[イラク復興] イラク人の首相職設置案も　暫定政府で
2004 年 3 月 31 日
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　【バグダッド福島良典】米英占領当局（ＣＰＡ）から６月末に主権移譲を受けるイラクの「暫定政府」をめぐり、利害が交錯する各派をまとめる要として強力な執行権を有するイラク人の首相職を設置する案が浮上している。

　イラクでは現在、昨夏に発足した「イラク統治評議会」（各派代表２５人で構成）がＣＰＡの指導下、行政実務などにあたっている。統治評議会を引き継ぐ形で６月３０日に発足する暫定政府の青写真としては当初、統治評議会に新規メンバーを加え、１００人規模に拡充する案が有力視されてきた。

　しかし、ＣＰＡ指名の統治評議会は一般国民の支持率が低い上、▽暫定憲法「イラク基本法」に盛り込まれたクルド人優遇への賛否▽移行期イラクでの国連の役割▽暫定政府の形態――などをめぐり分裂、有効に機能していない。

　英紙ガーディアンによると、首相職設置案はＣＰＡが「イラク人政治家間の泥仕合を恐れ、主権移譲の手法を再び変更した」ため。統治評議会の拡充は小幅にとどまる可能性が高まっているという。

　評議員のヨナダム・カンナ・アッシリア民主運動書記長は２９日付イラク紙アッザマンで「イラクには有能な人材がおり、首相には評議会メンバーでない人物が指名されるだろう」と述べた。

　今月８日調印のイラク基本法によると、イラクの正式政権は連邦制に基づく「移行政権」として、来年１月までに実施予定の国民議会選挙を経て発足する。暫定政府は６月３０日の主権移譲の「受け皿」となり、現行のイラク統治評議会と移行政権をつなぐ選挙管理内閣の役割を果たす。

　移行政権は３人の正副大統領による大統領評議会、首相率いる内閣などで構成されるが、暫定政府の詳細はまだ固まっていない。イスラム教シーア派の最高権威、アリ・シスタニ師は大統領評議会について「イラクを不安定化させ、分裂に導く」と批判を強めている。暫定政府で首相職が先取りされる形となればシーア派起用が有力視されており、シスタニ師懐柔の側面もありそうだ。

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