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3月23日サマワ宿営地にて 土地の問題 [米兵・自衛官人権ホットライン]
http://www.asyura2.com/0403/war50/msg/707.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 4 月 07 日 14:24:49:dfhdU2/i2Qkk2
 

この日、私たちは16日以来、再三宿営地に通っているにもかかわらず、

防衛庁発行の「記者証」が無いという理由で第1ゲートより中に入れてもらえま

せん。仕方ないので車を駐車場に待たせて、私ひとりゲート警備の隊員たちと

世間話でもしながら情報収集しようとゲートまで歩み寄っていきました。

「こんにちは!」と言うと、隊員も「あ、どうもこんにちは」と軽く会釈を返し

ます。「いやぁー、暇なもんで、また遊びに来ちゃいました!」。「はぁ?!あっ

そうですか。私たちは、もう今は忙しくてイッパイイッパイですよ!」などと隊員

も応じます。「でも、それも今日から後続の部隊が来て、だいぶローテーショ

ンに余裕が出来るんじゃないですか?」などと促すと、「とんでもない!これか

らが『受け入れ』で大変ですよ。おおむね、部隊が全部編成されるまで、あと2

週間は掛かりますね!」と疲れと乾いた土埃でいっぱいになった顔で隊員は答

えました。そのうち、ゲート警備の交代要員がやって来たので、彼らが『申し送り』

をしている間に私は、また駐車場に戻ってみました。

駐車場には、他にも日本のメディア・クルーを待っているのか、雇われ警護

の外国人が車ごと待機しています。私はちょっとだけ言葉を交わしたのですが、

彼らはなんとイスラエルの警備会社『AIA』から派遣されていると言うのです。サ

ーレも私もこれには驚きました。何しろ、イスラエルと言えばアラブ社会におい

ては、ある意味でアメリカ以上に敵対国であるはずです。そんな国の警備会社を

雇うとは、その日本の某メディアもイラクを敵国視扱いしていることになります。

この連中の報道する『イラク情勢』など、私に言わせれば「糞食らえ!」ということ

になります。しかも、その警備会社の社員にはユダヤ人の他にもアラビア語通訳

も兼ねて、自称「レバノン人」と言うアラブ系の社員まで同行しています。レバノン

系アラブ人でイスラエルの会社で働ける人材は非常に限られています。私の推測

するところ、こいつは元「南部レバノン軍・カタイエヴ派」でイスラエル亡命者組の

ひとりではないかと思われます。

その他にも、イギリスの警備会社『セキュリティフォース・インターナショナ

ル』から派遣されている元傭兵たちなど、今のイラクは、こんな正体の知れない

連中の溜まり場になっているのです。なにも、アル・カイダやアラブ・ゲリラだけ

が入り込んでいる訳ではないのです。

 私は興味本意から、道路を封鎖し銃口にものをいわせて「交通整理」をしてい

るそのイギリスの『元ワイルド・ギースたち』を撮ろうと、近くに寄ってイラク人側の車

のかげから撮影していました。すると、これまた近くまで来ていたイラク警察の警官

がパトカーから降りて来て、私に職質して来るではありませんか。私はジャーナリス

トとして「銃を持った民間企業の社員」を撮影しているだけで何もCPAの規則には違

反していません。警官もその辺は解っているらしく、私に対して「今度は俺の写真を

撮ってみろ」などと英語で言ってきました。まあ、このようにイラク人警察は欧米の

圧力に頭が上がらないばかりか、完全に連中の走狗になり下がっていますので一般

の住民からも非常に嫌われています。最近、イラク人警官がテロの犠牲になるのも

解るような気がしてなりません。

 そうする内に自衛隊の第二陣の車列が到着して、どんどん宿営地に入っていきま

した。私はそれを目で追いながら、いよいよ本格的になる『日本軍のサマワ占領』が

始まったなと感慨にふけっていると、埃っぽいゲートの方からひとりのアラブ服の人物

が歩いてきます。誰かと思っていると、急にサーレがその人に走り寄ってキスと握手を

しながら私に紹介してくれました。「ワッタン、この人がランド・マスター(地主)だよ」。

 「えっ、このおっちゃんが?」と思うくらいに、この時はごく普通のイラク人に見え

たからでした。サマワで地主と言えば族長クラスの人物です。そんな人がこんなゲー

トの中からトコトコとひとりで歩いて来るなんて、私の考えていたイメージとはだいぶ違

っていたからでした。しかし、幸運なことに私はこの出会いをきっかけにして、彼から

宿営地に関わる問題を知ることが出来たのです。

 日本の報道では、「サマワ宿営地の土地契約の問題は既に地主との交渉で年間

の土地使用料2800万円を支払うことで話がまとまっている」などと報じられているよ

うに聞いていますが、それはけして契約を交わした訳ではありません。口約束だけだ

ったのです。日本政府・自衛隊が支払い金額に応じようとせず、ずっと契約を渋ってい

るのでした。

メディアで写真つきで報じられたマルサード・ハーシム・モハメッド氏は佐藤一佐

が握手した相手で確かに地主のひとりですが、その他にまだ地主は5人存在します。

自衛隊は、6人のうちのたった一人の地主としか支払い金額の合意に達していないの

です。自衛隊宿営地の面積は広大です。例をあげると「横田基地」並みの広さくらいあ

るのではないでしょうか。その面積を6等分して各地主が所有しているのです。

他の地主、ジャーベル・ジャディール・フィネーハ氏、カーメル・モトリル・フィネーハ

氏、フセイン・スィガール・フィネーハ氏、モハメッド・ダリール・フィネーハ氏、サァー

ド・ジャヒーム・サード氏らは、いまだに交渉中なのです。しかし、日本政府・自衛隊

側は何とか土地の契約交渉を早めに切り上げようとして、ひとりの地主との合意の

みを境に、急速に他の地主との交渉をなし崩し的に葬り去ろうと画策していた疑い

があります。

私が3月20日の報告、<サマワ市街地の自衛隊>の最後の部分書いた「彼らに

は何とか早急に解決しておかなければならない問題があったのです」とはまさに、

この土地収用の問題でした。地主との交渉に対して、自衛隊幹部たちは事前の『根

回し工作』として市街地のあちらこちらの有力者や農業組合、政治家、警察署などを

オランダ軍将校らと情報交換しながら、サマワ市の「治安維持」という名でごまかされ

た占領行政をオランダ軍から円滑に引き継ぐための調整会議も含めて、地主たちと

交わした当初の“約束”をいかに湾曲させて土地を安く買い叩くか、あるいは反古に

するかと画策を練っていたということです。

 先に述べた宿営地に地主のなかで俗称ザーベル(35)と名乗っている一番若く、

もっとも多く『宿営地詣で』に通っている人物は、その都度、警備の隊員や広報幹部

などから適当なあしらわれ方をされて仕方なく引き返すといった日々を過ごしていま

す。彼も若いとはいえ族長のひとりですから忍耐強い方です。そんな彼でさえ、さす

がに最近は我慢の限界にきている様子でした。


それというのも、彼がこんな話を自衛隊幹部から聞かされたからです。ある日、彼

がいつもと同じように宿営地に行くと、ある一佐が出てきて彼に「あなたはこの土地

を自分のものだと主張するが、実際にこの土地で仕事をしていた農民のものである。

我々は既に農業組合に行って、彼らから土地の収用許可を取ってきた」などと伝えて

来たと私たちに話しました。地元出身のサーレは、「あの土地は、戦争前から誰も耕

す人がいない荒地だった。農民だった人たちはみんな街で仕事をしている。あの土地

の所有権は地主にある」とも言っています。私は、この話を聞いて、「今のイラクでは

米軍占領下で、例え訴訟を起こしたとしても裁判所はイラク人に公平な審判を下すこ

とは出来ないだろう。思いきって日本の裁判所に土地契約の問題を訴えたらどうだ

ろうか?少なくともこの問題を日本の社会でクローズアップすることが出来る」と地主

に助言したのですが、今のところ彼がどうするか判らない状況です。当初、自衛隊幹

部は「我々は土地を収用したら宿営地を造るが、いつまでもこの土地にいる訳では

ない。可能ならば、その跡にはサマワ市民が働ける商店や娯楽施設、道路なども造

るつもりだ」などと美味しい話をぶら下げて宿営地の工事着工を地主に認めさせたそ

うです。

 私は地主から、このような土地の契約問題を聞いると、パレスチナの地でシオニス

トたちが行ってきた過去の土地収奪のプロセスを想起させられました。連中もイスラ

エル建国以前には、こうやってパレスチナ人の地主から土地を安値で買い取ったり騙

し取ったりしてきたのです。そうやって長い年月をかけながら、自らのテリトリーを広

げるために土地を手に入れていきました。彼らも最初にパレスチナ人たちと交わした

約束は、「街や農村の経済発展」だったのです。それが、いつの間にか「建国のため」

になってしまい、現在では「ゲリラを掃討する」などと言っては、大規模なジェノサイドを

行っているではありませんか。

 私はけっして、今の段階で日本政府がサマワ市に『植民都市の基盤』を造ろうとし

ているなどとは思いません。それでも、日本が過去に行ってきた侵略の歴史を想起し

た場合、もしかしたら私はある意味で、恐ろしい歴史的場面に立ち会っているような

気がしてならないのです。願わくは現在のサマワ宿営地を警備している隊員たちの、

地元住民への『牧歌的対応』が豹変するような事態にならないことを私は望みます。

しかし、もしこのまま日本政府・自衛隊幹部たちの策動による地元住民や土地の地

主に対して交わされた”約束“の遅延が長引くか、反古にされるようなことがあったら

真っ先に犠牲にされるのは、宿営地の周辺や最前部を警備している陸曹隊員たちな

のです。

 私は自らも、“元自衛官”であることから営内生活をなんとなく理解できます。隊

員の家族たちが外国に「派遣」される身内に向けて、少しでも気持ちの負担をかけま

いと「気丈な態度で接していた姿」が目に浮かびます。隊員たちも、家族との国際電

話の最中、いつもより必要以上に元気よく話したり、あるいは受話器を持ったまま床

にしゃがみ込んで、小さな声でプライベートな会話を長々とする隊員たちの姿も目に

浮かびます。短い休憩時間の間に、恋人とわずか一行のE-mail通信をするためにパ

ソコンの前に列を作っている隊員の姿も想像できます。地元住民が傷つくということ

は、彼ら隊員たちも傷つくということなのだと私は思います。そのようなことが無いた

めにも日本政府・自衛隊幹部たちの地元住民に対する善処を希望します。


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