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なるほど揉めるわけですね
http://www.asyura2.com/0403/hasan35/msg/439.html
投稿者 ネオファイト 日時 2004 年 6 月 06 日 20:40:16:ihQQ4EJsQUa/w
 

(回答先: Re: 青色LEDの日亜化学、今後は「特許出願見合わせも」 (朝日) 投稿者 あ+ 日時 2004 年 6 月 06 日 18:02:55)

http://ne.nikkeibp.co.jp/NEWS/njudge/20010924.htmlの御紹介有難うございます。この中の訴状の抜粋を貼り付けます。

--始め--

訴状に見る中村氏の叫び(訴状より抜粋)

 中村教授は自ら行った新製品の開発から,下記の3つの苦い教訓を学んだ。

―中略―

 第2に,製品開発に技術的に成功しても,市場の中でその商品の売り上げが十分上がらなければ,社内ではその開発は失敗例とみなされ,開発技術者(本件では中村教授)は社内で「穀潰し」とみなされ,冷遇される。

 中村教授は日亜社内で冷遇され,日亜内での将来の出世も望めなくなった。こうした状況に追いつめられて,中村教授は「どうせ辞めさせられるのなら自発的に辞表を書くのではなく,日亜が自分を解雇するまで,開発すべき新製品を自分で選択し,それを自ら単独で開発研究してみよう」と考えるに至った。
 そして,中村教授は1988年2月ごろ,首を覚悟のうえ,日亜の上司などの了解もないまま,窒化物系青色発光半導体を開発することを,自ら一人で決定し,実行した。

 社長は「窒化物系青色発光半導体素子の開発」に強く反対した。同社長はある日突然,外部から競合メーカーのM社の半導体研究所のお偉いさんであるA氏を中村教授の働いている研究室まで連れてきた。同研究室見学後,A氏が日亜社内で講演して「窒化物系青色発光半導体素子は近い将来では開発困難であろう」旨発言した。
 講演後,同社長は中村教授に向かって「窒化物系青色発光半導体素子の開発をすぐに中止するよう」強く命じた。同社長はその後も何度も中村教授に対し,「窒化物系青色発光半導体素子の開発を中止し,GaAs/GaAlAs系HEMT(高電子移動度トランジスタ)の開発を命ず」との業務命令を直接文書で発した。
 中村教授はその時すでに「日亜から首を切られてもいい」という覚悟が出来ていたので,これらの文書によるたび重なる社長からの業務命令を無視した。

 概して言えば,多くの例では会社は第1に発明のための資金提供者であり,第2に発明の母体となる技術の所有者であり,第3に発明のきっかけを与えた企画者でもある。
 ところが本件では多くの例とは異なり,日亜の本件発明への貢献は,上記第1の「資金提供者」であることは正しいにしても,上記第2の「発明の母体技術の所有者」でも,上記第3の「発明の企画者」でもない。中村教授こそが上記第2の「発明の母体技術の所有者」であり,上記第3の「発明の企画者」であった。

 上記第1の「資金提供者」としての日亜の貢献度はすべて,日亜の当該通常実施権の取得により吸収され尽くしている。

―中略―

 特許法35条3項,4項に基づく「相当の対価」の算定に当たっては,日亜の貢献度は0%である。本件発明の貢献度の比率は公平にみて,資金提供者(日亜)0%,発明者(中村教授)100%である。

--終わり--

日亜での待遇については、本人の仰ることと私が伝え聞いたのとは隔たりがありました。デマ含み投稿になり申し訳ない。中村氏の書いた本を立ち読みして日亜の社長の変なところも多少は知ってもいたのですが、同業者の人が「自由に研究を」と話していたので、私も自由にさせてもらってたのかと思ってました。同じ業界でもあまり中村氏の主張は理解されてないことを暴露したみたいになっちゃいました。

しかし、中村氏も言うこと聞かずに研究するのも問題だろう(特許裁判とは関係ないかも知れません)。完成間近にGaNの研究していたのは日亜だけじゃないんだから移ればよかったのに。移るにしても社長は機密扱いにしたんだろうかなあ。

この裁判については下のような図書紹介も見つけたので参考までにどうぞ。

http://www005.upp.so-net.ne.jp/shigas/HOMPG713.HTM
発明報酬

岸宣仁:「発明報酬−技術者が会社を訴える時−」、中公新書ラクレ、'04を読む。青色LEDの発明者・中村修二カリフォルニア大教授と元の雇用者・日亜との争いを中心に話が進む。日亜は会社機密流出の理由により中村先生をアメリカの裁判所に訴えた。中村先生のアメリカ関係先がおこした対日亜訴訟に対するしっぺ返しという。発明報酬の逆々訴訟は中村先生側の直接のカウンター・パンチである。日亜は中村特許から何千億円かの利益を上げるだろうが、中村先生は2万円の報酬をもらっただけであった。中村先生は仲間からスレイブ・ナカムラという有り難くないあだ名でからかわれるようになったとある。ご本人の海外流出はもちろんだが、日本の研究者の企業における「軽い」立場が広く外国に知れ渡ってしまって、取り返しのつかないまずい事件になったと、いつかこのHP内で述べたように記憶する。

20年勤めた日亜を辞めた理由がいろいろ書いてある。人事上の配慮の無さが上げてある。途中入社の有名大学大学院出身者を先に昇進させた。彼は手取り足取りして教えた部下だが特別の実績はなかった。所長辞令をもらったが、部下のいない新設のいわば窓際研究所だった。企業秘密保持の理由で研究発表や学会出張さえ拒否されていた。中村特許は彼の強行出願だったという。アメリカでは発明者と雇用者とは取得特許による上がりを折半するのが普通だと、彼は留学の時に知ったのであろう。そこへ3億円のヘッドハンティングが来た。中村先生を怒らせた理由の一つは、LED関連テーマに携わってはならないと言う退職金支払い条件であった。日亜の提示した6千万円の退職金は、20年の勤続に対するものとしては大変な高額である。しかし3億円に対しては影が薄かったであろうし、研究者の生命とも言うべき研究テーマに対する制限を前提にしているから、とうてい受けられるものではなかったのであろう。

中村先生は言う、「日本がここまで経済大国になれたのは、やはり製造業が強かったからです。その製造業を誰が支えてきたかと言えば、優秀な技術者や研究者です。彼らが独創性の高い特許を成立させながら、今日の経済力をつくり上げたのです。(相応の評価をしない今のままでは)日本の製造業は衰退するばかりです。」と。5/10の読売に宋文州氏の言葉が載っていた。「日本の工場は・・・世界一効率がよい。販売や管理部門は(それに)あぐらをかいていた・・」。異口同音である。宋氏は中国人で、「やっぱり変だよ日本の営業」というロングセラーの本を書いたソフトブレーン社の会長である。5/11 NHKクローズアップ現代は「元気な会社は”会議”が違う」と言う題であった。タイミングを外さずに短時間で結論を出すという、当たり前の会議運営がクローズアップされねばならぬほど、我が国はことに営業部門で遅れているという指摘であったのだろう。やはりNHKが立ち直ったマツダを紹介していた。フォード系列会社へのエンジン供給で息を吹き返している。優秀なエンジン技術をフォードが認めたからと言う。

私がこの裁判で本当に知りたいのは、中村先生の日亜利益への貢献度に対する合理的説明である。日本の特許法はドイツ法の流れである。そのドイツには職務発明に対する適切な額の補償の算定基準(ガイドライン)が労働大臣から公表されており、産業界はおおむねこの線に沿って補償額を算定しているという。非常に細かいところまで決めた基準だそうだ。東京地裁は青色LED関連利益の50%と判断したが、全くの丸数で、判断理由は定性的に項目を並べ立ててあるだけでお粗末にすぎる。おおよそ司法試験に通っただけの裁判官に、高度な技術問題の貢献度の判断など出来るはずがないと思わせる内容である。ガイドラインが作れないのなら、技術問題の裁判官には、理系の博士号を持つことを義務づけるぐらいの改革が必要である。

著者は中村先生とはインタビューを重ねている。私も中村先生の講演を聴いたことがある。なかなかプレゼンテーションに優れたお人だ。「スレイブ・ナカムラ」なんて言うキャッチフレーズにマスコミが飛びついた感じもある。この本にも先生の言い分は順当に採録されている。日亜は会見拒否とかでだいぶ損をしている。本として出す以上もう少し何とかならなかったのか。

青色発光ダイオードの発明者が、中村先生ではなく、赤崎勇名城大学教授であると言う記事(京大学生新聞'02/09/05号)を見たことがある。赤崎先生の藤原賞授賞式で審査委員長が、「発明者は赤崎先生です」と云ったら、会場の人々がみな驚いたそうだとある。赤崎先生の成功は'89年で、その年に中村先生が研究に着手しているという。本書でも先行基本技術の存在を肯定している。中村先生の発明は実用に耐えるダイオードの製造法特許として出されている。

日亜側の、今や中村特許は時代遅れで恩恵を受けていないかのような発言は、内容が企業秘密とあるので何とも言い難いが、基本物質特許でない限りあり得る問題だ。迂回技術である場合もある。しかし、訴訟対象の中村特許は、会社在任中の取得特許80何件かの1つにすぎないから、彼の別特許に含まれる可能性だってある。いずれにせよ日亜の現在の技術が明らかにされていないから、いわく言い難しだ。なぜそこを裁判官は突っ込まなかったのか。著者は書かなかったのか。経歴を見ると明らかに著者も文系だから、そこまでの力量を期待するのは難しいのかもしれないが。

私は研究者の給与の大半は、その専門とする学術技術分野で、自身従って所属機構を一流に保つために、日夜行う努力にたいして支払われるのだと思う。専門が分化多様化し、それぞれが猛烈な勢いで奥へ奥へと進化し分野をどんどん拡大して行く、その速度がどんどん加速されて行く。特に儲かりそうな新規分野でその傾向が激しい。こんな時代では、例えば発表論文について行くだけでも大変な重荷である。研究に真剣になればなるほどマネージャーつまり重役になるコースから外れる。終身雇用で応分の処遇をすると言っても、せいぜい社業には発言権のない窓際重役である。そういう視点はこの本にはない。本書では労働市場の流動化による終身雇用制の退化、報酬の平等主義から能力主義への変質が背景にあると無難に論じている。

中村先生の、「理系を志す子供に夢を」は、民族の将来を心配する声としてなかなかのアピール性がある。公判冒頭に陳述したと言うから立派である。確かに、イチローやゴジラを目指して野球選手になりたいと目を輝かす子は大勢いるが、だれかを目指して研究屋になりたいという子供にはまだお目にかからない。字句解釈に明け暮れる無味乾燥の裁判ではなく、大義名分をはっきりさせた簡明な一般に分かり易い裁判は我々の望むところだ。中村先生はアメリカの裁判経験を活用している。

中村修二:「怒りのブレイクスルー」、集英社文庫、'04の広告を見た。テーミス編集部:「青色発光ダイオード―日亜化学と若い技術者たちが創った」、テーミス、'04は日亜側の言い分を集めたものだそうだ。そのほかにも類書はいろいろあるらしい。この本は今までの断片的知見を要領よく纏めてくれた。
('04/05/20)

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