批判

しかし一方ではインドのメディアはそうしたジャスワル氏の行動を危険視し、自らのかなえられなかった医師への夢を息子に託しては息子の手柄を自慢し、「少年は童謡を歌ってもらったことすらなかった」としてジャスワル氏の事を辛辣に批判したのである。

1998年、The Pioneer紙には「The Ex-child」という題名で、心理学者ジテンドラ・ナグパル氏の発言を引用した以下のような記事が掲載されている。

「これら全ての父親の行動はアクリト君の人生を台無しにするものです。少年は両親を除いて、電話をする友達もいなければ、学校にも行かず、何ら社会との接点がないでしょう。少年の記憶能力は抜群であることは認めたとしても、その分析能力は凡庸なものなのではないでしょうか?この少年の心理的発達の遅れは知的発達の代価となってやがて現れることでしょう。若年における急激な知性の発達は大抵の場合、途中で燃え尽きてしまうことが多いのです。」

またインディアン・エクスプレス紙に掲載された記事ではマウラナアサド医学大学教授ヴィシュワジート・ロヒル氏が以下のように語っている。

「少年の学んだものはほぼ全て、医学書、そして単なる暗記にすぎません。彼は組織の中で学ばなければならないでしょう。また個人的な見解としては、彼の両親が少年に対してかけているプレッシャーは相当なものだと思います。」

またデンバーで彼ら親子に面会したシルバーマン博士らもそうした記事と同じような心配を抱いたと話している。それは、彼ら親子がお互いの幻想を共有しているのではないかという危惧である。うまく行けば、あるいは確かに父親の望み通り、アクリト君は世界最年少の医師になれるかもしれないが、最悪の場合、それは8歳の少年がお医者ごっこを - それも生きた患者の上で - 行っているのではないか、と話している。

「非常に考えさせられました。彼ら親子の関係は、これまで私が見てきたあらゆる親子と異なっています。これまで私が見てきた親は、そうした大人びた子供を持っていても、皆やがて子供が実はまだ子供の体で、そして子供の経験しか持っていないことを認識します。

そして子供たちには子供たちなりの部屋を作り、外で遊ばせるようにします。そして外の世界で体験することは何でも、彼らの社会的経験の習得に結びつき、同時に親自身も子供たちの適切な環境を知る事になるんです。でも彼らのように、子供にやらせたいことを押し付けて、型通りの場所に押し込めているの今まで見た事がありません。

私にはアクリト君は彼の父親が望んでいることを行っているように思えてなりません。確かに少年はいくらか他の子供達に比べていくらか大人びていると思います。しかし私が疑問なのは、本当にアクリト君が無免許で手術を行っているのかということです。ジャスワル氏が行っているんじゃないかとすら思いました。」


父親の戦い

また取材以前にシルヴァーマン博士はアクリト君を調査している。守秘義務の為に彼女は詳細を明らかにすることはしなかったが、ジャスワル氏はその結果を聞かされ、ひどく落胆したと話している。

「彼女は私たちの全てを否定しました。でも私は彼の知識、そして彼の技術を知っています。何も知らない人に知ったようなことを言われたくありません。」また更にシルヴァーマン博士はアクリト君を天才教育機関に進むよう勧めたものの、ジャスワル氏はあくまで息子は医学大学に行きたがっている、としてそれを拒否した。

そしてジャスワル氏はまた一枚のレポートを取り出した。それは同年7月13日、インドはニュー・デリーにて心理学者O.C.カシャプ博士が行った検査の報告書である。報告書には、アクリト君は「自信に満ちており、将来の展望に関して誇大な自信を持つ事もあるかもしれないが、心理的異常は一切見当たらない。また非常に優れたIQを示している。この少年はほとんど類を見ない高水準な能力を示しており、然るべき機会があれば、さらに高い能力を発揮すると考えられる」と報告されていた。

またジャスワル氏は彼ら親子を批判するメディアに向け、記者会見を開いたこともあった。そこでジャスワル氏はアクリト君が他の子供達と遊んでいる写真を報道陣に見せ、またアクリト君に童謡を歌うようお願いし、アクリト君はそこで実際に童謡を歌ってみせた。

またアクリト君は自分の好きな映画をリストし、野球やサッカーが好きなことを話した。そして最後に好きな玩具は?との質問に冗談っぽく「解剖器具」を選び、次いで「おもちゃの鉄砲」を選んでみせては「僕は恐竜を作りたいんだ。本物の竜と本物の恐竜。僕はやってみせるぞ。」と語った。

「勉強を除いては、彼は普通の子供です。子供達はいつも彼のところに遊びに行こうよ、なんて誘いにきてくれます。」母親は語った。またジャスワル氏はメディアの批判に対し、彼ら夫妻がアクリト君に何ら強制していないことを強調した。

「逆に、彼が私達を動かしてるくらいです。彼は自分で決定して、自分で行動します。彼は常に自分にどうしたいか話してきますし、私が彼に何かを強制したことはありません。彼は自分でやりたいことをやっているにすぎません。彼自身の欲求です。私がどうやってそれを止めさせられるでしょうか?彼は私の息子です。本当に愛しています。」

そしてまた、ジャスワル氏はこれまでを振り返り、アクリト君の能力を育てるために行ってきたことは時に財政的に、また感情的にも非常に辛いこともあったと話している。「しかしそれだけの犠牲を払う価値はあったと思っています」ジャスワル氏は語る。

「私が彼の才能を伸ばしてあげることは、父親としての私の義務だと思っています。しかしこれから先、様々なシステムと法律のために、私が彼のために何をしてあげられるかはわかりません。でも私は挑戦しなければなりません。そして後は神に祈るだけです。とにかく今は様々な助けを必要としているんです。」

このように苦渋に満ちた今回の渡米結果にも関わらず、ジャスワル氏は今後も息子のために戦い続けると話している。家族は現在インドに戻り、ジャスワル氏は再び息子を医学大学に進ませるための努力を行っているという。

そしてデンバーを離れる直前、ジャスワル氏はこう語っている。

「誰も息子の知性を殺すことはできません。誰も彼を止めることはできません。私の仕事はこれからです。人生とは、戦いです。」

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