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BSE感染の危険のある牛肉 ライスの一声で輸入再開かよ  (野室拓人) 
http://www.asyura2.com/0403/gm10/msg/615.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 4 月 07 日 12:03:30: ogcGl0q1DMbpk
 


私のリスク・ベネフィット論

BSE感染の危険のある牛肉ライスの一声で輸入再開かよ

野室拓人

http://www.bund.org/opinion/20050415-2.htm


 来日したライス米国務長官の「日米関係への悪影響」という「鶴の一声」で、小泉政権は「20ヶ月以下」という条件付きで米国産牛肉の輸入再開へゴーサインを出そうとしている。この問題について食肉業界につとめる野室さんから投稿があった。

仙台牛タン業界を直撃したBSE騒動

 私は仙台の食肉業界で働いている。仙台と言えば牛タン。わが仙台は「牛タン焼き発祥の地」なのだ。新生「東北楽天ゴールデンイーグルス」に明治大学の一場投手を獲得したマーティ・キーナートGMの第一声は、「あなたは、牛タンは大丈夫?」だった。  

 そんな仙台の牛タン業界をBSE(牛の海綿状脳症)問題は直撃した。2003年12月、アメリカでBSE感染牛が見つかり、日本政府は、米国からの牛肉や牛肉加工品などの輸入の全面停止を決めた。仙台名産牛タンといっても、実はその多くはアメリカ産牛タン。米国産牛肉の輸入禁止は仙台の牛タン業界にとっても大打撃なのだ。  

 だが私は、「食の安全」という観点から、性急な米国産牛肉の輸入再開には賛成できない。実は、食肉業界でも、「安易な米国産牛肉輸入再開は牛肉そのものへの信頼を損ねかねない」という慎重論が少なくないのだ。  

 日本国にも、環境リスク学を提唱する中西準子(産業技術総合研究所センター長)のように輸入再開を容認する意見もある(以下、『東京新聞』の記事より)。中西は、そもそも日本政府が義務づけている全頭検査には「科学的根拠がない」と指摘する。BSE専門家の間では、検査精度の問題で発症前の感染牛を把握できない可能性があるのは常識。しかしそう言ってしまうと消費者の不安が高まる。そこで国は「絶対安全と信じ込ませる最も安易な方法」として全頭検査を実施しているというのだ。  

 中西は、全頭検査といった「心情論」ではなく、「リスクがどの程度あり、そのうちどの程度のリスクを削減するために、費用をどのくらいかけるべきか考えるのが原則」と、「科学的議論や経済性」をふまえたリスク評価の必要性を提起する。国が年間40億円もかけて「気休めのための全頭検査」を行うのは無駄だというのだ。  

 「絶対安全などというのは幻想」という中西の主張には、「なるほど」と思えるところもあるが、安全性とコスト(費用)を科学の名の下に天秤にかけ、安全性を犠牲にする議論になってしまっているような気もする。BSE問題のリスク評価について考えてみた。

環境リスク評価という考え方

 そもそも「環境リスク評価」とは何か。中西は、「目に見えない環境影響の大きさや性質を見えるようにする仕事」(中西準子著『環境リスク学――不安の海の羅針盤』(日本評論社P@、以下引用は同書から)だという。中西の出発点は、神奈川県の流水下水道建設をめぐって議論が堂々巡りを続けたことだった。川に沿って単独公共下水処理場を分散して造り、その都度処理水を川に戻したほうがいいのか。それとも流域下水道を造って、幹線管渠を通じて処理水を一気に河口近くに放流したほうがいいのか。  

 「(後者のように)人間の水道水質のために良いから一滴も河川に水を戻さないとすれば、生き物が棲む水環境ではなくなってしまいます。河川は水道水のためだけに存在するわけではない、しかし、(前者のように)水が戻って飲料水が汚くなるのも困る」(P33)。 中西の回答はこうだ。「やはりどこかで譲り合わなければならないのではないか、水環境も水質も折り合わなければならない、ある場合には、やや汚くても我慢する、そういうことも必要なのではないか」(P34)。  

 確かに、二つ以上の選択肢があって、それぞれプラスとマイナスがあるとき、果たしてどちらを選んだらいいのか。環境問題に取り組むとき、必ず突き当たる問題だ。「環境にやさしい」「人体にやさしい」といっても、現実的にそれはどの程度まで実現可能なのか。そこまでいかなくても、例えば「クルマは環境にやさしくない」「ケータイ(携帯電話)は人体にやさしくない」といっても、クルマもケータイもない社会生活など、実際上考えられるだろうか。  

 ゼロか100かではなく、どこかで線(指標)を引く必要がある。その線は、科学的に計量された情報に基づいて、議論の中で決定されるしかない。  

 例えば、中西が90年ころに行った水道水の発ガン・リスクについての研究がある。水道水を一生飲み続けると、塩素処理によって発生するトリハロメタンなどの発ガン性物質によって10万人中2〜8件の確率でガンが発生する。水道水を塩素処理からオゾン処理に変更すればトリハロメタンは発生しない。だが、莫大な費用がかかる。計算すると、1件のガンによる死亡を減らすためにかかる費用は4億円から11億円にのぼる。  

 そこで中西は、水道水の汚染のひどいところでは、お金をかけて塩素処理からオゾン処理にすべきだが、そうでもないところはそのままでよい、と結論した。

やっぱり危ない米国産牛肉

 では米国産牛肉の場合はどうか。私なりにリスク評価してみたい。問題は、BSE感染牛を食べるとvCJD(治療法は存在せず、死亡率100%!)を発症するリスクが存在する点だ。  

 1996年にイギリスで初めて報告されて以降、169例のvCJD発症が報告されている(2月8日現在)。BSE感染牛が多く発生したヨーロッパ諸国を中心に、イギリスが154例、フランスが9例。ヨーロッパ以外のアメリカ・カナダ・日本で発生した症例についても、イギリス滞在歴があることがわかっている。イギリスでは数万頭ものBSE感染牛が見つかった上(スクレイピー=「羊のプリオン病」に感染した羊やBSE感染牛の肉が、肉骨粉として飼料に混入したことが原因と考えられる)、牛の脳をひき肉にしてハンバーガー等に混ぜて食べる習慣がある。このことがvCJD発症拡大の原因となったと考えられる。  

 日本の場合、牛の脳や脊髄を食べる習慣はなく、全頭検査の結果でもBSE感染牛は十数頭しか見つかってない。肉骨粉の飼料への混入も禁止されている。脳や脊髄などの危険部位を除去し、危険部位による他の部位の汚染を防止するための衛生管理がきちんと実施されていれば、日本産牛肉によってvCJDが発病する可能性はほとんどないと言える。  

 一方、アメリカの場合、毎年4000万頭が食用に回るなかで、検査が実施されているのはたったの2万頭(0・05%)。それでも1〜2頭のBSE感染牛が発見されている。単純に計算して2000倍の2000〜4000頭が感染していることになる。  

 米国産牛肉の輸入再開に際しては、「20か月以下」という条件が付けられるようだが、全頭検査の結果日本では生後21か月の若いBSE感染牛も見つかっている。そもそもアメリカの牛肉管理はずさんで、生後月齢といっても肉質をみて人が判断するだけだ。危険部位の除去もおざなりだとの米畜産業界からの内部告発も報道されている。  

 BSEおよびvCJDの感染・発病プロセスは、現代医学でもほとんど解明されていない。vCJDの死亡率100%という点を考慮すると、現時点ではやはり全頭検査を行うにこしたことはないと思う。中西は全頭検査にかかる年間40億円は無駄だという。だが一人あたりに換算すれば年間40円にもみたない。これが無駄かどうかは、国民自身が判断する問題だろう。ましてや生まれも月齢も処理方法も不確かなままで、米国産牛肉の輸入を再開するのには反対だ。

絶対安全などというのは幻想

 一定のリスクを覚悟の上で米国産の牛肉を食べて「おいしい!」というベネフィット(便益)を享受することを選択をする人もいるだろう。米国産の表示徹底など「情報開示」がきちんと行われるならば、それは「自己責任」とも言える。トリハロメタンの含まれた水道水を飲みたくなければ、沸騰処理した水やミネラルウォーターを飲めばいいのと同じだ。  

 確かに中西が批判するように、とかく国や行政の「安全・安心のお墨付き」に頼ろうとする私たち消費者のあり方も問題だとおもう。国内ではじめてBSE感染牛が発見された2001年9月、私の職場にも問い合わせが殺到した。中には、「この商品は豚なので大丈夫です」と答えても、「なぜ豚だと大丈夫といえるの!」と怒り出す人までいた。  

 「××が危ない」と大騒ぎになっても、政府や業界組織が「犯人を突き止めた」と発表すると、何事もなかったように騒ぎが収まってしまう。こうした現象は、近年ますます増加しているような気がする。本当にあの「貝割れ大根」は、大腸菌O―157に起因する集団食中毒の犯人だったのだろうか?  私事になるが、親戚に一切の乳製品・肉製品・砂糖の入ったお菓子は飲食しないという家族がいる。別にアレルギーの家族がいるわけではない。「人体に必ずしも必要のない成分が入り込んでいる」というのが理由だという。親戚中で「子供がかわいそうだ」という話で持ちきりになっている。  

 「子供に害のあるものを食べさせたくない」というのは親の気持ちとして当然だと思うが、その一方で「害のないものはない」というのもまた現実である。たとえば、野菜には多くの発ガン性物質が含まれており、キャベツには49種類もの毒物があるとアメリカ・カリフォルニア大学のエイムズ教授は指摘している。でも、だからといって野菜やキャベツは食べるな、ということにはならない。  

 やはり私たち自身が、リスクの性質と量を冷静に見極める必要がある。その上で、リスクと、リスクを取り除いた場合に発生するリスク(この場合だと、野菜を食べないことによる栄養の偏り)を比較検討することが重要だ。自分で「あやしい」と判断したものは食べないことだ。中西リスク評価は、その判断に一定の材料を与えてくれる。  

 米国産牛肉輸入は、中西の主張する「科学的議論」によってではなく、アメリカの政治的圧力によって再開されようとしている。アメリカの畜産地帯は、ブッシュ再選に貢献した保守的な中西部地域と重なる。ブッシュ政権にとって日本への牛肉輸出の再開は、中西部の支持者への「再選のお礼」なのだ。  

 安い米国産牛肉の輸入が再開されたとき、あなたは食べますか? 食べませんか? 国や行政の「絶対安全」というお墨付きに振り回されることなく、各自が自己責任で選択する以外ない時代がやってきている。      

(食肉加工業)


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「リスク―ベネフィット」論の限界

現在の大量生産―大量消費システムを前提にしている

 野室さんが指摘する通り水道水や米国産牛肉の例では、それなりに納得できる形で「リスクとベネフィット」を比較することができる。どちらの場合もコストを負担するのと、ベネフィットを享受するのが同じ人間だからだ。  

 だが、原発のリスク評価といった全社会に、そして次世代にも深刻なリスクを強制する問題の場合、話は違ってくる。原発の場合、「電気を大量消費する暮らし」という目先のベネフィットのために、原発周辺の住民や原発労働者が犠牲になる。高レベル放射性廃棄物は、何万年にもわたり非常に大きなリスクを次世代に残す。リスク評価というのなら、そうした次世代のリスクまで可能なかぎり計算するべきだ。  

 しかし中西は、原発問題については「やめたときのコストが巨大」という理由で、リスクよりベネフィットの方が大きいと結論してしまう。「我々の周囲にはリスク不安が大きくて、その利用が極度に制限されている技術がある。…(その)代表的なものは、原子力と遺伝子組み換え作物、…原子力が夢の技術とは思わないが、わが国のエネルギー状況と、今のような管理技術を考えれば、もう少し利用されてもいいと思う。残念ながらリスク不安が大きく、原子力発電所の建設が市民に拒否される状況が続いている」(P241)  

 「リスク不安」というのは、実際の評価された「リスク」ではなく、市民が勝手に描いている「不安」のことだ。原発反対は、「科学的なリスク評価」が理解できない「無知な市民」が情緒的に大騒ぎしているだけだというのだ。しかし本当にそうだろうか。  

 東海地震震源域に立地する浜岡原発のリスクは、「漠然とした不安」などではない。今や、国や中部電力さえも浜岡原発の耐震設計の不備を認めている。美浜原発・JCO・「もんじゅ」と、現実に原発関連の事故が立て続けに起きている。もし原発で、一度でも炉心溶融(メルトダウン)などの大事故が発生したら、その被害は空間的・時間的にとてつもないものになる。そのコストを計算すれば、天文学的な数字になるだろう。  

 そもそも中西の環境リスク論は、石油と原発に依存する大量生産―大量消費社会という現状の社会の枠組みを前提に、その枠内で「最善の選択」を求めることにしかなっていない。現在の社会システムに対する「善し悪し」の判断を基本的にエポケー(判断停止)した上で、リスクとベネフィットを計算しているだけだ。こうした方法論では、世代間倫理といった現代の環境問題に回答することはできない。        

(編集局)


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【解説】BSE―vCJD(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病)

死亡率100%の全く新しい感染症

 BSEに感染した牛の牛肉(とりわけ脳や脊髄)を食べると、「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)」を発病する恐れがある。vCJDは、BSE感染牛から人間へと異常プリオン蛋白が感染したことが原因だとされる。マウスを使った実験では、プリオンが「種の壁」を超えて増殖することが確認されている。プリオンには、細菌やウイルスの感染に有効な薬剤や生体の免疫作用も効果がなく、通常の加熱調理等ではその働きを押さえることはできない。どのくらいの量のプリオンで発病するかも分かっていない。  

 vCJDは、抑うつ・不安などの精神症状で始まり、その後、進行性痴呆・運動失調等をきたし、発症から1年〜2年で全身衰弱・呼吸不全・肺炎などで死亡する。現在のところ治療法は存在せず、死亡率100%の不治の病だ。  

 昨年12月に死亡した男性から異常プリオン蛋白が検出され、日本人初のvCJD患者として認定された。この男性も90年に24日間イギリスに滞在していた。こうした事態を受けて厚生労働省は、輸血による感染を防ぐため、80年〜96年に英仏に1日以上の滞在歴がある人からの献血を受け付けない方針を決めている。BSE―vCJDは、人類がいまだ経験したことのない、全く新しいタイプの感染症なのだ。


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(2005年4月15日発行 『SENKI』 1175号5面から)

http://www.bund.org/opinion/20050415-2.htm

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