★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 地域8 > 214.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
バイオパイラシー:それは生命の窃盗行為←これをモンサントやノバルティスが大学の調査団や研究者の助けを借りて行う
http://www.asyura2.com/0403/ishihara8/msg/214.html
投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 5 月 17 日 13:50:41:SoCnfA7pPD5s2
 

「プエブラ=パナマ計画」と中米-グァテマラの先住民族(1−1)

我らの母なる大地は聖なるもの・・・

 私たちメソアメリカにすむ人々にとっては我らの母なる大地は聖なるものである。大地と同じくしてそこに住むものすべて、例えば動物や植物、川や山、洞窟や谷、生物資源、そして大地に関して私たちが持っている知識も聖なるものなのである。こうしたものを全てひっくるめて、いまではこの地に住んでいる私たちも含めて生物学的多様性又は生物多様性と呼んでいるのである。

生物多様性とは何か

 生物多様性は、とりわけ私たちメソアメリカの諸民族が長い間暮らしてきた地域においては、その存在それ自体が非常に価値のあるものである。農民たちは母なる大地に敬意を払って大地に手を加えながら伝統的な自然に対する知識を発展させてきたのである。生物多様性は気候を保つため、土壌の養分を確保するため、水の浄化システムが機能するようにするため、自分たちの健康と食糧に注意を払うために非常に重要なものである。

 メソアメリカ、あるいはかつて現在のメキシコと中米を合わせた地域を指して呼ばれたアナワックでは、生物の種類が非常に豊富である。さらにこの地域はとうもろこし、黒豆、カカオ、唐辛子、ひょうたん、トマトなど様々な植物の原産地でもある。それゆえメソアメリカは世界中の生命にとっての源とも言えよう。

 こうした様々な生命、つまり生物多様性は、現在危険にさらされている。より力のある国々の政府や、「多国籍企業」と呼ばれる世界でも一番勢力のある様々な企業の所有者らが狙っている支配計画の一端として、メソアメリカにすむ民族である私たちから、母なる大地からの贈り物である自然に対する知識や、植物の種、植物、昆虫、菌類を奪い取って、薬品や食糧、さらには遺伝子がゴチャゴチャに組替えられた種を作り出して、彼らの商売に利用しようとしている。こういう窃盗行為を、ある人々は「バイオパイラシー(生物盗賊)」であるとか「バイオプロスペクシオン(生物探査)」とも呼んでいる。


今、よそ者どもがその生物多様性による富を奪おうとしている

バイオパイラシーとは

 コロンビアでMovimiento de Autoridades Indigenas(「先住民族の伝統的権威を守る運動」)を率いるロレンソ・ムエラス・ウルタド(Lorenzo Muels Hurtado)氏はバイオパイラシーに関し、以下のように語っている。

 「・・・今、よそ者どもがその生物多様性による富を引き出し、うまい汁を吸い上げ、略奪し、最後には私有化しようとしている。こういうやり方は私たちが考えることと180度違っており、今現在私たちが直面している一番大きな問題なのである」

 食品メーカー、製薬会社、種子開発業者、そのほかの化学企業は、彼らが開発している薬品や食品工業、遺伝子組み替え種子は、私たちが手を貸すことによって良いものになると主張している。しかしながら実際は、科学技術の進歩を利用して、企業は、薬品や工業製品、新しい種子を生産して世界中に売りさばき自分たちの利潤を上げるべく、母なる大地の資源や農民の知識コントロールする必要があるだけなのである。彼らは私たちを操作する権力を手に入れたいだけではなく、私たちの資源や知識を利用する唯一の主体になりたいのであって、そうなるためにこうした資源を他が利用できないような法律を作っているのである。

生命の窃盗行為に対して私たちはなす術がないのか?

 多くのラディーノに対してだけでなく、伝統的な知識に価値を置かず、だんだんと自然から得られる薬を忌避してお金のかかる薬局の薬に走ってしまう多くの先住民族に対しても、私たちが過去にどのように自然を見てきたかということを叫んでいくことは非常に重要であろう。

 また、良いものが売っているからといって、種をわざわざ買って使うということはやめなければならない。一時期だけ収穫量が多くなろうとも土地がどんどん焼けてしまう。そうしたものを使うことによって私たちに残されるものは富ではなくより貧しくなるだけだ。一方、私たちにそうしたハイブリッドの種や化学肥料を売った、というよりも押し付けた企業は益々裕福になっていくのである。


・・・母なる大地は誰も所有できない・・・

協定/契約・・・というよりも図々しい窃盗行為

 何年も前から、いくつかの大学や研究者、企業がコミュニティに入り込み、インタビューを行って私たちの植物や菌類を持って帰っていった。しかし今は援助やお金が入り込んでいる。

 今度はコミュニティと協定や契約を結んで、私たちの植物や菌類を薬品作成のために海外にある彼らの研究所に運び、コミュニティもよりよく暮らせるようになるように利益の一部を還元するとのこと。しかしこれはうそに過ぎない。メキシコや他の国々ではこうした契約を受けた経験のある農民がいるが、彼らの経験から言うと否定的に見ざるを得ない。

 彼らは、わずかばかりのお金を貰っただけでコミュニティの問題を解決するために追加のお金が来ないということに気付き始めたのである。さらにこうした人びとはこの地域にすむほかの民族や他の文化の人々も同じように生物多様性を売ってはいけないと叫び始めている。

 政府や企業の人間だけでなく多くの大学から来る多くの研究者は母なる大地に所有者はおらず、私たちや祈祷師、助産婦、農民、民族の伝統に関して色々助言が出来る老人の持っている知識などが、人々の財産であって、長い間にわたって形成され、様々な生活や骨の折れる苦労、生命や自然を理解しようとして、息子達に伝えようとして今日まで至らせた祖先の努力からきたものであるゆえ、値段はつけられないということをなかなか理解しないのである。民族が生き長らえるように多くの人が携わってきたものなのである。よって、「集団的な知識」とこれを呼ぶ人々までいるのである。

バイオパイラシーの実例

 このような生命の窃盗行為は、援助やさらにはたまにお金をばら撒きながらコミュニティにやってくる大学の調査団や研究者の助けを借りて、種子や薬品、食品などを生産しているモンサント(Monsanto)やノバルティス(Novartis)などといった大企業によって行われている。

 例えばメキシコ・チアパス州では地元の大学関係者とともに米国から研究者がやってきて伝統医学に関して先住民族農民団体と契約を結んでいる。

 この契約は私たちの伝統的な薬草とそれをどのように使用するかという知識の売買契約からなっている。この契約において米国側は仕入れた植物を使った新薬の販売によって得ることになる利益の一部はコミュニティに支払うことを約束している。これは非常に多額のお金が支払われるような契約に思われるだろうが、コミュニティの人々に支払われることになっていた額は製薬会社が得るであろう利益から見れば、一粒のパンくずにも満たないほど微々たる物でしかなかったのである。

 コミュニティはこうしたプロジェクトに反対し、メキシコ政府や研究者、大学からの圧力に抵抗している。コミュニティは先祖からの遺産であって、将来の世代のために守るべき知識を売ることは出来ないと言っている。

 また人びとは他のマヤ民族のものでもある知識や植物を売ることは出来ないとも主張している。先住民族団体は全国レベル、さらには国際レベルで様々な社会組織と連帯して、こうした脅威に正面から勝負を挑み、勇気と知恵でこうしたプロジェクトを潰すべく、闘っているのである。


私たちはどうやって生物多様性を守るか考えなければならない

特許

 私たちの要求は世界を支配するような人々には理解されないのである。というのも、彼らはすべてのものを排他的な私有物にするための法律を持って集団的な知識や植物、動物の所有者になりたがっているのである。こうした法律の仕組みのことを彼らは「特許」と呼んでいる。

 特許を獲得するためにはそれぞれの政府にある事務局に出向いて、そこで彼らが発明した新製品を紹介するなどの必要要件を満たしたときに特許を得られるのである。

 私たちメソアメリカにすむ諸民族は、私たちの集団的・伝統的な知識や、この地域の生物多様性の私有化を許可しない権利があるはずである。というのも私たちの祖先はずっとこうしてきたからである。

 それでは、どのようにして私たちはこうした資源や知識を守っていけるのだろうか?私たちが生物多様性やそれに対する知識を守ろうと考えるときには、こうした、私たちの基礎であり、私たちの力でもある先住民族世界の知恵に立ち入ってすべてを私有化しようともくろんでいる大きな法律というのもあわせてみていかなければいけない。

・「窃盗団の侵入を断固許さない」

・「窃盗団による私有化を断固許さない」以外に私たちを守っていくほかの方法はないのである。


母なる自然は商品ではない!

生命に対する特許の例

 あるアメリカ合州国の業者はメキシコでマジョコバ(Mayocoba)と呼ばれる種類の黒豆を1キロ買って、アメリカ合州国の自分の土地でそれを育て、2年後に収穫を迎えてから特許庁に行き、自らがアメリカ合州国では新種であるこの黒豆を育てたと主張し、特許を申請、当局はこれを受けて特許を与えるという事件があった。この特許を受けたことでこの業者はマジョコバ種の黒豆を販売できる唯一の主体となったのである。したがって誰も他にはマジョコバ種を売ることは出来ず、もしどうしても売りたいとしたらある程度のお金をこの業者に支払わねばいけないのである。

 これは正統性を欠くものである。というのも、メキシコの生産者は何年もかけてこの黒豆を耕作し、大事に守ってきたのにもかかわらず、今やアメリカ合州国で生産物を売ることは出来ないか、ある程度のお金をこの業者に積まなければならないのである。

 というのも、特許によって、他のものが自らの利益の為にある産物または知識の使用を妨げることの出来る、当該産物・知識の所有者を作り出してしまうからである。特許を申請するわけはその産物を利用してお金を作る、商売をしようという動機からきている。これは私たちの持っている観念からすると到底同意できないシステムである。

 万物に対する知識は、植物のごとくこれから先もずっと育ち続け、ゆくゆくは実を結ぶように、見守り続け、その存在を保証していかなければならないものである。私たち農民や先住民族が持っている知識はコミュニティのものであり、コミュニティが存続していく為のもの、食糧を得ていくためのもの、人々の健康を獲得するためのもの、民族が生きていくためのものであって商売をしたり利潤を得たりするためのものではないのである。

 母なる自然は売買のための商品ではない。私たちの伝統的な知識は商売をするためのものではなくて、私たちの民族が生きていく力を獲得するためのものである。よって政府や大企業が押し付けているプロジェクトによって私たちの土地が搾取されたり破壊されたりすることは容認できない。私たちは今後コミュニティで何が起ろうとしているのか見ていかなければいけない。そして母なる自然や私たちの伝統的な知識、私たちの生活権をこれまで守ってきたように民族の組織化を図っていく必要がある。

注・本訳は、ACODIMAM 編 IMDEC/CENAMI/OXFAM-Australia 発行

"Haciendo Camino... Fuimos, somos y.... seremos" p.17- の翻訳です。

バイオパイラシー:それは生命の窃盗行為

 次へ  前へ

地域8掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。