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エクソダスか、あるいは留まるべきか。
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投稿者 如往 日時 2004 年 5 月 21 日 18:04:03:yYpAQC0AqSUqI
 

(回答先: 再び、東北原人さんと如往さんへ(表土喪失の現状) 投稿者 愚民党 日時 2004 年 5 月 19 日 06:48:03)


 愚民党さん、レスが遅くなりましたことをお詫びいたします。
 そして、これは主に愚民党さんの<政治に覚醒するのではなく、政治の眠りにつき 今はただ、日本国家液状化災害から、おのれの身体を守ることこそ、自衛と自己責任である。>への応答です。


 先ず、東北原人さんが模索されている通りエクソダスも可であり、むしろ必要なことではないでしょうか。今の閉塞状況を打破するには、勿論内側からの働きかけや震動も必要ですが、外側からの作用や衝撃も重要であると思量しています。目的がNGOやビジネスと多様であっても20代、30代の人達がどんどん海外に出ていくことによって、それぞれの状況下で活動し思索して世界の中の日本を捉え直すこと、またそうした人物の存在自体が国内の改革運動に呼応するファクターの産出にも繋がってゆくと考えられます。

 私は網野史観によって現状の非対称性を済うものを古の日本的なethosに求めることは難しいと残念しましたが、それには卑近な例では源泉徴収制度を克服できない日本人の心性にたいする失望感も起因しています。
 源泉徴収制度にたいし何となく不満を感じながらも、謂れを問わない日本人の心性とは一体何なのでしょう。現行の源泉徴収制度は戦時体制の只中で行われた1940年の税制改正を起源にすると云われています。つまり、戦費調達のために導入されたものですが、戦後GHQはこの税制改革や官僚改革には手をつけず、源泉徴収制度や戦前の制度を支えた官僚機構は温存されることになります。
 源泉徴収制度によって給与所得の完全な捕捉が可能になり、直接税中心の財政施策が遂行されることになったのですが、これは逆に国民の有権者意識の希薄化ないしは権利意識の間接的剥奪を招いたとも言えます。元来納税と政治的権利授受とはワンセットのはずですが、今日でも納税感覚の間接化は政治的権利意識覚醒の障害になっています。
 こうした制度は比較的最近のものであるから容易に改革できそうにも思えるのですが、なかなかそうはならないのは江戸期から明治期を通じて今日まで日本人が権利意識に目覚めぬようにお上によってすっかり飼い馴らされてしまっていることが大いに関係していると思っています。それを奥ゆかしさや品のよさ等の日本的思惟への表出と見るのは、あまりにも愚かな所作であり後生大事に負の遺産を抱えていることと変わりないでしょう。

 余談ですが、私は職人を家業とする家庭に生まれ、縁戚を集めれば立派な日本家屋が建てられる環境に育ちました。けれども、戦前までの祖父の代では手間賃仕事が大半でした。特に東京では大工をはじめとする職人仕事に元受仕事はなく殆どが下請けや手間賃仕事であり、大工の棟梁であっても材料を抱える財力はなく、材木問屋から廻ってくる仕事を請けるための職人手配の元締めといった意味合いが強かったと聞いています。
 もちろん、彼らのある種日本人的な職人的ethosの美点にたいする憧れもあり、その強かさを信じたいと思っています。そして、目覚め得ぬ反近代主義の芽のようなものを包蔵していると想うのですが、こと政治的な権利意識に関してはからっきしダメだと感じています。やはり、遺憾ながら政治的には何らかの近代主義という鎧を纏うことでしか、非対称性の暴発に対峙していけないかも知れないと思われるのです。けれども、60年ほど前に着た鎧やそれ以前のものは過去の遺物でしかないですから、新たに創り出さなければならないでしょう。
 そのための一つの課題として非常に困難な事業ですが、源泉徴収制度を廃止し申告制度の完全化を図り納税と権利意識の一致を実現することは大いに創造的な当為であり、日本人の(市民的)「個」の育成に資するものと考えます。そして、これはここに留まる者達の責務ではないかと思われるのです。

 また、会いましょう。

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