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『レオ・シュトラウスとカール・ポパーの対話』 ― その3 ―
http://www.asyura2.com/0403/idletalk9/msg/761.html
投稿者 小魚骨 日時 2004 年 6 月 02 日 17:29:48:5fM4yUMte5cr2
 


「『レオ・シュトラウスとカール・ポパーの対話』 ― その1 ―」
http://www.asyura2.com/0403/idletalk9/msg/718.html

「『レオ・シュトラウスとカール・ポパーの対話』 ― その2 ―」
http://www.asyura2.com/0403/idletalk9/msg/739.html
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ポパー「あまり生々しいテーマだとお話し辛いかもしれませんので、あなたの流儀に従って古代ギリシアに舞台を移したいと思います。最大の対立点だと思われるプラトン評価は先送りして、ポリス国家ギリシアについて少し話をしましょう」

シュトラウス「わかりやすいところとして、アテネとスパルタの差異性あたりがいいかもしれませんね」

ポパー「近代的な歴史観から見ると、アテネは開明派で、スパルタは保守反動派ということになるのでしょうね」

シュトラウス「アテネは民主国家で、スパルタは軍事国家という区分もされています」

ポパー「アテネは帝国主義国家で、スパルタなど反アテネポリスは地域主義国家とも言えます。あなたは曖昧にしているようですが、私はアテネ派、そして、あなたはスパルタ派と言えるのではないですか?」

シュトラウス「歴史的事実としてのスパルタを理想国家としているわけではありません。スパルタで現象した政治的社会的諸側面の根源にあった秩序というか秩序観念は捨てたものではないとは思っています」

ポパー「部族的寡頭政や身分秩序に善を見ると言うことですか?」

シュトラウス「それは私の評価というより、ペロポネソス戦争でアテネが敗北したことから、ポリス国家ギリシア総体がそのような立場だったと言えるのかもしれませんよ。アテナ自体がスパルタ的秩序に回帰したいと願っていなかったわけではありません」

ポパー「ペロポネソス戦争でアテネが敗北したのは内部の裏切りに主要因があったということ、そして、裏切り者たちが反民主的な寡頭政治家であったことは認めます。しかし、それはギリシア全体にとって歴史的な不幸だったと思っています。ペロポネソス戦争でアテネが勝利していたら、アレキサンダーの帝国も、ローマの帝国もなかったのではないでしょうか」

シュトラウス「民主政アテネの帝国が東地中海を覆ったかもしれませんね。そして、同時にプラトンやアリストテレスがあのような哲学的成果を生み出すこともなかったかもしれません。ペロポネソス戦争は、帝国主義 Vs 部族主義、今風に言えば帝国主義 Vs 国民国家主義の戦いだったと言えます」

ポパー「重商主義 Vs 農本主義という見方もできます。スパルタは、市民が貴金属を保有することすら禁止する一方で、アテネはエジプトまでを勢力範囲に収めた一大通商国家でした。その後の歴史を見れば、農本主義的国家も帝国主義的政策をもってしか維持できなかったと言えます。それならば、哲学を持っていたアテネが覇権を握るかたちのほうが、アレキサンダーやローマよりももっと好ましい世界になったと思っています」

シュトラウス「その後の歴史を基に、ある時点の人々の判断を裁断することには反対です。スパルタに与して戦ったポリスやアテナを裏切った人たちには、譲ることができない秩序意識や価値観があったんだと思っています。たとえ、それが別の抗えない力で押し潰されることになるとしてもね。そして、その気になれば支配層の高位に就けたであろうプラトンが民主政アテナから超越して哲学探究に向かったのもそれが要因だったと思っています」

ポパー「ソクラテスにしても、民主政アテネに同調できていれば、死を与えられることはなかった。今の世を見ると、典型的には米国なんですが、ソフィストが活躍していた民主政アテネにとても似ているようです。逆の言い方をするのなら、詭弁家として蔑まされているソフィストこそがアテネ民主政の陰の担い手ではなかったのかという見方です」

シュトラウス「弁護士やアナリストたちが口先で司法判断や政策を左右していると言いたいのですね。米国は元々が植民者国家ですが、ユダヤ人を中心とした外来者が金をもらって言論活動を左右しているのもソフィストに似ています」

ポパー「詭弁家と呼ばれていますが、ソフィストの論証に問題があったわけではありませんよね。詭弁家どころか、みごとな論証力を発揮した優れた能力の持ち主たちです。依頼者の利益を実現するために弁証力を使ったことが非難される基本要因です。弁論で太刀打ちできないソフィストに怖れをなして詭弁家という烙印を押したというのが事実なんでしょう」

シュトラウス「ソフィストは超越的な善を尊重することを知らなかった。彼らは政治に関与できないよそ者であり、お金を稼ぐことが目的でもあったのですから、それはそれで仕方がない。そして、民主政アテナ自体が価値相対主義に陥り、善悪や正義を脇において、弁証能力でことを決するようになった。これは、スパルタでは考えられない状況です」

ポパー「米国の統治形態を評価していたあなたとは思えない見方が出てきましたね。米国は、ソフィストが跋扈する悪しき民主政の見本ということになります」

シュトラウス「私もよそ者として米国に身を寄せたことを忘れないでください(笑)米国を理想国家と考えていたのなら、古典哲学を教えるような迂遠なことをしなかったということになります」


(続く)

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