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<国際連合の実相(その2)> (太田述正)
http://www.asyura2.com/0403/war53/msg/599.html
投稿者 エンセン 日時 2004 年 4 月 22 日 05:12:53:ieVyGVASbNhvI
 

(回答先: <国際連合の実相(その1)> (太田述正) 投稿者 エンセン 日時 2004 年 4 月 22 日 05:11:42)

 
太田述正コラム#326(2004.4.21)
<国際連合の実相(その2)>

(2)国連平和維持活動
 いまや国連平和維持活動(PKO)は、鳴り物入りの国連の表看板の一つになっ
ており、国連加盟国191カ国中、94カ国が世界の13の地域に計4万人弱の兵士
を派遣しています。
 しかし、この兵士の大部分は加盟国中の最貧国から派遣されており、最貧
国ばかりの主要派遣国五カ国のパキスタン、バングラデシュ、ナイジェリ
ア、インド、ガーナだけで1万9000人弱になります。
 これに対し、安全保障理事会の常任理事国5カ国合わせても1000名ちょっ
とに過ぎません。
 なぜ、既に数千人の死者を出している危険なPKOにこれらの貧しい国々は兵
士を派遣するのでしょうか。ここにも率直に言って、たかりの構造があるの
です。というのは、本国に置いておけば費用がかかる兵士も、PKOに派遣すれ
ば、国連から手当てが支給され、兵士一人当たり月1000ドルもの収入を生み
出すからです。PKOに派遣される兵士は貴重な外貨収入源なのです。
 これらの兵士の多くは、それでは任務の遂行もおぼつかないにもかかわら
ず、碌な装備を携行してきません。(以上、http://www.guardian.co.uk/
usa/story/0,12271,1149725,00.html(2月17日アクセス)による。)

 (3)コフィ・アナン
 現国連事務総長のコフィ・アナン(Kofi Annan。ガーナ出身)によって、
国連は堕ちるところまで堕ちたと嘆いているのがスウェーデンの元副首相の
ペール・アールマーク(Per Ahlmark)です。彼の論考の要約をご紹介しましょ
う。
 (以下、特に断らない限り、http://www.taipeitimes.com/News/edit/
archives/2004/04/19/2003137287(4月20日アクセス)による。)

 1993年から1996年にかけてのアナンのPKO担当国連事務総長補佐及び国連事
務次長時代を振り返って見よう。
 1994年にはルワンダでフツ族によってわずか100日間で80万人のツチ族が惨
殺された。
 しかしそのルワンダにはPKO部隊がおり、そのカナダ人の司令官は四ヶ月も
前にフツ族がツチ族ジェノサイド計画を練っているという情報を入手し、こ
の通報者を保護するとともにフツ族が集めている武器を押収したいとアナン
らに意見具申していたのだ。にもかかわらず、アナンはこの要請を二つとも
拒否した。そして、いよいよ虐殺が始まってからも、米国等の腰の重さに藉
口して漫然とこれを座視した。
 1995年にはボスニアのスレブレニッツァ(Srebrenica)で7000人のモスレ
ム人が虐殺された。
 1993年にモスレム人は、国連が600名のオランダPKO部隊で守ってやるとい
う約束を信じて武装解除に応じたというのに、1995年にセルビア人部隊が彼
らを攻撃した時、アナンはオランダ軍に的確な指示を出さず、NATOに介入を
求めることもしなかった。そして一発の弾も撃たないで指をくわえていたオ
ランダPKO部隊の目の前で、女性と子供は連行され、残った人々に対し虐殺が
行われたのだ。
 アナンは情報も対処手段も十分すぎるほど持ち合わせていたにもかかわら
ず、不作為によって大虐殺を二度も生起させた。
 このようにアナンは国連事務局に蔓延する事なかれ主義の象徴のような人
物であるにもかかわらず、大国に決して楯突かないことから安保理常任理事
国5カ国の覚えがめでたく、安保理による指名を得て1997年には国連事務総
長に登りつめ、おまけにPKOが評価され(?!)、2001年には国連とともにノーベ
ル平和賞を授与された(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%
95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%8A%E3%83%B3。4月20日ア
クセス)。

 こんな人物が事務総長になる直前の1996年から実施された、国連によるフ
セイン政権に係る石油・食糧交換(oil-for-food)プログラムをめぐって贈
収賄疑惑が起こったのは当然のことと言えるでしょう。

 (4)石油・食糧交換プログラム
 もともとこのプログラムは、国連の経済制裁下で苦しむイラク市民の苦痛
を軽減するため、イラク産の石油を国連が買い上げ、その代金見合い額で食
糧・医薬品の購入、地雷の撤去、病院・学校・水処理施設の建設を行おうと
いうものでした。
 ところが、フセイン政権崩壊後、イラクで押収された資料から大変なスキ
ャンダルが明るみに出てきました。
 カネが本来の用途には使われず、もっぱら、サダム・フセイン一家、国連
事務局関係者、様々な国の有力者、そしてプログラム関連受注企業(その殆
どがフランスとロシアの企業)に流れたというのです。
 国連事務局関係者として既に名前があがっているのは、このプログラムに
基づいてイラクに運び込まれる全ての物資の検査を国連事務局から受注した
スイスの会社の顧問たるコフィ・アナンの息子のコジョ(Kojo)、コフィ・
アナン本人、そしてアナンがこのプログラムの担当者(the executive
director of the Oil for Food office)として任命したブノン・スバン
(Benon Sevan)です。
 アナン本人が疑われている理由は、アナンが自ら、サダム・フセイン用と
目されるラジオ・テレビ放送システムとウダイ・フセイン用と目されるスポ
ーツ施設群の建設を特別に認可したのではないかという理由からです。
 また、現在イラクで猛威をふるっているゲリラやテロリストの資金が潤沢
なのは、フセイン一家の懐に収まった資金が流れているからだ、と指摘され
始めています。
 カネをもらったとして既に名前が出ている有力者は、イラク系の米国人実
業家、英国の労働党下院議員でイラク戦に猛烈に反対したジョージ・ギャロ
ウェー(George Galloway)、フランスでは元内相、シラク大統領へのスポン
サーたる実業家、元国連大使、シリアの元国防相の息子、ヨルダンの有力議
員、インドネシアのメガワティ大統領らです。
 以上が事実だとすると、なぜフランスとロシアが頑強にイラク戦争に反対
し、イラク戦争の根拠となる国連安保理決議を米英に与えることを拒んだ
か、(また、なぜフランスとロシアがフセイン政権崩壊後、このプログラム
を早期に終了させることに抵抗したか、)更に、どうして国連事務局も消極
的であったかの説明がつく、と米国の一部マスコミは色めき立っています。
 (以上、http://washingtontimes.com/op-ed/20040321-101405-2593r.
htm、http://washingtontimes.com/op-ed/20040322-082824-9902r.htm、及び
http://www.thenewamerican.com/tna/2004/04-19-2004/un.htm(4月20日ア
クセス)による。)

3 終わりに

 自分で創っておきながら、米国がかねてより国連を軽んじている理由の一
端がお分かり頂けたでしょうか。(英国だって思いは同じなのですが、米国
のようにあからさまに軽んじはしないというだけのことです。)
 ところでこの2月、米英がアナン事務総長室を盗聴していたことが明るみ
に出た(http://politics.guardian.co.uk/iraq/story/0,12956,1157547,00.
html(2月27日アクセス)。コラム#266参照)というのに、彼は一切米英両
国を非難しませんでしたね。
 いくら大国には楯突かないのが身上のアナンとはいえ、これではアナンの
男が下がり過ぎます。何も言えないのは、脛に傷を持つ身だからだ、と忖度
せざるをえません。
 堕ちるところまで堕ちた国連がアナンのような事務総長をいただいている
のですから、国連の命運も極まった感がします。

(完)

http://www.ohtan.net/column/200404/20040421.html#0

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