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数理論理学入門 高崎金久(京都大学) 参考書・講義資料 
http://www.asyura2.com/0406/bd36/msg/140.html
投稿者 乃依 日時 2004 年 6 月 30 日 13:48:22:YTmYN2QYOSlOI
 

(回答先: 数理論理学入門 高崎金久(京都大学) 参考書・講義資料 (乃依 投稿者 エクセル 日時 2004 年 6 月 30 日 13:37:13)


http://www.math.h.kyoto-u.ac.jp/~takasaki/edu/logic/index.html


E.T. ベル「数学をつくった人々(下)」(田中勇・銀林浩訳,東京図書)
著名な数学者の生涯と仕事を紹介するベルのこの有名な本は
19世紀のイギリス・アイルランドの数学者(ハミルトン,ケイリー,
シルベスター,ブール)にかなりのページを費やしている.
ジョージ・ブールについても生い立ちから数学以外の教養も含めて
詳しく紹介している.ブールの発想がハミルトン以来のイギリスの
抽象代数の伝統に沿うものであるという指摘は興味深い.
竹内外史「現代集合論入門」(日本評論社,1971)
これはもともと公理的集合論の本格的な解説を目的とした本であり,
その意味でも重要だが,序章の「Logician小伝」はゲーデル以降の
有名な数理論理学者の履歴や業績を紹介していて,評伝としても読める.
筆者はほとんどの人たちと直接・間接に交流があったので,
かなり生々しい話も出てくる.読んでいると,現代の数理論理学者は
やはり基本的には数学者,それも代数学や代数幾何学の研究者に近く,
哲学者然としていた(またそれが可能だった)のはゲーデルまでだった,
という印象を強く受ける.プリンストン高等研究所の所員とは
まことに羨ましい地位である.

ダグラス・ホフシュタッター

「ゲーデル,エッシャー,バッハ」
(野崎昭弘・はやしはじめ・柳瀬尚紀訳,白揚社,1985)

ゲーデルの不完全性定理を絵画・音楽・生命・知能・計算機などと絡めて
多角的に紹介し,大変な評判になった著作.この種の話題を扱う本は
不完全性定理の説明を単なるお話に終わらせることが少なくないが,
ホフシュタッターの本は記号論理学のかなり技術的な部分まで立ち入って
説明しているので,記号論理学を学ぶための題材として十分に通用する.
原著はアメリカでベストセラーになり,ピュリツァー賞を受賞した.
アンドリュー・ホッジズ
「Alain Turing --- the Enigma」(第一版 Burnett Books Ltd 1983,
第二版 Random House 1992)

アラン・チューリングの生い立ちから自殺に至るまでの生涯を
膨大な資料に基づいて紹介する力作.伝記的内容に加えて,チューリングの
重要な仕事をその背景とともに詳しく解説している.表題の「Enigma」は
本来は「謎」という意味で,チューリングの生涯が国家機密や同性愛絡みの
謎に包まれれていることを指すが,第二次大戦中にチューリングが解読に
成功したドイツ軍の暗号機械の名称でもある.著者はオクスフォード大学
数学研究所の数理物理学者で,
チューリングを紹介するWebページ
も開設している.
(詳しい内容紹介
ルディ・ラッカー
「思考の道具箱」(大槻有紀子訳,工作舎,1993)

数学的思考のパターンを数・空間・論理・無限・情報の五つの
レベルに分けて,歴史的背景なども紹介しながら楽しく論じている.
後半の論理・無限・情報を扱った部分は,ゲーデル・チャーチ・
チューリングの研究,集合論の入門的な解説,ゲーデルの不完全性定理を
情報理論の立場から再解釈したチャイティンの研究など,
数理論理学を学ぶ上で非常に参考になる話題を扱っている.
著者は数学者だが,むしろSF作家として広く知られている.
内井惣七
「うそとパラドックス ゲーデル論理学への道」
(講談社文庫881,講談社,1987)

論理をめぐる推理小説風の例題や世間話風の対話を交えながら,
命題論理の初歩からゲーデルの不完全性定理までを解説している.
19世紀に記号論理学が誕生し成長して行く歴史的背景も紹介している.
手製の「論理尺」なる原始的教材が登場するのも楽しい.
内井惣七
「シャーロック・ホームズの推理学」
(講談社文庫922,講談社,1988)

シャーロック・ホームズの活躍する小説を題材にして,
19世紀イギリスのウィリアム・ジェヴォンズらによる「帰納論理」
の研究を紹介するユニークな本.帰納論理は演繹論理と違って
事例・観察・経験から一般的な法則を引き出す論理であるが,
ジェヴォンズは帰納論理に確率論的方法を導入することによって
その信頼性を高めた.
林晋
「ゲーデルの謎を解く」(岩波科学ライブラリー6,岩波書店1993)

ゲーデルの不完全性定理の歴史的背景から説き起こし,記号化の考え方,
不完全性定理の内容と証明の考え方,対角線論法との関係,などを
わかりやすく解説している.数式や論理式をほとんど使わずに,
ドラエモンから借りてきたような「変身機械」という概念を用いて,
不完全性定理の証明の本質を見事に説明しているのがすばらしい.
なお,筆者はゲーデルと数学基礎論の
歴史を紹介するWebページ
を開設している.
八杉満利子
林晋
「お話・数学基礎論」(ブルーバックス,講談社2002)

京都の名所や散歩コースを織り混ぜながら綴る,全編会話形式の
数学基礎論超入門.市内某所(京都産業大学へのバスが発着する
北大路バスターミナルか北山通りのどこかではないかと思われる)
のショッピングモール3階,喫茶室「カフェ・ド・ロンリ」で,
日曜ごとに,店員と常連客との数学基礎論をめぐる対話が華開く.
話題は集合の話から始まり,連続体仮説,集合論のパラドックス,
記号論理の考え方,数学の基礎をめぐる論争,ゲーデルの不完全性定理を経て,
数学基礎論の未来にまで及ぶ.
グレゴリー・チャイティン
「セクシーな数学」(黒川利明訳,岩波書店,2003)


ゲーデルの不完全性定理を情報理論的に再構成して
「アルゴリズム的情報理論」を創始したことで知られる筆者の
さまざまなインタビュー記事や講演録を集めた本.
大部分は数学を専門としない一般の読者を対象にしたものだが,
最後の9章「数学の基礎についての一世紀にわたる論争」は
数学の研究者(数学基礎論や数理論理学の専門家とは限らない)
を対象としている.全体を通じて筆者の個性が強く打ち出された本で,
時に誤解を招きかねない部分も見受けられるので注意を要する.
特に本文中いたるところで「ランダム性」という言葉が
キーワードとして登場するが,これは「偶然性」と混同される
恐れがある.事実筆者自身も,読者のインタビュー記事を見聞きした読者に
この「ランダム性」を,2 + 2 が 4 にならないこともある,
というような意味に誤解された,と記しているが当然だろう.
せめて(結果が推論では確かめられないという意味で)「予測不可能性」
と言ってほしかった.さらに,アルゴリズム的情報理論では筆者以外に
コルモゴロフらの研究も有名であるが,コルモゴロフらの名前が
一度も明示的に登場しないのも少々疑問を感じる.


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