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「国民経済主義」について
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投稿者 あっしら 日時 2004 年 7 月 12 日 21:56:48:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: Re: お金も「労働(活動力)の交換」という視点で考えればわかりやすいはずです。 投稿者 ピカリン 日時 2004 年 7 月 12 日 17:44:38)


ピカリンさん、どうもです。
ご母堂のご回復を心より願っています。
また、こちらの体調までお気遣いいただきありがとうございます。

>そこであらためてお願いがあるのですが、今回つかわれた「国民経済主義」というも
>のを、もう一度、なるべく平易な言葉でお話いただけないかと、熱望します。
>できれば、今の状態から移り変わる過程で、どういったこと(可能性であれ、不可能
>性であれ)が予見されるのかを知りたいです。


国民経済主義は、「経済活動は所得格差はありながらも国民すべてがきちんと生活できるようにすることが目的である」という価値観とそれを現実のものにするための理論です。

「近代経済システム」という枠組から今すぐには離脱できないという現実を認め、近代経済論理の規定性を踏まえながら国民すべてがきちんと生活できる経済政策を実施していくことを是とし合理的でもあるとする立場です。

このような国民経済主義は、経済論理の規定性から、トヨタなど輸出優良企業の利益にも適うものです。

国民経済主義は、グローバリズム(市場原理的自由主義・民営化・規制緩和)の日本版政策である「構造改革」の対極にある考え方です。
「構造改革」は、輸出優良企業や金融利得者の刹那的な利益には適うものであっても、中長期的には国内需要の低迷(名目GDPの縮小)をもたらし、結局は輸出優良企業や金融利得者の利益も損なうことになります。

その一方で、政府が赤字財政支出を増加させ需要を作り出すことで経済を立て直すというケインズ主義的な政策とも異なるものです。
赤字財政支出による景気回復は現状の日本経済では持続的な赤字財政支出の増加を必要とし、それはほどなく債務履行のための増税につながっていきます。

(100兆円の赤字財政支出を数年間続ければその分GDPは間違いなく拡大しますが、それをやめた途端にGDPが急激に縮小し始める可能性もあります。うまく循環するかたちになっても、それに要した債務を返済するために増税を行えば、その分需要が減少します)

そして、あげくは、国民の経済活動の目的の相当部分が政府の債務をきちんと履行することになってしまう可能性もあります。

(日本が貧弱な産業基盤しか持たず、政府が需要を創出することで設備投資が行われ産業競争力が高まるという条件にあればケインズ主義にも理(利)はありますが、現段階の日本と世界経済状況を考えれば、債務の負担のみが大きくのしかかってくることになります)

ケインズ主義ではなく無利息の「政府紙幣」により経済活動を活発化することも理論上は可能ですが、それは“彼ら”の尾を踏む危険な政策であり避けるべきだと思っています。
世界最強の産業国家である日本が保持している条件を活かせば、ケインズ主義や「政府紙幣」に頼らなくとも、優良企業に重課税しなくとも、国民すべてがきちんと生活できるようにすることはできます。

国民経済主義はとりわけ目新しい考え方ではなく、戦後日本が80年頃まで採用してきた考え方とそれほど変わらないものです。
違うとしたら、高度成長期のように2、3年前の生活を振り返るだけで確かに“豊か”になったと実感できるほどの生活の向上はなく、少しずつ緩やかに生活の質がよくなることです。

現在の世界で、そのような政策を遂行できる条件を保持している国家は産業強国である日本しかありません。
(米国はご存知の惨状ですし、ドイツも東西ドイツの統一コストで喘いでいます。中国は外資に依存する発展途上国です)

今の状態から国民経済主義に移り変わる過程の最大の障壁は、「近代経済システム」が内包している論理を共有化することです。
国民経済主義が国策になるためには、「近代経済システム」がどのような論理に規定されて動いているのか、企業が利益を上げるための条件はどういったものなのかで多数派の共通理解が得られる必要があります。
そのような合意形成が達成されれば、“危険”を避けながら論理に従った経済政策の実施を通じて、それが輸出優良企業にとってもほとんどの国民にとっても利がある政策だと実感してもらうことになります。
(当初は疑心暗鬼や抵抗もありますから、徐々に国民経済主義的政策強めていくかたちが望ましいと思っています)


この国民経済主義の過程が「開かれた地域共同体」に移行する端緒になると期待しています。

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