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辺見庸は今・・・
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投稿者 竹中半兵衛 日時 2004 年 6 月 04 日 10:33:24:0iYhrg5rK5QpI
 

(回答先: Re:竹中半兵衛さん、お早うございます 投稿者 長壁満子 日時 2004 年 6 月 03 日 08:27:27)

長壁さん、おはようございます。
怒りをぶつけるということは、投稿の原初形態であり自然だと思います。

即自的怒りをバネとして、反戦行動にいたるプロセスについて人間がどう向自化されるのか、これは哲学的レベルで考えないと回答が出ないのではないか、つまり政治的な視点からでは止揚できない問題だと思うのです。

長壁さん自体も飛躍したいのでしょうし、周りも飛躍してほしいと思っています。

私も昔、マルクス主義も知らない段階で自治会でクラス委員になり、クラス討論で、安保への怒りをよりどころとして決起(デモへの参加)を呼びかけたけれど、クラス仲間からは「そんなことはお前に言われなくてもわかっている」という返事が戻ってきました。怒りを羅列してもそれはあくまで即自的レベルであり、それでは怒りを共有している多くの人々とどう「安保反対」から「安保粉砕」を実現するのか、わからぬままに月日が経ちました。彼らはどう立ち上がるのか疑問でしたし消耗しました。
そんなとき私もクラス仲間を心中では「ゆで蛙」のように思っていました。

私の考えは倒錯していたと思います。自治委員である前にマルクス主義者(革マル派自治会)でなければならないという意識があったのでしょう。その上で安保反対なんてやってる。逆なんですね。はじめから私の頭の中には60年安保以来安保反対だったのだからその気持ちを皆に伝えればよかったのです。私は自治会をいつのまにかセクトと二重写しにして見ていた。これが私の限界であり、当然クラスから反発が出たのでしょう。

それでも確か70年6月15日だったと思いますが、代々木公園では統一行動の日には授業放棄して(決議は取れなかったけど授業は中止になりました)、限界つき討論で明確な結論もないまま、私の訴えに耳を傾けなかった人たちまでが、学内集会では多数クラス決議をもって参集してくれました。皆「安保反対」だったのです。涙が出ましたね。そして徹夜のデモにも、クラスの連中が私の周りにいるのです。

デモの波はそれはものすごいエネルギーでした。ヘルメットをかぶり、互いに腕を組み、腰を落として頭を低くして機動隊と押し合いへしあい、後ろのほうからはとてつもないエネルギーが押し寄せてきます。一歩間違えば将棋倒しになるのではないか、骨が折れてしまうと思うほど。やがて猛烈なエネルギーは腰を下げた身体さえ空中に突き上げてしまう。あとから、クラスの仲間は「失神しそうだったよ」と皆言ってました。

そして徹夜でデモです。私たちは立川へ行きました。線路上のデモで米タン列車は止められ、機関士は逃亡、私たちは線路の上をデモをして、明け方には線路の上で仮眠しました。

無言で立ち上がってくれたクラス仲間には今でも感謝しています。私の限界を突きつけてくれた仲間たちに感謝しています。そして思い出すとさわやかな気分になります。
当時は本気で「安保を粉砕しよう」、という気概があったからこそ列車を止めて意思表示することができたのだと思います。

ところで、辺見庸さんが3月に倒れて以来久しく消息が聞こえません。
きっとまた復帰してもらえる、この期待にこたえるべく彼はリハビリ中だと思っています。

辺見庸さんを私は阿修羅で知った次第ですが、彼の著作「単独発言:私はブッシュの敵である」(角川文庫)は怒りを対象化したもので非常にわかりやすいです。怒りの大連発ですが、思うがままに絶叫しているのではなくきわめて整然と論理的に述べている。私には情緒的にも論理的にも大変波長の合う書物で、愛読してます。

彼は「視えない像を視なさい、聞こえない音を聞きなさい」(同書233ページから234ページ)という哲学を中国人の古老から教わったそうですが、なんか参考になるところがあると思います。

どうぞお元気で。


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