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美浜原発3号機8/9事故に関する考察5 [山崎久隆@たんぽぽ舎/福島原発市民事故調]
http://www.asyura2.com/0403/genpatu2/msg/443.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 9 月 21 日 20:19:26:dfhdU2/i2Qkk2
 

こんにちは、山崎久隆@たんぽぽ舎/福島原発市民事故調です。
[aml 40810]の続きの考察の5号を送ります。1〜5号とも転載自由です。

【8月21日2時26分】

BWRでも過去に減肉と破断事故

 そろそろ出てくるかと思っていましたが、やはりBWRでも減肉、破断が起き
ていたことが明らかになりました。
 配管破損があったのは、東京電力福島第1原発6号機、中部電力浜岡原発1・
2号機、東北電力・女川原発1号機の4基。
 補助系というだけでどこで破断などが起きたのかは不明ですが、浜岡で古い2
基とも起こしているのが気になるところ。水素爆発を起こした2号機との関係は
どうなのだろう。
 いっぽう、減肉が進んだため配管を交換したことのある原発は、PWR21
基、
BWR15基になるとのこと。
 詳細情報はいずれ明らかになると思います。

 美浜原発報告書

 「美浜発電所3号機定期安全レビュー報告書」について毎日新聞が報じていま
す。
 大きな問題点として「膨大な場所の肉厚測定を実施した」「各配管の減肉傾向
が把握できたため、現在は、より合理的な点検基準を策定し運用している」「安
全性向上のための新たな追加措置は摘出されず、最新のプラントと比較してもそ
ん色のないレベルにあることを再確認できた」というあたり、検査をしていなけ
れば何の意味もないことを書いていますが、それよりも重要だと思われるのがこ
の部分。「わが国では徹底した水質管理が行われているため、サリー原発のよう
な事象は発生しないと考えられた」
 米国の原発はほとんどの場合、淡水である川の水を冷却材に使います。日本は
全て海水を冷却材に使います。これは、米国に比べて極めて厳しい条件にあるこ
とを意味します。
 日本の原発は復水器に穴が開けば直ちに系統内を塩素、有機物で汚染されるこ
とになるのですが、炉水管理が米国より優れているとは到底思えません。

関電新たな「検査漏れ」

 関電は、高浜原発3、4号機、大飯原発3号機の3基で新たに11カ所の検査
漏れがあったという発表をしました。このうち高浜3号機は運転中だったため、
停止することになりました。
 毎日新聞によると「新たな検査漏れは、高浜3号機で8カ所、同4号機1カ
所、
大飯3号機2カ所。主給水管にある弁の下流部(高浜3号機)や補助蒸気を作る
装置の配管部分(同4号機)など。主給水管は2次冷却系の主要配管。破裂すれ
ば美浜原発事故のような惨事を招きかねない。11カ所はいずれも91年ごろに
作られた検査リストから抜け落ちていた。運転開始以来、検査されたことはな
い。
うち5カ所は計算上の耐用年数を超えているという。」
 これで、これまでの4基4カ所を合わせると検査漏れは計17カ所。盛大に検
査漏れを出しているということは、もはや構造的問題。はじめから検査が必要な
部分であるという認識など無かったことの証明ではないでしょうか。
 あるいは三菱重工の作成リストから漏れていたということを理由にしているよ
うですが、三菱が漏らせば関電には何のチェック能力もないということを露呈し
たわけです。たまたまみたいなことを言える状況ではありません。
 ところが関電は「同じ時期に運転を始めた他の原発の過去の肉厚測定データな
どから「今のところ安全性には問題ない」と説明している。」(毎日新聞)とい
うのですから、おどろくべき感覚です。
 美浜3号の検査漏れ発見以後、今月からの定期検査までのばした理由が「美浜
2号機などの他の同様配管はまだ余裕があったから大丈夫だと思った」というも
のでした。
 つまり、依然として体質を変える気はありませんということ。どうしてこんな
会社が今も原発を動かし続けていられるのか、心底恐ろしい。

【8月23日0時46分】

これまでの事故累計数は?

 報道によって、これまでに起きた事故の件数がまちまち。検査漏れ件数も報道
により微妙に違うというありさまで、どれが正しいのかよくわかりません。
 とりあえず時間が一番新しい「読売新聞20日1時4分」ものを見ると、
「1971年6月に福井県の日本原子力発電敦賀1号機の屈曲配管で発生。関電
でも83年2月、同県の高浜2号機の分岐配管で蒸気が漏れる事故があった。今
年7月にも、同県の関電大飯1号機で屈曲配管の厚みが減肉、国の技術基準が求
める厚みを下回る事例があった。」
 しかしこの際数はあまり問題ではなく、こういった破断や検査の結果減肉が起
きていることを認識しているのに、水平展開(他原発への教訓を生かすこと)が
全くできていないことが重要なのです。
 いままでいろんな場面をつかまえては、市民団体などが安全性の軽視であると
厳しく追及してきました。
 美浜2号機のECCS作動事故などは、欠陥原発でメルトダウンの危機にあったと
警鐘を鳴らし、プルサーマル計画用のプルトニウム燃料製造データ偽造と製造時
の異物混入事件では、この種の不祥事は原子力と電力会社全体の体質に問題があ
ると警告をしてきました。
 そのあげくに起こったのが、東電では長年にわたる事故隠し、ひび割れ隠しに
よる原発長期停止(今年の夏のピーク時でさえ、17機中7基が止まっているこ
とに注目すべきです)そして、プルサーマル計画の無期限延期となりました。
 関電では膨大な火力発電所での検査データ偽造に現れたのですが、この教訓を
生かせず11名の死傷者を出す事件となりました。
 原発を作った会社は三菱重工、この三菱グループの企業が三菱自動車。いわ
ば、
一群の企業体に、安全に対するモラルの低下と安易な思いこみが浸透しきってい
たとみなければなりません。

 関電幹部の「単なる蒸気漏れ」発言

 こういった時期に、当事者の本音はどの辺にあるのかを調べるのは重要なこと
です。
 いくら藤社長が土下座し回っていたとしても、巨大企業関電の内部が全部そう
だというわけではありません。
 共同通信がその深層を見事にえぐった記事を書いています。
 「表層深層」辞任問題で揺れる関電、共同通信の調査報道記事の題名です。
 「美浜事故は『単なる労災』安全意識、世間とかい離」として、関電幹部の声
を紹介しています。それは日本第二位の原発を持つ電力会社として、空恐ろしく
なる感覚です。「秋山喜久会長は『労災事故でなんで社長が辞めねばならないの
か。出光興産の石油タンク火災でも、処分は現場だけだ』と、責任論に不快感を
あらわにした。」
 別の幹部「『下に人さえいなければ、ただの蒸気漏れ事故だった』と、不運を
嘆く幹部もいる。」
 この人たちは、自分たちが動かしているのが原発であるということを認識して
いないようです。今回の事故は「史上最大規模の二次冷却水漏れ」事故であり、
主配管の損傷としても日本で最大のものなのです。「ただの蒸気漏れ」だと本当
に思っているのであれば、直ちに原発を止めるべきです。そんなレベルの会社に
原発を動かし続けられれば、大災害を避けることはできません。
 また、労災事故を引き起こす原因を何も考えていません。会社を挙げて下請け
に要求してきたのが、一分でも早い定期検査終了です。また、業界を通じて定期
検査の間の運転期間を大幅に延長することを求めてきました。
 つまり、ぼろぼろの原発でも長期間運転ができるという恐ろしい発想の下に
あったわけです。
 原発は定期点検中の停止期間を1日短縮できて系統復帰すれば、1〜3億円の
利益となるといわれています。定期点検自体は、検査合格証が経産省から出され
るまでの期間を指しますが、その終盤に原子炉を起動し、総合試験を行います。
この間に発生する電気はそのまま売ることができますので、定期検査中でも早く
原子炉を起動できれば利益が出るというわけです。
 関電と東電は、この定期検査短縮を競っています。どれだけ短い期間で起動で
きたかで、金一封が下請けに出たり、表彰したりと、短縮を積極的に奨励してい
ました。
 それがどんな結果を生み出してきたか、二つの電力会社が積み重ねてきた不祥
事を見れば明らかでしょう。
 そのため、まだ定期検査にも入らないうちから、タービン建屋に大勢に作業員
を入れていたわけです。通常運転時には、原子炉建屋はもちろん、タービン建屋
にも人はほとんどいません。系統内の放射性物質を測定するためのサンプリング
や定期巡回以外は、すべて中央制御室でコントロールをしており、そもそも原発
の構内に入る必要がないからです。
 しかし定期検査を一分でも短縮しようと、準備作業を定格出力運転中に始めて
いたのです。
 通常、BWRではタービン建屋でのこの種の作業はできないだろうと思いま
す。
BWRは全ての系統に放射能汚染された冷却材が流れていますから、タービン建
屋に入る場合も、放射線作業従事者として入り口で入域者の個人被曝管理が義務
づけられており、定期検査が始まってもいないのに大勢の作業員が入域すること
は許されていないだろうと思います。
 しかし美浜3号はPWR、タービン建屋での作業は放射線作業ではないので、
誰でもチェック無しで入ることができたのでしょう。
 しかしその頭の上には、摂氏140度圧力10気圧の二次冷却材が流れてい
て、
破断と同時に11名を死傷させたのです。
 もし同時に一次冷却材との境目である、厚さわずか2ミリの細管が破断してい
れば、放射性物質をも浴びた可能性がありました。
 この事故が、原発の無理な運転を強行してきたことに背景があります。「下に
人がいた」それはどうしてなのか、この幹部はそのことを「人ごと」のごとく
語っていますが、そういう姿勢が事故を引き起こす原因だったのです。
 その姿勢は、藤社長のこの発言でもうかがい知れます。共同通信は伝えます。
 「新たな点検漏れが見つかった16日の記者会見で、藤社長は『見つかって良
かった。これで検査できる』とあっけらかんと話した。亡くなった中川一俊さん
の同僚が『誰が被害に遭ってもおかしくなかった』と顔を青ざめさせたのとは対
照的だ」
 原発の定期検査直前の事故といえば、チェルノブイリ原発事故もそうです。ま
た、89年1月に発生した福島2−3再循環ポンプ損傷事故も定期検査直前で
あったため、検査まで運転を強行しようとして事故を拡大しました。
 美浜原発3号機も8月14日に定期検査入りの予定で、9日に事故を起こして
います。
 航空機ならば離着陸時11分が最も危険な範囲とされ、そのために十分な安全
対策を取るように求められています。しかし原発は依然として、定期検査前後に
無理をして事故を起こすことが繰り返されています。
 「関電が社長辞任に神経質になる理由を、ある幹部は「今、社長が辞任したら
事故のたびに電力トップが辞めざるを得なくなり、業界から批判を受ける」と説
明する。電力会社でつくる電気事業連合会の幹部も「マスコミの先走りではない
か」と、進退問題の沈静化に躍起で、業界としてあしき前例を作るまいとしてい
るかのようだ」(共同通信)
 これなども、今回の事故をいかにも小さく見せかけようとしているとしか思え
ません。だいいち、二次系主系統の減肉を見つけられないというシステムそのも
のが、トップにいたる重大な欠陥ではないのでしょうか。

【8月31日11時46分】

三菱重工の配管検査漏れはPWR全体に

 過去に、美浜原発3号機と同様の配管検査漏れがあった原発に、日本原電敦賀
2号、北海道電力泊原発1号機が加わりました。
 敦賀2号機は89年2月の運転開始以来、2000年まで漏れていて、01年
の定期検査から点検を開始し、2003年9月からの定検で、設計時の肉厚12
ミリの配管が7.2ミリまで減肉していることを確認したものの、安全上必要な
肉厚は6.4ミリだから余寿命が2.2年と判定して、今年12月からの定検で
交換する予定とのことです。
 泊1号機は89年6月運転開始以来、第1回定期検査の90年から第5回目の
95年までの6年間で定期検査の対象から漏れていたため検査が行われていませ
んでした。
 この配管は点検漏れに気づいた直後の96年に定期検査で配管を測定したとこ
ろ、10ミリだった肉厚が7・4ミリに減肉していたため2000年にステンレ
ス鋼に取り換えたそうです。
 原電も北電も「リストから漏れた理由は分からない」と話しているというので
すが、いずれも80年代の運転開始原発で、メーカーも同じということからも、
点検が必要という認識に欠けていたということなのでしょう。
 おそらくこの種の配管の検査は「10年間に25%を点検」という基準がある
ので、それに従えばよいと判断をしたのでは亡かろうかと思われます。
 いずれにしろ、北海道電力も日本原電も検査対象としてこなかった説明をしな
ければなりません。
 三菱重工直轄の原発は、その後検査を行って取り換えないし取り換え予定と
なったわけですが、89年以降になってあらためて検査漏れの配管を検査対象と
して組み込む前段に何らかのきっかけがあったものと思います。それはいったい
何か。
 美浜3号機でも2000年には三菱重工が検査漏れを確認していて、それを日
本アームに伝えたとされています。つまりこれらは「経常的に検査対象として重
視されていなかったのに突然検査態勢に組み込まざるを得ない事態が起きた」と
いう流れだとみるのが自然です。

検査会社と関電との関係

 敦賀にしても泊にしても、三菱重工が作り三菱重工が検査業務を行っていま
す。
しかし関電だけが「日本アーム」という会社に検査業務を丸投げしており、その
ことが三菱重工の「検査漏れ」の認識を持ってから実際に検査をされるまでに大
きなタイムラグを生じた原因とされています。もっとも、そのことも含めて責任
は関電に帰することはいうまでもありませんが。
 読売新聞によると、日本アームというメーカーは1956年創業で、いまの従
業員数は265人。資本のうち関電が45.2%を出資し、浅野尚社長以下7人
の役員は全員が関電出身だそうです。これまでに計約240人が関電を退職後に
再就職しているというから、関電の子会社というよりも天下り先的な存在であっ
たようです。もちろん、技術を持つ人々がその技術を生かすという目的であるな
らば何も問題はありませんが。しかし実態はどうもそうではないらしい。
 会社発足当時は、電柱に取り付ける部品製造などを行っていましたが、火力発
電所の定期検査業務を請け負うようになったのが89年以降で、96年になり原
発業務にも参入したとのことです。しかし経験が無かったため当初は三菱重工と
の契約で他の原発の情報を提供するなど、事実上三菱重工の下請け的な存在とし
て入ったと思われます。
 その後三菱重工の検査業務が順次日本アームに移されていったということなの
ですが、三菱重工によれば美浜3号機の事故配管について「99年4月と
2000年8月、「減肉現象が起こりやすい。点検した方がいい」と検査を引き
継いだ日本アームに注意を促した」というのですが、検査は行われず2003年
4月になって初めて日本アームは「検査漏れという認識を持った」とされ、同年
11月に関電にその旨を伝えたというのです。この時間差は今も説明されていま
せん。
 しかし一つ言えることは、三菱重工と日本アームの間の情報伝達の問題だけで
はなく、関電にも検査漏れを認識する機会は十分にあったということです。
 これは、大飯1号機の例でわかります。
 大飯1号機の場合は読売新聞によれば「93年に三菱側が「復水管3本で減肉
が進み、00年には国の基準を下回る恐れがある」と関電に報告した情報が日本
アームに伝わらず、04年7月の定期検査まで点検されないままだった」という
ことなのですが、これは奇妙な話です。93年といえばまだ三菱重工が検査業務
を委託されていた時期に当たり、この情報は直接関電に伝わっていたのです。し
かし関電は大飯1号機の検査を2004年7月、つまり今年の定期検査まで実施
していません。それを「日本アームに伝わっていなかったから」という説明は無
茶苦茶です。関電は96年以降なぜ日本アームにそのことを伝えていなかったの
かという問題以前に、96年以前に三菱重工そして関電がどうして検査しなかっ
たのかのほうが重大な問題だからです。
 これがいわゆる「2次系配管肉厚の管理指針」の欠陥を証明する一つの情報に
なるのではないかと思われます。
 検査対象から漏れたというよりも、検査対象の配管と認識しなかった、あるい
は減肉予測して96年までは安全と評価してそのままになっていたなどが考えら
れるのではないかと思います。
 さらに、大飯1号機の結果が今年7月に出た段階で、最後のチャンスがありま
した。減肉予測をしていたであろう大飯1号機の減肉が、国の基準を下回ってい
たことがはっきりし、この時点で減肉予測に基づく管理指針が破綻している危険
性が示され、直ちに美浜3号を含めて、運転開始以来検査をしていない配管の減
肉が急激に進展している可能性を考慮すべき十分な証拠が出そろったからです。
 しかし8月14日に定期検査に入る予定だったため、定期検査まで持つだろう
という安易な判断、これを誰がしたかが問題になるでしょうが、その判断が最後
のチャンスを奪いました。
 関電によると、検査業務委託先を三菱重工から日本アームに代えた理由は「電
力自由化で、競争に勝つためにはコスト削減を進めなければならない」(広報担
当者)と説明。さらに、メーカーとは異なる第三者の視点で検査できるし、火力
発電所の配管の肉厚測定などで実績があるなどと説明をしているようです。
 コストダウンについては、朝日新聞によれば三菱重工に比べると3割も「削
減」できたというのですが、その3割の中身は何かが問われます。
 また、第三者の視点で検査できるなどはでたらめも良いところです。検査漏れ
についてはもともとの三菱重工以下の能力しかありません。第三者の視点など、
どこからみてもそんな位置に日本アームがあるわけがない。当事者である関電と
何も変わるところはありません。少なくても検査業務を行う機関としては、資本
関係がないこと、役員に出向や退職者がいないこと、検査業務について十分な能
力と知識があること、は必要最低限です。そのどれも満たしていないのですか
ら、
下請け以下といわざるを得ないでしょう。単にコストダウンのためのアウトソー
シング会社にすぎません。

JCOの教訓生かせず

 これは読売新聞の独自記事のようです。
 8月21日に松山市で開かれた「放射線事故医療研究会」の美浜3号機に関す
る緊急報告会で、最初に現場についた救急隊員や、事故で死傷した人々を収容し
た人たちに「放射線被曝や放射能汚染は無い」という情報が伝わっていなかった
というものです。
 二次系の冷却水噴出事故であったことから、状況として大量の被曝や放射性物
質の放出は無かったわけですが(ただし完全にゼロというわけではないトリチウ
ムなどが出ている可能性は否定できない)このことが伝わらず、原発災害の情報
伝達としては極めて不十分であり、救助作業に支障がでました。
 「美浜消防署救急隊の和田達二隊長によると、119番通報は『放射線管理区
域の外で事故が起きた』との内容で、当初は被曝や汚染の有無についての確実な
情報は得られなかった。発電所入り口に駆けつけた和田隊長は、関電関係者に誘
導されて現場へ急ぎ、救急車で被災者を病院に搬送した。『もし放射能が漏れて
いたら、隊員や医療関係者に汚染を広げてしまう可能性もあった。関電社員から
正確な情報を聞き出すべきだった」と振り返った』
 JCOの事故では、事故現場が「転換試験棟」と呼ばれる施設であったことか
ら、第一報で「転換棟で人が倒れた」と伝えたため、救急隊員は「てんかんの発
作」と誤認したことが伝えられています。
 さらに、現場に着いてみると従業員の多くが正面入り口に集まっていて、救急
隊員が何をしているのだろうと思って聞くと「避難をしている」というので驚
き、
何が起きたのか問いただして初めて放射能災害であることがわかったという実態
でした。
 そのうえ被災者は大量の中性子線を浴びている重体患者で、どこに搬送できる
かを調べるだけで30分以上もかかるという事態、被災者からの被曝を防ぐため
の資材もないために、ストレッチャーごとビニールで覆うくらいしかできず、救
急隊員も現場に長時間止まらざるを得ず、被曝を余儀なくされました。
 このことが後に大きな問題となり、原子力防災の見直しにつながったはずなの
に、結局美浜原発事故でも繰り返されます。
 「8人の負傷者が運ばれた市立敦賀病院の杉浦良啓診療部長は、『患者を救急
車から降ろす前に、念のため放射線測定をしなければならなかった』と語った。
報告会に出席できなかった医師からも、当日の経過について文書が寄せられ、同
様の指摘が相次いだ。福井県立病院救命救急センターの林寛之医師は、やはり被
曝や汚染の有無を知らされず、関電に確認しようとしたが、電話がつながらな
かったり、放射線管理者と話をさせてもらえなかったりしたという」
 関電側は被曝事故ではないのだからと、実にずさんな対応ですが、原発を抱え
る地元の医療機関は、常に放射能災害を気にしていなければなりません。
 人身事故が起きたとなれば、まず放射能汚染があるのか無いのか、その情報が
最重要であることが常識でなければなりません。
 応援の救急隊員や医療関係者を現場に送る必要が出たときも、被曝する危険性
があるのかないのか、その情報が無ければ人を出すこともできないのですが、関
電側はそのような意識は無かったようです。
 関電は、いわば自己中心的情報伝達を行います。二次系なので放射能はおびて
いない、だから放射能は出ていないのが「常識」であり、わざわざ救急隊員や医
療関係者に伝える必要もないと勝手に考えているのです。
 これが防災対策を行う人々にとって実に許し難い態度であるということを、体
質にしみこむまでそれぞれ原子力・放射性物質所有企業に伝える他はありませ
ん。
 本来ならば防災情報伝達者は、当事者である関電ではなく、独立した機関が行
う必要があります。たとえば経産省から出張し常駐しているはずの運転管理官
(今回の美浜3号事故の時は何をしていたのだろう)とともに、そういう業務を
すべき人間を国が常駐させるべきであろうと思いますが、今の国の体質では、そ
ういった人間を置いても実効性は期待できません。
 「1999年に茨城県東海村で起きたJCO臨界事故で、放射線を浴びた作業
員を治療した前川和彦・関東中央病院長は『被曝や汚染が無いという情報は、あ
るという情報と同じぐらい重要。その情報が伝わっていなかったのは大きな問題
だ』と話している」
 もともと原発では、重大な被曝事故が起こるという想定のもとに対策が取られ
ていませんでした。91年の美浜原発2号機の事故でも希ガスやヨウ素など放射
性物質が大気中に放出されていたにもかかわらず、見学者の緊急避難なども無
く、
放射性物質の大気放出自体が後になるまで明らかにされませんでした。これに対
しては私も関電東京支社交渉ではかなり厳しく追及した覚えがあります。
 人身事故となったJCO臨界事故で住民の大量被曝が起きた後になっても、こ
うした対応を繰り返す関西電力という会社の体質は、当時からほとんど変わって
いないようです。

死者5名に

 死者5名となってしまいました。25日に亡くなったのは亀窟勝(カメイワ・
マサル)さん。30歳でした。
 全身やけど(9割)で福井大学病院に入院していましたが、ついに帰らぬ人と
なりました。
 ご冥福をお祈りします。
 まだ重症の方もいます。入院中5名の回復を願っています。


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