ぐつぐつと怒りが煮えたぎることがある。先週がそうだった。怒りは収まることなく、時間がたつほど凝縮した。本社社長の監禁事件を報じた『週刊新潮』の報道に対してである。愛社精神とも愛国心とも無縁な”拗ね者”の私だが、記事の見出しには心底腹が立った。社長が監禁中に撮影された写真をめぐり、同誌がつけた性的表現を用いた見出しは、読者を誤解させるだけでなく、差別を助長しかねない表現だ。しかも記事内容以上に見出しが突出し過ぎている。雑誌を買って読まない人も、新聞広告や電車内の中吊り広告は見る。つまり、見出しは、雑誌購読者以外の人の心証形成にも大きな影響を与えるのだ。その雑誌広告に最近目立つのが、＜売国奴、負け犬、非国民、遠吠え＞といった、人の感情にストレートに訴える言葉だ。こうした差別用語に、時代の危うさが潜む。（広瀬金四郎）

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