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新型兵器の実験場とされるイラク 泥沼化の中で戦争屋たちが抱く野望 (日刊ベリタ)
http://www.asyura2.com/0403/war53/msg/1334.html
投稿者 ああ、やっぱり 日時 2004 年 4 月 28 日 13:35:02:5/1orr4gevN/c
 

新型兵器の実験場とされるイラク 泥沼化の中で戦争屋たちが抱く野望
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200404280816553

イラク戦争と戦後イラク社会を、自分たちの思想の「ショーケース」としようとしたネオコン(新保守主義)の意図は、イラク情勢の泥沼化でくじかれたかに見える。だが、戦争屋たちにとって、イラクでの戦闘はまだまだ利益につながるようだ。出番を待つ新型兵器がなお残されているからだ。新型兵器の「モルモット」にされようとしている人々とイラクの現状について、軍需産業に関する米国の専門家ニック・タース氏が具体的な兵器の名称などを詳細に論じている。(TUP速報=ベリタ通信)

■トムグラム:ニック・タース「イラクは新型兵器の実験場」と語る(トム・エンゲルハートによる前書き)
トムディスパッチ
2004年3月25日

先頃友人が言った言葉を借りるなら、現ブッシュ政権のネオコンたちにとって、イラクは大米帝国登場の実験場となるはずであった。米国が、新生ローマ帝国として、正統な務めに着手するには、イラクをおいてなかった。サダム・フセイン体制は国民にとっては苛酷であったが、2003年の時点で地球いや宇宙で最大の軍事大国にとっては吹けば飛ぶような相手であった。イラン・イラク戦争、第一次湾岸戦争、飛行禁止区域での絶え間ない爆撃、10年を超える厳しい経済制裁のあげく米国が侵略したときには、イラク軍は見る影もなく落ちぶれていた。

ネオコンおよびその一味が長年夢見て計画していたのは、イラクであっさりと勝ち組になり、いままでにない方式で中東におけるアメリカの覇権を確立し、世界に対して自分たちの存在感を印象つけることだった。イラクは、ブッシュ・ドクトリンの実演ショーケース、モデルとなるはずであった。

ブッシュ・ドクトリンとは、米国は同盟国なき同盟、いかなる法をも無視しうる史上空前の大国であると世界に宣言した2002年国家安全保障戦略の基本思想である。イラクは、いいなりになる人間を政権の座にすえた「ネオコン版民主主義」と米企業の経済掌握による「ネオコン版私営化」を試すフィールドとなるはずであった。
そうすれば、中東のほかの国々、いやひょっとしたら世界中の国々も協調してくるであろうと考えていた。そうでなければ、報いを受けることになるのだ。

当初の軍事的圧勝を別にして、すべての点で、イラクはずっとネオコンの期待を裏切ってきたのだが、その一方で、イラクはまったく別な点で効果的な実験場であることを証明しつつある。トムディスパッチで産軍複合体について論じているニック・タースが、以下に述べる。
トム・エンゲルハート

■イラクは新型兵器の実験場
ニック・タース

イラク侵攻からちょうど一年が過ぎ、世界中の街頭は再び何百万人もの反戦を叫ぶ人々でうめ尽くされた。だが、開戦の理由はいくらかでも明らかになっただろうか。わたしたちの理解では、エネルギーと覇権が問題となっていた。また、当局の公式の言い分では(ごく最近まで)、開戦理由は例のありもしない大量破壊兵器であったということも知っている。いや、開戦理由は、独裁者を追放することだったのでは? 中東の民主化? テロに対する戦い? パパ・ブッシュの湾岸戦争に決着つけるため? 少なくともこれらの理由のいくつかは、テレビのおしゃべり連中に繰り返し議論されているが、それに比べて現実に戦争の果たしている役割については、ほとんど注目されていない。イラクが新型兵器の実験場として利用されていることもその役割のひとつである。

兵器の発明このかた、人類はその改良に努めてきた。そして、第二次世界大戦以降、アメリカ合衆国は、民衆を痛めつけるための兵器の開発研究における世界の主導的役割を演じてきた。対人兵器の破壊性をさらに高度にするための、"銃弾傷弾道学"(wound ballistics)(注1)、"急速活動不能化兵器"(rapid in-capacitation weaponry)(注2)、破片をまき散らす"殺人装置"(kill mechanism)(注3)など「科学的大虐殺」というべき技術の高度実用化研究において、米国は圧倒的優位で他を圧している。

【注1】「銃弾傷弾道学」銃撃のダメージを最大にする方法の研究を含む技術。例えば「高速度粉砕性銃弾」など。その被害は甚大である。イスラエルによるパレスチナ人への攻撃に多用されていると言われている。
参照
http://fair-port.com/tama/thelatest9.html

【注2】「急速活動不能化兵器」典型的なのは「催涙弾」であるが、次々に新しく開発されている。例えば2002年10月23日に発生したロシア劇場占拠事件においてロシア特殊部隊が使ったのがこの「急速活動不能化兵器」の一種であるBZガスと見られている。このとき、チェチェンゲリラとともに、800人の人質のうち128名が殺されたが、人質の死は全てガスによる中毒死と見られている。

【注3】「破片をまき散らす"殺人兵器"」例えば「M86追跡防止兵器」など。M86は一種の対人地雷で、都市ゲリラ戦などで特殊部隊が主に使う。数メートルのケーブルがついていて、接触すると破砕型手榴弾が地上2.5メートルの高さで炸裂し、大量の破片をまき散らす。

かつて1965年に、ニューヨーク・タイムズのジャック・レイモンドは、「ベトナムはアメリカの'戦争実験室だ」とうまい見出しの記事を書いた。そして当時、同じような発言をする米軍司令官も数人いた。たとえば、マックスウェル・テイラー大将は、統合参謀本部議長、続いて南ベトナム大使を勤めた人物だが、「我々は、この地域[ベトナム]の実験室としての重要性を認識し、派遣部隊にこの種のゲリラ戦争向け装備について調査させている」と書いた。

しかし、レイモンドが指摘しているように、米政府当局のおおかたにとって、ナチの同類とみられるかもしれないのに、こんなことを吹聴するなんてとんでもないことだった。ナチは、ほんの30年前に、スペイン内戦を第二次世界大戦のための演習場としたのだった。
1983年のグレナダから2003年のイラクまで、近年、米軍の小戦争は一定間隔で次々起こってくれたので、軍と軍需産業は
、実戦テストと兵器改良のためのかっこうの実験場として、これらの戦争をあてにするようになった。

最近のロサンジェルス・タイムズ紙で、軍事評論家、ウイリアム・M・アーキンは、今月イラクに配備される海兵隊は、発展を続ける米国兵器産業の最新ハイテク製品を装備すると述べている。イラク人反抗分子にばったり出くわしたら、すぐさま試してみられるように、である。この新型兵器、長距離音響装置(Long Range Acoustic Device:LRAD)(注4)は、強力な音を発し、音の届く範囲内にいる人々に激痛を与える。製造元のアメリカン・テクノロジー社会長のウッディ・ノリスは、この装置を断じて"兵器"とは言わないが、「(人を)倒してしまう」と堂々と言っている。が、アーキンは、近ごろではめったに耳にすることのない重要な疑問を提起している。「外国の実際の戦闘の場は、新型兵器の実験場として適切であろうか」。
しかし、軍と軍需産業が、「適切だ」と考えていることはまちがいない。恐ろしいベトナム戦争時代の記憶が薄れていくにつれ、次々と、ときには同時に起こる戦争と外国の内紛は、兵器を不断に改良・向上するための場となってきた。開発初期段階の兵器が、戦闘に投入され、実地試験、改善、完成の工程をくぐるわけだが、これは軍産複合体の地球工場製造ラインとして形成されつつあるものの一環である。

【注4】「長距離音響装置」とは、直径約80センチ、重さ20キロの円筒から強い指向性の音を発し、数百メートル離れた敵を狙う。音は150デシベル、2.1−3.1キロヘルツの高周波で、非殺傷が謳い文句だが、長時間あるいは何回もさらされると傷害のおそれが指摘されている。


たとえば、1990年代半ば、バルカン諸国は、プレデター無人偵察機―情報収集無人航空機(UAV)の性能試験場となった。1994年1月に製造会社ジェネラル・アトミック・エアロノーティカル・システムズに1機が発注されたとみるや、95年にはもう、第一世代プレデターがボスニア上空を飛んでいた。この無人飛行機はコソボでも利用され、2001年にはヘルファイア(レーザー誘導式ミサイル)を搭載、単なる偵察機ではなくなっていた。この年2月には、飛行中のミサイル発射テストに成功し、プレデター(捕って食うもの)の名にふさわしいものとなった。年末には、ミサイルを搭載し偵察機から攻撃機に昇格したプレデターが、バルカン諸国そしてアフガニスタンへ向けてとびたった。実際の戦闘で性能テストをするためであった。2002年に、ヘルファイア搭載プレデターは、イエメンで万能の殺人用兵器として実際に殺人に使用された。民間機を攻撃し、乗客6人を焼死させた。全員アルカイダのテロリストであったという名目であった。現在、プレデターはイラク、アフガニスタンなどで使用されている。

米空軍少佐のラッセル・リーが言うように、「世界の空のどこかで必ずプレデターが飛んでいる」状況である。


■超大型爆弾MOABのイラクでの使用も

プレデターはイラクですでに何度も登場しているが、いわゆる「すべての爆弾の母」といわれる重量9752キログラムの超弩級精密誘導型気化爆弾(Massive Ordance Air Blast:MOAB、"すべての爆弾の母"(Mother of All Bombs)の頭文嘯とるとやはりMOABとなる)(注5)は、イラクでの初使用を目指す突貫作業のかいもなく間に合わなかった。退役海軍少将、スティーヴン・ベーカー(第一次湾岸戦争当時の作戦本部長で現在はワシントンの防衛情報センター上級研究員)は、イラクのスンニ派本拠地の都市ティクリートにこの兵器を投下したらどうなるか、次のように予測している。
「端的にいえば、あらゆるものを跡形もなく破壊し尽くしてしまう。破片は秒速1.8キロメートルで飛散し、衝撃波は1平方センチメートル当たり350キログラムを超え、摂氏4700度以上に熱せられる」

【注5】 「超弩級精密誘導型気化爆弾」は、小型核爆弾に匹敵、通常兵器中最大の破壊力をもつ。


空軍研究所(Air Force Research Laboratory)のMOAB産みの親たちにとって不運なことに、爆弾1個は、2003年3月フロリダ州エグリン空軍基地でテストを済ませ使用準備が完了し、4月には見せ場となるべきイラク戦域の秘密前線基地に搬入されていたにもかかわらず、バグダッドへの進軍がひじょうに迅速に行われたため、MOABの出番はなく"跡形もなく破壊し尽くす"ことはできなかった。とはいえ、この1年近くの間、MOABは、"イラク戦闘地域"に鎮座し、次の"悪人"すなわちこの地域のならず者国家の上に放たれようと待機しているのだ。

今年は大統領選挙の年なので、新たに兵器実験場が操業開始されることはないとほとんど安心しているが、11月に選挙が終わった後はどうなることか。ともかく長距離音響装置(LRAD)はイラクでの戦闘に投入されるのは確実であるし、AP電によればさらに、エネルギー・ビームを発射して痛撃するアクティブ・ディ
ナイアル(Active Denial System)(注6)という新型兵器が近々実地テストされるという。ただ"実地"となるのはどこか、そのときになってみないとわからないが。

【注6】 「アクティブ・ディナイアル」は、核爆弾以来最大の発明と期待されている新兵器。ミリメートルの単位のエネルギー波を発射して、苦痛を与える。波の当たった箇所は摂氏55度にもなる。

ベトナム戦争の間、米軍は東南アジアをおよそ思いつくかぎりの軍事技術の実験場として利用した。実験成果などまったくなかった、できそこないのハイテク兵器――たとえば、感知装置と地雷からなるロバート・マクナマラのかの電子戦場、生きた南京虫と物理化学的器械を使ったさまざまな「人間捜索装置」などがすぐに思い出されるだろう。しかし、東南アジアはまた、多くの効果的な殺傷
技術の実験場としても利用された。M16ライフルはじめ、新世代の強化型対人兵器であるクラスター爆弾やゼリー化したガソリンが充填されたナパーム弾など、使用された兵器は、致死性や威力において、第二次世界大戦当時の兵器とはまったく次元を異にするものであった。つまり、戦闘において実験できるものなら、なんでもありだったのだ。

だがしかし、当時の軍は、反戦運動の高まりにおそれをなして、およそ成果を誇ることなどなかったし、毒ガスや枯葉剤などを使用したときは、論争の渦中に立たされ世論の重さをいやおうなく実感することとなった。それが今日では、軍はまったくわるびれず堂々としていて、きりもなく戦争を繰り返しては(終わりのみえない"対テロ戦争"を含め)、ペンタゴンと産業界の相棒どもが思いつくかぎりのスーパー爆弾やらエネルギー・ビームやらの実験場として利用していることに対しほとんど何の論争もない。民主・共和どちらの政権下でも紛争、軍事介入、戦闘、攻撃が間断なく起こったおかげで(例をあげると、1991年のイラク、92〜93年のソマリア、92年からこのかたの前ユーゴスラビアとコソボ、94年のハイチ、98年のスーダンとアフガニスタン、2002年のアフガニスタン、2003年のイラク、2004年のハイチ)、かつてタブーであったことが、今では普通のこととなった。

米軍報道局のゲリー・J・ギルモアは、ベトナム戦争当時からの常套句を使って、先頃、長距離音響装置のような新型技術の使用を「21世紀の戦争において人心に影響を与えるため」と擁護した。また、アクティブ・ディナイアルの対群衆効果について、ペンタゴンの防衛研究設計局の計画部長であるアラン・R・シェーファーの言葉を引用して、「強力なマイクロ波に直撃されて、みんな逃げていく」と述べた(要は「殺傷兵器でない」といいたいのだ)。

低度のゲリラ戦地域であるイラクは、アメリカ兵器開発業界にとって、まさに最新の実地実験場である。かつて偵察用いま殺傷攻撃用のプレデターに、近いうち非兵器なる長距離音響装置とおそらくアクティブ・ディナイアル(実験台になった人の話では、熱と痛みの爆発のようだったという)が加わる。そのうちだれも知らない新型兵器も。しかし、議論は?殺傷度と苦痛の実験場となる戦争遂行
について、なぜだれも政府の説明責任を問わないのだ?

米国は、ベトナムにまき散らした毒ガスと同じものを、国内の街頭で、大学のキャンパスで、反戦デモの参加者に向けて放った。今年9月、ニューヨークで開催される共和党全国大会に対する抗議行動の参加者に向けて、長距離音響装置やアクティブ・ディナイアルが使用されることは、まずありえない。しかし、米国人に対して高性能痛撃ビームが使用されなければ、真剣な議論は起こらないのか? 米国人は、同じ米国人が兵器の実験台になってはじめて、
関心をもつのか?

いまこそ米国人は、地球上のすべての人々がまさに実験材料、納税者の金で拡大し続ける軍産複合体を肥え太らせるための軍事技術の実験台にされていることを知るべきである。このことが理解されてはじめて、軍と軍需産業に対し、実験室と化した戦争を次々と増殖させていることの責任を問うことができる。戦争という実験室では、バルカンからバグダッドにいたる世界中の人々が、米国の戦争屋たちのモルモットにされているのだ。


*ニコラス・タース コロンビア大学メイルマン公衆衛生大学院公衆衛生史・公衆衛生思想研究センター博士課程在籍。トムディスパッチで、軍・産複合体、大衆文化・科学などについて論じ続けている。(抄訳・池田真里/編集・ベリタ通信)

原文
http://www.nationinstitute.org/tomdispatch/

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