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Re: 日本の取るべき戦略 その3
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投稿者 岩住達郎 日時 2004 年 7 月 07 日 04:31:44:TcNSd0ZB71Ujg
 

(回答先: Re: 日本の取るべき戦略 その3 投稿者 岩住達郎 日時 2004 年 7 月 07 日 04:30:30)

17.論理的な政治下における政府の役割

摂理に基づき生存競争を行うに当たり、競争回避の為にどうしても払わねばならない代価は回避の仕方によって異なる事は摂理の系2−1で見た。最も代価の少ない競争回避のやり方は与点制度である。即ち、各人の先天的才能と後天的な運の善し悪しで競争に不利な立場にある人達に対し与点(ハンディキャップ)を付与し、互角に生存競争が出来るようにする。その為に政府が為すべき事を以下に述べる。

世の中には自分の能力を過信し、与点を貰うのは恥だ、とがんばり、そんな制度に参加しない、とやせ我慢を張る人達が居るだろう。又病気に掛かっているのを自覚しながら医者にそれを宣告されるのが怖くて医者に行かない人が沢山居る様に、自分の能力を直視し対策を立てるのを怖れる人も沢山居るだろう。それはそれで結構なので、与点を貰わないで損をするのは当人なのだから、政府は国民がこの制度に参加するのは任意にすれば良い。その為に、国民を生存競争に参加する「競争階級」と自己参加しない、或いは老齢とか病気で参加できない「福祉階級」に分割する。

この階級分割については、共産思想の階級闘争を連想して、多くの異議があるだろう。しかし、それは単なる言葉の先入観であって、この二つの階級の利害が相反し敵対状態にある訳では無い。国民はこの二つの階級を自分の努力さえあれば自由に移り変わる事が出来るのである。問題は本人に生存競争をする意欲があるかないかで自ら決める事なのだ。スポーツをやるかやらないかの意志の差と変わらない。

国民与点制度は次章に説明するが、ここでは国内での生存競争に対処する社会構造の構築について述べ、与点制度に適合した経済政策や外国との生存競争を考える。

17−1.経済政策

第14章では鉱物資源と石化エネルギーの有限性から幸福指数の概念を導入した。この幸福指数と摂理の間には直接の関連は無い。しかし、生存競争をしている庶民の幸福度を測り、それを最大化しようとするのは国民与点制度がうまく働いているかどうかを検査する手段にはなる。与点制度では生存競争の強者から税金をとり、与点に応じて弱者に補助金を与える点では今まで福祉と同じであるが配分の方法が全く違う。政府が国民の福祉に果たすべき役割は福祉予算を付ける事と民間のNPOが実施する福祉を監督する事にある。

A.政府は与点カード管理業務以外の全ての福祉事業から完全に手を引き、国民の公平な生存競争を管理し、国民幸福指数の最大化に勤める。
B.企業から引退した有能な経営者に無給で民間福祉事業(NPO)の経営監督をして貰い、政府は各地のNPOに対し人員と地方物価に応じた福祉予算をつけるけれども運営には一切口出し出来ない。この基本理念は、福祉は人の情けの具現であるべきで、福祉を受ける人達に一切政府の手を感じさせない事にある。
C.福祉事業への個人及び企業からの寄付は全額免税の対象とする。
D.政府は福祉事業が規定通りに運営され不正が行われていないかを検査する責任を負う。不正が発覚すれば不正に関与した者全員が法廷が判決した期間を競争階級から追放され福祉階級に入り人の情けを体験する。
E.福祉階級に属する人は選挙権の停止とパスポート所有権の停止を受ける。

これで不要になる公務員の数だけでも大変なもので、今まで非効率な役所仕事をしていた人達が民間福祉企業に移りもっと効率的なやり方を学ぶのだから福祉に要する経費も下がる筈である。福祉を受ける人達も政府からでなく人の情けにすがる事を認識し心理的にあくどい事をやり難くなる。

中央銀行は金融業に不当な利権を与えているだけでなく、日本の中央銀行が外国の中央銀行からの干渉で外国の利益を優先し、日本国民の利益に反する政策を強要されて実行しているのでは全く存在価値は無い。通貨発行権は財務省に戻し、金融業に与えていた利権と規制を撤廃し、生存競争でどの金融企業が破産しても経済全体に重大な影響を与えない様に、巨大金融会社は分割する。

巨大金融会社の分割は当然外資金融企業にも適用され、それを拒否した会社は日本での営業を許可しない。これで大部分の巨大外資金融企業を日本から追放できる。現在は金融企業の巨大さを競い、大きければ大きいほど良い、とされているのは、言い換えれば、その巨大さを使って政府に利権を要求できるからだ。これが独占体制を強化し生存競争を回避させ、今の世界をどんどん悪くしている原因である。

次に財務省が政治家の利権や外国の圧力で日本国民の利益に反する政策を強行しないように監督する民間組織が必要だ。そして、この組織に財務省に対し政策停止命令を出せる権限を与える。又、この組織に財務省官僚による政治家や外国人との付き合いを監視し、情報を集める機能も付与する。

国民に日本経済の状況を報告するに当たり、今までの経済無限拡大を前提とした指標は全部廃止する。

17−2.社会政策

摂理の項で述べた通り、全ての利権は犯罪と見なされるので、従来の合法的な利権は勿論、習慣的な利権も順次廃止していく。国民が受けていた最大の利権は様々な福祉である。これらによって国民は甘やかされ、能力がどんどん退化していき、悪循環に陥る。健康体を維持するには常に正しい食事と運動を必要とする様に、社会の健康も同様に正しい生存競争を維持しなくてはならない。

次章に述べる国民与点制度は国民を甘やかさないで各人の能力に応じて生存競争を助ける為に考案されたものである。政府は政治家の利権を生む一切の補助政策を廃止し、国民の公平な生存競争を維持する為に国民与点制度を管理する。又、中小企業を大企業の横暴から守る為に産業与点制度も導入する。この産業政策は次項で述べる。従って、政府の役割は社会政策と産業政策では公平な審判者に徹し、直接執行するのは治安と国防と外交になる。そして、福祉事業は完全にNPOに委ねられる。

17−3.産業政策

産業においても、個人と同様に、企業が生まれた時の能力の差とその後の運の善し悪しがある。従って、個人に適用される国民与点制度と似た産業与点制度を導入するのが、摂理による代価を最小限に止める生存競争の方法として適当である。国民与点制度では能力の高い個人が能力の低い個人に点数を与える(即ち、より高い税金と保険料を払う)が、その代わり能力の低い人は与点を常に下げる努力をする事を義務付けられる事になる。全くこれと同じ考えを産業与点制度に適用できる。

産業与点制度が国民与点制度と根本的に違う所は、個人が成人して社会に出てから与点を貰う時は返す必要のないお金で補助を受けるのに反し、産業与点制度では企業は与点に応じて利子ゼロの資金貸与を政府から受ける。勿論、産業与点を貰うには企業の事業計画等を民間の専門家が審査し、その判定書を提出せねばならない。企業の活動が収入を生み、与点が下がれば、それに応じた金額の資金を民間金融業から有利子で借りられる様になる。

国家の産業計画で基礎研究への出資は将来の新製品を生む原動力として極めて重要である。基礎研究についても与点制度を応用でき、研究提案が承認された時点で与点を貰い、その後研究の進捗に応じて与点を減らしていく。しかし、基礎研究の場合は沢山の競合がある訳ではなく、むしろ秘密に行われるのが普通であるから、与点の減少は研究費の減少とは繋がらない。研究成果を製品化する段階でベンチャー・キャピタルが必要になった時、与点が少ない研究ほど有望な訳であるから、良い条件で資金を集める事が出来る。

17−4.国際通商政策

国内での産業与点制度を拡大して国際与点制度を考える事が出来る。富の生産能力の低い国に対し生産能力の高い国から与点を付与するが、これは対象によって様々な様式が考えられる。

例えば、日本は工芸に優れ高い価値を持つ商品を比較的安く作る能力が高い。従って、他国に輸出する際に、その国の市場で同格の製品の値段を比較し、日本製品が安すぎる場合は政府はその差額を輸出税として徴収し、相手国の競合製品に実質的な与点を付与する。この輸出税の大半は当該企業に輸出奨励金の形で還元するが、当該企業は対外競争力が強いからと言って相手国の市場独占に走る事は出来なくなる。与点制度の原則は与点を徐々に下げて行って与点を貰っている側の改善努力を促進する事にあるから、国際与点制度でも同様の処置を取らねばならない。

当然、相手国もその国で産出する競争力の強い製品に対し輸出税を掛けて日本の国内市場を攪乱しない義務を負う事になる。日本の競争力の弱い産業として農産物栽培がある。日本で開発した種を使って外国の安い土地と人件費で栽培し日本に輸出しようとする企業にはその国の政府が輸出税を徴収し、日本国内の値段と同等にする義務がある。そうすれば日本の農家も自分の作物の品質とサービスの改善努力で輸入品と競合する事が出来る。

それでは、富を生産しない産業ではどうなるだろうか。富を生産しない産業としては、賭博、金融業種の中で富の生産に対する投資と融資以外の賭博性の強い分野、麻薬と犯罪産業などがある。これらの産業に与点制度を適用して競争力をつけてやるのは馬鹿げている事は論をまたない。こういう産業に対する価値観は国によって違うから国民の道徳規準に反し規制を受けている産業には競争そのものを認めない事を通商条約で明確にする必要がある。
(続く)

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