六本木ヒルズ森タワー（東京都港区）で男の子が自動回転ドアに挟まれて死亡した事故を受け、７日現在、全国にある大型自動回転ドアの約６割にあたる２８９台で使用停止の措置が取られていることが読売新聞社の調査で分かった。

　国土交通省と経済産業省は８日、安全確保のためのガイドライン（指針）を作成する検討会を開くが、大手スーパーなど３６施設の６４台については撤去が検討されている。さらに今後建設される高層ビルなどでも設置取りやめの動きがあり、事故の衝撃の大きさを示す結果になっている。

　国交省の３月末までの集計によると、直径３メートル以上の自動回転ドアは、４２都道府県の２９５施設に４５９台ある。このうち７７施設１７３台が集中する都内では、８３％の１４４台が停止中だ。

　森タワーなどを管理する森ビルは、回転ドアがある都内７つのビルのすべてで使用を停止。今後については白紙の状態という。

　１０台以上の回転ドアを備える「品川インターシティ」（東京都港区）や「汐留シティセンター」（同）でも、全面使用停止とし、利用者は別の自動ドアなどで出入りしている。３台すべてを停止している「ＪＡＬビルディング」（品川区）の管理担当者は、「ドアをたたんで開けっ放しの状態にしているので、空調がきかない。夏場までには何とか対策を考えなくては」と困惑を隠さない。国交省と経産省の指針がまとまる６月末までは「回転ドアを再稼働させない」とするビル管理者も多い。

　一方、大手スーパーのダイエーは、弘前店（青森県弘前市）、いわき店（福島県いわき市）、甲子園店（兵庫県西宮市）の計６台を５月末までにすべて撤去し、スライド式の自動ドアに替える。阪急百貨店（大阪市）も「お客様の不安をぬぐいきれない」として１台ある回転ドアの撤去を決定。４台ある高島屋大阪店（同）も撤去の方向で検討を進め、２台を備える「シーホークホテル＆リゾート」（福岡市）の運営会社も通常のドアに改修する。

　また、住友不動産などが東京・汐留に建設中の「汐留住友ビル」と「東京汐留ビル」では、ドア部分の設計を自動回転ドアからスライド式自動ドアに改めた。大阪府で今秋開業予定の「第二吉本ビルディング」でも、回転ドアの設置を業者に発注済みだったが、急きょキャンセルした。

(2004/4/8/03:06　読売新聞　無断転載禁止)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040408i101.htm

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