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コンドラチェフの景気循環論に従えば、日本・アメリカの景気は絶対に回復しないことになっている【今日のぼやき】
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投稿者 エンセン 日時 2004 年 3 月 27 日 20:47:27:ieVyGVASbNhvI
 

 
「546」 最新刊 『やがてアメリカ発の大恐慌が襲いくる』(ビジネス社)が発売されました。コンドラチェフの景気循環論に従えば、日本・アメリカの景気は絶対に回復しないことになっている。 2004.3.28


(略)
さて、それでは、いつもの新刊告知と同じように、「さわり」として、新刊「やがてアメリカ発の大恐慌が襲いくる」(ビジネス社 2004年4月)の「まえがき」「あとがき」を乗せます。

(貼りつけ開始)

ま え が き

 本書は、やがて日本にアメリカ発の世界恐慌が押し寄せるであろう、という推測を説明する本である。なぜ世界恐慌が来るのか。その理由は三つある。
 ひとつは、いわゆる「コンドラチェフの波(60年周期)」が、2000年3月のネット・バブルの崩壊以降は、大きな下降線に入っている。「景気の波」あるいは「経済循環論」の立場から言って、大きな流れとしての景気回復はない。世界規模での経済は、すでに下降線に入っている。この景気の波の動きを無理矢理人為(人工)で上向かせることは出来ない。このことを第三章から細かく証明する。
 二つ目は、資本主義(これを市場経済と呼び変えても同じ)が、「過剰設備、過剰在庫」をその宿痾(業病)として持っていることだ。これを英語では、surplus(サープラス)と一語で言うが、この問題をどうしても解決しなければならない。それで、アメリカはイラク戦争のような馬鹿なことをする。そうするしか他にアメリカ国内の景気を維持できないからである。
 戦争という“大破壊事業”をやることで、新しい需要を生んで、過剰在庫を一掃して、それで経済に活気をもたらそうとする。アメリカから戦争を仕掛けられる弱小国(アメリカ帝国への反抗国家)にしてみれば迷惑な話である。その国の国民は何十万人かが死ぬ。それでも、作れば作るほど売れなくて倉庫に積みあがる過剰在庫と過剰設備を現代資本主義は抱え込んでしまうので、戦争に走らざるをえない。アメリカのブッシュ政権は、ネオコン戦略という凶暴な戦争路線でこのことを遂行しているのである。
 三つ目は、やはり日本とアメリカの両政府は、あまりにも巨額の“累積の”財政赤字を抱えてしまっている。それをやりくりするために、小泉政権もブッシュ政権も、どちらも「金融政策(financial policy ファナンシャル・ポリシー)」に偏りすぎて、お札(紙幣)を大量に刷って市中(国民生活)に流している。その膨大な通貨量(お札と、各種の信用貨幣の合計)を維持するために、赤字国債(国の借金証書)を刷りまくって、それで当面の必要な資金を手当て(ファイナンス)している。
 これがやがて破裂する。日本は800兆円の累積の財政赤字(単年度ではない。「累積の」である)があり、アメリカ合衆国にも、深刻な財政赤字がある。連邦政府(中央政府)だけでなく50州ある州政府が抱えている財政赤字は膨大である。おそらく日本の倍の14兆ドル(1600兆円)ぐらいあるだろう。いや、さらにその倍ぐらいあるかもしれない。「政府が抱える財政の赤字分は、永遠に先延ばし出来るから返さなくてもいい」という理論もあるそうだが、そういうわけにはいかない。どうせ国民にしわ寄せがいく。だから裕福な老人たち(この人々が資産家である)が溜め込んだ金融資産が国に狙われている。それを日本政府は、相続の際に相続税で取り上げようとしている。裕福な老人たち(資産家層)の相続が狙われている。
 以上の三つのことを証明できれば、この本を書く目的は達成される。私の本は、客(読者)を騙さない。私はこれまでも本当のことを書いてきた。一番大切なものは信用(信頼関係)である。政治や思想の分野だけでなく金融・経済の分野でも私は言論の王道を歩みたい。


 あ と が き


 私は、この本の結論として、次のことを思う。

 日本政府は、日本の資産家たち300万人を守るべきだ。今の日本政府を形づくっている自民党の実力者たちと、各省の官僚のトップたちに私は、次のような苦言を呈したい。

 あなたたちは、本当に日本国民に奉仕しているのか。私にはとてもそのようには思えない。あなたたちは、自分たちの主観としては、愛国者すなわち民族主義者であって、日本国の国益(national interests ナショナル・インタレスト)を守るために日夜、努力していると堅く信じているだろう。

 ところが、実際には、アメリカ政府やニューヨークの金融財界の意向を受けて、彼らの指図する方向で、日本国の運営、経営をなさっているのではないか。つまり、アメリカの言いなりになって、結果的に日本国民の利益に反することをやっているのではないか。私は、率直にこのように言う。

 その具体例は、まさしく(1)金利(銀行利息)の異常な安さと、(2)膨大な財政赤字と、それなのに米国債買いをやり続けることの事実に、如実に現れている。

 今の日本の、一年ものの定期預金の金利に致っては現在、年率0・03%などという現状を、あなた方はおかしなことだと思わないのか。100万円を一年間銀行に預けて、利息がたったの300円(さらに利子課税20%で手取りは240円になる)というのは、異常なことである。国際社会の常識としても、とても通用する話ではない。金利というのは、どんな場合でも、年率5%ぐらいはあるのが普通である。10年前の日本でもそれぐらいはあった。

 イギリスの格言に次のようなものがある。「ジョンブル(John Bull イギリス人魂のこと)はどんな苦難にも弱音を吐かない。しかし年率5%以下の低金利には我慢できない」という格言である。これは人類社会の常識なのである。

 それを、アメリカの脅迫と恫喝を受けて、日本の「政・官・財」の指導者たちが怯えあがって萎縮して、言いなりになって、この異常な低金利を受け容れている。もう5年もこういう「ゼロ金利」を続けていることは許されないことである。あれこれの小難しい言い訳はもう聞き飽きた。老後の生活費を預貯金の利息で賄おうとしていた老人たちが一番の犠牲になっている。

 もうひとつは、膨大な財政赤字のことである。本文中でしつこく書いたが、日本は、現在、すでに800兆円の累積の財政赤字を抱えている。ところが、その一方で、アメリカ合衆国に、あれこれ合計で400兆円(3・6兆ドル)ものお金を貸している。その大半は、米国債買いの形である(本書の71ページ以下参照)。このことは、個人に置き換えると、800万円の借金を抱えて困りはてている人が、400万円の金を友人に貸しているのと等しい。

 異常な財政赤字を抱えているので、日本の財務省と総務省とそれから国税庁は、この国の大借金問題を何とかしようとして、そこで、金持ち老人(資産家)300万人の富裕な資産に課税して、それで国の借金を穴埋めしようとしている。第六章で書いたごとく金持ち老人たちの死去に伴う相続税でこれを取り立てようという魂胆である。そのために「名寄せ」をやって資産家ひとりひとりの金融資産を把握しようとしている。

 それで、日本の資産家たちの一部が現在のあまりの低金利にあきれ返って、資金を外国の銀行や投資信託に預けようとする。これはお金というものの自然な動きである。ところが、財務省、金融庁は、これにも不快感を抱いている。「年率0・05%でも国内で金利がつくのだから、それで我慢しなさい」という態度である。外国には、年率10%ぐらいの安全な金利商品がいくらでもある。その事実を日本国民が知ることを、官僚たちは嫌がる。あくまで日本国内に置いておけ、という態度である。

 政治家と日本官僚たちの国民に対する、お上やお奉行様然とした態度は、根本から間違っている。アメリカに対しては、抗議も何も出来ないでヘイコラしているくせに、国民に対しては居丈高である。

 だから、日本の資産家たちは、声を大にして官僚(税務署員)たちに言うべきである。「国民の資産を狙ってばかりいないで、アメリカに預けている資金を、まず返してもらって、それで財政赤字を解決するのが筋ではないのか」と。おかしな話なのだ。こういう根本的なことを、はっきりと書いて分かりやすくみんなに知らせることを誰もしない。

 だから私はこの本を書いた。日本の政権政治家と官僚たちは、アメリカ様とは対等に交渉出来ないで怒鳴られてブルブル震えている。そして国民の大切なお金をアメリカに貢ぎ続けるだけである。そのくせ日本の資産家たちに対しては、威張り腐って、お上意識丸出しで、なりふり構わず、各種の課税強化を断行して実施している。

 日本の資産家たちは、今こそ、アメリカで言うところの「納税者の反乱」(tax payers' revolt タックス・ペイヤーズ・レヴォルト)を起こすべきである。そうすることが、長い眼で見れば、アメリカに対して卑屈に成り果てている政権政治家たちと官僚トップたちを、我々国民が守ってあげることになるのである。

 国民に本当のことを伝えよ。そうすれば国民が指導者たちを守るのである。私は本書の結論としてこのことを言いたかった。

 なお、第三章からの景気循環論についての説明は、極めて有能な経営分析家である、若い永山卓矢君の研究に拠った。

 この本を作るにあたって、ビジネス社編集部の岩谷健一氏に大変お世話になった。また、岩崎旭社長からの温かいご支援をいただいた。記して感謝します。


 2004年3月13日

                              副島 隆彦

(貼りつけ終わり)

アルルの男・ヒロシです。
新刊の特徴を一言で言えば、「経済予測の重要理論である、“景気循環論(景気の波)”についての理論をわかりやすく説明する部分」(第3〜第5章)と「前著 『預金封鎖』の続編の導入としての位置づけになる、日本国の経済統制政策の全貌 」(第6章、第7章)と言ってよいでしょう。

前者の景気循環論については、経済学の泰斗である、ジョセフ・アロイス・シュンペーター(1883〜1950年)が注目した、経済理論である「コンドラチェフ・サイクル理論」に基づいて、世界の景気がどのような位置づけにあるのか。(現在のコンドラチェフの波は下降局面にある)そして、そのほかの主要景気循環=波動理論について、学問的な理論の説明を行ないます。日本では、景気循環論の研究は、経済学者の篠原三代平(しのはらみよへい)一橋大学名誉教授が、日経文庫『経済学入門(下)』(日経文庫)で解説していますが、今回はこの内容も踏まえながら、さらに噛み砕いた形で解説します。一言で言えば、日経新聞などが、景気回復の指標にしているのが、「キッチン・サイクル」という、3〜4年の在庫調整の循環であり、世界覇権の衰退・生成について語られるのが、60年周期で訪れるとされる、コンドラチェフ・サイクルと100年周期のヘジェモニー・サイクルがあるということです。これを多彩な図表を織り交ぜながら解説します。高校の物理学の授業で、波動の合成について勉強したことが思い出されます。上昇傾向にある波どうしが交わると、「増幅」するのであって、また、同じくらいの波が互いに干渉しあうと波動の振幅はゼロになるというあの理論が、経済循環の波に生かされています。

また、第6章以降に関しては、実際に書店でお求めになってお読み下さい。資産のあるご老人の方には、第3〜5章よりもこちらのほうが切実に感じられるでしょう。アメリカのイラク戦争は、「テロとの闘い」と称した、一大公共事業であり、兵器の在庫一掃セールであり、ミハイル・カレツキーというポーランドのケインズ主義の経済学者が提唱した、「軍事ケインズ主義」政策であるということです。本質的には、日本が国内でやっている、道路をバンバン作るという公共事業(パブリック・ワーク)による、有効需要喚起政策とまったく一緒である。ただ、軍需経済は、基本的に蕩尽(とうじん、燃やし尽くすこと)であり、付加価値を全く生まないのに大して、日本のいたるところに張り巡らせた高速道路は少なくとも「減価償却」が終わるまでは資産価値を有するものです。本書でも書かれているように、現代資本主義が抱える大きな病気であるのは、「余剰在庫の山」なのであり、これは日本もアメリカも関係ない。

ちなみに、この軍事ケインズ主義というのは、英語では、militaristic Keynesianismとか、military Keynesianismという。どちらでも呼び方は構わない。英字紙のインディペンデント紙では、今年の1月に、「ミリタリー・ケインジアニズム」として紹介された。この呼び名がどちらでも構わないというのは、副島隆彦によれば、日本研究のことを「Japanese studies」と呼ぶのか、「Japan studies」とどちらで呼んでも構わないのと同じことである。(ただし、厳密には前者は日本人による日本研究を指し、後者は、アメリカ人など外国人による日本研究を指す。Women’s studiesが女性による女性のための女性研究を指すのに対して、Women studiesが男女を問わない研究者による女性研究を指すという違いに似ている、そうである)

日本の場合には、これがゼネコン経済として現れて、国内の開発に向けられるのに対して、アメリカ帝国の場合には、それがネオコン戦略として、国外の危険な大破壊公共事業として現れている。日本の経済は、この国内での公共事業と、日本が国内で大量生産した商品を海外に売りまくるという商人国家の思想で動いているというのが本当のことでしょう。
この日本の輸出主導型の経済を問題視したのが、R.ターガート・マーフィー氏の『円デフレ』(東洋経済新報社)という著作なのだが、この問題をどのように解決すればいいのかまでは教えてくれない。実は、このこと自体が、日本の経済がアメリカと密接な関係を築いていることと裏返しになっていることの現われだろう。

そのようにして日本は輸出主導型の経済をやっているものだから、一蓮托生で円を安く抑えて日本企業の輸出競争力を維持するために、為替市場で巨額の介入を行なって、米国債を買うしかないように仕向けられている。このような話は、日経新聞やフィナンシャル・タイムズ(FT)紙で、アメリカの通貨であるドルの長期的下落という問題と絡まって、当たり前のように出てくるようになりました。ところが、FTというのは、国内向けの言論ではなく、世界の投資家のための新聞だから、どこかピントがずれている。FTというのは、ピアソン Pearson 社という教科書会社を親会社に持つ新聞で、もともとはビベンディ・ユニバーサル社(もともとは水道管の会社)のような、エンジニアリング会社であったという過去をもつ。それが現在は、イギリスのロスチャイルド家の利益を守るための経済新聞として、世界のクオリティペーパーということで読まれている。ところが、資産家以外のパンピーにとっては、「雇用の海外流出は経済に良い影響をもたらすのだ」とか、「新生銀行再建は良いことだったのだ」と言われても、まったくピンと来ない。

アメリカやカナダに留学したことのある知人に聞いた話だが、「FTとエコノミストさえ読んでいれば、次に世界でどんなことが起きるのかわかる」と言われているそうである。これは、まるで、ビルダーバーグ会議と日米欧三極会議が世界を牛耳っているというのと同じような、陰謀論の話だが、日経新聞とFTが率先して、現在の中国バブルを主唱しているあたりから考えれば分からないでもない。このように、日本だけではなく、世界のメディアはエスタブリッシュメントによる緩やかな<統制>の中にあると言う風に思う。

こういう情報過多の世の中であるからこそ、逆にシンプルな経済循環理論が重たさをもってくるのかもしれない。新刊「やがてアメリカ発の大恐慌が襲いくる」というのはそのような一冊なのです。

アルルの男・ヒロシ 拝

2004/03/27(Sat) No.01

http://soejima.to/boyaki/diary.cgi


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