震災から１０年が経過した。私の住まいは半壊であったが、長田の大火や全壊した家屋を忘れたことはない。当時は、いっそ死んだほうがよかったかなと思ったこともあった。自分のしたいことは何もできず、ただ生きているだけだと思っていた。しかし、地震は私を１０年以上の眠りから目覚めさせた。地震で住まいを失った人たちを半ば強制的に仮設住宅に追いやり、ここぞとばかりに区画整理をする行政や、被災者の生活再建を否定する国に怒りを感じた。小田実氏などによる市民運動で、ようやく被災者生活再建支援法が成立したが、「改正」という名の「改悪」がなされた。

　政府、行政には人権としての居住権思想がなく、今、新潟県中越地震の被災者たちは国の十分な支援もなく生活再建に挑んでいる。神戸の憲法運動がもっと強ければという思いが強い。「神戸からの発信」は、国と行政の壁を破れなかった市民運動の検証なしには語れないであろう。＜須磨区・村山正晃さん（５８）＞

毎日新聞　2005年1月12日

http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2005/01/12/20050112ddlk28070862000c.html

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