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21世紀前半は西日本の地震活動期【ないふる】
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投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 6 月 27 日 19:02:56:SoCnfA7pPD5s2
 

 中部から近畿、それに中国四国地方には、30年から100年の地震活動の静穏期をはさんで、60年ほどの地震活動期がくり返されるという性質があります。そして活動期の最後に近い時期に、この地域の南にある南海トラフという海溝でマグニチュード8クラスの巨大地震が起こるというのも、この地域の特徴です。この海溝型の巨大地震は南海トラフに沿う地域で歴史上くり返し起こりましたから、そのたびに例えば「昭和の南海地震」というような時代の名が付いて知られています。

 政府の地震調査研究推進本部が2001年に東南海地震と南海地震の高い発生確率を発表しました。2002年には「東南海・南海地震防災対策特別措置法」が議員立法で成立しました。これによって東海地震に加えて、これから南海トラフに発生する東南海地震・南海地震といった巨大地震についての法的な措置が、やっとできたと言えます。

 図1の縦の折れ線は、おおよそ糸魚川−静岡構造線の位置を示すものです。その折れ線よりも西にある地震の時系列を図2に示します。この中にあるマグニチュード8クラスの巨大地震のうち、1707年のものが宝永東海南海地震、1854年のものが安政東海南海地震、1944年と1946年がそれぞれ昭和の東南海地震と南海地震で、フィリピン海プレートが沈みこむことによってプレート境界に起こる巨大地震です。1891年のマグニチュード8の巨大地震は、前回の地震活動期の最初にあった、内陸で最大規模級の濃尾地震です。


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図1:1662年以後の地震の分布。地震の規模(マグニチュード)を○及び□の大きさで表す

 
 図2から、この地域ではときどき地震活動が静穏化することがわかります。そして1960年頃から1994年までの最近の静穏期の後、右端のマグニチュード7クラスの2つの大地震から、あたらしい活動期が始まったものと見られています。


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図2:図1の糸魚川-静岡構造線よりも西にある地震の時系列。(a)1707年宝永東海南海地震、
(b)1854年安政東海南海地震、(c)1891年濃尾地震、(d)1944年東南海地震、(e)1946年南海地震。

 四国中部から紀伊半島へ東西にのびる中央構造線から北の地域は、地学的には西南日本内帯と呼ばれ、その中でも中部地方から近畿北部、中国地方東部はとくに活断層が多い地域です。活断層はいくつかが組になって大地震を起こす活断層帯を成しており、例えば六甲・淡路活断層帯が1995年1月17日にマグニチュード7.3の兵庫県南部地震を起こしたように、活断層帯には大規模地震がときどき発生します。

 活断層帯に起こる大地震の前には、比較的長期の先行現象と見られる中小規模の地震が起こる場合があります。また大地震を起こした活断層帯では余震が数十年のあいだ続きます。図3は、1901年から1943年9月9日までのマグニチュード5以上の浅い地震の分布図です。次の日に鳥取地震(1943年9月10日)が起こる場所にも、また5年ほど後に福井地震(1948年6月28日)が起こる地域にも、中小規模の地震が集中的に起こっています。丹後半島の地震の集まりは、1927年に起こった北丹後地震の余震がまだ多く起こっていることを示しています。兵庫県南部地震は明石海峡の地下から、ずれ破壊が走って大地震になりましたが、その明石海峡にも地震活動が始まっています。


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図3 1901年から1943年9月9日の地震分布。(A)1927年北丹後地震。次の日、
9月10日に鳥取地震(図4.B)、約5年後には福井地震(図4.C)が起こる。

 図4は、同じく2000年末までの分布図です。1995年兵庫県南部地震も、2000年鳥取県西部地震もすでに起こりましたが、さらに兵庫県南西部の山崎断層帯や京都府中部の三峠(みとけ)断層帯、中央構造線活断層帯の和歌山市付近などをはじめとして、いくつかの活断層帯に中小規模の地震の分布が現れているのがわかります。


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図4:1901年から2000年末までの地震分布。(A)1927年北丹後地震、(B)1943年鳥取地震、
、(C)1948年福井地震、(D)1995年兵庫県南部地震、(E)2000年鳥取県西部地震。

 内陸の活断層帯のいくつかは、南海トラフの巨大地震の前に活動するという性質があるので、西日本ではまず足下の活断層帯の地震を想定した対策を行い、次に周辺地域の活断層帯の地震に備え、さらに南海トラフの地震に備えるということが大切でしょう。

 活断層運動で盆地や平野が発達し、そこに大都市が発達するのですから、西日本の大都市の直下には当然、大地震が起こるのです。もちろん変動帯にある日本列島では、マグニチュード6程度の中規模地震は、活断層などには関係なく、どこにでもいつでも起こることを忘れてはいけません。

 東日本は常時大地震の可能性の高い地域です。東日本にくらべて西日本には大地震が最近少ないことは確かです。しかし西日本では大都市のすぐ直下に大地震が発生し、大震災を引き起こすという可能性があります。今、西日本では地震活動期に入っているということをもとに、震災の軽減をはかるためのさまざまの仕事が進められる必要があるのです。

 (京都大学大学院理学研究科  尾池和夫)

2000年鳥取県西部地震に先行する地震活動をアニメーションで見ることができます。)


21世紀前半は西日本の地震活動期

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