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美浜原発3号機 事故に関する考察と備忘録[山崎久隆@たんぽぽ舎/福島原発市民事故調]
http://www.asyura2.com/0403/genpatu2/msg/344.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 8 月 11 日 05:52:06:dfhdU2/i2Qkk2
 

(回答先: 原発停止、CO2増を懸念 小池環境相(共同) 投稿者 どん兵衛 日時 2004 年 8 月 10 日 21:34:01)

関西電力美浜原子力発電所3号機で、タービンを回している「二次冷却材」の、
タービン直下に設置されている復水器から蒸気発生器につながる系統で、配管が
爆発的に破裂し、大量の蒸気がタービン建屋二階部分に噴出するという事故が起
きました。
4名が死亡、11名が重軽傷を負い、日本の原子力災害としては最大の人的被害
を出す惨事で、これは同時に日本最大規模の冷却材喪失事故でもあります。

 関電美浜原発事故9日の時系列

 15時22分(25分という報道もある) タービン建屋二階部分で火災報知
 機発報おそらくこの時点で配管破裂が始まっていた

 15時28分 美浜原発3号機で「蒸気発生器水位低」警報が発信し原子炉と
タービンが自動停止。

 15時32分 美浜原発から美浜町原子力対策室に「タービン建屋内に蒸気が
 充満し、原子炉が自動停止」と第一報。

 15時40分 美浜原発から119番通報。市立敦賀病院と国立福井病院の2
 カ所に負傷者を搬送。

 15時40分 木内計測若狭支社から本社に「社員が被災しているかもしれな
 い。筆舌に尽くしがたい」。社長ら幹部4人が支社へ向かう。

 16時45分 関西電力本店が記者会見。「本当に残念だ。けがをした人に対
 して申し訳なく思う。一刻も早く原因をつかみたい」「放射能漏れはない」
 
 16時46分 発生から1時間22分後に負傷者11人全員を救出完了

【毎日新聞などより】


この事故の情報を受けて、昨日から書いてきた「メモ」を掲載します。
報道では伝わりにくいこともまとめました。
時系列を追って書いていたので、あるいは前後で文章に矛盾が生じているかもし
れませんが、メモですので特に書き換えたりもしません。

【8月10日0時39分】

事故原因は、おおむね復水系統の配管の減肉による延性破壊であろうという感じ
になってきました。場所は違いますがサリー原発と同じような事故です。
この減肉は定期検査でチェックしても見落とすことがあるのです。溶接部分の応
力腐食割れと違って減肉はどこで起きているかあらかじめ見極めることが難しい。
エルボ部ならば起こりやすかろうという当たりはつきますが、直管部だとわから
ないでしょうね。そのうえ定検短縮の圧力が常にかかりますので、電力側は漏れ
てもLBB(破断前漏洩)で検出できるだろうとたかをくくっている。LBBはもん
じゅ事故で破綻したはずですが、いまでもそう考えて対処が甘くなっているだろ
うと思います。
記事には「漏れた」「漏洩」という言葉がみられますが、とんでもない。これは
爆発的な噴出です。衝撃波を伴うような、強力な蒸気の爆風に襲われたのです。
ボキャブラリーがないのか、想像もつかないから関電などの言うとおりに表現し
ているだけなのか知りませんが、このあたりの表現はとても報道の名に値しない
ですね。
「漏れた」だけだとあたかも水道管から水が吹いたような印象でしかない。そん
なわけがないじゃないですか。圧力鍋程度でも過熱状態でふたを開ければ「爆発
的」噴出をするでしょう。体験したければ耐熱服を着て、どこかの施設で実験を
してみなさいと思います。今回の爆発的噴出は、圧力鍋の何百万倍もの規模です。

今回の事故では、破断の原因などとは別に、定格運転中に211名もの下請け従
業員がタービン建屋内にいたことが大変な問題です。
定期検査入りする前に、できる作業をやっておいて、運転を止める期間を一分で
も短くするという発想です。その検査も24時間態勢でぶっとおして行いますの
で、労災事故は増えていきます。先に流した原子力施設の事故の記録には、一つ
抜けているのがあります。ことし3月4日、建設中の石川県志賀町にある北陸電
力志賀原発2号機で、建設作業員1名が転落死しています。
定格運転中の原発のタービン建屋に200名もの人がいることじたい、危険きわ
まりないことだと強く思いました。

タービン建屋内部というのは、最上階はすごく広いんです。空間も大きく、素人
目には何か起きたらすぐ逃げられそうに見えます。しかし今回死亡したのは全て
その下の2階部分だそうです。ここはまさしくトンネルのように狭い空間です。
こういったところで噴出した蒸気の直撃を受けたら、逃げる場所もないだろうな
と思います。
狭く入り組んだところで大勢が固まって作業をしているさなかに、頭上の配管が
破壊されて一気に蒸気が降り注ぐといった状況だったのでしょう。
大きな穴が開いていますから、管内の蒸気が全て噴出するのにさほど時間はかか
らなかったと思います。そのため、膨大な蒸気の熱で、近くにいた4名を救出す
ることもできないままだったようです。


【8月10日12時17分】
「冷却材喪失事故」という実態を隠す国と関西電力

                  福島原発市民事故調査委員会 山崎久隆

こんな事故が起きたというのに、読売社説は「今回の事故をもって、原発の危険
性をあおり立てたり、過剰反応して他の原発の操業に支障が出るようなことが
あってはならない。」などと書く。驚くべき感覚。旧ソ連の原子力体制もこんな
感覚でチェルノブイリ原発事故にまで突っ走ったんだろうなと思う。
チェルノブイリ原発事故の前に、同型の別の炉で起きた事故を解析し、黒鉛チャ
ンネル炉の欠陥を警告した技術者の警告が無視されたばかりでなく、弾圧された
ことは、まさか読売新聞だって知っているはずだ。
日本最大の発行部数の新聞社説が、こんな社説を載せているわけだから、海外か
らは日本は依然として民主国家とは思われていないだろう。
けれども読売の他の記事は現状リポートを精力的に流していて、それを普通に読
めば「他の原発も危険なのではないか」と感じさせるくらいの内容である。現場
の記者はデスクでふんぞり返っている本社の「社説執筆者」の想像もつかない現
実を知り、書ける限りぎりぎりの記事を送っているようだ。

事故原因そのものに、あまり大きな「謎」は無いだろうと思う。既に86年
(チェルノブイリ原発の年だということに留意)に米国サリー原発で起きている
配管破断事故と同じだと思われる。

つまり、ことはもっと深刻ということ。

誰も知らなかったような原因で起きる事故ならば、「現在の知見では予見できな
かった」などという言い逃れ方があるが、今回の場合はもう十分起こりえると予
見されてきた事故が実際に定格出力運転中に原発での作業をさせられていた作業
員の頭の上で起きたという「だけのこと」だからだ。技術的にはいくらでも回避
可能だし、そうすることができたのに関電はその義務を怠ったのである。

確かに事故現場は火力にも同じような構造があるところで、構造そのものは原発
特有ではない。しかし事故の拡大による原子炉そのもののメルトダウンなどへつ
ながる危険性と、今回の事故を引き起こすにいたった背景はまさしく「原発特
有」なのである。「事故が起きた場所は原発特有ではないから」と細田官房長官
などがいっているようだが、故意であれば事実を隠蔽するものだし、気づいてい
ないのだとしたら無知なだけ。
むしろ筋が違う話ではあるが毎日新聞の「火力も危険」と書く感覚のほうがまと
もだろう。


破壊されたこの部分は「二次冷却系給水系統」の一部である。ところがこういう
記述をした記事が全くない。この事故は「二次冷却材喪失事故」であるという記
述も全くない。事故の定義づけからして、正しくできていないのである。
このあたり、現在の記者の技術レベルが以下に低いかをものがたっている。
水蒸気が爆発的に噴出し、タービン建屋二階の床に溜まるほどだったのだが、で
はその水は何の水だったのか。誰もそのことに気づかないのだろうか。
二次冷却系は3系統あるが、そのうち1系統の機能が喪失した。原子炉を冷やす
能力が失われる「冷却材喪失事故」だという基本的な知識に欠けている。


【8月10日15時6分】

ようやく他原発への「水平展開」始まるか?

原子力安全・保安院が朝田泰英・火力原子力発電技術協会技術顧問を委員長とす
る事故調査委員会を設置し、3名を美浜原発に派遣。
この間、なぜこれほどまでひどく減肉した配管を、運転開始以来一度も検査しな
かったのかをめぐり、情報が流れてきます。

ひとことで言うならば運転を優先し、実態を「隠そうとした」ということでしょ
う。構造的にいえば三菱自動車のクレーム隠しと何ら変わらないのです。
また、東電事故隠しの後でも構造的に隠蔽を続けるという姿勢はかわっていませ
んから、より悪質だといえます。火力発電の検査データ偽造に引き続き、構造的
な問題はとうとう犠牲者を出すにいたったということです。

配管の減肉は28年間にわたって続いてきて、とうとう持たなくなって破断しま
した。しかし去年でも調べていれば、さすがに交換せざるを得なくなって、大飯
原発のようにぎりぎりで事故だけは回避できたはずです。
しかし、なんでもそうなのですが、事故にいたるかぎりぎりで回避できるかは偶
然の要素によるもので、関電のやり方では構造的にはいつ破断していてもおかし
くなかったのです。しかも、最も放射能の少ない部位での破断ですから、まだ
「不幸中の幸い」でさえあるのだということ、つまり「最悪の事故」はまだまだ
このようなものではないのだという危機感が、報道などから本来は伝わってこな
ければならないのです。

東電の事故隠しは、会長、社長、原子力本部長の辞任で、相当の問題であったよ
うな印象を与えているのかもしれませんが、原子力の技術者の中には、東電の事
故隠しについて「手続きや法的あるいは道義的には問題かもしれないが、技術的、
工学的にはたいした問題ではなかった」と思っている人々がいます。それが結局
今回の事故を準備してきたのだろうと想像します。関電の技術者に、そういうお
ごりの気持があったことは、間違いないのです。

毎日新聞には「直管部分で破損が起こるとは想定していなかった」という関電の
コメントが載っていますが、誰が言ったのか知りませんが、そんなはずがありま
せん。
給水流量測定用に、「オリフィス」と呼ばれる、配管の内径が狭くなる構造物が
あり、そのため直管部でも下流域に流れの乱れや流速の変化が生じ、配管内部を
削りやすいことはよく知られた現象だからです。
全く言い逃れしようがない事例として、2000年4月24日の関電プレスリ
リースを上げておきます。
「美浜発電所2号機の点検結果について(化学体積制御系抽出水配管からの漏え
いの原因と対策)http://www.kepco.co.jp/pressre/2000/0424-2j.html

これは今回の事故よりも細い「化学体積制御系抽出水配管」という場所からの冷
却材喪失事故を説明した文書です。配管の亀裂発生ではなくその原因となった
「オリフィスの減肉」が問題です。
今回の減肉とは形状や場所は違いますが、オリフィスで減肉が起きることはいわ
ば常識でなければなりません。同じ美浜原発でたった4年前に起きたことさえ教
訓化されていないのだったら、「現在まで得られている知見」など何一つ反映で
きるはずが無いじゃないですか。
オリフィス下流域の減肉メカニズムは、工学系の大学で解析なども行われている
テーマです。

同じ構造も含めた全部の点検が必要という危機意識がようやく若干みられるよう
ですが、小池環境大臣の「懸念されるのは、(原発が停止して火力で補うことに
なると)二酸化炭素(CO2)の(国内排出量の)計算が狂う。しっかり原因究
明し、安全を確保していただきたい」などという的はずれな苦情が出ています。
環境省に対しても抗議をしなければならないようです。

【8月10日18時16分】

 800トンもの冷却材喪失事故

 美浜原発事故の実態を示すデータの一つがようやく明らかになりました。
 二次系冷却材喪失の量が800トンになるということです。これまでの冷却材
喪失事故を大幅に上回る大量喪失となりました。
 もちろん、一次系と違い直接炉心を冷やすためのものではないので、これが無
くなったら即メルトダウンするというわけではありませんが、一次系の冷却能力
が下がれば、一次系の温度や圧力が上がり、配管や炉心を守るために「加圧器逃
がし安全弁」が開きます。この弁は、圧力変化を受けて開いたり閉じたりという
動作を繰り返す設計になっているのですが、これが開きっぱなしで閉じなくなれ
ば、一次冷却材喪失事故につながることとなります。

 また、二次系の喪失により、蒸気発生器内部でも危険な事態が起こりえます。
 二次冷却材と一次冷却材は厚さ2ミリ程度の「蒸気発生器細管」と呼ばれる管
を隔てていますが、この細管は腐食により穴が開くことが多く、老朽炉では栓を
して漏えいしないようにしている配管がいくつもあります。

 美浜3号機に、もし栓をしていない漏えい配管があったとしたら、二次側に一
次側から漏えいが発生し、二次系の放射能汚染につながっていたかもしれません。
このことは、タービン建屋二階部分に溜まっていた冷却材を実測すればすぐにわ
かることなので、直ちに行わなければなりませんが、そういう調査を行った形跡
もありません。

 もう一つ、蒸気発生器内部の二次側圧力が急激に下がっている可能性がありま
す。そういう事態になると、細管の一次側と二次側の差圧が、運転中は本来30
気圧程度のところ、300気圧近くに上がる恐れがあるのです。瞬間的に上がる
ということは考えられませんが、一定時間のうちに大きな差圧が発生。これが
弱っている細管を破壊するおそれがあります。二次側ドライアウトを甘く見ては
なりません。

驚きの「0プラス」

今回の事故について、原子力安全・保安院は国際評価尺度について、暫定としつ
つも「0プラス」という評価をしています。9段階あり0〜7に分かれているう
ち0は0マイナスとと0プラスに分かれています。0プラスは下から2番目で、
「安全上重要ではないが、安全性に影響を与える事象」だということです。86
年のチェルノブイリ原発事故は最高のレベル7、95年に福井県敦賀市で起きた
旧動燃の高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故はレベル1、91年の美
浜発電所2号機蒸気発生器細管損傷事故は2、99年に2人死亡した東海村の
JCO臨界事故はレベル4で、米国スリーマイル島原発事故はレベル5でした。
 4人の犠牲者というのは、日本最悪の原発事故であると共に、世界的にも3位
あたりにくる重大事故です。今回の事故を深層防護の喪失という観点からみても
レベル0というのは到底実態を現すものとは言えないでしょう。


04/8/10(Tue) 06:30pm SDI00872@nifty.com yamasaki hisataka

http://www1.jca.apc.org/aml/200408/40663.html



たんぽぽ舎
http://www.jcan.net/tanpoposya/index.htm


二酸化炭素地球温暖化脅威説批判 [環境問題を考える]
http://env01.cool.ne.jp/ss02/ss025/ss025.htm

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