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津波報道とイラク報道を検証する[TUP速報]
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投稿者 なるほど 日時 2005 年 1 月 12 日 21:07:16:dfhdU2/i2Qkk2
 

速報441号 津波報道とイラク報道を検証する  050111

津波とイラク、報道の影に
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 多くの死者負傷者と村や町が丸ごと流されるほどの被害をもたらした
インド洋津波。メディアは、被害の映像を流し大国の援助額の大きさを
競って伝えています。この報道合戦がことさらに伝えようとしているこ
とは何か、隠そうとしていることは何か。イラク戦争・占領報道と津波
報道の対比で考えようと、イラク占領監視センターのマージョリー・ラ
スキーは、津波とイラクを同時に取り上げて論じている記事、津波当時
のイラクのニュースをいくつか示しています。
(TUP/池田真里)
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津波とイラク
マージョリー・ラスキー
イラク占領監視センター速報
2005年1月4日。

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 インド洋津波がすさまじい被害と多くの死者をもたらしたことをうけ
て、先週、何人かの評者が、似てはいるが異なる二つの恐るべき事態に
ついて意見を表した。自然が起こしたもの(津波)と人間によるもの(
イラク戦争と占領)の二つについてである。どちらも最新の推定で、死
者数10万人から12万5千人という。正確な数字は知るべくもないが、
驚くべき数字である(英誌『ランセット』の調査の数字を参照のこと。
ファルージャ攻撃による死者数を引いても、イラクの一般市民の死者数
は、控えめにみて10万人と推定している)。

 http://www.occupationwatch.org/article.php?id=7486

 津波の襲った数日後に亡くなったスーザン・ソンタグへの心のこもった
追悼の辞で、レベッカ・ソルニットは次のように述べている。「イラクで
起こっていることは、ある意味で、ワシントンD.C.を震央として1万マイ
ルの距離を渡って襲いかかった津波、はるか遠くの無数のいのち、国土、
町々を破壊し尽くした、政治方針の地震といってもいいでしょう。そして、
いまここでは、亡くなった兵士の友人や家族たちが悲しみにくれています
。腐った外交政策の手足として海外に送られた何万という若者たちは、心
もからだも傷つけられています。」

 ソルニットは、ソンタグの写真と表象に関する考察を振り返り、このソ
ンタグの考察が、津波とイラクのニュースを検証する際にいかに私たちの
力となるか、示した。「この二つの惨禍を私たちがどう受け止めるかにつ
いて、イメージが(あるいはイメージの欠如が)果たしている決定的な役
割を認識する」方法を示しながら、ソンタグと津波とイラクの混乱を結ん
で語る。「津波が、これでもかとばかりに私たちの五感に訴える機会とし
て扱われている」のに対し、「イラク戦争は、異様なほど見えない戦争、
いや、お決まりの毒にも薬にもならない映像が出し物となっているような
戦争だ。我が軍の写真ばかりで、敵方の写真はほとんどなく、爆破された
戦車と人影のない崩壊した民家の映像。ここアメリカには、津波の場合と
まったく異なり、私たちの手が日々生み出している膨大な数の負傷し死亡
した一般市民の映像はない。しかし、これもまた、イメージの戦争である
のだ。我がイラク侵略の完成として、サダム・フセイン像の倒壊という出
し物があった。アブグレイブ拷問の写真漏洩から始まった山場があった。
(中略)そして最近ではファルージャのモスクで、負傷者を撃つ米兵の映
像があった。」(「ソンタグと津波」より)

(訳注:TUP速報79号で、スーザン・ソンタグのスピーチ、『平和と公正
を称える』を読めます。レベッカ・ソルニットは、サンフランシスコ在住
の美術批評家、作家ですが、同じく360号ほかで7編が速報に掲載され
ています。)

 http://www.occupationwatch.org/article.php?id=8636

 ジョージ・カパチオは、津波のイメージを、ここ10日間にイラクで起
きた事件として描写している。「米国国務省古層深部の巨大な政治プレー
トが、先週、突然動いた。何十年にも及ぶ内部抗争で蓄積されたメガトン
級の圧力が、巨大波をイラクめがけて送った。イラクの老朽化した国防軍
はたちまち崩壊し、イラク国民を圧倒的な力の前に置き去りにした。12
年にわたる経済制裁と2つの戦争、それに残虐な独裁政権によってすでに
疲弊しきっていたイラク国民は、こんどはいわゆる人道に対する罪によっ
て苦しむこととなった。モスルからバスラまで、戦車、ミサイルの業火、
機銃ヘリコプター、F16戦闘機が次々ときりもなく押し寄せては破壊し、
町々は丸ごと叩きつぶされ、何万人もが家を失った。」(「見えない暴神:
津波イラクを襲う」)

(訳注:ジョージ・カパチオは米国マサチューセッツ州在住のフリーラン
スの記者、作家。1997年以来何度もイラクを訪れ、その体験を書いて
いる。)

 http://www.occupationwatch.org/article.php?id=8591

 津波被害に対する米大統領の当初の「しみったれた」対応について、多
く論評された。その中で多かったのが、ブッシュ大統領とイラク占領に米
国が日々投じている途方もない額の金を比較したものであった。ブッシュ
大統領が、津波被害国に対する援助を1500万ドルから3500万ドル
に引き上げると発表した後、ヘザー・ヴォークシュは、次のように書いた。
「ブッシュ政権はしみったれというのは、的はずれ。たんに優先順位が違
うにすぎない。これまでのところで、ホワイトハウスは2005年財政年
度に約一千億ドルをイラク占領に要求している。これは、ひと月当たり8
3億ドル、一日当たり2億7千万ドルである(同政権の当初の津波被害援
助額の18倍以上にあたる)。イラクだけの数字でこれだ。(「しみった
れですって? とんでもない、大量破壊兵器と戦争のためなら」)

(訳注:ヘザー・ヴォークシュは、オーストリア在住のアメリカ人、フリ
ーランス・ジャーナリスト)

 http://www.occupationwatch.org/article.php?id=8597

 しかし、「有志連合」の片腕である英政府だって米政府と同じだと、
ジョージ・モンビオは、イギリス住民の津波被害に対する惜しみない善
意(英米政府とはまったく正反対である)を分析して述べている。「こ
れまでのところ、米政府は津波被害者に3億5千万ドル提供すると約束
している。これに対し、英政府は9600万ドル。米国はイラク戦争に
1480億ドル支出した。これに対し、英国は115億ドル。戦争は、
656日続いている。これでいくと、津波被害に米国が約束した金額は、
イラクで使われている金の1日半分である。英国が出すといった金額は、
英国のイラク戦費の5日半分である。戦費を海外援助総額と比較すると、
もっとひどい。英国は、イラク以外の国々の窮状支援のための年支出総
額の2倍の金額を使って、イラクに惨状をもたらしているのである。米
国の海外援助額はわずか160億ドル余である。これまでイラクで浪費
された金額9分の1にも足りない。」(「イラク戦争の犠牲者でもある
津波被害者」)

(訳注:ジョージ・モンビオは、イギリスの作家、ジャーナリスト。
「ガーディアン」の定期寄稿者。)

 http://www.occupationwatch.org/article.php?id=8637

 クリストファー・デリソは、「米国が津波にさほど関心をもたない
のは、その原因にあることは、言うまでもない。制御不能の天災だか
らだ。簡単に引きずり出して非難できる、人間という要素がからまな
いような天災は、時の権力にとっては面白みがない。政権転覆命令や
「衝撃と畏怖」爆撃という反撃に出る余地はないからだ」と言う。
(「戦争と津波」)

(訳注:クリストファー・デリソは、マケドニア在住のフリーランス
の記者。バルカン諸国を歩いて、多くの記事を書いている。)

 http://www.occupationwatch.org/article.php?id=8589

 これをうち消すような見解を述べる者もいる。つまり、とくに米政府
ではなく、アメリカ人一般について言えば、善(たとえば民主主義)と
悪(たとえばテロリスト暴徒)の衝突とされている戦争より、天災の被
害者のほうに同情し、結集し、救援のために動きやすいというのだ。も
ちろん、この見解は、津波被害を大きくした根本的原因である、社会的
経済的基盤のないところでの出口のない貧困、観光地であること(訳注:
観光収入の減少を危惧して警報が出されなかったと言われたこと)など
の問題を無視している。

 惨事に直面した米国メディアのもっともらしい二枚舌を痛烈に批判した
2つの報道がある。「新聞紙面やテレビの画面は、海にさらわれる数々の
死体、浜辺に散乱した変形した死体、ずらりと並んだ膨張した赤ん坊の死
体でうめ尽くされている。災害のあらゆる面が、獲物を逃すまいとするメ
ディアのレンズによって、きわめて細かなところまでなめるように描写さ
れている」という事態に対して、マイク・ホィットニーは疑問を投げる。
「テッド・コッペル(訳注:米ABCの有名アンカー)はほんの何日か前、メ
ディアは神経質な視聴者に配慮して、イラク報道を自粛していると言った
ばかりではなかったか。(コッペルは)死んだイラク人を写すのは「悪趣
味」だ、アメリカ人視聴者は、そういう映像を見たら不快になるだろうと、
お題目のように繰り返していたのではないか。」(「メディアの二枚舌、
イラク対津波」)

(訳注:マイク・ホィットニーは、米国ワシントン州在住)

 http://www.occupationwatch.org/article.php?id=8590

 企業の欲得が報道内容を決定すると、ホィットニーと同意見のピーター・
フィリップス。(「津波被害によって明らかになった企業メディアの偽善」)

 (訳注:ピーター・フィリップスは、カリフォルニア州立大学ソノマ校の
社会学教授)

 http://www.occupationwatch.org/article.php?id=8598

 二つの惨事、津波とイラク戦争・占領を前に、デイビッド・モースは
次のように言っている。アメリカは、迷惑がられているイラクから撤退し、
「必要とされているところ、我が軍と巨大な兵站能力が多くの人名を救う
ことのできるところ、浄水施設、野外キッチン、発電施設、浮き橋を配備
できるところ、治安維持を支援できるところ」へ行かなくてはならない。
(「イラクから撤退し、地震被害者を支援せよ」)

(訳者:デイビッド・モースは、米国コネチカット州在住。イラクに
ついての評論を多く書いている。)

 http://www.occupationwatch.org/article.php?id=8615

 いっぽう、BBCは次のように述べている。「世界がアジアの災害に注目
している間に、イラクの状況は非常に悪化し、反乱は、ほとんど戦闘状態
というところまで拡大した。」(「激しい攻撃がイラクの選挙を脅かす」)

 http://www.occupationwatch.org/article.php?id=8638

 この速報の焦点を別の側面から見るために、今週、ほとんど破壊しつ
くされたファルージャに帰ったファルージャ市民の感じたことや思いを
知ってほしい。(エドマンド・サンダース、「ファルージャ市民、我が
町を見てうちのめされる」)

(訳者まとめ:やっとの思いでファルージャへ帰った住民が見たものは、
徹底的な破壊のあと――汚水があふれた道、町全体に漂う死臭、地雷や
偽装爆弾がそこら中にあり銃撃戦の音が絶えない。家は半壊し家財道具
はめちゃめちゃにされている。水道、電気はない・・・。)

(訳注:エドマンド・サンダースは、ロサンゼルス・タイムズ記者)

 http://www.occupationwatch.org/article.php?id=8576

 ヨルダン・タイムズ、「ファルージャ市民の怒り、極限に」

(訳者まとめ:ファルージャ市民は、親戚のうちや避難キャンプから、
続々町へ帰ってきている。町の入り口で検問のため6時間も待たされた
あげく、13項目の禁止事項(落書き禁止、集会禁止・・・)を書いた
黄色いカードを渡される。そして、目にするのはほとんど瓦礫と化した
我が家。死体が残され、水道も電気もない・・・)

 http://www.occupationwatch.org/article.php?id=8585

 ホァン・コール、「数千のファルージャ市民、デモ」

(訳者まとめ:1月1日、廃墟のようになったファルージャの町の入り
口で、こどもも含む数千人がデモを行った。要求は、米軍の撤退とライ
フラインの復旧。大規模なデモであったにもかかわらず、西側メディア
はほとんど報道しなかった。)

(訳注:ホァン・コールは、ミシガン大学歴史学教授。TUPでも311号、
306号で速報した。)

 http://www.occupationwatch.org/article.php?id=8614

 また今週、イラク戦争で死んだ米兵の親たちが、コード・ピンク、
グローバル・エクスチェンジ、社会的責任を目指す医師たちなど反戦
団体の代表とともに、ヨルダンのアンマンへの旅を終えた。一行は、
60万ドル相当の医薬品など人道援助物資をファルージャ攻撃の被害
者に届けた。(ジム・ローブ、「戦死兵の親たち、イラクへ人道援助
の旅」)

 (訳注:ジム・ローブは、インター・プレス・サービスのワシントン
DC特派員)

 http://www.occupationwatch.org/article.php?id=8552

(各段落の後のURLは原文です)

(翻訳:TUP/池田真里)

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大津波災害支援になぜ自衛隊なのか [水島朝穂氏のホームページ]
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