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台湾総統選:穏健な自立路線志向 銃撃事件で同情票 [毎日新聞]
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投稿者 あっしら 日時 2004 年 3 月 21 日 12:32:30:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: 3万票差、全土二分の大激戦 新憲法制定へ陳総統に難題 [朝日新聞] 投稿者 あっしら 日時 2004 年 3 月 21 日 03:16:38)


 正副総統を襲った銃弾は、「両岸(中台)関係の分水れい」(台湾紙・中国時報)とされた20日の台湾総統選挙の焦点も吹き飛ばしてしまった。陳水扁総統の再選は、投票前日の被弾による同情票が大きく作用したとみられる。陳総統は今後、「台湾化(自立化)路線」を推進するとみられるが、今回、有権者が明確な形で路線を評価したとは言い切れない。そして、選挙結果を受け入れない連戦・国民党主席を支持する住民の怒りも広がる。陳総統は難しいカジ取りを強いられることになるだろう。【台北・飯田和郎】

 銀縁メガネの中の両目は、潤んでいた。午後8時15分、台北市の野党連合の選挙総本部。熱狂的な支持者の前に立った連主席は感情を抑え切れなかった。

 「昨日の狙撃事件は明確な説明がないままだ。選挙の影響があったのは言葉で言い表せない」。「ぼっちゃん育ち」と言われた連氏がこれほど怒りをあらわにするのは、まれ。選挙のしこりを予感させた。

 李登輝前総統がレールを敷いた「台湾化路線」、つまり「台湾のことは自分たちで決める」というアイデンティティーを背景に、陳総統が継承した「脱中国」の流れを支持するのか。それとも、野党連合の連戦・国民党主席が主張するように、冷え切った対中関係の改善を求めるのか。「中国とどう向き合うか」というテーマが総統選で問われるはずだった。

 与野党の有力候補者の一騎打ち。選挙戦は激しさを極めた。だが、19日の政治テロが流れを変えてしまった。

 国民党一党独裁時代の抑圧の過去は、今日でも多くの住民の感情の底に残る。現職の正副総統が選挙運動という民主主義を示す場で同時に狙撃された事件は、暴力が社会を支配した暗い時代の記憶を呼び起こしたのは間違いなさそうだ。

 しかし、そんな経緯があったとはいえ、陳総統は、さらに台湾化路線を推進するだろう。事件は一方で、台湾の民主主義がまだ発展段階という証明でもあり、暴力の土壌を一掃するためにも、陳総統は「民主の深化」を訴えるはずだ。

  ■  ■  ■

 陳総統が手にしたのは、向こう4年間の総統の座だけではない。民意をより明確に示す機会である住民投票の経験がそれに加わった。中国が強く反対した住民投票は、民主化が遅れる中国との違いを国際社会に訴える機会だった。そのため陳総統は選挙運動中、「総統選は誰に投じようと構わない。だが住民投票は必ず参加しよう。失敗したら、中国を大喜びさせるだけだ」と繰り返した。

 選挙結果がもたらしたものは、それだけではない。民進党は党の方針をまとめた「台湾の前途に関する決議文」で「台湾の将来は住民投票で決める」と定めている。住民投票の経験を積み重ねることで、やがては独立問題を含めた「台湾の将来」に関するテーマを住民に問うことも起こりうるからだ。

 陳総統は当面、昨秋に表明した新憲法制定を目指すことになる。(1)06年に新憲法制定に関する住民投票の実施(2)次々期総統が就任する08年5月に施行――という内容だ。陳氏が描く新憲法は、国民党が台湾で築いた政治体制を根本的に見直すことにつながっていくはずだ。台湾人のアイデンティティーを新憲法に反映させることで、中国大陸で生まれた「中華民国」の存在は、自然に薄まっていくとの読みもある。

 ただ、陳総統は「再選後も、中華民国の国名、国旗を変更しない。独立を宣言しない」と明言しており、今後4年間で目指す新たな「国家像」の行方は、穏健な「脱中国」とみられる。

 一部を除けば、台湾住民の意識の中で中国との「統一か、独立か」という極端な二者択一はすでに希薄になっている。大半が望むのは現状維持という枠の中で、台湾人として生まれ育った誇りや国際社会の中での地位や権利をどう向上、拡大するかだ。民主という階段を着実に上りながら、台湾が位置する座標軸の変化を促していくことになりそうだ。

◇対話再開を働きかけ 日本政府

 日本政府は20日の台湾総統選で、「一辺一国」論を唱える民進党の陳水扁総統が再選されたことについて、表向きは「対日政策が大きく変わることはない」(外務省幹部)としながらも、中台関係が緊迫化することへの懸念を強めている。政府は中台双方に対し、自制を繰り返し促していく方針だ。

 中国は今回、比較的穏やかな対応に終始したが、外務省は、台湾独立の動きに中国が反発し続ける構図に変化はないとみている。

 01年の米同時多発テロ以降、米国は反テロで中国と協調関係にあるが、中台の対立が先鋭化すれば、台湾と防衛協力関係にある米国が介入する可能性が出てくる。その結果、日米同盟と日中友好のはざまで苦しい立場に立たされるのは、日本にとって「最悪のシナリオ」となる。

 日本には加えて、小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題で日中間がギクシャクしているとはいえ、北朝鮮問題を抱え、中国の協力が欠かせないという事情がある。台湾海峡は日本のシーレーンの「生命線」。安全保障に直結する側面もある。

 「中台関係をいたずらに緊張させる結果になっており、憂慮する」。日本の対台湾交流機関、交流協会台北事務所の内田勝久所長が昨年12月末、台湾総統府に対し、住民投票や新憲法制定に関する陳氏の発言について異例の申し入れを行ったのも「中国への配慮」(政府関係者)だった。

 小泉首相は一方で、来日した戴秉国・中国筆頭外務次官に対し、台湾問題について「平和的解決を強く期待している」と要請した。4月に訪中する予定の川口順子外相は「冷静な対応」を引き続き呼びかける考えだ。

 政府は当面、台湾との間で、経済活動を中心とした非政府の実務交流を維持する一方で、米国と連携しながら「事態の推移を冷静に分析する」(外務省幹部)という。【中澤雄大】

◇新憲法施行を警戒 中国

 【北京・上村幸治】中国政府は陳水扁総統の再選を「最悪の結果」と受け止めているとみられる。関係者の一人は選挙直前、「陳候補が再選されたら、中台間に潜在的な危機が生じるだろう」と警告していた。

 中国政府が最も懸念しているのは、陳総統が新憲法の施行を視野に入れている点だ。06年に新憲法制定を問う住民投票を実施し、08年に新憲法を制定して、台湾独立を宣言するのではないかと警戒している。

 中国は08年の北京五輪を新世紀中国を象徴する国家イベントと位置付けている。五輪を成功させるため、この期間は台湾攻撃や武力による威嚇といった行動を取りにくくなるのは確かだ。

 ただ一方では、胡錦濤国家主席と温家宝首相の対外ソフト路線が、国内強硬派の批判を浴びているという指摘もある。このため、当面、胡・温指導部は、陳総統の独立運動に神経をとがらせ、強硬な姿勢を示すだろう。日本と台湾の交流についても厳しい注文をつけてくるものとみられる。

[毎日新聞3月21日] ( 2004-03-21-02:12 )

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20040321k0000m030089002c.html


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