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“肉食”は重大な環境問題 持続可能な食になり得ない[日経エコロジー]
http://www.asyura2.com/0403/gm10/msg/359.html
投稿者 feel 日時 2004 年 9 月 14 日 00:26:14:/berAdga6DXu.
 

日経エコロジー10月号 2004/09/08
http://emf.nikkeibp.co.jp/emf/eco/saishingo/

リポート−ワールドウオッチ研究所
−“肉食”は重大な環境問題 持続可能な食になり得ない

肉食は、牛の牧草地確保のために森や草原を破壊させ、地球上の水を不足させ、温暖化を促進させる環境問題である。
 数ある社会問題のなかで、肉食はどの程度重要だろうか。そう問われたら、多くの人々はそもそも肉食がなぜ“問題”なのかと驚くかもしれない。しかし、環境問題に関する研究が進むにつれて、肉食はほぼすべての主要な環境被害を引き起こすことが明らかになってきた。森林破壊、土壌の浸食、淡水の不足、大気や水質の汚染、気候変動、生物多様性の低下、社会的不公正、地域共同体の不安定化、病気のまん延などに、肉食がかかわっている。
 持続可能性の議論でも、食肉の消費は中心問題と考えられるようになった。過去50年間で1人当たりの食肉の消費量は2倍以上に増え、世界人口も増加したことから、世界の食肉需要は5倍に膨らんだ。それが、水資源や土地、飼料、肥料、燃料の利用可能性、牛の排せつ物処理能力、その他の地球上の資源への負担を増大させている。

森や草原、淡水への影響

 大規模な森林伐採によって農地が開かれ、作物や家畜が育てられた。家畜に餌を供給するには、作物栽培よりはるかに広い土地が必要だ。文明が始まってから約1万年間は、常に新しい土地が手に入れられた。
 1990年にブラウン大学の「世界飢餓計画」が行った推計によると、世界で収穫される穀物を家畜の餌にせず、すべて菜食の形で平等に分配すれば、60億人分の食糧を供給できる。これに対して、肉を多く摂取する食生活を基準にすると、26億人分の食糧にしかならない。
 つまり、世界人口が60億人を超えている現在、私たちはすでに土地不足に陥っており、その分を海からの魚で補っているのだ。その漁業資源も急速に枯渇しつつある。
 私たちがこれまでと同じ割合で肉食を続けたり、人口が予測通りに増え続ければ、近い将来、世界の人々に食糧を供給するため、さらに森林を伐採するしかなくなるだろう。肉と植物性食品のどちらのタンパク質を摂取するかは、私たちが今後破壊する森林の面積を左右する。
 森林に続いて草原も破壊された。バイソンやレイヨウなど野生動物の繁殖地だった草原は踏み荒らされ、牛の大規模放牧のための牧草地に変えられた。
 淡水もまた問題になってきた。数年前に水問題の専門家が行った推計によると、人間は地球上の利用可能な淡水の約半分を使っており、人間以外の100万以上の種が残りの半分を分け合っている。その内訳を見ると、最も多くの水を消費しているのは、人間が食肉用に飼っている家畜である。水の需要を減らす簡単な方法は、私たちが消費する肉の量を減らすことだ。
 さらに問題なのは、牛の排せつ物である。巨大な工場式の畜産場から出る牛の排せつ物は、地球の分解吸収能力を上回っている。排せつ物が河川から海に流れ込み、入り江や湾で大量の窒素を放出するため、死に瀕している海域も多い。ミシシッピ川からメキシコ湾に流れ込む排せつ物を減らす最も簡単な方法は、食肉の量を減らし、アイオワ州などで飼育される家畜の数を減らすことだ。

牛が地球を温暖化させる

 牛が1枚のステーキ肉となって家庭の冷蔵庫に入るまでには、驚くほどのエネルギーが使われている。肉のライフサイクルは、牛の餌となる穀物の栽培から始まるが、石油を原料とする化学薬品がかなり使われている。牛を食肉処理場、さらに市場へ輸送するための燃料も必要である。世界で流通している食肉には、数百km輸送されるものも多い。冷蔵庫での保管や調理にもエネルギーが消費される。
 食肉の生産と輸送は、温暖化ガスを発生させる燃料の使用増加につながる。さらに、家畜は温暖化ガスの直接の排出源でもある。牛は消化時に体内でメタンガスを発生し、大気中に大量に放出する。現在、世界各国で13億頭の牛が飼育されており、環境団体アースセーブは、その大幅な削減を提言している。
 2003年に米国でBSE(牛海綿状脳症)の感染が確認された時には、感染した牛の肉が約10州に出荷されていた可能性がある。大量生産施設で抗生物質に依存した飼育が行われていることは、問題をさらに大きくする。
 こうした施設では費用をかけて清掃する代わりに、抗生物質で感染や発病を防止する。その結果、抗生物質の耐性菌が世界中に増え、感染を拡大させつつある。
 また、野生動物の肉の違法取引が危険な感染症を引き起こす例もある。HIV(エイズウイルス)のように、森林に生息する霊長類の持つ病原菌が、規制をかいくぐって世界の市場に広がろうとしている。
 生活習慣病、特に心臓病は、ひと昔前なら環境問題とは見なされなかった。現在では、公衆衛生に関する問題の大部分が、遺伝性というより環境にかかわりが深いことが明らかになっている。
 心臓病は砂糖と脂肪(特に肉の脂肪分)の取り過ぎによる肥満や、自動車優先の都市設計が助長する運動不足と関連している。郊外のスプロール化、大気汚染、化石燃料の消費、不適切な土地利用政策なども、心臓病の要因だといえる。
 野生動物の肉の流通によって、ゴリラやチンパンジーなど霊長類も多く殺されるようになった。
 人口増加に伴って、貧しい人々はこうした肉を求めて野生生物保護区に入る。
このような地域では、「肉食を減らそう」と呼びかけるだけでは不十分だ。問題解決のためには、木材伐採用の道路の建設を抑え、密猟やブッシュ・ミートの闇取引から動物を保護することが重要だ。さらに、世界で生産される食糧とそれを買うための収入を、より公平に分配することも必要だろう。
 数百年にわたって森との調和を守ってきたピグミー族のハンターたちは、木材伐採のために野営する人々から銃と弾薬を与えられ、金を受け取って野生生物を撃つことがある。こうした方法は、絶対に持続不可能である。
 物理学者のアルバート・アインシュタインは、「この世の中には、菜食ほど人間の健康と生存の可能性を増大させるものはないだろう」と述べている。生態学的、経済学的な面に限ってみても、肉食は人間を脅かしつつある。肉食過多の時代は石油の時代と同様、間もなく終わりを告げるということ、そしてこの二つの終焉の間につながりがあるということは、容易に想像できる。
カナダ・アルバータ州の牧場。米国で初めて発生したBSEの牛は、アルバータ州から米国に輸入されたものとみられている
写真/ロイター・サン
肉食への欲求は尽きない。世界の食肉需要は過去50年間で5倍に膨らんだ
写真/ロイター・サン

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