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Winny事件:影の主役は誰なのか
http://www.asyura2.com/0403/nihon13/msg/176.html
投稿者 Q太郎 日時 2004 年 5 月 12 日 13:02:50:4V2zl9FyN7Ano
 

(回答先: 金子氏@Winny逮捕と輸入CD禁止にみる産業界の意向 投稿者 Q太郎 日時 2004 年 5 月 12 日 13:00:33)

http://shinta.tea-nifty.com/nikki/2004/05/w

Winny事件:影の主役は誰なのか

 朝っぱらから、ネットの世界に蜂の巣つついたような騒ぎが起こっている。「交換ソフト「Winny」開発の東大助手を逮捕」というニュース。個人的に、Napsterがサービス中止になってからのP2Pファイル交換ソフトは使ったことがないので、あまり関心がなかったのだけれど、東浩紀氏のブログや旧・極東ブログ@はてなダイアリーでもこの話が取り上げられていたので、ちょっと書いておこうと思う。

 僕が今回の事件で思うことは、2つある。

 1つは、開発者を「著作権侵害幇助」などという罪名で逮捕しなきゃいけないほど、P2Pソフトがものすごいことをしたのかということだ。ぶっちゃけて言えば、「たかがインターネットごときに何熱くなってんだよ京都府警」というものである。

 Napsterあたりまでは、僕も面白がってP2Pを試したりしていたものだったが、WinMXで国内に摘発者が出て以来、この手のソフトに個人的に興味を失った。周囲でもWinMXやWinnyを活用しまくっている(と、少なくとも公言する)人は見あたらない。記事によると22万人あまりが使っていたというが、音楽産業や映画産業のユーザー数は、数十万じゃきかないだろう。Winnyの影響など、この業界の凋落の理由としては微々たるものだ。

 京都新聞のオリジナル記事によれば、Winnyは「包丁ではなく拳銃」、つまり著作権侵害という犯罪以外の目的に使うことなどあり得ないソフト、というのが逮捕の理由らしいが、じゃあ例えば47氏が「著作権侵害を目的としたものではなく、あくまで発信者と受信者を全て特定できないようなファイル交換技術の研究開発を目的としたソフトウエアだ」と主張したら、どうなるんだろう。「暗号が解かれて発信者・受信者も特定できるようになったことで、技術研究の当初の目的は達成できませんでした」とか言われたら、その時点でおしまいなのでは?

 京都府警も、47氏の2ちゃんねるへの書き込みなどを理由に有罪にしようと必死になるだろうし、47氏もかなり罪状を認めているようなのでこうしたシナリオが実現する可能性は低そうだが、となるとWinnyと、例えば「CD2WAV」などのリッピングソフトとは、違法性でほぼ同列に並ぶことになりはしまいか。CDリッパーの、あるいはanonimousFTPソフトのどこが「銃」ではなく、Winnyのどこが「銃」なのか、著作権侵害ソフトの合法/違法の判断はほとんど「官憲の恣意で決まる」と宣言したようなものである。

 と、ここまで考えて思ったもう1つのことは、要するに既得権益を持つ人々は「匿名性」のメディアが嫌いなのだな、ということだ。ここでいう「既得権益を持つ人」とは、JASRAC(日本音楽著作権協会)である。今回の話のどこにも名前が出てこないが、この事件の影の主役がJASRACであることは明白だ。

 プロバイダ責任制限法もそうだが、法律を適用するためには、問題となる行為の責任が「誰」にあるのかが分からなければならない。だからHPの運営者や掲示板への書き込み者が「誰」かを明かした段階でプロバイダーは免責になるし、Winnyについてはそれができなかった(今は暗号が解読され、発信者はかなり特定できるようだが)から挙げられた。

 じゃあ、実名でP2P使えばOKなのかというと、日本の場合そうはいかない。「再販制度」という、最悪な業者カルテルがネットという流通チャネルの邪魔をするのである。音楽CDや映画DVD、ゲームソフトの値段がカルテルで維持されている以上、消費者の利益を損なう劣悪商品を高価格で売っているほうが、わざわざ利益率の低い(かもしれない)ネット流通に進出するより圧倒的に儲かる。かくして、国内の音楽流通業者は市場規模がどんどん縮小しているにもかかわらず、あいも変わらずネットに背を向け、ネットで音楽ファイルを流通させようとするあらゆる努力(Winny含む)を徹底して弾圧しようとするわけだ。

 ネットだけではない。今の国会で審議されている著作権法改正では、音楽CDに関する再販制度の抜け穴だった「輸入盤」を禁止にしようと、JASRACがやっきになっている。文化庁が昨年12月に公開した著作権分科会の報告書を見ても、「再販制度を維持したままで輸入盤の環流防止措置を導入すれば(中略)消費者利益を損なう」という意見が出ているのに、JASRACは時代錯誤の再販制度強化をここでもやってのけようとしているのだ。

 個人的には、匿名か実名かという問題は正直どうでもいい気がする(一部の方々にはそれもゆゆしき問題のようだが)。むしろ本質的な問題は、消費者がより手軽な音楽の流通を望むにもかかわらず(実名でも何でも)そういうビジネスが日本に生まれてこないことの方だと思う。

 米国ならNapster、AppleなどRIAA(全米レコード協会)と丁々発止でやり合う流通のオルタナティブが次々と現れて、ネット上の音楽流通ができるようになったわけだが、再販制度を維持したままの日本で、既存の流通業者がこうした流れに与するとはとても思えない。本当のことを言えば、 47氏には技術開発の自由と同時に、再販制度の違憲性の問題まで一緒に裁判で争ってもらいたいと思うぐらいだが、さすがにそこまでは無理か。

追記:
 5/12朝に更新された「切込隊長Blog 俺様キングダム」のエントリによれば、警察をけしかけたりして糸を引いているのは、JASRACではなくRIAJ(日本レコード協会)の大御所だそうな。ちょっと外しましたが、まあ似たような団体ってことで勘弁。しかし「(レコード店の)売り上げが半分になっても(中古屋、レンタル屋含め)あらゆるコピーを差し止める」とは、すさまじいまでの執念ですな。もはや経済合理性がどうとかいうレベルを超えてます。再販制度の甘い蜜恐ろしや…

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