★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産35 > 897.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
「年金積立金」という真の危機」 【『世界』8月号】
http://www.asyura2.com/0403/hasan35/msg/897.html
投稿者 バルタン星人 日時 2004 年 7 月 30 日 12:41:43:akCNZ5gcyRMTo
 

参照スレ
http://www.asyura2.com/0406/senkyo4/msg/685.html
---------------------------------------------------------------------
「年金積立金」という真の危機   『世界』8月号 から抜粋
磯村元史、榊原英資、保坂展人

(−略−)
−−なぜメディアは本質的な問題に入っていかないのでしょうか。
■磯村しくみが非常に複雑なのです。年金積立金から財投にいったいどれくらい
流れているのかも不明。焦げ付きが四割ぐらいとおっしゃいましたが、私はもう
少しあると疑っています。ただ、この数字もわからないのですよ。
■榊原公会計の見直しが必要です。道路公団一つとっても、きちんとしたバラン
スシートが出ないでしょう。しかも、国の方はまだまし。実はもっと腐っているの
は自治体の公営企業と第三セクターです。
■磯村七割焦げ付いているとか。
■榊原それを含めて全体どしてどう考えるかが重要です。年金資金が何らかの形
でそういうところに回っているのだから。年金積立金と郵貯と簡保が、実は日本
の財政折衝のバッファーになっています。地方で言うと、地方債を年金積立金等で
引き受けて、それで落とし前をつけるのです。要するに、歳出と歳入をきちんと
あわせなければいけないところを、歳出が多い分は全部、積立金や郵貯、簡保で
落とし前をつけてきたのが、過去五〇年の日本の財政のあり方だったのです。

■巨大な国営金融機関の誕生

■保坂今回、年金資金運用基金が独立行政法人に衣替えするにあたって、「金融
や経済のしっかりした専門家を入れて、二度と失敗がないように運用します。グ
リーンピァ事業と年金住宅融資という足を引っ張る部門からは撤退してすっきり
しました」という触れ込みなのですね。つまり、お二人がいちばんご心配の運用
の領域に特化すると宣言しているのです。新組織の立ち上げは、どのくらい過去
の失敗にきちんと対面して総括するかにかかっています。今回、厚労省は六・三
兆円も積立金を取り崩しておきながら、公けの場面での説明も数字の開示もなく、
「損失処理があるのでは?」と訊いても「ほとんどありません」と答えるだけで
す。「立替払いであって、六・三兆円のうち二〇年かけて五・八兆月は戻ってくる、
しかも銀行の保証が一〇〇%という珍しい債券になっているから取りこぼしはほ
どんどない。年金財政に影響は与えない」と言放つ。
これはむちゃくちゃな話で、二〇年間も五兆円の穴があくのであれば、「一〇
〇年安心」のシミュレーションもまずそこで狂ったはずですが、数字も開示せず、
いまある金だからいいだろうと、年金積立金という国民の蓄えた山からパワー
シャベルで削り取るような、そんな組織が独立行政法人に移行してフリーハンド
で巨額の運用を始めたらどうなるのか。
■榊原まさに大変なことに在りますね。実際にいま起こっていることは、民間的
に言えば不良債権をつくったところに公的資金を導入するこどです。通常は経営
者は責任をどって退くのが当然です。ところが、半分公的な組織で、事実上は特
別会計から公的資金を入れているにもかかわらず、そのことを保坂さんのように
追及している人がほとんどいないのです。
■保坂かつて住専の六八五〇億円であれだけ大騒ぎしたことから考えると、驚く
べきことですね。
■榊原規模が違いますからね。今後いろいろな公社・公団が独立行政法人化され、
自分で債券を発行すると言っていますが、これはマーケットではほとんどが政府の
保証付き、あるいは付いていなくても付いているような扱いを受けます。公社.
公団は最後は国が面倒をみるというルールはなくても、破産法がないために、その
ように投資家は見ているわけです。だから保証がついていないところでも、事実
上保証債とほぼ同様の金利で調達できる。
■磯村破産法の適用がないのは非常に大きな「強み」です。
−−でも最終的には国氏の税金ですよね。
■磯村そうです。
■榊原私は、国あるいは国に近い機関が資産運用をかなり自由に行なうのは、き
わめて危険なことだと思います。絶対にやってはいけないことです。年金積立金
管理運用独立行政法人も、おそらく破産法の適用にはならない。それなら、いくら
民営化といっても、やはり国家の一部なのですよ。
・さらに、年金積立金が二〇〇兆円弱、今度の年金改箪法に従えばさらに増えてい
く。それを運用することは、世界で郵便局に次ぐ巨大かつ事実上公的な金融機関
だということです。いくら専門家が入っても、最終的な決定権は独立行政法人に
あり、独立行政法人の最終的な監督権は厚労省にある。国がそれだけ膨大な資産
の運用を決められるのは、きわめて危険です。市場がゆがんでしまいます。社会
主義国家は別として、そんなことをやっている国はありません。これを許すこと
自体、信じられない。一方で郵貯の民営化と言いながら、こちらではものすごい
国営金融機関をつくっているわけです。
■磯村どんなふうに市場がゆがむかという実例を申し上げましょう。
いま、東証の毎日の出塞局が大体一〇億株、一株一〇〇〇円として一兆円です。
一兆円の出悉同で株価が上下しているわけですね。いま仮に、年金積立金一四七
兆円の中で市場運用を株式・債券あわせてざっと四〇兆円としましょう。そうす
ると、わずかに一兆円の出来高しかない小さなところに、大きな魚がドボッと入
ることになります。魚がちょっと動いただけでも水が溢れる。必ずマーケットは
先回りしますから、年金ファンドが売ろうと思った時には先回りして売られてし
まい、結局自分の思った値段では売れない。今度は自分の思った値段で買おうと
すると、マーケットの習いで必ず先回りしたり提灯をつける人がいるから、やは
りその値段では買えなくなるわけです。意図した値段で売ることもできないし、
買うこともできない。これを「金盟の中の鰹」と言う(笑)。これがミクロの面か
ら見たゆがみ方です。

■コーポレート・ガバナンスヘの介入

■磯村マクロの面から見た市場のゆがみ方の一例は、たとえば厚生年金基金運合
会(厚生年金保険漆に基づき、中途脱退者及び解散基金加入者に対する年金給付など
を行なう基金(後述)のHPを見ていたら、「企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)
のチェック機能を強化しよう」とありました。約一・七兆円を国内株式で運用して
いる連合会が、株主総会で不適任だと判断した取締役の選任に対して拒否権を発
動する指示を出したのです。厚生年金基金運合会はまだ小規模です
が、連合会のトップも年金資金運用基金のトップも同じ厚労省出身ですね。運合
会にならって、年金積立金の市場運用四〇兆円分の株主である特殊法人が各企業
に対してコーポレート・ガバナンスのチェックを始めたらどうなるか。公的な
機関がこれをやったら、みんなその顔色をうかがって経営するようになるから、
日本の企業は事実上官僚支配になってしまいかねません。現に、株主総会の前に
なると「連合会参り」といって、厚生年金基金連合会に企業の役員がおうかがい
に行く光景が見られるという。昔総評、いま運合会ですよ。
■榊原今回、厚労省が手に入れた権力は本当に巨大なものです。少なくとも財政
的に使っていた時には、そういう権力はなかった。ところが金融的に使うと企業
支配が可能になる。もっと際どいことを言うと、厚労省がどう動くかで株価も為
替も変わってくるのです。
■磯村債券の金利も変わりますね。
■榊原たとえば、この四月以降円安にふれている要因の一つが、厚労省関係の湊
金が外貨建ての債券を買ったからだと言われています。このように、市場をある
程度支配することができます。
■磯村国の財政にとっては、こんな便利なものはない。
■榊原便利だけれども、不正の原因にもなります。非常にメリットのあるインサ
イド・インフォメーションなんです。この情報の管理をどうするのかという話は
まだ全くできていない。
■保坂日本経済新聞(四月二〇日付)の「厚生年金基金、『物言う株主』に」という
記事を見て私も驚愕したんですが、厚生年金基金連合会専務理事の矢野朝水さん
は、グリーンピアの失敗を放置し続けた当時の厚生省年金局長ではないですか。
自らのガバナンスも全くできない人が、どういう顔をして企業統治に介入するの
か。しかも、サラリーマンが積み立てた金を、あたかも自分の権力で自由に使え
るように勘違いする才能がある。運合会はまだ小さい魚ですが、今後は年金積立
金管理運用独立行政法人という大きな魚が連動してくる。先日、前厚労省の斡部
一に語を聞いた時に驚くべぎ発言を聞きました。「国氏は株に親しんでいないので、
こういう形で市場に参加してもらうのも日本経済にとっていいことではないか。
落ちている時には買い支え、上がり過ぎたら冷やす。そういう調節弁の役割をし
ているのが年金資金だ」と言うのです」
■榊原郵便貯金も簡保もこれから同様に運営されます。両者をあわせると四〇〇
兆円でしょう。しばらく自粛するとは言うが、法律的にはできるようになってい
ます。財投制度がなくなりましたから、郵貯・簡保の四〇〇兆円と年金の二〇〇
兆円、それがさらに増え、市場の中にドーンと入る。犬変なことが起こりつつ
ある。民営化どころではない、これは金融の国有化、マーケットの国有化です。
■磯村いま日銀や財務省がいちばん恐れているのが、こういう基金や公的基金が
国債を売りはしないかということでしょう。国債は売ると値段が下がります、債
段が下がれば利回りが上がる、国債の利回りが上がると、たちどころに国債の利払い
が増える。
--聞いていると恐ろしくなってきますね。
■榊原空恐ろしい語なんです。けれども、なかなかその恐ろしさが伝わりません。
■磯村いま二〇歳以上の国民がざっと一億人強ですから、一兆円というと一人に
一万円と考えてください。だから一四七兆円だと、二〇歳以上の国民一人あたり
一四七万円になります。
■保坂すごい金額ですね。
■磯村それだけ一箇所に固まった金がマーケットを動かすような国のマーケッ
トは、国際的に見ると非常に危険だということで次第に相手にされなくなります。
■榊原「日銀ウォッチャー」といって、日銀の動きでマーケットがどのように左
右されるかを分析している人が、世界中に数多くいます。これからは「厚労省
ウォッチャー」が出てきますよ。たとえばウォッチャーやそれをかかえる組織が
多くできるということは、厚労省官僚の天下り先が山ほどできるということです。
投資顧問会社、あるいは外資系金融機関のボストを厚労省がとります。インサイ
ド・インフォメーションに隈りなく近いものになるでしょう。
−−焼け太りどころではない、すさまじい官僚国家になる。自由主義とはいえないですね。
■榊原それを民営化の名の下にやっているわけです。小泉政治の最大の問題はそ
こでしょう。道路公団も民営化の名の下に、ますます悪くしてしまった。財投を
廃止したことは正しいが、独立行政法人化して民営化の名の下に、事実上金融へ
の国の支配を強烈に推し進めている。それに気付いている人は、わずかしかいな
い。金融機関も言わないです。金融機関にとっては、いまや大変なお客様だから。
−−「年金積立金管理運用独立行政法人」理事長の選定方法はどうなっているんですか?
■保坂厚生労働大臣の指名です。運用委員会の委員も、独立行政法人をチェック
する厚労省の中の評価委員会も、厚労相が指名する。つまり、厚労省が全部自作
自演するということです。「責任は誰がとるのか」と厚労省に訊くと、「理事長
です」という返事。理事長一人が二〇〇兆円運用の全責任を負うなどという金融
機関は世界にもないのではないですか。
それと■榊原さんがおっしゃった政治リスクの間題もありますね。巨大な利誉情
報、PKO(プライス・キーピング・オペレーション。株価が下がったときに下支えすること)
など、巨額の金融機関が政治と非常に深く絡むことに、強い危倶を覚えます。
−−グリーンピァくらい切っても、たいしたことないですね。
■榊原痛くも痒くもないでしょう。

■見えざる危機

■磯村ここで、あまりマスメディアには出てこないのですが、少々深刻な話を二
つとりあげたい。一つには、先ほどふれた厚生年金基金運合会の財政状態、二つ
目が社会保険庁の間題です。厚生年金基金連合会というのは、厚生
年金基金という民間の企業年金が厚生年金を代行している部分の中途脱退者(会
社を定年前にやめた人など)の責任準備金を、通算のためにブールするセンターです。
連合会に入ってくる原資は確定した責任準備金で、確定した給付が何年か先に出
るわけです。しかしそもそも入る金と出る金が両方固定したままでば年金制度は
おかしくなります。しかも、約五・六兆Hある基金の一割が運用で損を出してい
る。利回りの高い時はよかったものの、不体の予定利率五・五%に対していまや
一%台だから、逆ザヤになっているのです。掛金と給付でおかしくなり、運用で
も損をしていたら、ダブルパンチです。破産法の適用もない一方で、母体企業が
なく護からも補填してもらえないわけですから、給付を削るしかないのです。通
算センタ-へ責任準備金を持っていった人は、一〇年先、二〇年先にはどうなる
ことかと心配になります。
■保坂当事者の数も多いから深刻ですね。
■磯村それから社会保険庁。これはいま袋叩きにあっていて、なかには国税庁と
位会保険庁を一体化したらいいという議論があります。これは全く年金の事務を
知らない暴論です。なぜかというと、年笠の事務には、大きく分けて加入者管理、
掛金の徴収や支払い期間の記録を管理する拠出金管理、そして実際に年金を払う
安給者管理の三-段階があり、年度ごとの収支全体などを見る制度管理とあわせる
と四段階になります。このうち国税庁と一緒になれるのは掛金徴収の部分だけで
す。だからそこだけを国税庁に強制徴収権を与えてやるか、税方式にすれば、間
題は解決しますが、下手に拙速で一本化したら、おかしなことになる。
ただ、社会保険庁も困ったもので、二〇〇〇年四月に、突然、社会保険事務局
をつくりましたね。厚生労働省の設置法の改正が必要ですから、当然国会を通過
しているわけですが、誰も知らないし、マスコミも全く報じなかった。厚労省の
外局の社会保険庁が全国四七都道府県全部に事務局をつくった。そうすると、局
長というポストができ、車がつく。当然局舎も借りる。この予算が膨大です。
■榊原しかも年金特別会計で出しているのですね。
■磯村そうです。表向きは地方分権一括法で、従来都道府県に委任していた事務
を、本来国のやるべき仕事だから国に引き上げた。しかし、迷惑しているのが庶
民です。以前は三二〇〇の市町村が窓口になっていたのが、全国の社会保険事務
所はわずか三二一しかないから、窓口が急に一割に減ってしまったのです。しか
も、都道府県にある窓口と社会保険庁のコンピュータセンターを結んでいる回線
は、このご時勢になんとオフラインなんです。市区町村の窓口では、基礎年金番
号を聞いて一「ここでは、あなたが入っているか入っていないかぐらいしかわか
りません。それ以上詳しいことは社会保険庁へ行ってください」となるわけです。
■保坂めちゃくちゃですね。かつて自治体には窓口相談の経験の長い年金のプロ
がたくさんいましたが、いまは自転車整理などの無関係の部署にとばされていま
す。一方、社会保険事務所は行列です。
■磯村一方では、三〇年間にコンビュータ関係で年金特会から約一兆円が出てい
ますから、最低でも一兆円のコンピュータシステムをつくっているはずなのに、
いまだに丸投げの古い機械でやっていて、処理能力がものすごく遅い。一方で黒塗
りの車は新しくなっている(笑)。・
--まさに官僚天国ですね。年金監視のNG○でも何でも立ち上げて、国会議員にものを
言っていかないととうにもならないですね。
■保坂報道の基盤も上げないと。厚労省が膨大な資料を出してきますから、それ
を読むだけで終わってしまう。
■磯村読んでも理解できないでしょう。
■保坂だから結局、官僚から聞いたことしか記事にならず、お役所に分の悪い語
は全く出てこないのです。
厚生年金基金運合会の実情やコーポレート・ガパナンスヘの介入の件は、か
なり企業にも大きな間題意識、関心を呼ばざるを得ないでしきっが、国会の議論
の中で、与党も野党も同じ厚労省作成のぺーパーをめくりながら「わからないな。
ここ、どうなっているのかな」と首をかしげるのでは、改革にならないですね。
■榊原民間の監視は結構ですが、いままでのプロセスを見ていると、監視して非
常にマイナーなスキャンダルが出てきて、そこで終わってしまうことが多い。今回
も、グリーンピアぐらいで終わるのではなく、大きな構図を押さえた上でどの点
を追及すればいいか見極めるべきです。

■国は金融から手を引くべき

−−年金積立金という巨額の金を、少なくとも損を出さないように、さらに公正で透明性
があって権隈と責任がきちんとわかる形にしていくには、どうしたらいいでしょうか。
■磯村運用しないこどです。
■榊原厚労省が金融から手を引くこと。
経済同友会は、積立金を、腐っている部分は国債を発行してでも全部返して、制
度を構築し直して塞礎年金だけにするべきだと提案しています。私は、所得比例
部分を基礎年金に加えようとする民主党案にも反対です。財務省に長くいて半分
金融の中に身を置いていたからわかるのですが、国には金融はできません!
■磯村できないというより、やってはいけない。だからこそ、金融を扱う日銀に
は独立性を持たせているのです。
■保坂積立金の運用に最大六・三兆円も失敗して、福祉関違事業も焼け野原状態。
関係者は社会的責任をとって別の人生を歩んでいただくのが普通なのですが、逆
に彼らは、頭も丸めずに、看板だけかけかえて「今度はちゃんと運用します」と
言っている。年金福祉事秦団から年金資金運用基金へ、さらに年金積立金管理運
用独立行政法人へと名前は変わりましたが、中身は同じ人たちです。その構造が
ある限り、また政治リスクから切り離されていない隈り、「理事長が一人で責任
をもってやります」というような前近代的な組織に、国民の資産を預けるわけに
はいきません。緊急処置的には、もっと無駄のない、そして勝手なことのできな
い別組織に変えざるを得ないと恩います。ただし、国民的合意形成がマスコミでも
永田町でもできなければ、こんな組織は絶対に生まれないでしょう。
坂口大臣が積立金を「取り崩す」と発言したので、いよいよ公明党も根本的改
革に踏み切ったかと思いきや、よく聞いてみると取り崩すのは五〇年後だと言う
(笑)。結局、永久均衡方式(給付費の四、五年分に相当する積立金を永久的に維持する)と
いういままでのやり方で、不況であれ、賃金上昇率がどうであれ、ム昇特殊出生
率がどのように下がろうと、積立金が存在しつづける構造は変わらないのです。
天下りや汚職事件ていどの規模ではない、大変な資金の流出も起こり得る制度を自
ら小泉内閣はつくったということです。
■磯村役人に自由になる金を持たせたらろくなことをしないという感情論とは別
に、金融のあるべき姿としてもおかしいのです。なんとしても年金制度を再構築
しなければいけません。そのためには、いまある積立金は一たん何らかの形で国
民に返すこととし、その財源の手当がないなら国債を発行するのもいいでしょう。
再構築する制度としては、現段階では、さきほど出た経済同友会の案に中小企業
の視点を一つ加えてもらうといい案になりそうですから、ぜひこれを参考に、今
後五年間かけて審議してほしい。
−−それは賦課方式ということですか?
■磯村そうです。その上に日本版401・Kのようなものが乗っかる形です。この
部分が中小企業の負担になるので、多少工夫を加える必要があると思っています。
■榊原国は金融から撤退する。これが大前提です。先進国で金融に大きく国が
入っているところはないです。途上国の汚職は、かなりの部分金融絡みで起こっ
ている。だいたい中央銀行が独立していない、あるいは銀行が政府から独立して
いない国で、金融に絡むいろいろな汚職が行なわれているわけでしょう。いわゆ
る先進国で汚職が少ないのは、国が金融から撤退しているからでもあるのです。
■保坂今後、国会の議論がどうなるかわからないのですが、少なくとも積立金間
題を除いた自民党案対民主党案の議論ではだめだということははっきりしていま
す。賦課方式を前提に、何かのときのために積み立てたというのであれば、積立
金はいまこそ崩していくべき時期ではないか。抜本改革が必要だという認識も広
がったでしょう。ところが、年金積立金のきっちりした財務を見たためしがない
のです。そういう数字もしっかり示して今回のことを教訓に、国民全体が見守る
なかで、国会ですべての与野党が参加して議論ができればいいのですが。
同じ年金でも、共済・厚生年金に比べて国民年金は水準が低すぎます。税方式
の最低保障年金をつくることも、これからのテーマです。
■榊原年金積立金が巨額というだけではなくて、年金が財政の中に占める比重が
非常に犬きいのです。だから年金の抜本改革とは、国の財政の姿を変えること、
つまり国の形を変えることなのです。これは内政の最大の間題です。給付が
いくらで保険料がいくらになるという議論をしても、むなしい。五〇年先のこと
なんか誰にもわからないのです。そんなむなしい議論をしないで、どういう制度
を構築するのかということ、あるいは財政がどこまでかかわり、民間企業がどこ
までかかわるのか、国はどういう形で年金をサポートするのか、そういう基本的
な議論をすべき時に来ているのです。スウェーデンは八年かけて一つの年金
制度をつくり上げた。いま、ドイツでもフランスでも、やはり焦点は年金と医療
です。少なくとも財政から見れば、国の形とは要するに、年金と医療なのです。
−−どうもありがとうございました。

 次へ  前へ

国家破産35掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。