http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050316i412.htm
　牛の個体識別番号を記した耳標の偽装事件で、牛肉履歴管理法違反、詐欺、廃棄物処理法違反の罪に問われた北海道小清水町の前町議で元家畜商林忍被告（６７）と、畜産会社「林産業」の判決公判が１６日、釧路地裁北見支部であった。

　伊東顕裁判官は、「被告が取り外した耳標は（法で規制対象の）耳標とはいえず、罪には問えない」として、両者とも、牛肉履歴管理法違反については無罪とした。詐欺などについては林被告に懲役２年、執行猶予３年（求刑・懲役３年、罰金５０万円）、林産業に罰金１００万円（同・罰金１５０万円）を言い渡した。

　判決によると、林被告は耳標を１６秒で取り外し、簡単に再装着もできた。さらに、林産業の従業員も簡単に取り外しを行い、再装着後も耳標としての機能を失わなかった。

　一昨年１２月に施行された同法に基づき、現在国内で生産される牛はすべて、農水省が購入した耳標を装着している。

　農水省令では、耳標の規格として＜１＞装着した後、容易に脱落しない＜２＞取り外した後、再び装着できない――と定めており、伊東裁判官は法の前提が崩れているとの見方を示した。牛の履歴管理制度そのものについても「いわば裸の王様のような事態だった」とし、信頼性に疑問を投げかけた。検察側は控訴を検討している。

　農水省衛生管理課の栗本まさ子課長の話「極めて特殊な方法で外しており、耳標の製品としての規格は満たしていると考えている。再装着していた点については改良を検討している」
(2005/3/16/20:47　読売新聞　無断転載禁止)

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