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ゲーム理論(相互拡張破壊) と スターウォーズ計画
http://www.asyura2.com/0403/dispute18/msg/772.html
投稿者 バルタン星人 日時 2004 年 7 月 16 日 00:27:44:akCNZ5gcyRMTo
 

(回答先: 「産業資本主義」の終焉:「共産主義国家」の人々はなぜ豊かになれなかったのか? 投稿者 あっしら 日時 2004 年 7 月 15 日 18:05:30)

あっしらさん どうもです。バルタンです。 舌先も乾かないうちに出てきましたが、
以前同様の疑問があり考えていたことがありましたのでレスします。

【あっしらさん】
ソ連支配層の決定的な誤りは、「冷戦」時代とりわけ核弾頭ICBMを配備した後も軍備拡張を“国是”とし続けたこ

とである。
核弾頭ICBMを配備した後のソ連は、外国に軍事侵攻するつもりがないのなら、「ソ連及び同盟諸国に軍事侵攻した

国には無条件に核弾頭ICBMを撃ち込む」と宣言し、軍備拡充は続けるとしても国策の主力を民生品増産に移すべき

だったのである。
そう宣言したソ連及び同盟諸国に軍事侵攻するような非合理思考の国家は米国を含めて存在しない。
(それができなかったのが、支配層の無能のせいなのか、キューバ危機で見せたような核兵器恐怖症(やさしさから悲

惨な核兵器は使いたくない)によるものなのか、膨大な数の軍事関連者の抵抗を恐れたものなのか、はたまた、“米ソ

同盟”のなせるわざなのかはわからない。是非とも、どういう理屈で、国民生活を犠牲にして崩壊まで無用な軍備拡張

路線を突っ走ったのか知りたい)
−−−−−−−−−−−

これについては72年に米ソで締結された「弾道ミサイル迎撃ミサイル」を禁止するという極めて奇妙
な条約といわゆるスターウォーズ計画をはずして考えることが出来ません。元ネタは大澤真幸と東浩紀
の対談?だったと思いますが、ゲーム理論(相互拡張破壊)に関わる話です。
彼らが何故地球を数十回も破壊できるほどの数千発の核兵器を保有するという「非理性的行動」
に走ったかですが、1972年に米ソで弾道ミサイルを着弾前に破壊するための対弾道ミサイルを
一般的に禁止する「対弾道ミサイル条約(ABM条約)」が締結されました。
お互いに傘を持たず喉もとにミサイルを突きつけあう事で成立する均衡です。傘はあっても100
パーセント防げない破れ傘というところがミソです。アメリカはソ連の先制攻撃で第一撃を受けて
保有する100発のミサイルを失えば終わりです。しかし1000発もてば一撃で980発を失っても、残り
20発でソ連を壊滅させられる。ソ連も同様に990発失っても残り10発でアメリカを壊滅させられる。
お互いが、その事を理解していればお互いに先制攻撃はしないだろう、少なくても、相手がそれを
理解している合理的プレイヤーだ、自らの破滅を招く非合理的プレイヤーではないという「信頼」!
に基づいているわけです。こんな非合理的な合理性を信じていたとはにわかに信じられませんが。
まさに恐怖の均衡です。(映画「ビューティフルマインド」でゲーム理論の創始者ナッシュ氏が狂気
に陥ったのもなにかの隠喩かもしれませんが
http://www.eiga-portal.com/movie/abeautifulmind/01.shtml )

ポーカーで互いが2のワンペアーでブラフをかけてチップを積み上げるのと同じです。降りるに
降りられない。何発もてば安全というのはないわけです。敢えて言えば「相手と同じ数」です。
これはどちらかが「破れない傘」MDを持てば一気に均衡が崩れます。
アメリカがミサイル防衛システムを構築する戦略防衛構想(SDI)いわゆるスターウォーズ
計画を打ち出したため、ソ連がこれをABM条約違反としたことで核弾道ミサイル制限条約の締結
の障害になりました。
アメリカは相手の手札が判っているから絶対勝負から降りるつもりがなかったわけです。

スターウォーズ計画については
http://www.asyura.com/sora/bd12/msg/409.html

ABM条約については
http://www.w-digest.com/mm/mm0002/bk/000034.html

あと「先軍思想」と同時に忘れてはならないのは上記と絡む「陣取り合戦」です。
アジア、アフリカ、南米いわゆる「第三世界」の覇権を巡って米ソは激しく争いましたが
(岩井克人が書いていましたが)ソ連はその結果「死の商人」として幾ばくかの利益を上げたかも
しれない。あるいは希少資源を得たかもしれないが、しかし自国内に有数の天然資源を有しており
あえて他国にまで求める必要はなかった。アメリカと異なり当地の「財貨」を吸い上げるシステム
を持たないソ連の支配は経済的には全く赤字=持ち出しであったことです。それは何の資源を
持たないパレスチナに多大の援助をつぎ込んだことからも判ります。キューバ、北朝鮮、中国も
同様です。特にアフガニスタンを巡る「人的損失」がソ連崩壊にいたる致命傷になったわけです。
つまりアメリカの「挑発」に乗って体力勝負でチップを積み上げ続け最後に破産したとも言えます。
また各国の共産主義運動を「ソ連邦防衛」に動員し壊滅的打撃を与えました。
以前のレスにも書きましたが一国社会主義に徹していれば「貧乏人の天国」「地上の楽園」が出現
していたかもしれません(笑)

ソ連崩壊(あっしらさんなら擬似的と言うかもしれませんが)二項対立が崩れたことで「第三世界」
も崩壊した。アフリカの現状はその象徴ともいえます。
つまり「第三世界」が真ん中よりすこし左側に位置して均衡していたシーソーがいきなりひっくり
返った、アフガニスタン−ソ連崩壊−イラン革命という三点セットから「イスラム原理主義」=
「イスラム復興運動」というカウンターが生まれたのではないかと思うのですが、これは別の機会に。

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