★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 戦争55 > 861.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
シンポジウム「イラク報道と有事法制」[JANJAN]
http://www.asyura2.com/0403/war55/msg/861.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 5 月 27 日 22:43:28:dfhdU2/i2Qkk2
 


2004/05/26

イラク戦争の火種が拡大を続け、有事関連7法案が衆議院を通過してしまう最中、言論・報道の視点から戦争や平和を問い直そうというシンポジウム、「イラク報道と有事法制」が5月21日(金)名古屋市中区の朝日ホールで開かれた。(主催:市民と言論実行委員会)

シンポジウムのパネリストの方々。左から大西五郎さん、飯室勝彦さん、久保田弘信さん、加古信志さん、石原剛文さん

このシンポジウムには160人もの参加者が集まり、パネリストには朝日新聞名古屋報道センター記者の石原剛文さん、毎日新聞中部本社写真グループ副部長の加古信志さん、フォトジャーナリストの久保田弘信さん、中京大学教授の飯室勝彦さんの4人が出席した。前愛知大学教授の大西五郎さんによるコーディネートで、イラクの現地取材報告や討論が行われた。

石原さんは、2003年3月〜4月にかけて、米艦キティーホークに乗り込み、従軍記者を務めた経験等をもとに、事前に米軍が空爆予定を説明するという約束を破り、開戦したことや、船内で衛星電話も使用できず報道手段を封鎖されていたこと等を報告した。極度に報道が制限されていた中、比較的規制の緩い廊下や食堂へ張り込んで兵士に話しを聞こうとした姿勢も生々しく伝えた。

 加古さんは、今年3月〜4月にイラク・サマワに駐留する自衛隊の取材を続けた。自衛隊については記者会見のみが公認され、写真撮影は警備に関する事項については厳格に規制されていたことを報告した。

 久保田さんは、フリーランスの立場として、多くのマスメディアがイラク戦争開戦前に引き上げる中、イラクに残り、ニュースを配信し続けた。報告の中で、高遠菜穂子さん、郡山総一郎さん、今井紀明さんの3人がイラクで人質となった時の日本メディアの報道について取り上げ、問題提起をした。

 今年初めに自衛隊がイラク入りした後、日本人NPOやジャーナリストがソフトターゲットとして攻撃の対象になりやすい時期が続いていることを説明し、極めて危険な状況にも関わらずそれを伝達するパイプが途絶えてしまった(テレビに映らなかった)ことを事件発生要因の一つと位置付けた。そして、政府はこの状況を知っていたにも関わらずわざと隠していたことも指摘した。

 また、この事件で頻出した「自己責任論」にも触れた。高遠さんへのインタビューは、実際にはイラクの聖職者が「あなたはストリートチルドレンを助けてきましたが、これからも活動を続けますか?」という質問があって、「いろいろと大変なこともあったけれど、続けます。」というコメントが出たのだが、テレビでは聖職者が質問した部分を飛ばしてしまったために、ニュースの中身が変質してしまい「自己責任論」が持ち出され政府寄りの論調に報道が埋め尽くされたとの見解を示した。最近では、自衛隊報道も自粛傾向にあり、日本のマス・メディアは報道の義務を放棄していると厳しい批判をした。

 上記3人の見解を総括する意味で、中京大学教授の飯室勝彦さんは、防衛庁の取材が隊員の安全性を脅かす「可能性」のあるものにまで規制を及ぼしていることや、個人情報とプライバシーとを曖昧にしたまま、個人情報保護法が施行されてしまったことに触れ、情報の出し入れを政府が自在に操れる仕組みを水面下で作り上げ、マス・メディアは既に外堀が埋められていると指摘した。そして、歴史的にみても、事実が隠蔽されて水面下で既成事実が重ねられることで、国民を戦争へ駆り立ててしまうことが幾度となくあったとし、「いつかきた道」へ戻させないためには、俯瞰的に状況を捉えて、メディア間の対立を乗り越えて多様な報道をしていかなければならないと結んだ。

 今回は、時間の制約により会場から質疑応答することができなかったが、コーディネーターである大西さんの質問で、キティーホークでは日本との通信ができないために、ニュースをどう伝えるか上司との相談もできなかったことや(石原さん)、クルド人の一般市民が米軍に射殺されたニュースを日本に送信したが、テレビでは殆ど放送されず、弱い人の立場で報道することへの厚い壁を感じたこと(久保田さん)等、ジャーナリストとしての使命を果たそうとする故の苦労を一歩踏み込んで知ることができた。

 最後に、中部大学教授の小中陽太郎さんが挨拶に立ち、各自伝える内容は異なるが、点と点をつなげれば必ず読める、そこに市民がいることが重要と述べ、私たちが動けば、政治も動かせると、引き続き活動していくことを呼び掛けて閉幕した。

 情報が政府の手に握られることほど恐ろしいことはないわけで、体制側に都合の悪い考えを持った人々は意図的に黙殺されてしまう危険性もはらんでいるだろう。しかし、逆にいえば、隠している情報も何らかの突破口を開いてしまえば、言論を大きくして政府を変えさせる可能性もあるであろう。

 情報伝達の手段が極度に制限された状況下でも、あらゆる手段を講じて報道をし続けた3人のジャーナリストに敬意を表するとともに、私自身も常に伝え続けることで、情報をいろいろな人々と共有し、命の危険にさらされない社会を一つずつ実現させようと思う。

(浅野保照)

http://www.janjan.jp/world/0405/0405244674/1.php

 次へ  前へ

戦争55掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。