http://www.nishinippon.co.jp/media/news/news-today/news007.html

福岡市東区で昨年六月、衣料品販売業松本真二郎さん＝当時（４１）＝一家四人が殺害された事件で、強盗殺人、死体遺棄などの罪に問われた中国・河南省出身の元専門学校生、魏巍被告（２４）の公判が八日、福岡地裁（川口宰護裁判長）であった。検察側が請求した中国当局作成の共犯者二人の供述調書の証拠調べについて、弁護側は同意せず、証拠能力について争う姿勢を示した。弁護人は「一方的な供述で魏被告と食い違う部分もあり、内容に信用性がない」などと説明している。

　調書は、中国公安当局に身柄を拘束されている共犯の日本語学校元生徒、王亮（２２）▽私立大元留学生、楊寧（２４）両容疑者について、福岡地検検事や福岡県警捜査員らが立ち会い、日本の刑事訴訟法に基づいて作成された。検察側は「犯罪事実の証明に不可欠」「信用すべき状況で作成された」などとする証拠能力に関する刑事訴訟法の要件を立証していく方針。中国当局が作成した共犯者の供述調書が日本の刑事裁判で証拠申請されるのは初めてで、採用するかどうかの裁判所の判断が注目される。

　同日の公判では、魏被告や、同被告に逃走資金を渡したとされる元交際相手の女性（２２）＝犯人隠避罪で公判中＝の供述調書が一部読み上げられた。それによると、魏被告は王、楊両容疑者から「全員殺せば（捕まる）心配はない。カードで銀行から金を引き出すのも王がやる。捜査は銀行のビデオで始まるからお前は大丈夫」などと持ちかけられて犯行に加担。殺害時は「目を背けながら押さえつけた。恐ろしくて早く死んでくれ、なんで死なないんだ、と思った」などと供述したという。

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