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Re: あっしらさんへ「供給額→需要」=「貯蓄額→投資」ということですよね。
http://www.asyura2.com/0403/hasan34/msg/550.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 3 月 27 日 17:17:56:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: あっしらさんへ「供給額→需要」=「貯蓄額→投資」ということですよね。 投稿者 hou 日時 2004 年 3 月 27 日 12:37:59)


houさん、どうもです、

ミクロとマクロを考えるときの根底的な違いは、引用していただいたように、あるミクロ(企業)を破綻させてしまうような愚かで無駄な支出も、他のミクロたちにとっては有効需要であり、マクロ(GDP)の拡大につながるということです。

少し敷衍すると、そのような愚かな経営で破綻する企業が出ても、マクロの需要(総需要)は維持されているので、他の企業や新規企業がその穴を埋めやすいと言えます。
逆に、多くのミクロが支出を減少して利益を確保しようとする動きに出れば、総需要が縮小することになるので、突出した優良企業以外は、目論んだ利益を得ることができなくなります。そして、このマクロ論理に気づかずに、さらなる支出(経費)削減に励めば、収益が悪化する企業が増加し破綻する企業も増えます。

houさんの【質問】
「国民経済の循環に日本の特殊要因である。
不良債権の存在と、BIS規制をかけられた銀行、公的投資の乗数効果の減少、第3次産業構造の重複(大企業(民間投資)と中小規模(公的投資)、不良債権の処理(持続不能な企業の処理にともなう投資(直接金融より間接金融のほうが処理額が増える)のための銀行救済処置という面の低利率の維持と量的拡大という要因を加えても、その理論は成り立つものなのでしょうか?」

A:

貿易収支が10兆円を超える黒字である日本経済は、ご指摘の問題を考慮してもなお、「供給額増加→需要増加」を達成する条件があります。
10兆円の貿易黒字が毎年発生するということは、それが国民経済に再投資されれば、GDPが名目で10兆円増加するということです。(2%を超える成長率)

不良債権&BIS規制は一体と考えて、不良債権問題は、企業収益及びキャッシュフローを元利返済のかたちで吸い上げる(減らす)一方で、新規ないし追加融資が抑制されることでGDP(総需要)を縮小させる要因です。

乗数効果は、基本的に追加設備投資(新規事業を含む)とそれを通じた生産性の上昇による輸出増加を意味するものですから、現状(成熟経済)では1と考えたほうがいいでしょう。1であっても、5兆円は5兆円の需要になります。

第3次産業の過剰問題は、二つの側面を指摘できます。
一つは、不良債権ですが、それは国庫金で処理すれば短期で済みます。
短期及び中長期の問題は、その過程で排出されるそこで雇用されていた人たちをどこで吸収するかということです。当面は、福祉関連など公的事業で吸収するしかありません。(失業保険や生活保護を供与するより、ずっと意義があります)
俗に言われる「低生産性問題」は、非輸出産業性・不動産関連コスト・高人件費によるものですから、問題にはなりません。とくに、高人件費は、第二次産業や他の第三次産業の需要に大きく貢献しているのです。

金融政策は、銀行救済処置と「国債サイクル」維持を主目的に組み立てられています。
家計を中心に非銀行部門が金融利得を極端に減らしていることが、需要低迷につながっていることは確かです。
また、低金利が設備産業の金融コストを軽減していることでデフレ継続を陰から支えています。(供給額=需要が生産性上昇に比して低迷していることが主要因ですが、低金利は競争下で販売価格を安くできる条件です)
低金利&量的緩和の最大の狙いは、「国債サイクル」の維持です。
かつて「土地本位制」と言われていましたが、この間の動きは、日本が「国債(サイクル)本位制」になっていることを示しています。

これらの不利な条件があっても、貿易収支が10兆円超の黒字を計上しているのですから(他に国際投資収益が6兆円ほど)、「供給額増加→需要増加」の経済論理を理解すればデフレ不況から抜け出すことができます。
 “ゾンビ企業”(上述した第三次産業も含む)の淘汰は、デフレ不況を抜け出した後で開始すべき課題だと思っています。

>国有化は、この国で果たして有効でしょうか?
>国が、株主となりそして監督責任者でもある。

>その状態になった時点で、機能が止まりそうな気がします。

これまでの公営企業の経営を見ていたら、そういう疑念を抱くのは当然です。
しかし、現状のりそなをみてあの銀行は公営企業だと思う人はいないはずです。

所有は政府で経営は銀行経営ができる民間人という企業構造で、政治家や官僚が融資先など経営に口出しできない法整備を行えば(これまでもそれはあったわけですからあっても変わりはないのですが)私的銀行と変わらないものになり、不良債権の重しが取れることと政府の積極融資奨励策が融合すれば「信用創造」機能は回復するはずです。

政府の保有株は、経営再建が軌道に乗ったあとから徐々に市場で売却すれば、自然に非国有銀行になり、投じた国庫金も回収できることになります。


ちょっと話が拡散しますが、公営企業の経営がうまくいかない要因として大きく二つ指摘できます。
一つは、国民(住民)サービスとして、民間ならバカバカしくてやらない事業をやっているからです。(戦前であれば、富国強兵のためにも...)
もう一つは、政治家と官僚が自分たちの権益のために公営企業を利用したことです。国鉄や道路公団はその典型です。

銀行業は、儲けられるからやりたいと思っても勝手には始められない業種ですから、最初の条件はクリアできます。
二つ目については、融資先が政治的に誘導される問題を指摘できますが、これは民間銀行であった時代も行われていたことで変わりはないと思っています。


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