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ニューヨーク・タイムズの反省(山本史郎氏訳・メルマガから転載)=なにもかもチャラビが悪い?
http://www.asyura2.com/0403/war55/msg/882.html
投稿者 木田貴常 日時 2004 年 5 月 28 日 08:14:59:RlhpPT16qKgB2
 

ニューヨーク・タイムズが1年前の一連の『高邁』な誤報を反省。
なぜそんな記事を書いたのか? 情報源は?
>米政府高官>その情報源はチャラビ一派

米政府高官が、猟官運動をするチャラビ一派にだまされて、
イラク国内情勢や大量破壊兵器などについての
インチキな「基本」情報を掴まされたのだそうだ。

ニューヨーク・タイムズ自身など米マスコミも、
米政府高官に紹介されたチャラビ一派の情報ソースを
信じてしまった、のだそうだ。

チャラビ一派をお払い箱にした今、
ニューヨーク・タイムズも、米政府高官も
これからは姿勢を正すそうだ。

つまり、
なにもかも、『狡猾なチャラビ一派』が悪いということ?!

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☆★The Times and Iraq
   タイムズとイラク
ニューヨーク・タイムズ 2004年5月26日
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http://www.nytimes.com/2004/05/26/international/middleeast/26FTE_NOTE.html
         (訳注: タイムズとはニューヨーク・タイムズ紙の略)
 アメリカ合衆国をイラク(侵略)へ導いた決定に関して、本紙はこの
1年、後知恵(あとぢえ)による精彩しか放てなかった。われわれはア
メリカと同盟国の諜報機関の失敗、特にイラクの大量破壊兵器と国
際テロ組織とイラクの結びつきの問題を検証してみた。また当局者の
間抜けた売込みのための主張を検討してみた。われわれがみずか
ら自身にこの同じ光を当てたことは、過去にもあった。

 だが、そうするなかで、つまり戦争前と占領の初期の段階に書かれ
た数百の記事を読み直してみて、われわれの高慢な報道を大量に
発見した。ほとんどの場合、われわれが報道したのは、当時の認識
状況を正確に反映し、その多くは諜報機関から苦心して引き出したも
のだったが、情報を提供した彼ら自身も大雑把な情報に依拠してい
たのだ。そうして、これらの記事は不完全な情報を含んでいたし、間
違った方向を指し示していて、後になって、より多く、より正確な情報
が出てくることになった。それは通常のニュース報道でもありうること
である。

 しかし、われわれは、あるべき状況ほど厳密でない報道の例を多く
発見した。いくつかの例では、当時でも議論の余地があり(確証が得
られてない/訳注)、今では疑わしいと思われる情報が、問題にされ
ないまま不当に正当化されたり、容認されたりした。振り返って思う
に、われわれは新しい証拠が現れたとき、あるいは証拠が得られな
かったときに、それらの主張を再検討するのにもっと積極的であった
らと考える。

 問題のある記事は、出所と素材が変化しても、多くは共通した特徴
を持っていた。それは最近になってますます信憑性が疑われている
人々、イラクの「政権交替」に熱中するイラク人亡命者と離反者、情
報提供者からなる集団の誰かに依拠していた。(反サダム・キャンペ
ーンをもっとも突出させたアハマド・チャラビは、少なくとも1991年以
降タイムズ紙の報道記事に時折り情報源として名前が出てきて、記
者たちを他の亡命者に紹介していた。彼はブッシュ政府内のタカ派
のお気に入りとなり、彼が先週お払い箱になるまで、イラク人亡命者
からの情報に関する雇われたブローカーであった。)

 報道側にとって問題が複雑だったのは、これら亡命者の説明が、イ
ラクに干渉する必要を強く感じていた合衆国政府の高官によって、し
ばしば熱心に追認されたことである。政府の高官たちは、今になって
自分たちがこれら亡命者から提供されたニセ情報を信じ込んでいた
と認めている。そして、多くの報道機関もそうだった。

 当時のわれわれの報道に対する一部の批判は、個別の記者の責
任に焦点を当てている。しかしながら、われわれの検証は問題がもっ
と複雑だったことを示している。いくつもの段階で、記者に疑問を投げ
かけ、もっと懐疑心を抱くべきだった編集者たちも、おそらく、紙面で
特ダネを追うことに熱中していた。イラク人離反者の説明は、常にサ
ダム・フセイン打倒の強い野心に重点を置いていたわけではなかっ
た。元記事に異論を差しはさむ続報記事は時々ボツにされ、他方で
イラクをめぐって極端な主張に基づく記事が突出した扱いをされる傾
向があった。継続取材がまったくされなかったケースもかなりあった。

 2001年10月26日と11月8日付の1面記事は、イスラム系のテロ
リストが訓練を受け、生物兵器が作られているというイラクの秘密基
地について語ったイラク人亡命者を特集した。こうした記事は一度も
独自に検証されることがなかった。

 2001年12月20日付の一面記事は、次のような書き出しになって
いた。「土木技師だと名乗るあるイラク人亡命者が、彼は1年前にバ
グダッドのサダム・フセイン病院や個人の別荘、地下壕などで生物・
化学・核兵器の秘密施設を改造する仕事に従事したと証言した」。ナ
イト・リッダー紙は先週、アメリカ人当局者が今年初め、アドナン・イフ
サン・サイード・アルハイデリという名の亡命者を彼が働いたという現
場に連れて行ったが、その当局者は兵器製造計画に使われたという
証拠を発見できなかった、と報道した。

 化学・生物兵器がイラクで掘り出されるという可能性がまだあるとは
いえ、このケースでは、われわれは政府とともにダマされていたような
ものだ。そして今にいたるまで、われわれはそのことを読者に明らかにしてこなかっ
た。

 2002年の9月8日付では、本紙の中心記事は、「合衆国が指摘、
フセインは原爆部品の製造に走る」と見出しをつけた。その記事は、
政府が核兵器燃料の部品だと強弁したアルミニウム管に関するもの
だった。その主張は亡命者から提供されたものではなかったが、当
時有効とされたアメリカ最良の諜報機関からのものだった。それでも
やはり、これはもっと慎重に提示されるべきだった。そのアルミ管が
核燃料を作るために使われたという確証はないという助言があったも
のの、3600語の記事のうち1700語を占めたその助言部分は深く
葬り去られた。

 イラクの核開発の意図を示す証拠がなにゆえにサダム・フセイン打
倒を求めることになるか、政府高官はついにそれを述べたてることを
許された。「動かぬ証拠の第一は原爆雲かもしれない」と。その5日
後、タイムズの記者は、そのアルミ管が諜報機関のあいだで事実とし
て論争のテーマとなっている(評価が定まってない/訳注)ことを知っ
た。だがその懸念は、先に報道した見解をくつがえすものとは感じさ
せない見出し (「ホワイトハウスはイラクが禁止された兵器を作ってい
たと評価」) をつけて、13面の記事に混ぜられた。

 証拠とした主要部品に国際原子力機関から異議が出されたとき、タ
イムズは1月9日付でアルミ管への疑問の声を報道した。だが、その
異論は、1面にふさわしかったのであろうが、10面に掲載された。

 2003年4月21日付では、米軍につづいてアメリカの兵器捜索チ
ームがイラクに入った時点で、1面の第二トップに「不法な兵器(=大
量破壊兵器/訳注)は戦争前夜まで存在した、イラク人科学者が断
言」と報道した。それは次のような書き出しだった−−「イラクの化学
兵器プログラムで10年以上働いたという科学者は、米軍チームに対
して、イラクが化学兵器と生物戦争施設を戦争開始の数日前に破壊
したと話した。米軍チームのメンバーが語った」。

 その情報提供者はまた、イラクが自由可動式兵器をシリアに移動さ
せ、アルカイダと協力していたとも言ったが、この二つの主張は当時
も今もひじょうに議論の余地のあるものだ(確証のあるものではない
という意味/訳注)。しかし記事の調子は、後の記事では軍の諜報機
関関係者とされたこのイラク人「科学者」は、アメリカが侵略のために
捜していた戦争正当化の根拠を提供したというものになっていた。

 タイムズは、この情報の正確さに関する追跡取材や彼の主張を検
証する努力を、決して追及してこなかった。ここに取りあげた記事を
含めて、この報道の例はニューヨーク・タイムズ(電子版)にある。
nytimes.com/critique 読者はまた、タイムズの軍事問題での寄稿者
マイケル・ゴードンが先週『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』に
書いた、アルミニウム管報道についての詳細な議論を読むこともでき
る。そこに書かれたイラク報道の批判に答える形で、彼の説明は諜
報機関提供情報の複雑さを解説する導入役を果たしてくれる。

 われわれはイラクの兵器と誤報パターンをめぐる報道は未完の仕
事であると考える。そこでわれわれは、正しい記録をおこなうために
積極的な報道を目指すつもりである。

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  ☆★同じ検証をすべきでは? 
     他人事ではない日本のメディア、政治家、政府
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▼NYタイムズがイラク大量破壊兵器記事などで異例の釈明/朝日
http://www.asahi.com/international/update/0527/005.html

▼NYタイムズがイラク報道反省…反フセイン情報に踊る
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040526it18.htm

 ※解説にかえて※  by山本史郎
 内容的に支持するかどうかを別にして、日本を代表する二つの新
聞である朝日と読売も、ニューヨーク・タイムズの記事を紹介した。

 だが両者に共通する重要問題は、この問題に関する自社の報道姿
勢には、まったく触れていない点だ。同様の報道を繰り返し、あるい
は「米紙が報道」という形で、同じ内容を、しかも突出したイラク非難
ばかりを紹介し、読者に誤った印象を振りまいてきた責任があるは
ずだ。それはこの二紙だけでなく、日本の大手メディアのほぼ全部に
も共通すると思う。政治家や政府・外務省にも、同じことが言える。

 だが、そうした報道姿勢と内容を率直に検証し、なぜ間違ったの
か、何が正しかったのかを追及する報道・声明はほとんどない。

 その検証を怠る姿勢が、アメリカのイラク侵略を支持し、自衛隊派
遣までする小泉首相を追及しきれない姿勢に重なっている。スネに傷
を持つもの同士、真実はあいまいにしておいた方が、自分たちの間
違いも非難されずにすむという、安易な方向に走っていないか。みず
からもニセ情報に踊らされ、さらに読者、国民を欺いたことに口を閉
ざすというのでは、他人の追及に迫力がないのも当然かもしれない。
そうしてアメリカ追随の姿勢だけが、相乗効果を伴って膨らんでいく。
読者がメディアに対する不信を募らせていることを知ってか知らずか。

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