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タイトル 対外資産と外為会計 1  投稿者 岩住達郎 (転載)
http://www.asyura2.com/0403/dispute17/msg/964.html
投稿者 M 日時 2004 年 5 月 19 日 15:15:04:VPdJQY7Yqhnm.
 

タイトル 対外資産と外為会計 1

投稿者 岩住達郎

リンク(URL)

登録日 2003年10月11日3時29分

以下は吉田繁治さんが国際戦略コラムに投稿された文章に私がコメントを付けた物です。非常に良く書かれたもので、全ての日本人が読んで欲しいと思います。尚、字数制限のため分割して張り付けます。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/151009.htm

吉田繁治さんからのメールを転送します。
----------ここから原文----------
※友人、知人、同僚、部下、上司、取引先への転送は自由です。
 <あなたと、チームの、知識とスキルのブラッシュアップを>
今回は、取り上げられることの少ない、「対外資産と外為会計」をテ
ーマにします。貿易黒字は、日本の富として使うべきものですが、そ
れが、財務省による為替介入の名目で、今まで一方的に米国へ還流し
ています。

ところが03年5月からの、株高では、同期間に、財務省がドル買い
で海外流出させた資金と同額の6兆円が、日本の株式市場に還流して
きた。これによって、金融危機が去り、景気回復までが言われるくら
いまでになっています。(実はそう単純ではないのですが)

このように、海外流出していたマネーが、わずかでも日本に流入すれ
ば、日本経済は、大きく回復する。そのメカニズムを、見ていこうと
思います。

しかし、これは、金利上昇というあたらなリスクも生む・・・
6兆円は巨額ですが、GDPに対しては、たった1.2%です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 < たった6兆円の資金流入だけで・・・(1)> 

【目次】

 1.合意と異見
 2.事実を認識すれば、世界が未経験なことを経験してきた
 3.日本の高齢化の特徴
 4.資本、技術、頭脳は世界を移動する時代
 5.日本の矛盾
 6.株価上昇は6兆円で果たされた

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■1.合意と異見

先週の金曜日、講演で高知に行ってきました。関東圏に店舗を持つ優秀な食品スーパー(年商1100億円:経常利益50億円:65店舗)の主催でした。小売業では最大手のグループは、ほぼ軒並み経営力を失っています。各業種では、現在の中堅企業に21世紀のリーダーになるところを多く見ることができます。
この会社では、メーカー・問屋の営業以外の幹部を集め、日本全国そして中国・韓国を含めた注目店を見学しながら、経営研究会を実行されています。こうした研究会の形式は、小売業主催では、珍しい。参加者はレベルの高い、熱心な聴衆の方々でした。
2年半前、カルフールの日本進出の折り発足した会だそうです。こうした機に乗じて学ぶのが、日本経済や企業の強さです。
金融を含め流通分野でも外資の進出は、日本の企業にとって好結果を生むと思います。農業においても、輸入品流入のハードルを低くすることが、日本の農業の創造的な発展を作ります。米の輸入に、500%もの懲罰的関税を課すような貿易拒否は、やめる方がいい。政治的保護は、どこまで行っても、つかの間の、泡沫(うたかた)の救済に過ぎないからです。

▼合意で強さを発揮する

日本人は、合意ができる方向と方法を見つけることができるなら、世界のどこの国民よりも、強さを発揮する国民だと思えます。合意が形成されず、何を行うべきか、多くの人が方向が見えないと思っている間は、弱い。そのとき、リーダシップを求めます。
他方、方向を見定めるとき、個人のリーダシップにより個々の会社単位で行うのが、欧米企業です。意見は「異見」であり、マーケットで異見を戦わせることが発展の原動力と考える。その意味で、市場は弁証法的です。
他方日本では、新しい事態に対しては、多くは「新しい時流への適合」として、相互に影響を与えながら、暗黙の合意から一つの方向が形成されることが多いように感じています。

リーダシップは、方向が見えない危機のとき必要になる。しかし危機の時期が終われば、だれが決めたのかわからない方向に皆が進み、それによって、強さを躍如とする。
そのとき、ボトムアップの強さが、発揮されます。現場のモラール(士気)高さは、日本企業の生命です。日本の社員は、欧米型の定型ワーカーとは違う。これは、今後も活かすべき行動文化です。
わが国では「日本国や日本人としてどうすべきか?」という問いが立てられることが多い。その意味で全体主義的です。こうした国民の気質は、歴史と行動文化に根ざすため短期
では変わらない。
90年代が、一見では「空白の停滞の期間」に映じ、多くの論者がそう言う理由は、既得権を守る勢力と市場経済派、大都市と地方の間に対立があったからです。
こうした対立があるときは、日本人の多くは、無為に空白の時間を過ごしたような気分になる。ところが実際は、空白どころか、大変なことと戦ってきています。

■2.事実を認識すれば、世界が未経験なことを経験してきた

第一次オイルショック以後の30年間で、世界の国々が未体験であり、日本だけ経験したことが3つあります。
以下の3項は、いずれも未曾有の事態です。
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(1)70年代初頭に比較すれば、世界の通貨に対し、3倍の価値になった円高。これは
国際競争のハードルが3倍に高くなったことを意味します。走り高跳びの2メートルのバーが、棒高跳びの6メートルになったような激しい条件変化です。
(2)90年代の大規模なバブル崩壊、株価・地価の下落。1300兆円(GDPの2.6倍:国民1人当たりで1000万円)もの、資産価値(富の蓄積)を失った。
(3)特に97年からの、消費者物価の下落。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(1)円高は、輸出企業の採算ラインで100円以下と言われるくらいまで、克服されています。西欧・米国を、ベンチマーク(比較)基準とすれば、同じ時期に、生産性を約3倍も高めたことを意味します。
(2)資産バブルの崩壊は、金融機関の全体、国家機関、そして債務過剰企業のバラスシートを破壊しました。しかし約三分の2の企業と、三分の2の世帯は、正常なバランスシート(資産−負債)を維持しています。
(3)戦後の世界の国々は、日本を除けば、物価下落を経験していません。下落しにくいサービス価格を除いた、店頭商品についての約40%もの価格の下落は、多くの企業を潰しました。残った企業は、40%の生産性を上げていることを意味します。
(注)個人消費である約300兆円(GDPの60%:1人当たり235万円)のうち、店舗で売られる商品は、140兆円(1人当たり110万円)で47%です。残りの53%は、輸送・教育・通信・医療・サービス、電力等の無形の商品です。
他の国が、これら3つに比肩する衝撃を受ければ、間違いなく大きく沈みます。指摘されることは少ないのですが、3大衝撃を受けながらも、今の状態で留まっているのは、驚嘆すべきことでしょう。そして、4番目の山になる高齢社会への挑戦でも、世界の国は「高齢化の速度」において未体験です。3倍の通貨高、1300兆円の資産の喪失、小売り商品の40%の価格下落、そして次に来るのが、高齢社会です。高齢社会に対しては認識と政策の誤りがあると感じています。

■3.日本の高齢化の特徴

日本の高齢社会は、1946年〜48年生まれ(現在55歳〜57歳)が、人口構成グラフで、他国より激しく膨らんでいるという特徴をもっています。ここが注目しておくべき点です。ベビーブーマーの裾野が20年と広く、今後10年間にフラットに高齢化するのが米国です。瞬間風速的な高齢化が、日本です。
日本の高齢者問題は、団塊の世代で健康なグループなら、年金への依存ではなく、「現役期間を延長」することによって、その衝撃と負担を弱めることができます。この世代はそ
うした意志・能力・技術をもっています。

<GDPの増減=一人当たり生産性の伸びラ労働者数増減>です。日本は5年後からサー
ビス経済部分での労働力不足になります。

今は過剰に見える雇用は、長期では不足です。日本の高齢問題は、50代半ばの、元気な団塊の世代の問題だと集約すれば、取り組むべき課題は、クリアになります。
今、50万円以上もする大型のプラズマテレビが売れています。主たる購買層は、50代、60代以上の世帯。家電のディスカウント量販は、プラズマテレビの販売でサブチャンネルです。主チャンネルは街の家電屋さん。高級車の購買や、観光も、顧客層で類似しています。
これだけの現象を取り上げても、西欧風の資産の階級社会での、無産の労働者の高齢化とは、内容が違います。世界との対照で言えば、日本は、プラズマテレビでホームシアターを作るような、「多くは富める人々」の高齢化です
日本の高齢化は、過半の金融資産(60%は、銀行と郵貯の預金)をもつ「ゴールデン・コンシューマー」の高齢化です。日本人ほど、多額の現金をもつ消費者のカタマリは、世界にはないのです。米国の消費経済は、負債で支えられています。
数年すれば、以上のことが、必ず認識されると思っています。
(注1)金融資産の面での、世代的な悲運が、80年代末から90年代に住宅ローンを組んだ30代と40代に集中していることは問題です。これが日本の消費不況の主因です。(注2)介護と福祉の必要性を否定するものでは、毛頭ありません。最期は、小さくしぼんで亡くなった母も、正常な脳の働きをなくし、介護の対象でした。

▼政府の高齢社会イデオロギーの昏(くら)さが問題
日本の高齢社会を、年金と医療費の負担が増え、介護負担が増えるような国民負担の大きな社会としてだけ描くのは、間違いだと判断しています。
(i)年金負担と福祉負担、(ii)高齢者介護の必要性を政府が言うときは、増税と福祉の高負担を世論に訴えるという政策意図をもっています。
調べれば、施設での介護が必要な人は高齢者の約4%、25人に1名とされています。高齢社会=老人医療+施設介護の社会というイメージは、意図をもって作られたものです。日本人はローカロリーと菜食の和食がベースあるため、脂肪過多になる欧米の高齢者より、平均的には、今後も健康であり続けます。
▼政府予算の赤字と国債の累積は、高齢化が原因ではない
財政の悪化(国債の増加)は、高齢者への年金と福祉費用の増加のためではありません。景気対策と社会資本の不足を政策の名目に、自民党橋本派(旧田中角栄派)の族議員が、支持母体への利益誘導を含んで権勢をふるった公共投資が主因です。その代表は田中政治を戯画的に継承する鈴木宗男です。
こうした、90年代の特殊要因で膨らんだ政府赤字です。日本は、軍事費の代わりに公共事業を多額に行ってきた。
ムダを含む非効率な公共投資と、政府と自治体事業の赤字が原因であるものを、福祉負担の増加という近未来の全く別の要因に、すり替えようとする意図をもつのが、政府の高齢社会へのイデオロギーに思えます。
増税と福祉で、政府部門を更に肥大させるような形での、高齢社会は、昏(くら)いものになります。財務省任せの設計では、国民に過度の負担を強いて、経済の内容を長期で悪化させるものになります。
人口構成の向かう方向は、事実として否めません。しかし、高齢社会をどう描くかは、人の認識によるものです。そしてその認識を、政治と政策に結びつけるのも、人の意志です。

      [事実→認識→政策]

人口統計での高齢化は認めなければならない。しかし問題の認識と、認識に基づく政策は、政府が言う方向だけではない。
こうした認識も、あと数年経てば、様変わりするでしょう。主として30代の官僚の意識に、官と公共事業の生活共同体を守ることだけとは違うものが、次第に現れつつあることを感じます。
道路公団の藤井総裁が醜悪に見えるのは、この国の行動の美学が、田中角栄的なものから離脱していることを意味します。これらは、この国の将来のために、肯定的な要素です。税が大量に投入されてきた農業・土木・建築でも、政府予算への依存では、明日がないという認識が強まっています。地方行政では、過去は求め続けていた政府の補助金での公共事業を、拒否するような逆転も見えます。
政治が、都市住民の意志を反映するようになれば、予算比重は変わります。経済の内容は、次第に、消費の都市経済と知識経済に傾斜しています。
中国の工場が生む付加価値は、わずかなものです。作ったモノをどう流通させ、どう売るか、この流通領域に、製造の付加価値(粗利益)の5倍から10倍もの、経済価値があります
実物経済の内容で、大きな変化が起こっています。GDPの数字は同じでも、商品と流通は大きく変わった。
■4.資本、技術、頭脳は世界を移動する時代

ここで認識しておくべきことは、資本・技術・頭脳が、有利な地域を求め、短期で移動するようになっていることです。これらの流動化は真に新しい事態です。
この国でも、今後の産業政策は、諸外国からの資本・技術・頭脳を集めるものでなければならない。金融の外資が進出することは、護送船団金融を、多様化します。流通外資の進出は、消費者の選択肢の幅を広げます。
そして、日本の消費者の選択に、任せればいい。世界で最も豊かな消費選択ができる国になることは、可能です。
外資の進出を排除し嫌うだけでは、世界の孤島です。グローバル&ネットワーク化経済では、優良企業は税とコストの軽減を求め、海外移転します。これはだれも留めることができない。(岩住:非金融業の外資が日本に進出する事は歓迎すべきですが、外国の金融企業
は歓迎してはなりません。特に日本人の貯金を外国人に預けることは絶対に避けるべきです。その理由は彼らが如何に美辞麗句を言おうと、基本的に詐欺師集団だからです。日本の金融企業も同類ですが、少なくとも詐欺で儲けたお金は国内で環流し海外に流出しません。金融業というのは貧乏人から金を巻き上げるのが業務であるのは洋の東西を問わず同じです。)
税と福祉の高負担で、産業にとって不利な国になれば、企業(特に本社)は国籍を離れます。それが、インターネット、情報化ロジスティクス、サプライチェーンの時代の意味です。世界の企業が日本に投資し、日本の優秀な企業が本社を置き続けることができる政策を、とらなければならない。そのためには、日本に立地するのが有利になるような、政府の税制と行政施策でなければならない。
中国の経済成長は、経済特区を作り、外資に対し租税と土地の供与で優遇策をとったことが起点です。中国の強い輸出力は、50%部分を外資が行っています。中国は中国資本だけではない。激しく国際化しています。
80年代からの、ロンドンのシティを中核にした英国経済の再興も、外資の誘導が起点でした。(岩住:確かにシティが繁栄した経済利益はありましたが、その代償としてイギリスの金融企業はほぼ壊滅しイギリスの経済政策はアメリカに従属する他なくなりました。つまり、アメリカが没落するにつれイギリスも自動的に没落する事になります。日本はその轍を踏んではなりません。)
90年代の米国の産業の再興は、IT分野で世界の頭脳を集結させ、投資では日本を筆頭とする外資を呼び込んだことに拠ります。諸外国が、海外資本・技術・頭脳による「新しい成長策」をとって来たのに対し、日本政府と日本国民は、マネーを対外供給するだけで、これを避けて来たのです。国際化と言えば、輸出と考える思考方法に、偏りがあった。消費では、人々の居住地で商品が買われます。個人消費300兆円は、世界で第2位です。高度工業を日本人が担うことは、長期で続くでしょう。米国は高度工業までを海外に移した。そのため、略奪的に見えるマネーの還流を、必要としました。
日本では、高度工業が衰微することはない。職人の国だからです。今後、貿易黒字が縮小し、輸入とバランスすることは肯定的な要素です。付加価値の小さな日用品工業では、日本人の高い賃金を支えることはできない。だから、低付加価値部分を中国に移転する。価格の構成要素(=付加価値構成要素)の重点は、流通部分に移っています。流通は消費地の産業です。
日本的な食品スーパーや、緻密なコンビニエンスストアは、米国人には実行できない。GDPの80%部分(内需産業)が、保護・規制産業であったことが問題です。規制と保護が取れれば、競争下で、日本人の学ぶ才能が、発揮されます。
建築も同様です。地震国という不利な条件から、世界で最も高度な高層建築ができるのは日本でしょう。

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