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日朝首脳会談で小泉首相がハマった「平壌の落とし穴」(WEB現代)
http://www.asyura2.com/0403/senkyo3/msg/806.html
投稿者 天地 日時 2004 年 6 月 04 日 17:35:16:IVYNMLFehyE6c
 

日朝首脳会談で小泉首相がハマった「平壌の落とし穴」
http://kodansha.cplaza.ne.jp/broadcast/special/2004_06_02/index.html

取材・文:草薙厚子 取材:島田健弘
5月22日、小泉純一郎首相は再訪朝し、金正日(キムジョンイル)総書記と首脳会談を行った。「日朝国交正常化へ向けて前進の可能性があると判断した」と、その決意を語った小泉首相に期待されたのは、拉致3家族8名の帰国と10名の安否不明者の消息、そして拉致されたと疑われている方々の情報だった。
しかし、結果は国民の期待からかけ離れたもので、蓮池薫さん祐木子さん夫妻と地村保志さん富貴恵さん夫妻の家族5名だけの帰国。「夫ジェンキンスさんの北朝鮮に留まるという意思」(小泉首相)のため、曽我ひとみさんの家族は現地に残ってしまった。そして、その他の情報については再調査をするという約束のみに終わった。
その一方で、「救う会」事務局(東京)には「5人の子どもを連れ帰った首相へのねぎらいの言葉がない」などと、家族への批判メールが殺到。非難されるべきなのは本当に家族なのか? 徐々に出てきた裏事情を知れば知るほど、今回の訪朝は失敗だったと言わざるを得ない。

■なぜ小泉首相の再訪朝の日程が早まったのか?

「Web現代」5月19日号のインタビューで、自民党の平沢勝栄代議士は首相の訪朝の日程について「私の答えることじゃない」と述べていた。しかし当初の計画は6月20日で、官邸は7月の参院選の前に拉致被害者の家族を帰国させ、与党圧勝というシナリオを描いていた。ところが年金未納の議員が相次ぐなか、首相の年金納付状況を調べた結果、未加入・未納期間があることがわかり、焦った官邸は北朝鮮に訪朝を早めたいと打診。火の粉を被る前に国民の関心を別の問題にすりかえるため、首相自ら伝家の宝刀を抜いてしまったと言える。

海外のメディアの反応はどうだろうか。
アジア版ウォールストリート・ジャーナルは「平壌(ピョンヤン)の落とし穴……小泉首相は一体何を学んだのだろうか」と今回の訪朝も失敗だったと批判した。

ニューヨークタイムズは「……7月に参院選をひかえている小泉氏は、小泉氏自身と多くの与党議員が年金を納めていなかったという深刻なスキャンダルから国民の注意をそらすため、北朝鮮訪問で外交面での成功を勝ち取ることを望んでいた……」

ワシントンタイムズは「……小泉氏は、7月の参院選前の6月に北朝鮮を訪問すると予想されていたが、彼の年金問題が報じられると、急遽、訪問を決断。金正日との会談のニュースは年金問題の報道を第1面からはずした」と報じた。またその記事では、「小泉氏が拉致被害者の子ども5人を連れて帰ってくると、拉致被害者の家族や自民党内からも首相は十分な譲歩を引き出せなかったと批判が出たが、世論は小泉氏の訪問を評価、内閣支持率も上がった」と触れたうえで、政策研究大学院大学教授で『民意の主役 無党派層の研究』の著者である橋本晃和氏の「これは彼の得意とするところです。彼はこういうことばかりやっています。これが一国の指導者がすべきことなのでしょうか?」というコメントを紹介している。

「Web現代」の取材に対して、カリフォルニア州立大学サンディエゴ校国際関係太平洋研究大学院のエリス・クラウス教授は、この手法はよく使われるテクニックだと指摘する。
「小泉氏の年金未納問題、自分自身のニュースによって自分にとって都合の悪いニュースを押しつぶしてしまうというメディア対策は、ホワイトハウスで今日よく使われている『管理』テクニックなので、私は驚きませんでした。小泉氏は拉致被害者の家族からの否定的な反応や批判を予想していなかったと思います。しかしながら、世論調査では、彼が5人の子どもたちを連れて帰ってきた成果を支持していることを示していますし、訪問以来、それに関連するニュースが報道の中心となっているので、それが小泉氏の望んでいたことだとしたら、彼にとってはうまくいったように思えます」


北朝鮮事情に詳しい早稲田大学国際教養学部重村智計教授は、訪朝のタイミングを早めた大きな理由は、やはり首相自身の年金未納問題と断言する。
「小泉さんが北朝鮮に行こうと決意したのは2月ごろだったと北朝鮮サイドの人間から聞いています。官邸は2月ごろに『小泉首相が会いたい』と金正日総書記にある筋を通じて伝えたそうです。それでもなかなか北朝鮮側から返事がなく、4月に山崎さん(自民党前副総裁)と平沢さんが大連に行ったときに、金正日の通訳をしている黄虎男(ファンホナム)氏が『6月20日で結構ですと伝えてくれ』と山崎さんだけにこっそり言ったそうです。そこから具体的に動き出しました。山崎さんと平沢さんの役目はそこで終わりなんです。ところが6月にイラクで自衛隊が攻撃されるおそれが出てきたため、5月29日に早めようとした。それはそれまでとは別のルート(飯島秘書官のルート)を使ったと言われています。ところが最終的に再訪朝の時期を5月22日に変更して、それを5月14日に発表したのは、年金問題などが理由と北朝鮮関係者から聞いています。金正日は5月14日の午前3時に22日訪朝の許可を下したそうです」

しかも交渉には非公式な「ブローカー外交ルート」を使っている。
「今回はブローカーを介していると聞いています。川口順子外相が役に立たないため、官邸主導で福田前官房長官が中心となり、外務省と懸命に交渉していました。これが『公式ルート』。しかし、小泉さんが裏で山崎さんや平沢さんに違うルートで頼んでいたことを、福田さんは知らなかったのです。以前から福田さんは『(官房長官を)辞めたい』ともらしていたこともあり、首相に信頼されていないと思い、辞任を決意した大きな引き金となったのです」(ある自民党関係者)

日本国内で活動中のブローカー(コーディネーター)は5〜6人おり、北朝鮮の上層部に食い込んでいるのはそのうちの2〜3人と少ない。ブローカーは、北朝鮮側に立っている人間で北朝鮮にマイナスをもたらすことはなく、よりよい話を持っていくことで、日本と北朝鮮の双方から報酬等がもらえるという。特に、今回のような食糧支援25万トン、その他の医薬品11億円などを取り付ければ、その報酬等はより多くなる。
「大連で交渉してきた山崎さんや平沢さんは実は脇役で、最後は飯島秘書官が独自のルートを使ったんです。北朝鮮と日本の間で動くブローカーであることは間違いないんですが、いくつかのルートを使い、最後は官邸が直接、平壌とファックスなどでやりとりしたようです」(前出・重村氏)

ブローカーを通す外交とは、北朝鮮の工作機関の関係者や、日本国籍を取得した朝鮮人などの民間人が日本と国交がない北朝鮮などとの繋ぎ役をすることだ。
「『私は北朝鮮の高官と非常に親しい』とか『拉致問題を解決できます』とか『首脳会談を開くようにセッティングできます』などと政治家や外務省、ジャーナリストなどに誘いをかけ、見返りを得る。私にも接触しようとしてきたこともありました」(前出・重村氏)

■ 北朝鮮は10人の安否確認情報を用意していた!?

ブローカーを介して大連で話をつめてきた山崎拓自民党前副総裁は「(再訪朝の時期が)早すぎるのでは……」と記者の質問に答えていたが、早まったことで成果は得られたのだろうか? 重村氏は訪朝の成果を次のように述べた。
「まず、日本の国益、威信は守られたのかという点では、空港で格下の人間が迎えにきて、会談場所も二級で、会談時間も2時間の予定が約1時間半で切り上げられて、あいさつもそこそこに金正日が勝手に帰ってしまったというたいへん失礼なことをされたわけです。国の威信は相当に傷つけられました。拉致問題も帰ってきたのは5人だけですから、そう前進はない。5人帰ってきたことが成果といえば成果ですが、5人は迎えにいけば帰してくれると決まっていたんです。25万トンもの食糧支援を約束しており、首脳会談をしてただで帰すわけにはいきません。いま拉致被害者の数はわかっているだけで18人です、安否のわからない人も含めて。18分の5ですから、20点くらいでしょう。
また、今度の訪朝でアジアの安全保障やアジアの人権問題の解決などに進展があったのかというと、ゼロですね」

平沢代議士も歓迎の仕方に首を傾げる。だが、それをガマンするのも拉致家族を帰国させるための手段だと断言する。
「確かに向こうの迎え方は失礼だと思います。しかし、日本の価値観で考えてはいけない。我々の価値観とは別世界の人間を相手にしているんですから。屈辱的なことをされたからと、首相が帰ってしまったら家族は帰って来ますか。そう簡単にいかないのがあの国なんです。政府だって小泉さんだってはらわたは煮え繰り返ったと思います。それをガマンしてよくやったと思います。そもそも2回にわたって行くということが屈辱的なことなんですから。出迎え方や施設を議論するほうが、よほどトンチンカンなことです。問題は会談の中味で、藪中さんはきわめて中身の濃い話し合いだったと言っているんですから。ただ、詳細についてはまだ表に出せないということです。会談の中味というのは、これからおのずと結果として出てきます」
最後に「近いうちに安否が確認できたら、この訪朝の評価は高まるでしょう」と参院選前に新たな情報が出てくるともとれる意味深長な話をした。

拉致被害者の安否確認は、被害者家族が待ち望んで、日本国民も期待していたものだが、じつは北朝鮮は用意していたという情報があるのだ。
「安否確認の10人についても北朝鮮は準備をしていたと北朝鮮関係者は言っていましたね。そりゃあ、この前の訪朝から1年8ヵ月もたっているんですから、調査し、情報をもっていないわけがない。北朝鮮は生存者についても新しい情報を出す準備はしていたが、日本側が要求しなかったから出さなかったのです。日本側の失敗で最小限の情報で助かってしまった。それで日本がまた何かの要求にこたえなければならないという状況を北朝鮮に与えてしまった。日本は強引に要求すればよかったんです。北朝鮮との会談は決裂を覚悟しないと成果は得られません。最悪の場合、決裂してもいいという覚悟があれば、いくらでも安否情報を引き出すために駆け引きの芝居ができたんです」(前出・重村氏)

しかし、小泉首相としては、訪朝を早めたため、今回はなんとしても決裂できない。少しでも成果を持って帰らなければという保身に走った足元を北朝鮮に見透かされてしまった。さらに、重村氏は「北朝鮮の金正日総書記が席を立つふりをしたので、10人の安否情報を要求しなかった。しかも1時間半で会談の終了宣告をされた」という動向に触れた。
「日本側も途中で席を立つふりをすればよかったのです。逆に金正日が席を立つふりをしたから、日本はやられてしまった。一緒に立ってしまって、出て行けばよかったんです。そうしたら、向こう側が飛行場まで追いかけてきますよ。それができなかったということが失敗の最大の原因です」

■ アメリカ政府は首脳会談に期待していなかった

首相にとって、拉致問題と同様に重要だったのが核開発問題だった。会談を拉致問題だけで終わらせてしまえば、「日朝間の諸問題の包括的解決」につながらず、米国の不興を買いかねなかった。
小泉首相は金総書記に次のように説得を試みた。「核開発は日本の安全保障の脅威であり、絶対に認められない。きっぱりと核開発を放棄して国際社会に復帰するチャンスだ。結果として天と地ほどの差が出る」。これに対し、総書記は黙ってうなずくようなしぐさを見せたという。さらに「リビアは国際社会に復帰したではないか」と詰め寄ると、総書記は「リビアは核を持っていない」とかわし、「ブッシュ大統領は北朝鮮を『悪の枢軸』と言うが、我が国を誤解している」とアメリカを厳しく批判した。結局は「朝鮮半島の非核化が最終目的だ。しかし、アメリカが先制攻撃を主張している以上、核抑止力は持たざるを得ない」との持論を繰り返すだけだった。核問題は六ヵ国協議の場で、解決への話し合いが続いている。「完全で検証可能な後戻りできない核廃棄」を求めるアメリカに対し、北朝鮮は「屈辱的な要求だ」と反発して、突破口は未だ見いだせていない。
アメリカは核問題で今後も日本と連携し、北朝鮮へ「圧力」をかけ続ける方針だ。しかし日本は拉致問題に絡み、曽我ひとみさんの夫で元米兵ジェンキンス氏への特別な処遇を米国に求めるなど、首相の再訪朝で日米関係には微妙な不協和音も生じ始めている。日朝会談直後の5月23日、ニューヨーク・タイムズは、北朝鮮が核兵器に使われるウランをリビアに輸出していたとの疑惑を報道した。

前出のエリス・クラウス教授は、アメリカ政府は今回の首脳会談に期待はしていなかったと話す。
「アメリカ政府は北朝鮮核開発問題に関して、小泉首相の訪朝で進展することをまったく期待していませんでした。たった一日の訪問です。明らかに小泉氏の唯一の訪朝目的は、拉致家族の子どもたちを連れて帰ってくることで、できれば、他の拉致被害者に関する問題で進展をはかることでした。6ヵ国協議の前に核問題とは別に、拉致問題を解決しようとしたことは正しいと思います。もし6ヵ国協議で拉致問題が核問題と絡み合ってしまうと、北朝鮮が核兵器を得ようとしているという、より重大な問題から注意がそれてしまうでしょう。拉致問題は、核問題とは別に迅速に徹底的に解決されるほうがよいでしょう」

重村教授は小泉訪朝の実態を知れば知るほど、その怒りは収まらない。
「この訪朝は拉致問題や核問題解決の最後にして最大のチャンスだったかもしれないのです。それを活かせなかったのは、小泉さんが稚拙だったということでしょう。北朝鮮がそういう国だとわかって行動しなければならなかったのに、わかっていなかった。だから外交に失敗した。国家を預かって外交しているという意思が欠如しているんじゃないでしょうか。動機不純、成果最小限ということですね。前回のように動機が不純でも成果さえでれば、みんな拍手しますが、今回はそうはいかなかった。外交を内政の理由でもてあそんじゃいけませんよ」

小泉首相は5月28日、都内で開催された在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)第20回全体大会に、歴代自民党総裁としては初めて祝辞を寄せた。拉致被害者家族の帰国が5人にとどまったことから、党内には総裁名で祝辞を贈ることに慎重論もあった。しかし、小泉首相は、今回、日本の警察・公安当局から「北のエージェント」とマークされている人物のほかに、総連の最高幹部にも協力を頼み、首脳会談に漕ぎ着けたと言われている。これらのブローカーとの交渉内容にあった項目なのか、口約束なのか定かではないが、北朝鮮へのお土産の一つであるのは間違いないようだ。

「もう残された時間がない」
曽我ひとみさん、横田早紀江さんをはじめ拉致被害者の家族が語っていたことは拉致被害者の帰国や情報を待ちわびる家族の心情だ。小泉首相はその心情をしっかりとくみ取っているのだろうか? 姑息なタイミングで訪朝し、「平壌の落とし穴」に落ちた首相は、そこから這い上がることができるのだろうか? 約束をしたという残された拉致被害者に対する調査。一日も早く正確な情報を引き出し、国民の前に明らかにしてほしい。それが言われなき非難をされた拉致被害者家族に対しての誠意というものであろう。

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